My Life Between Silicon Valley and Japan このページをアンテナに追加 RSSフィード

2005-04-04

[] 「次の10年」とグーグルの弱点を考える

今日も引き続き「次の10年」を考える。

本題に入る前に、一つ前のエントリー「次の10年はどんな時代か?」

http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20050402/p1

の最後で、石黒邦宏氏についてちょっと触れたが、彼のBlogはてなダイアリー上で開設された。題して「人生で必要なことは全てソースコードから学んだ(わけではないけど)」

http://d.hatena.ne.jp/kunihiroishigur/

最新エントリーは、「GNU Emacs: 多段構造のソフトウエア・アーキテクチャ(1)」。いきなりディープでいいなぁ。彼はハッカーでありながら、大変な読書家でもあり、学生時代には文学哲学を読みふけっていたという人。森羅万象に対する彼の批評眼にはいつもうならされている。その優れた批評眼の矛先がソースコードに向かうという類稀なBlogの登場に大いに期待したい。

グーグル意味を考える論客たち

Tim O'Reillyをはじめとする米国IT産業における論客のここ1-2年の関心は「グーグルとは何を象徴しているのか?」ということであった。

そこが考える起点となって、Tim O'Reillyの考えは「Open Source Paradigm Shift」

http://tim.oreilly.com/articles/paradigmshift_0504.html

にまとまり、Chris Andersonは「Long Tail」論をぶち上げ、同名のBlogを書き、

http://longtail.typepad.com/the_long_tail/

今本も書いている。John BattelleもBlogを書く

http://battellemedia.com/

とともに、サーチ論、Google論で、やはりいま本を書いている。

http://battellemedia.com/archives/cat_book_related.php

未来の先駆けは必ず今見えているものであるから、この3人が何を考えているのかをよく勉強すると、これから2-3年の大きな流れというのはかなり見えてくる。一つ前のエントリーで、10年がかりの大きな新しい流れを作り出す要因として、

を挙げたが、この三要素が相乗効果を引き起こしてこれから生まれてくるだろうたくさんの新しい現象群の先駆けがサーチでありロングテールであり、企業として新しい流れを最も早く完璧に体現したのがグーグルなのである。

常に挑戦機会は溢れている

ただ、グーグルがあまりにも凄い達成をしてしまったので、萎える人は萎えてしまう。もうできることはないんじゃないの? 会社を創業したってグーグルに会社を買ってもらうのが関の山じゃないの? というふうに。けれどそんなふうに思うことは全くない。かのレオナルド・ダ・ヴィンチが、その手記の序文の冒頭でこんなことを書いているのを、つい最近知って驚いた。

http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20050331/p1

私よりさきに生をうけた人々があらゆる有益で必須な主題を自分のものとしてとってしまったから、私は非常に有益な、または面白い素材を選ぶことができないのを知っている。それで私は、ちょうど貧乏のために一番あとから市場に到着したが、他に品物をととのえることもできないので、すでに他人の素見(ひやかし)済みだが余り値打がないために取上げられず断わられた品物すべてを買いとる男のようにふるまうだろう。

私はさげすまれ断わられたこの商品、数多の買手の残りもの、を自分のはかない荷物のうえにのせよう。そしてそれを大都会ではなく、貧しい村々に配り、かつ自分の提供するもの相応のお礼をもらいながらあるこう。

ダ・ヴィンチこそ後世の人たちから「あなたが全部やっちゃっから・・・」と思われた畏敬の対象である。その彼がこんなことを書いていることを知れば、いつの時代にも創造のチャンスは無限に広がっていて、それは、同時代的には辺境のとるにたらないことと思われているものの中にあるのだと考えることもでき、勇気も湧いてくるというものである。

グーグル周辺にこれから起こること

グーグル歴史的にみてマイクロソフトクラスの存在であるということは、だいぶコンセンサスができてきたのではないかと思う。だとすればこれから次の3つのことが起こる。

ネットバブルが崩壊してからドッグイヤーという言葉をついぞ聞かなくなったが、産業が発展していくスピードはPC時代よりも明らかに速い。だとすれば、グーグルよりも新しいパラダイムを体現した新しいプレイヤーグーグルを脅かす日だって、そう遠くないのかもしれない。

