はじめに……

アカデミズム底辺で生きる流しのヘタレ神学研究者・氏家法雄による神學、宗教學、倫理學、哲學の噺とか、人の生と世の中を解釈する。思想と現実の対話。2010年11月25日より「はてな」に雑文を移項いたしますので、今後ともどうぞ宜しくお願いします。ついで…

覚え書:「折々のことば:978 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月31日(日)付。

- 折々のことば:978 鷲田清一 2017年12月31日 うたかたの仮の浮世の、はかない人間の一生を、何に託してみたところで、大なる差違はない (江戸川乱歩) ◇ 探偵小説のパイオニアは、「誰も面白がらない」ものをと、探偵小説と同性愛文献を蒐集(しゅうし…

覚え書:「後藤正文の朝からロック 「本当の日本」を書き記す」、『朝日新聞』2017年12月27日(水)付。

- 後藤正文の朝からロック 「本当の日本」を書き記す 2017年12月27日 写真・図版 アジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤正文さん 今年の夏に、ロック雑誌で連載していた短編小説をまとめて、『YOROZU〜妄想の民俗史〜』という本を作った。 ロッ…

覚え書:「自由、平等こそ「明治の精神」 維新150年、苅部直・東京大学教授に聞く」、『朝日新聞』2017年12月27日(水)付。

- 自由、平等こそ「明治の精神」 維新150年、苅部直・東京大学教授に聞く 2017年12月27日 写真・図版 苅部直・東京大学教授 来年が明治元年(1868年)から150年にあたることで、政府は記念施策の準備を進めている。施策の目的とされるのは「明治の…

日記:ジョン・ロック(下川潔訳)『知性の正しい導き方』ちくま学芸文庫

「人間が自分自身を導くにあたって最終的に頼ることができるのは、自分の知性です」。ジョン・ロック(下川潔訳)『知性の正しい導き方』ちくま学芸文庫。人間の自由と自主独立を徹底的に考察し、その論理的導き方を説いたジョン・ロック晩年の名著。本書は…

覚え書:「折々のことば:977 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月30日(土)付。

- 折々のことば:977 鷲田清一 2017年12月30日 わからないことの意味を広げておきたいですよね。 (アルバイトの若者) ◇ 仙台のとある公共施設で3年間、嘱託で働いていた若者が、この年末で職場を離れた。施設管理の担当だった。同じフロアに企画を担当…

覚え書:「社説 水俣病の認定 公平中立を裏切る漏洩」、『朝日新聞』2017年12月27日(水)付。

- 社説 水俣病の認定 公平中立を裏切る漏洩 2017年12月27日 被害者に真摯(しんし)に向きあおうとしない水俣病行政の一端が、明らかになったと見るべきだ。 水俣病と認定されなかった男性の不服申し立てを受けた国の審査会側から、裁決の見通しが環境省側に…

覚え書:「永く愛される大家ふたり 池波正太郎と藤沢周平」、『朝日新聞』2017年12月26日(火)付。

- 永く愛される大家ふたり 池波正太郎と藤沢周平 2017年12月26日 池波正太郎(1923〜90)と藤沢周平(1927〜97)。今年は大家それぞれにとって、節目の年だった。池波は『鬼平犯科帳』の連載開始から50年で、鬼平がテレビアニメに。藤沢は没後…

日記:マイケル・ボーンスタイン&デビー・ボーンスタイン・ホリンスタート(森内薫訳)『4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した』(NHK出版)

マイケル・ボーンスタイン&デビー・ボーンスタイン・ホリンスタート(森内薫訳)『4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した』(NHK出版)戦慄を覚えつつ読了する。ほとんど即座に殺された幼子がなぜ生き残ることができのたのか。本書はその筋道…

覚え書:「折々のことば:975 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月28日(木)付。

- 折々のことば:975 鷲田清一 2017年12月28日 小さい幸せ見つけるのうまいな (加瀬健太郎の妻) ◇ 写真家が休みに一家で温泉に行く。倹約のため、夕食を部屋でとるのを諦め訪れた変哲もない中華屋で「火山が噴火したみたい」な焼きそばにありつき、「よ…

