My Life Between Silicon Valley and Japan このページをアンテナに追加 RSSフィード

2005-05-05

[] Wisdom of crowds

これからのネット世界を考える上で「Long tail」と並んで重要なコンセプトだと思うのが「Wisdom of crowds」である。

約1年前にこの本が出版され、以来色々なところで多くのことが書かれている。本が出版された直後に書かれたのが、山口さんのBlog「H-Yamaguchi.net」のこのエントリーである。

http://www.h-yamaguchi.net/2004/06/the_wisdom_of_c.html

本書の主張は、ひとことでいえば、「適切な状況の下では、人々の集団は、その中で最も優れた個人よりも優れた判断を下すことができる」ということである。適切な条件とは、

(1) 意見の多様性

(2) 各メンバーの独立性

(3) 分散化

(4) 意見集約のための優れたシステム

であり、これらが満たされれば、個々のメンバーが正解を知っていなくても、また合理的では必ずしもなかったとしても、グループのほうがよいという。

「Wisdom of crowds」に興味のある人はまずこの山口さんの解説を読むといい。1月初めにこの本を読んで勉強していたときのメモに、

http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20050110/p7

その他の参照先も列挙してある。

また渡辺千賀Blogでも、「サーチ・独立・株式市場ー1」

http://www.chikawatanabe.com/blog/2005/04/post.html

というエントリーがあり、Scientific American誌の「Common Sense」という論文を紹介しつつ「Wisdom of crowds」の話が展開されている。

さて、「独立し」、「分散して」、「それぞれが勝手な理解の仕方をする」ものといえばインターネット。記事は、人気投票に似たGoogleのサーチが意味のあるランキングを生み出せるのは、その対象のインターネットがこの3つの条件を満たしているから、IMHO(in my humble opinion)では、と締めくくられる。

山口さんがまとめる「(1) 意見の多様性、(2) 各メンバーの独立性、(3) 分散化」と「 「独立し」、「分散して」、「それぞれが勝手な理解の仕方をする」」が同じ意味で、GoogleのPage Rankが、まさに「(4)意見集約のための優れたシステム」になっているのだと考えればいいだろう。ちなみにScientific Americanの論文は、

http://www.sciam.com/article.cfm?articleID=00049F3E-91E1-119B-8EA483414B7FFE9F&sc=I100322

で読める。GoogleのPage Rankを「Wisdom of crowds」集約システムととらえる見方については、

http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20050110/p7

の中に著者James Surowieckiの主張の重要部分を引用しておいた。さらにその先の「(4)意見集約のための優れたシステム」として、山口さんは「市場」に注目する(書かれたのはほぼ1年前だ)。

今私が注目し研究テーマとしているのは、意見集約システムとしての「市場」である。市場では、さまざまな意見をもった独立な参加者が、それぞれの利益のために取引を繰り返す。その結果成立する価格は、その参加者たちが「集団」として下した価値判断の結果である。ここでは、最終的な判断が割れることはない。評価額がちがえば、裁定取引が起きるからである。そして最大のポイントは、それが市場であるがゆえに、そこからの「利益」(たとえそれが仮想であったとしても)を最大化するために、他人の意見と自分の意見をすり合わせるインセンティブ自然に働くということだ。

このようなしくみを将来予測に用いることができる。つまり将来に関する予測を、「仮想市場」における「仮想先物」として取引するのである。たとえばNewsFutures社のサイトでは、「明日の日経平均は今日に比べて上がるかどうか」といった予測問題が取引され、また「Foresight Exchange」では、「2036年までに人間型ロボットが実用化される」といった予測問題が「予測先物」として取引されている。このような「予測市場」は、さまざまな意見を持つ人々から効率的に「集団知」を導き出す道具になるのではないかと思われる(近々日本でも予測市場の実験が始まる。乞うご期待)。

実に面白い。そしてその後も「予測市場」についての山口さんの考察は、

http://www.h-yamaguchi.net/cat1872818/index.html

として地道に展開されてきた。大統領選アカデミー賞を「Wisdom of crowds」がいかに的中させてきたかなど、このBlogの「予測市場」というカテゴリーを時系列にじっくりと読んでいくと大変面白いのである。「H-Yamaguchi.net」のサイドバーには「予測市場」関連リンクもある。「Wisdom of crowds」や、その意見集約システムとしての「予測市場」に興味を持つ人にとって、山口さんのBlogは素晴らしいエントリーポイントを提供している。

ちなみに、昨年末に「フューチャー・オブ・ワーク」という本を勉強していたときのメモ

http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20041214/p7

を振り返ると、この本の中でも、予測市場のことがかなりの分量を割いて語られている。

こちらは既に翻訳も出ているので、興味のある人は読んでみられたらいいと思う。

さて、僕のはてなブックマーク

http://b.hatena.ne.jp/umedamochio/

には、いずれ参照したいと思うかもしれないもの、ちょっと気になったものは、全部放り込んであるのだが、そこをゴチャゴチャやっていたら、

http://archives.trblogs.com/2005/03/yahoo_oreilly_h.trml

こんな記事が見つかった。

At the O'Reilly E-Tech conference in San Diego this morning, O'Reilly's Rael Dornfest and Gary William Flake of Yahoo! Research Labs announced a collaboration that draws on this concept in an effort to predict technology trends. Their joint project, the Tech Buzz Game, went online today. It gives tech-heads with a gambling bent another place to try out their forecasting skills, and their aggregate opinion about coming (and going) trends could eventually translate into intelligence that companies and the media can translate into action, Dornfest and Flake said.

