あんときのデジカメ:Nikon COOLPIX 990 2000年 近接マクロ+スイバル構造で構図を工夫して楽しめるカメラ


■ 20世紀最後のデジタルカメラ
いくつかまとめて古いデジカメを譲ってもらったのですが、そのひとつが今回ご紹介するNikon COOLPIX 990 です。昨年よりはじめたシリーズ「あんときのデジカメ」ではごく最初期に紹介したCOOLPIX 950 (日記:シリーズ「あんときのデジカメ」 Nikon COOLPIX 950 - Essais d’herméneutique)の後継機で、発売が2000年4月ですから、20世紀最後のデジタルカメラといってよいでしょう。当時はまだまだ現役で35mmフィルムカメラを絶賛使用中でしたし、デジタルという機材として、そしてそのスペックの割にはわりと高額という感があり、手を出しませんでしたが、時の流れをその意味ではよく捉えればといいかなあと思いますが、20年近く経ってから手に取ることができましたことを、ひとつの喜びということにしておきたいと思います。

■ ハンディキャップとおもわれがちな「でかさ」がアドバンテージ
このカメラは、デジタルカメラの本体中央部で左右が回転できるモデルで、いわゆるスイバルデザインと呼ばれるタイプです。カメラの横幅そのものを損なうことなくスペースが確保できるので、レンズ設計に無理が生じにくいと言われておりますが、まあ、前機種でもそうでしたが、とにかくでかい。筐体は、底部のバッテリーをアタッチメントしていない当時の一眼レフカメラそのもので、……手元にないので比較できないけれども、F90とかそんなかんじ……、まあでかいです。ただしそのでかさのおかげでホールディング感がすばらしく、わりと低速シャッターでも粘ることができましたので、カメラの小型化・薄型化を「すごいことだ!」と評価するムキもありますが、でかいデジタルカメラというのもありなのかなあと思いました。
しかし、このスイバルデザインですが、たしかに使いやすいのですけど、カメラとしてはちょっと異常なデザインですよね。最初期のニコンのクールピクスシリーズは、カメラらしからぬカメラが多いのですけど、さすが「フラッグシップシリーズ」。高級機で300万画素を突破し始めた時代になり、本機は334万画素。デジタルカメラ戦線でこの時期、出遅れた感があったニコンとしては頑張っているカメラで、同期他社の同じようなカメラのなかでも、今なお愛着をもって本機を使い続けている人がいると聞きますので、まあ、さすがニコンですね。

■ 近接マクロ+スイバル構造で構図を工夫して楽しめるカメラ
でわ簡単にスペックをおさらい。撮像素子は総画素数334万画素1/1.8型CCD。950と同じく原色フィルターではなく補色フィルターになります。現在では補色フィルターのCCDはほとんど見られませんが、画像のシャープさはとても20世紀のカメラとは思えないほどクリアで、「ニコンらしい」写りをしますレンズは、35mmフィルムカメラ換算で38〜115mmの3倍ズームニッコールレンズ。 f値はF2.5〜F4と広角側で非常に明るいレンズを搭載しております。これとグリップ感のよさが、手ブレなしなのにわりと粘れる要素になっております。とくにマクロ撮影時は、これぞ「ニコン」という感で、ちょっとびっくりしてしまいました。21世紀前後のニコンのコンパクトデジタルカメラって、マクロが中途半端なモデルが多いのですけど、こちらは2cmまで寄れます。マクロで近接して背景をぼかして、スイバル構造を利用してめずらしい構図を組み合わせてみる……なんて楽しい使い方のできる面白いカメラです。いまでこそ……スイバル構造ではありませんが……こういうデジタルカメラは多いですが、そのはしりといってよいでしょう。

以下、作例。「マニュアル撮影」(という名のプログラム撮影)、ISO100、AWB 露出補正なし。画像は2,048×1,536で保存。筐体はiPhone6sで撮影。










↑ 広角端38mmで撮影(A)。


↑ (A)を光学望遠端115mmで撮影。


↑ 広角端38mmで撮影(B)。


↑ (B)を光学望遠端115mmで撮影。


↑ (B)をさらにデジタルズーム4倍で拡大。





COOLPIX 990:主な仕様 - コンパクトデジタルカメラ | ニコンイメージング

Playing old digital Camera Nikon COOLPIX 990 2000 | Flickr