オリコン音楽配信がこれ以上ないぐらい糞であることの数えきれない理由のほんの一部

オリコンが来月初めに音楽配信を始めるらしい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050126-00000034-nks-ent

音楽チャートなどで知られるオリコンが、2月8日から、10万曲にわたる音楽配信オリコンミュージックタウン」を開始することが25日、分かった。‥‥新譜はもちろん、膨大な量の旧譜の配信を行うことで、音楽市場の拡大に結びつく試みだけに、30社以上のレコード会社が賛同。関係者は「日本の音楽配信時代の夜明けが訪れたと言ってもいい」と話した。‥‥米国ではアップル社が03年4月、約20万曲の音楽配信を開始した時、1週間で100万曲のダウンロード世界記録を達成した。オリコンは「驚異的な数のダウンロードが期待できる。世界新記録達成は間違いない」と自信満々だ。

で、この「世界新記録達成間違いないサービス」の概要はといえば、

  • 第一弾がKinki Kids orz
  • 値段がとりあえず310円 orz
  • フォーマットはWMA orz
  • Mac 非対応 orz
  • iPod 非対応 orz
  • ダウンロードしたパソコンのみで再生可能 orz
  • ハードディスクを初期化したりパソコンを買いかえたらもう終わり orz
  • WMA対応携帯プレイヤーへの転送が許されるのは一度だけ orz

というとんでもないもの。音楽ファンを馬鹿にしているとしか言いようがない。

で、2chで知ったんですが、去年の暮れにオリコンの社長が今回の音楽配信についてインタビューを受けているんですね。これがまた突込みどころ満載。馬鹿としか言いようのない内容。

http://www.mainichi-msn.co.jp/it/column/murata/news/20041027org00m300017000c.html


村田 米国に比べると高いですね。

小池 米国は特殊な環境にあったと思います。インターネットでのファイル交換は音楽業界に深刻なダメージを与えていました。そのために、タダよりは少しでもお金をもらった方がいいという考え方がありました。

デターッ! 都合の悪いことはすべて聴衆の意識の低さのせいにする日本の音楽業界関係者の馬鹿ロジック。こういう発言が音楽ファンを激怒させていることにまったく気付いてない。

このうえに中古市場が1000億円あります。これも日本特有の市場です。

ハァ? 本当に日本特有なのか? もしそうだとしたら、どう考えても新品が高すぎるからだろうが!


村田 レンタルや中古市場ができたことはレーベルにとってはありがたくないことですか。

小池 まったくありがたくないことです。中古、レンタル合わせて2%しか回収できていません。音楽配信で市場を作れば、レーベルの収入は70%になります。

「まったくありがたくない」と断言するところがすごい。中古市場やレンタル市場によって日本人は音楽の裾野を広げることができているという側面をまったく無視。音楽文化を育むという姿勢がまったくない。関心事は「1曲からどれだけのお金を回収できるか」のみ。その「1曲」がどれだけ人々の間に広まるかということにはまったく関心がない。「音楽聴きたいならCD一枚3000円払え」という頑固すぎる姿勢が、聴衆をして業界にとって利益率の低い中古市場やレンタル市場に走らせているんだという歴然とした事実を絶対認めようとしない。

CDはなくならないと思います。パッケージも最終的に残ると思っています。パッケージもあって、配信もあるということになると思います。アルバムの曲全曲を買おうと思えば、ダウンロードよりもCDの方が安くなります。

究極の馬鹿発言がこれ。パッケージが残るという意見には賛同するが、「アルバムの曲全曲を買おうと思えば、ダウンロードよりもCDの方が安くなります」というのが果てしなくトホホ。パソコンを買いかえたら全部おじゃんになり、携帯プレイヤーにも1度しか転送できない、音質の劣る音源、つまりあらゆる意味でCDより劣る代物に対してはっきりと「ゆっとくけど、ダウンロードものはたくさん買ったら損よ」と言い切ってそれに何の疑問も感じない。誰がそんなコストパフォーマンス激低なもの買うか! iTunes Music Storeの成功の秘訣が「CDより安い」というところにあった(それだけじゃないけど)ことを全否定したいらしい。

で、駄目押しがこれ。

(米国での音楽配信は)始まって1週間で100万曲のダウンロードがありました。始まって1年半で1億2千万ダウンロードを超えました。今年6月から英国、フランス、ドイツでも始まっています。

だから日本でも当然成功するという論調。それが冒頭の「世界新記録間違いなし」につながるわけですね。

まとめると、コイツ(とおめでたいレコード業界)の論理はこうなんだな。

  • アメリカで成功をおさめたiTunes Music Storeの戦略はすべて「アメリカの特殊事情」にもとづく。
  • よって日本は日本独自の価格、戦略でやればいい。
  • それはともかく、世界的に音楽配信が成功しているという事実がある。
  • 日本でもやれば成功するに違いない。アメリカの成功例は特殊事情だから参考にしないのは前述したとおり。
  • 参考にしないけど、成功はするだろう、だって今、世界的配信ブームだもの。
  • しかし値付けはCDより高くしているので、CDの売上を食うことはない。
  • ブームによって配信は成功! 値付けの高さによってCDの売上も減らない! 一石二鳥!!
  • ばんじゃーい ∩(・ω・)∩ ばんじゃーい

 ん な わ け ね ー だ ろ