『涼宮ハルヒの憂鬱』(TVアニメ)

このエントリは、TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の内容に言及しています。未見の方はご注意下さい。









DVD3巻に収録されている『涼宮ハルヒの憂鬱VI』を観て、最終回みたいなエンディングだな、と思ったら、最終回だった。
朝比奈ミクルの冒険』を除いて、DVDでは時系列順に収録されている各話は、『ファイブスター物語』のごとく、あちこち入れ替えて放映されたとか。しかも、放映第一話が『朝比奈ミクルの冒険』? 無茶するなぁ。
映画『メメント』の特典映像を先に観てしまったら、こんな気分だろうか。『メメント』はストーリーを細切れにして、時系列を逆に並べた構成になっている。DVDの特典映像では、これを時系列順に並べ直したものを観ることができる。
物語はとてもわかりやすくなる。が、5話分と13話分では、人物が描写される量が圧倒的に違うので、人物がわかりにくくなってしまう。


どっちがいいとも言えないが、おかげで「また図書館に」の意味が、最初分からなかった。「また図書館になんか出たのか?」とか思った。図書館になんか出たことはなかったけど。
涼宮ハルヒの憂鬱I〜VI』の間、長門ハルヒの観察及びそれに付帯する業務と読書以外にとった行動は、本当にわずか。キョンにお茶を出して「おいしい?」と訊いたこと。キョンとみくるがやっていたオセロに興味を示したこと。眼鏡の再構成をしなかったこと。忘れたからといって、あとから構成できないわけでもないだろう。


全編観て、もっとも印象が変わったのは、やはり長門有希キョンハルヒの主人公二人を除けば、この作品は長門を描いた物語だといってもいい。
朝倉涼子は言った。
「私には有機生命体の死の概念が、よく理解できないんだけど」おまえはタチコマか。
ということは、長門にも理解できないと考えるのは自然だろう。これを推し進めると、長門には、涼宮ハルヒの観察と付帯業務以外の機能は無いと考えられる。
この印象が、どうも最初は強かった。本が好きという、人間的なキャラクターを与えられていたのに。
全編観れば、さすがにその印象は覆る。
キョンにお茶を出して「おいしい?」と訊いたのは、おもてなしのつもりだったのだろう。オセロは面白そうと思ったのかも知れない。眼鏡の再構成をしなかったのは、キョンが「無い方がかわいいと思うぞ」と言ったからではないか。
気がつけば、長門はよくキョンを見ている。ハルヒの言うことより、キョンの言うことを優先する。うたた寝をしているキョンに、カーディガンを掛ける。
そこまで見ていて、「また図書館に」とくれば、「また図書館に一緒に行きたい」という意味だとすぐに分かる。
放映を観ていた人が、より楽しめるような構成で、DVDを出したのかも知れない。


のだが。
放映時に観ていたら、HDDレコーダでもないと、欲求不満になったかも知れない。前の話を確認したくなることが、きっと多い。うちにはVHSしかないんですよ。今時。VHSカセットを入れ替え入れ替えして、色々確認するのは大変そうだなぁ。二期も制作されるんだって? ここまで買わずに耐えてきたのに。
とりあえず、原作は読んでおかねば。
七夕がどうしたのかとか、ずっと前にハルヒキョンが会ったことがあるというのは、どういうことなのかとか、気になる。キョンは会ったことなど無いと言うが、フィクションにおいて「気のせい」が絶対に気のせいでないように、「1%の成功率」が100%絶対確実な成功率を誇るように、「会ったことある?」と言われればあるのだ。

劇中のパロディ

「私のことは、どうぞみくるちゃんとお呼びください」
ガルちゃんか、キミは。
とツッコミを入れてから、どうやらパロディがたくさんあるようだぞ、と気がついた。『究極超人あ〜る』と同様、物語を楽しむにあたって、知らなくても差し支えはないが、知っているとなお楽しそうな。今頃『ハルヒ』を観ていることからも分かるように、アニメはあんまり詳しいわけでもないので、見逃しはかなりたくさんあるに違いない。
誰かまとめてるだろうと思って検索してみても、思うように見つからない。見つかればブックマークしておしまいなのに。
しょうがないので、何番煎じかは知りたくもないが、自明のものも確信の持てないのも単に連想しただけのものも含めて、思い出せる限りでメモしておこう。


