2013年から Kentucky Derby 出走馬選出基準が変更されます

まずは公式のお知らせ。まさかの横スクロールでの説明です。

今年まではグレードレースでの獲得賞金(Graded Stakes Earnings)順で上位20頭が出走可能でした。
来年からは2-3歳のグレードレースにおける獲得ポイントにより選出されます。
なおKentucky Oaksも同様です。

対象レースとそのポイントについてはこちらの記事(Churchill Revamps Derby Qualifying System | BloodHorse.com)を参照ください。

細かく分けると4ステップに分かれ、

  • 2歳9月から3歳2月まではPrep Season(19R)、ポイントは1〜4着に対して10-4-2-1pt
  • 3歳3月あたりからChampion Seriesの1st Leg(8R)、50-20-10-5pt
  • 最終プレップについてはChampion Seriesの2nd Leg(7R)、100-40-20-10pt
  • 主要な最終プレップ以外の本番直前レースについてはChampion SeriesのWild Card(2R)、20-8-4-2pt

となっています。

Prep Seasonは距離がマイル以上で、馬場は芝、ダ、AW関係なく、Champion Seriesは、距離がマイル以上、ダートまたはAWを条件としてます。北米だけでなく、Prepの場合イギリスのRoyal Lodge、Champ.ではUAE Derbyも対象レースに含まれます。

なぜ新システムを導入したか?
公式サイトによると、

  • To establish a clear, practical and understandable path to the Kentucky Derby
  • To present a compelling, easy-to-follow story of the road to the Derby that captures the attention and sparks the imagination of fans
  • To maximize the quality of the Derby field and protect the integrity of the race, while respecting the tradition and relevance of paths taken to the race by previous Kentucky Derby winners

だそうです。

個人的な感想。
一発逆転的にポイントの比重が最終プレップに極端に傾いており、当然2歳戦や3歳序盤での実績馬よりは、最終プレップで好成績を出した馬が圧倒的に出走の可能性が高くなります。したがってある意味では能力の割れた馬同士の争いとなるため、荒れるときは大荒れになる、どの馬にも一定程度のチャンスがある、そういうKentucky Derbyのひとつの魅力が損なわれるのではないか。例えば、後述しますが新システムではKyDerbyから大ブレイクしたMine That Birdは出走できないことになりますし、優秀な牝馬牝馬限定戦での結果はまるで無関係でありKyDerbyのポイントを稼がないと出走できないため、おそらく今後、牝馬の出走はほとんど無になるのではないか、という恐れがあります。

関係者の反応

Horsemen React to New Derby Qualifying System | BloodHorse.com

  • Bob Baffert師(言わずと知れた)

 多くの優秀な馬が閉めだされてしまう。2009年Mine That Birdや2002年War Emblemは出走できない。Cashcall Futurity(G1。2歳12月のレースなので10-4-2-1pt)のような重要なレースに対するポイントも好かない。システムを修正するならまずは枠順決定と出走頭数を変えるべきだ。1997年Silver Charmのときは13頭だったのですべての馬が自分のレースができた(※最大20頭まで。外枠の馬は不利とされる)。ただしDelta Jackpot(G3,2歳12月に行われる100万ドルの高額賞金レース)のようなレースは恥である。システムにどれだけ欠陥があるかを示している。

 古いシステムには多くの欠陥がある、新システムは完璧か?そうではないが、偉大なイニシアチブだ。イノベーションだ。時は写り完全に異なる環境として物事を見る必要がある。

 この方法は、またしても、かつて調教師が馬を育てるのを委ねるのではなく、競馬場が彼らのアジェンダにフィットするように馬を使うようになるだろう。

  • Ken Ramsey氏(超有名馬主。Kitten's JoyやRoses In May)

 私は現状システムを維持したいものの一人ではない。違いシステムになるのではれば私はオープンマインドを保つ。牝馬が出走するために牡馬とプレップで走る必要があることには好感を持つ。変化に反対はしない。

 過去のシステムでどれだけの適格な馬が排除され、そして新システムではどれだけそうなるのか、疑問に思う。格下の競馬場での高額賞金の2歳戦経由の馬に関してグレーな部分があることは認識しているがIllinois Derbyが除外されたのは(※あれ、気づかなかった。本当にない。なぜだ??)、納得がいかない。解決を望む。

  • Chip Wooley師(調教師。2009年Mine That Birdで制覇)

 新システムでは三冠レースで1着(KYD),2着(Preakness),3着(Belmont)だったMine That Birdが出走できないことになる。Nascarではタイヤを変えられる、エンジンを再構築できる、また毎週走れる。しかし馬は限られたレースしか走れない。特にこのレベルの馬では。