覚え書:「ビジネス デジタル・ジャーナリズムは稼げるか―メディアの未来戦略 [著]ジェフ・ジャービス [訳]夏目大 [文]森健(ジャーナリスト)」、『朝日新聞』2016年08月14日(日)付。

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ビジネス
デジタル・ジャーナリズムは稼げるか―メディアの未来戦略 [著]ジェフ・ジャービス [訳]夏目大
[文]森健(ジャーナリスト)  [掲載]2016年08月14日
 
■顧客のニーズ満たすサービス産業に

 1950年、米国の新聞普及率は124%だったが、2013年には37%まで減少。危機的な事態を迎えている。ネットが主流になる中、本書は報道機関がどうあるべきかを問うた本だ。
 著者は、記事を書いて売るという考え方ではダメだと指摘する。ニュースは報道機関も利用者も同じ情報生態系の一部だと認識し、顧客のニーズを満たすサービス産業になるよう認識を改める。情報を提供しあうプラットフォームを目指せという意見だ。
 報道関係者は反発するだろうが、著者は印刷媒体の維持が不可能になる日付まで予測すべきだともいう。一方でジャーナリズムでは昔も今も調査報道が重要だとし、とりわけ今後は専門性が高い番記者が価値を高めると指摘する。
 書名にある「稼ぐ」という点で「特効薬」はない。基本的には広告やイベント、有料化など従来の要素が稼ぎの方法だという。ただし、どんな人がその情報生態系に属しているかが価値を決めていくというのが著者の考えるメディアの未来像だ。
 日本と米国ではメディア事情が異なるため、すべての意見が妥当とは言いがたい。だが、ネットの先端を突き進む国からの提言は参考になる。
    −−「ビジネス デジタル・ジャーナリズムは稼げるか―メディアの未来戦略 [著]ジェフ・ジャービス [訳]夏目大 [文]森健(ジャーナリスト)」、『朝日新聞』2016年08月14日(日)付。

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http://book.asahi.com/reviews/column/2016081400015.html








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