涼宮ハルヒの憂鬱II』
「私のことは、どうぞみくるちゃんとお呼びください」
火浦功著『未来放浪ガルディーン』シリーズに登場する、出渕裕氏デザインによる人型機動兵器ガルディーンの自己紹介。兵器が自己紹介するなよ。
「私は、究極の戦闘メカニズムとして開発された、──オーガニック・エンフォーサーの最新兵器『ガルディーン』です。──どうぞ、ガルちゃんと呼んで下さい」
その後、主人公は一度として「ガルちゃん」とは呼ばない。
そういやこれ、いまはスニーカー文庫だな。いまでも買えるのだろうか──と思ったら、買えるようだ(大熱血。―未来放浪ガルディーン〈1〉 (角川文庫―角川スニーカー文庫))。


「情熱をもてあます」
メタルギアソリッド』なんでしょうな。別のものをもてあましていた。やったことないけど。(2007/08/04追記)


「うまく言語化できない。情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない」
人形使いが言いそうな言葉だな、と思って、『攻殻機動隊』原作、劇場アニメの両方を確認してみたが、全然言ってなかった。


涼宮ハルヒの退屈
キョンがマウンドに立ったときに流れた曲は、『タッチ』のオープニングテーマ。主人公ピッチャーだしね。
「あさくら」といえば、「涼子」より「南」が先に出てくる私は大笑いであった。TV版予告では『巨人の星』だったのに(DVDには、収録順にあわせてDVD版予告が入っている。で、特典映像にTV版予告が収録されている。音声が違うだけだが、DVD版予告の音声はすべて長門が話している。DVD2巻のTV版予告は、私がレンタルした版では間違っているけど、修正されているかも知れない。『サムデイ イン ザ レイン』の予告は、TV版DVD版のどちらもなかなかいい)。


涼宮ハルヒの憂鬱III』
長門の長台詞の時の文字は、『エヴァンゲリオン』なんだろうな。最後まで観ていないから、よく知らないけど。


「がんばっていきまっしょーい!」
がんばっていきまっしょい』なんつー映画があったな、とか思ったら、松山東高校のかけ声だったらしい。(2007/08/04追記)


「調査するために過去に来た我々は驚いた」
水曜スペシャルか。川口浩探検隊藤岡弘探検隊でも言ってるのだろうか。
みくるが「我々」なんて言うから、びっくりした。すぐあとに「私たち」って言ってるし。(2007/08/04追記)


図書館でキョンが持っていた本。
原作者谷川流氏の著作『学校を出よう!』(2007/08/05追記)


孤島症候群
ゲーム『逆転裁判』。これもやってないので、「圭一さんは生きている!」のあそこしか分からない。全編通してだったのかな。あの「森園生/メイド」とかの人物紹介字幕が、なんのパロディなのか気になる。
で、そのメイドの森。『エマ』の著者、森薫氏にかけているのか。


「怪しくないものなど一つも無い」
京極夏彦著『京極堂』シリーズで、京極堂が使う決まり文句「この世には、不思議なことなど何もない」かと思ったが、たぶん違う。
京極堂の台詞ではないが『塗り仏の宴』に「この世には、不思議でないものなどない」というのがある。こちらの方が近い。


「スーパーウルトラミラクルエキセントリックサーブ!」
攻殻機動隊 SAC』の予告で、タチコマがサッカーやっていたときに使った「スーパーウルトラミラクルエキセントリックシュート!」。何話なのか、2nd GIGなのかは憶えていない。ていうかめんどくさいので調べてない。


洞窟でハルヒが推理を語っているときの再現映像は、『かまいたちの夜』を思わせるものがあったが、動画なんてあったっけ。スーファミ版しかやったことないしなぁ。


パロディではないのだけど、食堂に全員集めて、これから推理を披露しようというところで、
「名探偵、皆を集めて『さて』と言い」
なんて心の中で唱えていたら、ちょうど同じタイミングでハルヒが「さてぇ!」とか言うから、笑ってしまった。


「初歩的なことだよ、ワトソン君」
言わずと知れたシャーロック・ホームズの名台詞。言わずと知れすぎていて、書くの忘れてた。その割に、そう頻繁に使われた台詞でもないらしいけど。
シャーロック・ホームズのシリーズは、助手のワトソンの手記という形を取っていて、キョンが語る『ハルヒ』はそれに似ている。偶然だろうが。
(2007/08/25追記)


ハルヒが本気で殺人事件など望むはずはないからだ。あいつはそういうヤツだ」
うる星やつら ビューティフルドリマー』……かなぁ。しっかり台詞は憶えていないのだけど、あたるがこんなことを言っていた。
「ラムがそんなことを望むはずはない。あいつはそういうヤツだ」
ところで、なんでここでホクロ毛がアップになってるんだろう。


