Hatena::ブログ(Diary)

Essais d’herméneutique このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2017-10-17

覚え書:「声 『共謀罪』再び日本孤立の道か 作家 赤川次郎(東京都 69)」、『朝日新聞』2017年06月15日(木)付。

Resize7582

-----

共謀罪」再び日本孤立の道か

作家 赤川次郎東京都 69)

2017年06月15日

 日本にも多くのファンを持つウィーン・フィルハーモニー管弦楽団だが、ナチスの次代、ユダヤ系楽団員を追放し、中には強制収容所で殺された団員もいた。この「負の歴史」が、今年広く展示され、戦後生まれのさらに後の世代の団員たちが、同じ過ちをくり返さないために過去と向き合おうとしている。

 ところが、日本では、すでに歴史となった過去の侵略や虐殺すら否定しようとする人々がいる。軍国主義の精神そのものだった「教育勅語」さえ評価するとは、もはや海外との歴史認識の差のレベルではない。

 その人々が今手にしようとしている最悪の武器が、戦前の治安維持法に重なる「共謀罪法である。これがなければ五輪が開けない? ならば五輪を中止すればよい。たったひと月ほどの「運動会」のために、国の行方を危うくする法律を作るとは愚かの極みだ。五輪は終わっても法律は残るのだ。

 法案に賛成の議員は、自分が後の世代に災いをもたらそうとしていることを自覚しているのか。目先の目的のためけんぴ王を投げ捨てて恥じない安倍政治は、日本を再び世界から孤立させるだろう。

 安倍さん、あなたが「改憲」を口にするのは100年早い。

    −−「声 『共謀罪』再び日本孤立の道か 作家 赤川次郎東京都 69)」、『朝日新聞2017年06月15日(木)付。

-----

 


Resize7379


Resize7040

覚え書:「書評:南風(みなみ)吹く 森谷明子 著」、『東京新聞』2017年09月03日(日)付。

Resize7583



-----

南風(みなみ)吹く 森谷明子 著

2017年9月3日

 

俳句に目覚める青春

[評者]黒岩徳将=俳人

 毎年八月、松山市で開かれる「俳句甲子園」は、地区予選を勝ち上がった高校が五人一組のチームで俳句を競い合う。今年で二十回を数え、私が出場した十年前に比べ、注目度は格段に上がった。

 本作は「俳句甲子園」に挑む地元愛媛県離島の高校生を描いた小説。著者には東京女子高生が「俳句甲子園」を目指した小説『春や春』があるが、本作では、俳句の都における土壌の豊かさが物語の根幹を支えている。

 主人公・航太は同級生の日向子(ひなこ)に強引に誘われ、メンバー集めに協力し、自分も俳句を作り始める。俳句に興味を持たなかった主人公が、仲間との語り合いや他校との試合を通じて、その魅力に少しずつ気づいていく描写にはリアリティーがある。自身の進路や親きょうだいとの確執、恋愛、過疎化する故郷…。一人一人が抱える悩みを仲間に吐き出しながら、俳句という詩型で己の世界をどう表現するかと向き合う姿に、表現者として共感を覚えるのは私だけではないだろう。

 今年の「俳句甲子園」で、ある学校は「一時期は家族よりも長い時間をチームで過ごした」と言い、審査員は「毎日呼吸するように俳句を書いてください」とエールを送った。熱戦を繰り広げた選手たちに主人公らの姿が重なった。高校時代の心に帰って、多くの登場人物の視点から作品を楽しんでいただきたい。

 (光文社・1728円)

<もりや・あきこ> 1961年生まれ。作家。著書『千年の黙(しじま) 異本源氏物語』など。

◆もう1冊 

 神奈川大学広報委員会編『17音の青春 2017』(角川文化振興財団)。昨年の同大全国高校生俳句大賞の作品集

    −−「書評:南風(みなみ)吹く 森谷明子 著」、『東京新聞2017年09月03日(日)付。

-----






東京新聞:ページが見つかりませんでした(TOKYO Web)