覚え書:「文化の扉 吹き替え、声の名演技 自然な日本語で・はまり役に熱烈ファン」、『朝日新聞』2017年12月24日(日)付。

- 文化の扉 吹き替え、声の名演技 自然な日本語で・はまり役に熱烈ファン 2017年12月24日 グラフィック・米沢章憲 あなたは吹き替え派、それとも字幕派? 吹き替えは、個性と表現力豊かな声優、熟練のスタッフらプロの技の結晶だ。吹き替えを愛する人たちの…

覚え書:「ニッポンの宿題 女性の進出、阻むもの 緒方夕佳さん、青野慶久さん」、『朝日新聞』2017年12月23日(土)付。

- ニッポンの宿題 女性の進出、阻むもの 緒方夕佳さん、青野慶久さん 2017年12月23日写真・図版 男女平等の度合い 「女性が輝く」――。安倍政権がこうした方針を掲げるなど歴代内閣は女性を後押ししようとしてきましたが、長年の課題の「待機児童問題の解消」…

日記:武田清子『わたしたちと世界』(岩波ジュニア新書)が提示した課題。

尊敬する武田清子先生が今年4月に天に召された。数々の学術的著作に蒙を啓かれたことは言うまでもありません。武田先生が1983年に編んだ中高生向けのメッセージともいうべき『わたしたちと世界』(岩波ジュニア新書)紐解きながら、「これからは、世界…

覚え書:「折々のことば:974 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月27日(水)付。

- 折々のことば:974 鷲田清一 2017年12月27日 いまは「ためになる」とか「役に立つ」以外のものは存在しちゃいけないような風潮があるけれど、私はそれがどうにも不快なんです (中野翠) ◇ 落語のいいところは、損得と関係なしに「存在を楽しく許してい…

覚え書:「インタビュー 米中戦争、回避の知恵 ハーバード大学教授、グレアム・アリソンさん」、『朝日新聞』2017年12月22日(金)付。

- インタビュー 米中戦争、回避の知恵 ハーバード大学教授、グレアム・アリソンさん 2017年12月22日写真・図版 「ツキジデスなら米大統領に助言したでしょう。TPPは中国への対抗手段になると」=ランハム裕子撮影写真・図版 「一帯一路」を足場に影響力を…

覚え書:「「自分の一部を訳しているよう」 村上春樹さん、チャンドラーの長編7作完訳」、『朝日新聞』2017年12月22日(金)付。

- 「自分の一部を訳しているよう」 村上春樹さん、チャンドラーの長編7作完訳 2017年12月22日 写真・図版 チャンドラー小説の村上春樹さんによる新訳作品 米国の作家レイモンド・チャンドラー(1888〜1959)の小説を村上春樹さんが新訳した『水底(…

日記:松本清張『砂の器』を読む/「人間への関心」とは至極、現代的課題である。

知人の勧めで松本清張『砂の器』を読む。清張の作品はノンフィクションしか読んだことがなく、小説は初めてだが、一気に読み終えた。ネタバレを慎み筋は横に置くが、読書の楽しみとは、知識を得たり蒙を啓くことだけにあるのではなく、読むこと自体の楽しみ…

覚え書:「折々のことば:973 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月26日(火)付。

- 折々のことば:973 鷲田清一 2017年12月26日 After all, tomorrow is another day. (マーガレット・ミッチェル) ◇ 「だって、あしたは今日とは別の日だから」。波瀾万丈(はらんばんじょう)の人生、主人公は愛する夫…

覚え書:「【論壇時評】 積極的棄権論 選挙ルールのゆがみ指摘 中島岳志」、『東京新聞』2017年11月28日(火)付。

- 【論壇時評】 積極的棄権論 選挙ルールのゆがみ指摘 中島岳志 2017年11月28日 今回の衆院選で、最も重要な問題提起だったのは、東浩紀(あずまひろき)の「積極的棄権」論だと思う。東はインターネット上で「2017年秋の総選挙は民主主義を破壊している…

覚え書:「【考える広場】安室奈美恵と私たち」、『東京新聞』2017年12月16日(土)付。

- 【考える広場】 安室奈美恵と私たち 2017年12月16日 四半世紀にわたりトップを走った歌手安室奈美恵さん(40)= 参照=が来年九月、引退する。歌もダンスも切れ味抜群。かっこよさと自分なりの生き方が、ファンの羨望(せんぼう)を集めもした。「安室…

