今週の将棋(1/7-10)
1/7 第38期棋王戦 挑戦者決定戦第2局
先後同型、角がぶつかり脇システム。12/13のA級三浦戦に続き竜王が連採中の戦型。今週はこの後にA級でも2回登場する。
ゴールデンカードで矢倉戦になったらまず両者間違えないし、そうなると先手が優位だよな。一方的に押し込まれるくらいなら、と羽生三冠も果敢に攻めたがやはり届かなかった。
44手目△69角打から、先手は棒銀模様に1筋の交換は香ではなく銀で。羽生は今日は54手目△14歩打から角香の後手駒得の展開に持ち込みたかったと。
81手目▲68飛打が受けの決め手だったらしい。これで駒の清算となり後手は切れ筋。
王将戦に続き棋王戦でも挑戦者に名乗りを上げたことで、まさに竜王の時代が始まりつつあるようだ。
羽生以外の羽生世代の面々もまだまだ勝率面では衰えの端緒すら感じさせないように思うが、衰えてから複数タイトルを占有していっても興をそがれるだけなので、ぜひぜひ彼が30歳手前の今年来年に奪い取って欲しいものだ。
1/8 順位戦 C級2組8回戦
村中-斎藤
斎藤四段は矢倉しか見たことがなかったが、横歩もいけるんすかと。で畠山鎮七段、棋士室へ。
戦型の違いはあるにしても矢倉ほどのドンと安定感のある将棋ではなかった。
斎藤慎太郎1敗を喫する。順位的に手痛い。
藤原-菅井
▲藤原直哉六段
△菅井竜也五段
戦型:4手目32飛からの角換わり乱戦って言ったらいいの?
ハメ手というわけではないのだろうけど、何らか菅井五段は用意していたのだろう。
17時54分に60手で早々に勝利を得た。
結果
1敗は4人。菅井、澤田、阪口、斎藤と関西勢の頑張りが光る。残り2戦で1敗同士の対戦はない。
1/9 順位戦 A級7回戦
佐藤康-渡辺戦
▲佐藤康光王将
△渡辺明竜王
戦型:相矢倉/脇システム(3,7筋の歩の交換あり)
さて王将戦の前哨戦。歩の交換は入ったが先後同型で角がぶつかりほぼ脇システム。
1筋は先手が突き越して、後手が棒銀に出たところで先手から角交換。続いて51手目▲63角打(一昨年A級 三浦-渡辺戦と同じ進行)。
後手は先手の矢倉を解きほぐし、馬を清算した先手は71手目▲53歩が怪しい一手。さらに1筋の端攻めも絡ませて、奪った桂馬で守りの銀を15に浮かせて角で狙い撃ち。この後も先手が徐々に優位を獲得していって、あともう一息というところだったが・・・。
寄せるべく、127手目▲41銀。下手っぴの俺が一目そう思った手だけに、悪手だよなぁ。33銀説も2chなどで散見したけど、35銀が正解とは難しい。
ブログで「劣勢で負けを覚悟していました」という竜王だったが、残り時間もまだまだ残っていたし、大差の局面でもなかったので諦めずに幸運をつかんだ。いま手元にある『将棋世界(2012年5月号』の「イメージと読みの将棋観」で「投了?の将棋を勝っちゃった」というテーマに竜王はこう答えていた。
自分が投了しようと思うときは本当に投了しかない局面になっている。投了の美学はないけど、どうしようもない局面で長引かせることもない。棋士の8割はそうでしょう。
竜王は5勝2敗で次が羽生戦。希望はつないでいる。
康光先生は3勝4敗、次は屋敷戦。先手番で異常に強い屋敷九段だが幸いにも康光先生が先手番なのは幸い。
高橋-橋本
▲高橋道雄九段
△橋本崇載八段
戦型:相振り飛車(2手目△32飛戦法)
ハッシーは△32飛戦法。正統居飛車党のタカミチ先生を相振り飛車へ誘う。奇襲だけど、これでハッシーが勝てればシメたもんだが、中盤で既に押されてしまってカッコ悪いことこの上なし。感想戦なしで撤退するほど。今年度はサッパリだな。タカミチ先生は相居飛車での厚みのある指しっぷりに比して、この前のNHK杯鈴木大介戦で四間飛車に天守閣美濃で対抗して完敗してたように相振りでやばいかもと不安を感じつつ見ていたが、相手が相手だったこともあるのかも。A級残留に希望をつないだ。
ハッシーは1勝6敗で赤信号が点滅中。最終が羽生戦なので今後の展開ではドラマを作るかも。
タカミチ先生は2勝5敗。残りは郷田戦、三浦戦。
1/10
脇システムの局地的ブームの中で、竜王戦6組 有森-脇戦は脇八段の負け。戦型は何だったのだろう。
1/10 B級1組11回戦
久保-畠山鎮
▲畠山鎮七段
△久保利明九段
戦型:後手ゴキゲン中飛車vs先手丸山ワクチン
久保九段は昇級をかけた一戦。一方で相変わらずの師弟愛、斎藤慎太郎四段は棋士室にて師の将棋を検討。
鎮七段の攻めが少々重たく見えた。寄せ鮮やかに久保九段、1期でA級返り咲きを決めた。そして600勝達成のメモリアル局となった。