2008-02-05
■[news] 霊能番組ブームに懸念 悪質商法の広がり背景

霊能番組ブームに懸念 悪質商法の広がり背景
若い女性などに人気の「スピリチュアル」への懸念が各方面で高まっている。「霊と交信できる」というタレントの出演番組が高視聴率をとり、「ヒーリング」「パワースポット」といった特集が誌面をにぎわす。陰で、悪質な霊感商法の被害が拡大。関係者からは、スピリチュアルブームを作り出しているメディアの責任論も噴出している。
■「倫理に反す」
(中略)
番組は昨年7月放送の「27時間テレビ『ハッピー筋斗雲』」。ドッキリ手法で出演させた一般人の女性に「スピリチュアルカウンセラー」の江原啓之氏が対面し、彼女の亡き父親の「声」を伝える内容だった。
検証委の「意見」は「(江原氏の)PRに女性を利用」「『あるある問題』の教訓が生かされず、面白さ第一の演出を繰り返している」と指摘。そのうえで、「科学的根拠の乏しい題材の取り扱いに慎重さが求められる」と自制を求めた。
「スピリチュアル」は「超自然的」「霊的」などの意味。霊視や運勢鑑定、「オーラ」などを扱う番組に対しては、メディア界の「外」からも根強い批判があった。BPOに届いた視聴者の声はこの5年で千件に及ぶ。
昨年末に各地で強制捜査が入った「神世界」事件。ヒーリングサロンなどを窓口にした「除霊・祈祷(きとう)」商法の被害総額は100億円とも言われるが、被害対策弁護団は会見で「ここまで大規模に展開できた背景に、『霊界と交信できる』といった行為を肯定的に放送し続けたマスコミによる風潮の影響が明らか」とメディアに矛先を向けた。
全国霊感商法対策弁護士連絡会は昨年2月、民放キー局などに「占師や霊能師が未来やオーラを断定的に述べ、出演者がそれを頭から信じて感激する番組」を是正するよう要望書を出していた。
(中略)
■高視聴率、批判しにくく
(中略)
「近頃の番組は、占いや霊視を前面に出さず人生相談的要素を強くし、抵抗感を減らしている。ここまで数字(視聴率)をとっていると、局内ではなかなか批判できない」。ある局のディレクターは明かす。
(中略)
ニューエイジやオカルトブームと違い、宗教色を払拭(ふっしょく)した「オープンさ」が特徴、と精神科医で帝塚山学院大教授の香山リカさんは言う。「オーラを信じているとふつうに話す学生が増えた。救われる人がいるのに何が悪い、批判する人は非人間的でやぼ、という雰囲気が広がっている」
http://www.asahi.com/national/update/0205/TKY200802040389.html
ちなみに民放連の放送基準では以下の項目があるそうです。
第7章 宗教
(41)宗教を取り上げる際は、客観的事実を無視したり科学を否定する内容にならないよう留意する
第8章 表現上の配慮
(53)迷信は肯定的に取り扱わない
(54)占い、運勢判断およびこれに類するものは、断定したり、無理に信じさせたりするような取り扱いはしない
この記事を読んで思ったこと。視聴率ありきでスピリチュアルを煽るいい加減な放送局の責任論も当然追求されてしかるべきですが、それはおいておいて、それより気になるのは最近の10代・20代(もしかしたら30代前半も?)の人に「癒しと感動」至上主義とでも言うべき姿勢が見られるような気がすることです。例えば学生に「どんな本(あるいは映画)が好き?」と聞くと「感動できる本(あるいは映画)が好きです!」と答える。こういう無邪気な姿勢は、70年代のしらけ世代、80年代の新人類の世代にはなかったものじゃないかなあと思いますね。「恋空」がヒットするのもこういう「感動できればなんでもいい」という姿勢からか。(それは言い過ぎか)
また超常現象についていえば、従来は恐怖をあおるものが中心でしたが、最近は「超越した存在がひきおこす神秘現象」にシフトしている気がします。「沖縄で撮られた自然の神秘写真」というフェイク画像がチェーンメールでまわっているともいいます。それに対する様々なブログでのリアクションを見ると「癒されますね♪ 真偽はともかく、信じてみたい☆」というリアクションが多いようで(あくまで印象論にすぎませんが)、とにかく「本当かどうかは二の次で、自分が癒されればそれで良いじゃないか」という気質があるように思います。引用記事の最後の「救われる人がいるのに何が悪い、批判する人は非人間的でやぼ、という雰囲気が広がっている」という言葉はまさにぼくの印象とぴったり一致します。
ぼくの音楽系サイトの方での年間ヒットチャートを大人買いするコーナーでは、最近のヒット曲に「励ましラップ」が多いことに辟易していると何度も書きましたが、それとも共通しているようで、そんなに癒されたいのか? そんなに励まされたいのか? そんなに「不思議な神秘の力」に力づけられたいのか? と思ってしまいますね。何がそんなに不安なんでしょうか。そっちの方が謎です。
あとマイナスイオンなどの似非化学とかね。情報過多になると情報の波に溺れそうになって逆に不安になるんでしょうか。情報社会の神秘主義。不思議です。
■[edu] 流通する「講義ノート」 73%が購入経験あり?

