『境界の彼方』3話 主に北之原孝將さん関連
『境界の彼方』3話
絵コンテ・演出:北之原孝將
作画監督:池田晶子
北之原孝將さんといえば、フルショットでの芝居。
普通に描いたら線がつぶれるサイズだと思うので、
通常のサイズで描いた絵を縮小してやっているのかなあと思うのですが。
北之原さんの最近の回ではもはや定番と言ってもいいくらい。
ここまで好んでフルショットの芝居をされる方は
京アニでは意外と北之原さんくらいかもしれないです。
アニメーターさんはこういうカット、楽しいだろうなあ。(勿論、大変でもあるしょうが。)
『たまこまーけっと』4話
絵コンテ・演出:北之原孝將
作画監督:池田晶子
ここのカットのあんこが個人的に好きです。
こういったフルショットの芝居はアニメアニメしていて印象に残ります。
閑話休題。
3話で気になったイマジナリーライン超え。
電車内にて。二人の会話シーン。
ライン上にいったんカメラをおいて(ワンクッション)、
イマジナリーライン越え。
会話の雰囲気がガラッと変わる。
段取りが教科書的です。
電車内でのイマジナリーライン超えは北之原さんに限らず
以前も京アニでやっていた気がします。
他には
こういったポン寄り、ポン引きのシーン(カットの繋ぎ方)。
北之原さんはよくされているように思います。
ポン寄りは良い意味で不自然さを与える演出です。
(普通であれば何かしらのカットをインサートしますので。)
自然な繋ぎから一転してこういったシーンが入ると画面が引き締まると言いますか、
女の子のポン寄りとか、ついハッとさせられます。それがよいのです。
そんな感じで。
『境界の彼方』については今後もなるべく追っていきたいです。
【OP演出】手前から奥へ、奥から手前への移動 安藤真裕OPなど
『凪のあすから』のOPが安藤真裕さんでしたが
安藤さんといえば、拳ポリ!メダロット!と数々の名OPを手掛けられてきた方ですが、
近年ですと、『花咲くいろは』OP、まずこれです。
『花咲くいろは』OP2(2011年)
絵コンテ・演出:安藤真裕
作画監督:関口可奈味、石井百合子
特徴としましては(意図的にシーンを抜粋しましたが、それでも)
「奥から手前へ駆けていく芝居」というのが、
最近の安藤真裕OPの主なモチーフとなっているように思います。
『いろは』しかり、『絶園のテンペスト』や『凪のあすから』でもちらほらと見受けられ
それらが印象的なシーンとなっています。
『花咲くいろは』OP1(2011年)
絵コンテ・演出:安藤真裕
作画監督:関口可奈味
OPで走ったり、歩いたりする作品は数多くありますが、
中でもこのような奥・手前の移動というものに限りますと、
その数は限られてくるように思います。
安藤さんが手掛けられたOP群はそのひとつです。
『凪のあすから』OP(2013年)
絵コンテ・演出:安藤真裕
作画監督:石井百合子
今期の『凪のあすから』OPにおいても、歩く・走る要素が盛り込まれていますが、
『いろは』のように「奥から手前へ駆けていく芝居」ではなく、
「手前から奥へ去っていく芝居」に注力されているようでした。
作風の違いでしょうか。同じ岡田麿里脚本ではありますが。
いずれにしても
手前から奥へ、あるいは奥から手前への動きというのは
安藤さんのメインモチーフであると同時に
それが瞬間的に奥行きを感じさせ、OPをより華やかなものにしているといえます。
安藤さんの他で「手前から奥へ去っていく芝居」といえば
連想される方も多いかもしれませんが『あの花』OPがそうでした。
泣く子も黙る長井龍雪OPですね。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』OP(2011年)
絵コンテ/演出:長井龍雪
作画監督:田中将賀
『あの花』に限らずとも、
長井さんは『奥へ去る芝居』というのを頻繁に意図的に用いているように思います。
『マギ』や『とある科学の超電磁砲OVA』のOPなどがそうでした。
『マギ』OP1(2012年)
絵コンテ・演出:長井龍雪
作画監督:錦織敦史、エフェクト作画監督:橋本敬史、総作画監督:赤井俊文
『とある科学の超電磁砲OVA』OP(2010年)
絵コンテ・演出:長井龍雪
作画監督:中村直人
長井龍雪さんについては
個人的にはその芝居術にも注目していきたいなあ、というところです。
安藤さん、長井さんと来て、
「手前から奥へ、奥から手前へ移動する」関連で最後にもうお一方。
山本紗代さんです。
山本さんは落下型です。
『荒川アンダーザブリッジ』OP(2010年)
絵コンテ:山本紗代
演出:龍輪直征、作画監督:山村洋貴
『PSYCHO-PASS』OP1(2012年)
絵コンテ・演出:山本沙代
作画監督:新井浩一
奥から手前に走るとか歩くとかでなく、落下させていくタイプです。
山本さんのOPは、特に近年のものは
重力の方向を画面内で自在に変えているところが特徴です。
恐らく山本紗代さんの頭の中では上も下も関係ないと言いますか、
「私が上だと決めたら下も上になる」と言いますか、
そういった柔軟な発想で作品を作っているのかなあ・・・と思います。
というわけで、
奥から手前へ・手前から奥へ移動する演出でしたが、
こういった演出をする上では当然作画への信頼も厚いはずです。
作画の困難さがあるからこそ、希少な芝居になっているのだとも言えます。
安藤さんに関しては、
ご自身がスーパーアニメーターであるからこそ
こういった演出に絶対の自信を持っているように感じます。
移動過程の難しさもそうですが、安藤さんについては
フレームアウト間際・フレームイン直後の作画に
安藤イズムが潜んでいるように感じます。