多丸圭一の死体発見のシーンの曲は、『サイコ』より。
ずっと死んだふりを続ける多丸圭一に『SAW』を連想。
DVD版予告のタイトル文字は、『エヴァンゲリオン』。
『エヴァンゲリオン』じゃなくて『古畑任三郎』でしたか。(2007/08/14追記)


ミステリックサイン
「忌々しい、ああ忌々しい、忌々しい」
「松島や、ああ松島や、松島や」芭蕉。(2007/08/05追記)


「通常の数値では測りえない、異界の情報データによって目覚めた」の映像
マトリックス・レボリューションズ』冒頭。マシンシティをネオの視覚で見たもの(2007/08/05追記)


涼宮ハルヒの憂鬱IV』
「父さん、この静止画を見たら、逆に押し倒そうとしているとも思えなくもない体勢なわけで」
北の国から』黒坂純のモノローグ、「父さん、(好きな言葉を入れてください)わけで」という常套句。(2007/08/05追記)


「マジでくたばる5秒前」
『マジで恋する5秒前』略してMK5。広末涼子だっけ。涼子か。(2007/08/04追記)


射手座の日
アバンの艦隊は『銀河英雄伝説』OVAのパロディらしいので、キョンがベレー帽かぶっているのは、ヤン・ウェンリーなのだろう。コンソールに胡座かいたりはしていないが。
『THE DAY OF SAGITTARIUS』ジャケットに、『宇宙戦艦ヤマト』艦長沖田十三に似た男。
コンピ研部長の艦内の姿は、同じく『ヤマト』のデスラー総統。


涼宮ハルヒの憂鬱V』
キョンとすれ違いざまに長門が言った「気をつけて」では、『イノセンス』の「キルゾーンに踏み込んでいるわよ」を思い出した。


涼宮ハルヒの憂鬱VI』
長門とのチャット画面は、『アニマトリックス』収録『ディテクティブ・ストーリー』。
主人公は、いるかどうか分からない相手とチャットするため、最初に "Can you see me?" と問いかける。また、『ディテクティブ・ストーリー』は『鏡の国のアリス』をメタファーにしており、『白雪姫』もそれにかけたのかも知れない。
この世界が何度も再構築されてきたのではという疑いも、『マトリックス』を連想させるものがある。鏡の国はどっちだ。


エンディングの鶴屋さん谷口国木田の、無表情でダラッとした踊りが、『キミに、胸キュン。』(YouTube)に見えてしかたがない。
鶴屋さん、あんな顔しないし。
(2007/09/01追記)


追記:(2007/07/30)
「自明のものも」と書いたわりに、TV版予告のパロディネタを書いてなかった。恥のかきついでにメモしておこう。


TV版予告
涼宮ハルヒの退屈
巨人の星』ね。「父ちゃん。おれはやるぜ!」


涼宮ハルヒの憂鬱III』
「無駄にややこしいのだな」聞き覚えはあるんだが、思い出せない。ぐぐっても出てこないしなぁ。


孤島症候群(後編)』
映画『悪霊島』予告。「鵺の鳴く夜は恐ろしい」


サムデイ イン ザ レイン
「お疲れさま」聞き覚えはあるんだが、思い出せない。


涼宮ハルヒの憂鬱IV』
映画『人間の証明』「母さん覚えていますか。僕の麦わら帽子。ほら、碓氷からキリズミにぬける途中の吊り橋で落とした、あの麦わら帽子ですよ」


ライブアライブ
「予告なんてくだらないわ」聞き覚えは(以下略


涼宮ハルヒの憂鬱V』
超能力者ユリ・ゲラー。見たことはないが、TVで超能力ショーをやって、TVを見ている人も一緒にスプーンを曲げたりできたとか。


涼宮ハルヒの憂鬱VI』予告
「お風呂入れよ、歯磨けよ」『八時だよ全員集合!』エンディングの加藤茶の台詞。
「私たち、普通の女の子に戻ります」キャンディーズ解散の言葉。
「我がSOS団は永久に不滅です!」長嶋茂雄引退の言葉。「我が読売巨人軍は永久に不滅です!」
「来週もまた見てくださいねー。じゃんけんぽん」『サザエさん』予告のあとのじゃんけん。来週は無いから「あ、見えねぇ」。いや、あるのか。(2007/09/16追記)じゃないや、じゃんけんが見えないんだ。


他は聞き覚えも無し。『孤島症候群(前編)』と『射手座の日』は、DVD2巻に収録されるはずだと思うけど、前述の通り間違ったTV版予告が入っているので、未見。