Resize7041


南風(みなみ)吹く
南風(みなみ)吹く
posted with amazlet at 17.10.12
森谷 明子
光文社
売り上げランキング: 212,207

覚え書:「書評:小指が燃える 青来有一 著」、『東京新聞』2017年09月03日(日)付。

Resize7584


-----

小指が燃える 青来有一 著

2017年9月3日

 

原爆を書く意味問う

[評者]陣野俊史文芸評論家

 今年二月、被爆者として長い間長崎原爆を小説に書いた林京子さんが亡くなった。著者の青来有一は戦後、長崎に生まれ育ち小説家になった。現在は長崎原爆資料館の館長を務める。林さんとは親交も深かった。

 表題作について。主人公は長崎に住む作家。以前、「小指が重くて」というタイトルの小説を書いた。太平洋戦争末期、南島で飢餓に苦しみつつ行軍する兵士たちが死ぬと形見として小指を切断したというエピソードが出てくる小説だったが、十分に書いた感覚がない。そんな中、ときどき先輩作家が夢の中に現れるようになる。H(林京子さん)は、なんでも自由に書けばいい、と優しく声をかけるが、長崎に住んで小説を書く以上、原爆をテーマとして選ばざるを得ない苦しみから逃れられない。元政治家小説家も夢に現れて(あの人です)、まだそんなテーマを追いかけているのか、売れる小説を書け、と叱咤(しった)したりする。

 本作の中心には、原爆の小説を書こうとする苦衷があり、その縛りを意識しながらそれでも原爆をテーマに小説を書くとは一体どういうことなのか、という内省がある。

 この小説が発表されたとき、林さんは御存命だった。没後、この小説を読むと、大きな空白と重圧が、著者のみならず、読者である私たちにも迫ってくる。

 (文芸春秋・1944円)

<せいらい・ゆういち> 1958年生まれ。作家。著書『爆心』『てれんぱれん』など。

◆もう1冊 

 青来有一著『悲しみと無のあいだ』(文芸春秋)。長崎被爆した日の実相に迫ろうとした表題作など二篇を収録。

    −−「書評:小指が燃える 青来有一 著」、『東京新聞2017年09月03日(日)付。

-----







東京新聞:ページが見つかりませんでした(TOKYO Web)








Resize7042



小指が燃える
小指が燃える
posted with amazlet at 17.10.12
青来 有一
文藝春秋
売り上げランキング: 222,185

覚え書:「書評:「天皇機関説」事件 山崎雅弘 著」、『東京新聞』2017年09月03日(日)付。

Resize7585


-----

天皇機関説」事件 山崎雅弘 著

2017年9月3日

 

◆国家意識の明確化を狙う

[評者]三上治=評論家

 一九三五年(昭和十年)に起きたのが天皇機関説事件である。この事件は国体明徴運動とともに、日本が戦争に突き進む大きな契機をなした事件として人々に記憶されている。本書は事件の発端と展開、そしてその後の影響にいたる全体をよく描きだしている。事件の背景、例えば統帥権の干犯をめぐる軍部政府対立政府を擁護した憲法学者美濃部達吉言動も取り出されているし、事件の結果として、この国から失われたもの(立憲主義的なもののさらなる制限、政府や軍の方針批判する言論の自由報道の自由の抑圧)にも及んでいる。

 天皇機関説事件は大日本帝国憲法についての美濃部の学説「天皇機関説」を排撃した事件である。軍人出身の貴族院議員菊池武夫男爵貴族院でこの学説を批判したことから始まり、美濃部の「一身上の弁明」などを経て、最後は学説の禁止処分で終わった。

 美濃部の学説は、大日本帝国憲法が定める天皇統治権天皇(家)の個人的な統治ではないとした。それは国家機関の代表として天皇が統治するというものであり、天皇の統治を法的に位置づけ、合理的に解釈したものだった。当事者の昭和天皇もこれをおおむね妥当な解釈と認めていた。

 これに対する批判天皇の至上権、絶対性をより強調するものだった。天皇親政論と同じで、その理念が何を意味するかが明瞭ではなく、その点が事件を分かりにくいものにしてきた。

