覚え書:「折々のことば:882 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年09月23日(土)付。


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折々のことば:882 鷲田清一
2017年9月23日

 死者のすごしてきた人生のキャンバスの上に残る、描かれざる余白を、われわれは恣意(しい)的にぬりつぶすわけにはいかない。

 (霜山徳爾)

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 死の翳(かげ)は生と対立するものではない。もし人が死ねないとしたら人生はなんと疎ましいものになるかと、臨床心理学者は言う。たしかに人の死とともに亡骸は腐りゆく。が、亡き人の「面影」は人びとの中で生き続ける。消え去ったものとしてではなく、残された者に、折にふれて生の意味を問いかけるものとして。『人間の限界』から。
    −−「折々のことば:882 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年09月23日(土)付。

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折々のことば:882 鷲田清一:朝日新聞デジタル




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