一つ前のエントリーで、

「3年で4倍」のムーアの法則があらゆる領域で10年続くことの凄さということがなければIT産業がどれほど退屈なものになっているだろうといつも思う。

と書いたが、それに加えて、

何年かに一度、ゼロから出発した会社が新しいパラダイムを引っさげ、その時代を支配する企業を倒す

ところが、IT産業の醍醐味である。

誰にでも負ける日が来る

磐石と思われる会社がいつか新興勢力に負ける。負ける前に、芽を摘むために、買収競争が起こったりするが、それでも負けるときは負ける。

なぜ負けるか。負けるのはいつなのか。

それは自分の強み、絶対の自信を持って疑っていない強みが、時代の大きな流れの中で「弱み」に転ずるときである。マイクロソフトのコア・コンピタンスの一つは、パッケージソフトとして億単位のユーザに配布する超大規模ソフトウェアの開発能力である。でもインターネットの時代、つまりサーバー側にソフトウェアを置いて常時サービスを提供する場合のソフトウェア開発の新しいやり方は、マイクロソフトが強みを築いてきたやり方と根本的に違うため、頭ではわかっても体が全く動かなくなり、グーグルの登場を許してしまったわけである。

今年初め、マイクロソフトからグーグル転職して早々スリリングBlogを書いてクビになってしまったギークのMark Jen。彼がマイクロソフトグーグルの違いについて書いたエントリー

http://99zeros.blogspot.com/2005/01/what-what-would-you-say-ya-do-here.html

が、そのことを如実にあらわしている。

for as much as google is confident, microsoft is stubborn in its ways. they know one way to ship software and it doesn't work as well as it used to. the microsoft way, with its huge milestones and bi-annual releases (if you're lucky), just doesn't jive with the unlimited bandwidth, unlimited memory, unlimited computing power world that is quickly becoming a reality. the future of computing isn't on the desktop, it's on the network.

i remember when i was at microsoft, i'd propose trying new engineering practices: pair programming, unit-test driven development, iterative development. these ideas were shot down quickly and the response was always, "we've been developing software like this for 20 years and look at where we are. $50 billion in the bank, dominance in multiple markets... we're one of the most successful businesses in all of history. why would we change the way we make our bread and butter?"

contrast that to google, where reinvention is almost in its blood. there's no remorse about throwing away dead code; people work however they feel makes them most productive; and now, another critical part is here: there's a product management core that can help harness that creativity and productivity into products the world loves to use.

anyways... enough commentary for today, but i'll leave you with this: while microsoft focuses much of its resources and struggles to meet its deadline for longhorn, google can easily add, enhance, reinvent and distribute products seamlessly through this new computing landscape. in a nutshell, it's the dream of the dot-commers, finally come true.

すべて小文字で書くというのは、かなりのギークの証。

グーグルの強みが弱みに変わるとき

それで、グーグルの強みが弱みに変わるときはいつで、それは何が理由なんだろう。今、僕はそんなことを考えているわけである。

ちょっと突飛かもしれないけれど、一つの仮説は、彼らの「ベスト・アンド・ブライテスト」思想が仇になることである。

とにかく最高の才能を集める。そして秘密主義を貫く。でも出すサービス出すサービスの圧倒的な凄さでユーザを引っ張っていく。俺たちならばそれができる。皆、黙ってついてくればいい。

これがグーグルという会社のベースにある思想で、こういう本質的なところは直そうと思ったって直せないから、弱点になるときがくるかもしれない。こういう思想が、本当にインターネットと相容れるのか。そういうレベルでの競争が、何年か先に、ひょっとすると起こってくるかもしれない。

このことについてはまたいずれ。

zoffyzoffy 2005/04/07 03:02 > とにかく最高の才能を集める。そして秘密主義を貫く。> でも出すサービス出すサービスの圧倒的な凄さでユーザ> を引っ張っていく。俺たちならばそれができる。皆、黙> ってついてくればいい。

共産党宣言というか前衛思想ですねー、実際、革命起こししてしまいましたし。

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