いつも鋭い大学プロデューサーズノートさんですが、「流通する「講義ノート」 73%が購入経験あり?」という記事では、講義ノートビジネスに対して「驚き」、「これは、不正であり、学術の冒涜だとマイスターは思います」としています。先進的な「大学プロデューサーズノート」さん(マイスターさん)にしてはずいぶんとクラシックなコメントだなと思いました。だって、講義ノートビジネスはかなり昔からあったはずですよね。ぼくが大学生だった80年代にも普通にありましたし、70年代にもあったんじゃないですか? ちなみにぼくは買い手としても売り手としても関わったことはありません。
しかし、こういうビジネスも、おそらくいわゆる「偏差値の高い」大学にしかないんじゃないかと思います。基本的に「偏差値の高くない」大学だとギリギリでもなんでも通れば良いという感じの学生も多いので、講義ノートビジネスはあまり繁盛しないんじゃないでしょうかね。それ以前に、どんな大学でも皆友だち同士でノートをコピーしあっているので、講義ノートビジネスが特別に大きな問題だとは思いません。
さて、「ノートコピー対策」ですが、ぼくの場合、ノート丸暗記をしてもとけないような、「ロジック」を問うような応用問題を出すようにしています。さらに、記述で答えさせます。ノートを浅く拾った程度ではすぐにボロがでるような、それでいて理屈が分かっていれば簡単に解ける(そうしないと誰も解けないという悲劇が待っているから!)ような問題にします。これである程度「人のノートで一夜漬け」を排除するようにします*1。さらに、授業はなるべく平易に説明していますが、専門用語はできるだけ使うようにしています、授業でも試験でも。これも「人のノートで一夜漬け」の人を少しでもふるい落とすためです。専門用語をちりばめることで、「ふだんから授業出ていて用語を分かっている人には簡単だが、用語に慣れてない学生にはそもそも意図が汲みにくい問題」をつくれますし。
ただ、授業も試験も受講者の「真ん中ぐらいの能力の人」をターゲットにしているので、「人のノートで一夜漬け」でも、頭の切れる学生ならば軽く試験をクリアしてしまいます。これはもうしょうがないですね。頭が良いのも大切な才能のうちですから、それに奢らずに頭の良さを生かしてこれからも生きて行って欲しいです。
ということで、大学プロデューサーズノートさんが憤るようなことは特に思っていません。
ちなみに、大学プロデューサーズノートさんの最近のエントリのうち、下のものはたいへん共感できる良い内容のものだったので、お勧めです。



わたしは大昔に大学生をやって、今回久しぶりにまた学生をしているのですが、大人数の授業でもノートを借りる友達がいない(見つけられない、頼めない)学生がちらほらいるらしいことを知ってちょっと驚いています。また、授業のプリントやテキストがない学生に先生が「隣の人に見せてもらいなさい」と言っても、見せる側も見せてもらう側も嫌がっているのです。わたしには不思議な光景です。
講義ノートの販売って、借りる友だちがいなかったり、そういう交渉ができない学生にとってはありがたいものなのでしょうね。
なにが癒しなんだかよくわからなかったけど、あの頃の出口の全く見えない不況下でなんかもう疲れたって人が多かったのは事実かもしれん。
個人的にはそれと同時に出てきた「ほっこり」という言葉がどうにも好きになれない。
あと「隠れ家的なお店」も。
スピリチュアルは・・・、最近どこの局でも朝の情報番組で今日の占いをやってるじゃん。
あの程度で止めといて欲しいなあ。
確かに友達同士のノートコピーとあまり変わりませんね。ただ、お金を払えば負い目無しに購入できる商品として売られているとなると、自分なんかはやっぱりショックですね。他人の知識を楽して得るという点では同じでも、もらうのと買うのとでは、手に入れる側の意識に大きな差があるような気がします。
あとロジックを問う問題を出されているとのことですが、科目や分野によっても、この手が使える限界はあるんじゃないでしょうか。
実際に自分が受けている授業を見ると、やっぱり過去問だけで単位が取れてしまいそうな試験も多いです。
ちなみに自分は法政の学生ですが、ノートを売っているなんて話は、このブログで初めて知りました。偏差値の低い大学ですいません。
偶然、同じハンドルネームでした。紛らわしくてすみません。
>雪見さん
1万は高いですねえ。確かに、借りる友だちがいない人には救いの神なのかもしれませんが…。ただ、昔と違って学生の授業の出席率だけは上がっているので、その値段には驚きですね。てゆうか、そんな値段出すなら最初から授業でとけよと…。
>よしき
「癒し」からいきなりサカモトに行くのが実によしきらしい(笑い。「ほっこり」はムカつくね確かに。朝の占いはおみくじみたいなもんだから罪はないよね。馬鹿馬鹿しいと思うけど。
>yoshikiさん
口調で別人だと分かりますので御心配なく。
確かにお金が介在するのは少し「ダーティー」な感じがしますが、「ちょっと特殊な教科書」をもう一冊買うようなものだと思えば、それほど大きな問題じゃないかなと思います。ノートを購入してから、それをもとに自分で勉強しなければならないんだし。それより大きな問題なのは、インターネットからコピペしまくったレポートですね。あれは本当にけしからん。まあ、ぼくは文学系じゃないし読むのが面倒なのでレポートはほとんど出しませんが。
ロジックを問えるかどうかは確かに分野によるかもしれませんね。それぞれの分野でいろいろ工夫しなければならないということなんだと思います。