日記:honorよりもdignityを

人間が誇りをもって生きるということを表現するには、honorではなくてdignityを宛てるべきなのではないかと反省している。honorには上下関係のなかで定位という意味が色濃くあって、そうではない人間の尊厳を考えていかなければならないからね。前者は唾棄さ…

覚え書:「折々のことば:971 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月24日(日)付。

- 折々のことば:971 鷲田清一 2017年12月24日 サンタクロースがいなければ……人間のあじわうよろこびは、ただ目にみえるもの、手でさわるもの……だけになってしまうでしょう。 (フランシス・P・チャーチ) ◇ サンタクロースってほんとにいるの? 189…

覚え書:「【考える広場】子連れ出勤、ダメですか?」、『東京新聞』2017年12月09日(土)付。

- 【考える広場】 子連れ出勤、ダメですか? 2017年12月9日 熊本市議が乳飲み子をだっこして議場に現れ、同伴出席を試みたが、認められなかった。「アグネス論争」から三十年たち、子連れ出勤への社会の目は変貌への過渡期にある。子育て中の本紙記者三人が…

覚え書:「【考える広場】刑務所から見るニッポン 佐藤直子・論説委員が聞く」、『東京新聞』2017年11月25日(土)付。

- 【考える広場】 刑務所から見るニッポン 佐藤直子・論説委員が聞く 2017年11月25日 刑務所の内側を想像したことがありますか。映画や小説に出てくるような残忍な受刑者はむしろ少なく、そこで刑に服しているのは、貧困のために無銭飲食や万引などの軽微な…

日記:森本あんり『異端の時代――正統のかたちを求めて』岩波新書、発売。

今月21日刊行の新書『異端の時代――正統のかたちを求めて』の見本を、ICUの森本あんり先生にお届けしてきました。この機会にお薦めの本、また『異端の時代』の読み方(何章から読むのがお薦めか?)もうかがいました。近日「B面の岩波新書」にUP予定です。 pi…

覚え書:「【考える広場】移住女子−都会と地方」、『東京新聞』2017年11月18日(土)付。

- 【考える広場】 移住女子−都会と地方 2017年11月18日 都会の女性の間に「移住女子」になる願望が高まっているという。東京一極集中は続き「家族はどうするの」「子育ては」「しきたりは大変よ」など課題も多い中、地方への夢はなぜ膨らんでいるのか。 <移…

覚え書:「【考える広場】二重国籍が問うもの」、『東京新聞』2017年11月04日(土)付。

- 【考える広場】 二重国籍が問うもの 2017年11月4日 民進党元代表・蓮舫議員の二重国籍騒ぎで、日本人の国籍への考え方がクローズアップされた。難民問題が国際問題になり、日本の国際化も進む中で、二重国籍問題を含めて「日本人ファースト」の空気感が国…

覚え書:「【考える広場】 「施設」と「家庭」−児童養護のあり方」、『東京新聞』2017年11月11日(土)付。

- 【考える広場】 「施設」と「家庭」−児童養護のあり方 2017年11月11日 虐待や貧困などのため、親元で暮らせない子は、国内で約四万六千人。この子らを社会としてどう育てるか。国は今夏「施設より里親を優先」という新目標を導入した。児童養護の現場の声…

日記:未来へ、或いは過去へ、思考が自由な時代、人が個人個人異なりながら孤独ではない時代へ―

「真実が存在し、なされたことがなされなかったことに改変できない時代へ向けて」。言葉の意味がすり替えられ、あったことがなかったことにされる現代こそ、ジョージ・オーウェル(高橋和久訳)『一九八四年』(早川書房)読まずに何ができようか。こんなSF…

覚え書:「折々のことば:970 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月23日(土)付。

- 折々のことば:970 鷲田清一 2017年12月23日 感覚について言えば、不平不満が「形容詞」には渦巻いているようでもある。 (森山卓郎) ◇ 色名は無数にあるのに、まずい、辛い、苦い、酸っぱいなど、味覚を表す形容詞は意外に少ない。昔の人は素材をその…