 天皇機関説は当時の議会主義理念根拠であった。そして議会政府批判し「軍部」の権限行使の拡大と結びついたこの事件は、国家意識が不明瞭で曖昧であることに不安を感じた軍部やそれに同調する政治家知識人らが国家意識の明確化を促そうとしたものだった。それは精神的な国家動員の運動であり、条件次第では時代の状況が似てきた現在でも現出する可能性がある。天皇機関説事件の意味を認識するうえで、本書は格好の一冊である。

 (集英社新書・821円)

<やまざき・まさひろ> 戦史研究家。著書『日本会議−戦前回帰への情念』など。

◆もう1冊 

 佐々木惣一著『立憲非立憲』(講談社学術文庫)。東の美濃部、西の佐々木と併称された憲法学者立憲主義の重要性を説いた著作

    −−「書評:「天皇機関説」事件 山崎雅弘 著」、『東京新聞2017年09月03日(日)付。

-----







東京新聞:ページが見つかりませんでした(TOKYO Web)


Resize7043



「天皇機関説」事件 (集英社新書)
山崎 雅弘
集英社 (2017-04-14)
売り上げランキング: 51,283

覚え書:「社説 大田さん逝く 「沖縄と日本」問い続け」、『朝日新聞』2017年06月14日(水)付。

Resize7586


-----

社説 大田さん逝く 「沖縄と日本」問い続け

2017年6月14日

 沖縄県知事だった大田昌秀さんが亡くなった。

 多くの人の記憶に残るのは、95年の光景だろう。米兵による少女暴行事件に抗議する県民総決起大会。集まった約8万5千人の映像に目を奪われ、本土に住む多くの人も、メディアも、米軍基地への沖縄の怒りの大きさに初めて思い至った。

 先頭にいたのが知事2期目の大田さんだった。「平和を求める沖縄の心」を発信し、政府と対決する。基地の整理縮小や日米地位協定の改定など、重い扉をこじ開けようと取り組み、いまに至る問題を提起した。

 戦世(いくさゆ)からアメリカ世(ゆ)、そしてヤマト世(ゆ)へ。92年にわたる人生は、戦争から米軍による統治を経て復帰に至る、沖縄の激動の歴史そのものだった。

 19歳で動員された沖縄戦では多くの学友が命を失った。72年前の今ごろは米軍に追われ、本島南部にいた。昨日まで徹底抗戦を叫んでいた軍人が民間人を装って壕(ごう)を脱出する。当時の経験から、「軍隊は住民を守らない」と繰り返した。

 戦後は、留学先の米国デモクラシーの薫風を浴びた。一方で、黒人などマイノリティーの存在に目を開かされ、それは必然的に「日本にとって沖縄とは何なのか」という生涯をかけた問いにつながった。

 大田さんは、沖縄の歴史をふまえた多くの本を書いた。実感をこめて、繰り返し引用した米国人研究者の言葉がある。

 「日本の政府は、あらゆる方法をもって琉球政府を利用するが、琉球の人々のために犠牲をはらうことを好まない」

 なぜ本土防衛の「捨て石」として、12万人もの県民が沖縄戦で死なねばならなかったのか。なぜ国土面積0・6%の小さな島に、全国の7割の米軍基地が置かれているのか。

 多数のために少数者の犠牲はやむを得ないという考えを批判し、米軍用地の代理署名をめぐる訴訟では、最高裁大法廷でこう陳述した。「安保条約が日本にとって重要だと言うのであれば、その責任と負担は全国民が引き受けるべきではないかと思っています。そうでなければ、それは差別ではないか」

 あれから約20年。ほぼ同じ言葉を翁長雄志知事が語ることに改めて驚き、政治の無策を恥じる。かつての政府与党には沖縄に心を寄せる政治家が少なからずいた。いま安倍政権辺野古移設方針は「1ミリも動かさない」と言ってはばからない。

 6月は沖縄にとって鎮魂の月。平和の礎(いしじ)に名を刻む学友たちのもとへ、永遠に旅だった。

    −−「社説 大田さん逝く 「沖縄と日本」問い続け」、『朝日新聞2017年06月14日(水)付。

-----




お探しのコンテンツは見つかりませんでした:朝日新聞デジタル





Resize7380

Resize7044