オライリーヤフーが、「Tech Buzz Game」という実験を始めているのである。

http://buzz.research.yahoo.com/bk/index.html

The Tech Buzz Game is a fantasy prediction market for high-tech products, concepts, and trends

ちゃんと何かを予測できるだけの盛り上がりを見せているのだろうか。

あと、著者James Surowieckiの最近のスピーチ内容のメモがここ

http://waderoush.typepad.com/twr/2005/03/james_surowieck.html

で読めるようだ。

[] Wired 40

今年の「Wired 40」はこれ。

http://www.wired.com/wired/archive/13.05/wired40.html

1. Apple Computer

2. Google

3. Samsung Electronics

4. Amazon.com

5. Yahoo!

6. Electronic Arts

7. Genentech

8. Toyota

9. Infosys Technologies

10. eBay

以上が今年のベストテン。第3位に入ったSamsung Electronicsについては解説記事あり。

http://www.wired.com/wired/archive/13.05/samsung.html

昨年と一昨年の「Wired 40」は、CNET Japan連載で取り上げたので、そちらもご参照。

http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001307.html

http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/000460.html

[] 現代を支配する「法則」

Forbes誌のRich Karlgaardのコラム「Ten Laws of the Modern World」

http://www.forbes.com/columnists/business/forbes/2005/0509/033.html

は軽い読み物だが面白い。現代を支配する第一の法則はもちろんムーアの法則。セコイアのドン・バレンタインのこのシンプルな言葉ほど「ムーアの法則」の意味するところを正しく表現したものはない。

Don Valentine founded Sequoia Capital in 1972 and presided over early investments in Apple, Electronic Arts, Cisco, Yahoo and Google. He once told me the secret to his success: "That's easy. I just follow Moore's Law and make a few guesses about its consequences."

ムーアの法則」が存在するゆえに、IT産業の経営は、他産業における経営と全く違う視点を必要とするし、それだけに抜群に面白いのである。

そして「ギルダーの法則」。

The best business models, he said, waste the era's cheapest resources in order to conserve the era's most expensive resources.

Googleの成功は、

Today the cheapest resources are computer power and bandwidth. Both are getting cheaper by the year (at the pace of Moore's Law). Google is a successful business because it wastes computer power--it has some 120,000 servers powering its search engine--while it conserves its dearest resource, people. Google has fewer than 3,500 employees, yet it generates $5 billion in (current run rate) sales.

「人」という最も高価な資源を節約して、現代における最も安価な資源(computing powerとバンド幅)を無尽蔵に使う「ギルダーの法則」に従うビジネスモデルゆえのものだと言う。しかも「ムーアの法則」によって、最も安価な資源はさらにさらに安価になる。まさに「Cheap Revolution」なわけだが、「Cheap Revolution」という言葉は、このコラムの筆者によるものだ。彼のコラムのバックナンバーはこちらで読める。

http://www.forbes.com/karlgaard

あと「なるほど」と思ったのが、ドラッカーの法則。

Odd as it seems, you will achieve the greatest results in business and career if you drop the word "achievement" from your vocabulary. Replace it with "contribution," says the great management guru Peter Drucker.

「もしあなたが「達成」(achievement)という言葉をあなたの語彙の中から落として、「貢献」(contribution)という言葉に置き換えたら、ビジネスキャリアにおいて偉大な結果を残すことができるであろう。」

言い尽くされていることではあるけれど、ドラッカーという人は、ずいぶん昔に、色々と良いことを言っているのだよな。

connect24hconnect24h 2005/05/06 00:23 梅田さん、下記のツールに関して、どう思われますか?
webaccelerator
http://webaccelerator.google.com/
私は、Microsoftが一番恐れている会社がgoogleであるのが分かるような新サービスだと感じます。ようは、Proxyサービスなんでしょうが、Googleがキャッシュサーバを提供するとこういうサービスになるようです。

これ、一般の人が見るより凄くて、恐ろしいサービスで、このツールを利用した人はWEBサービスのGatewayが全てgoogleになるんですよね。

つまり、WEBサーフィンの途中で、広告を差し込んで、アフィリエイトのような小額収入を利用者自身がWEBサーフィンで得られるような利用者収入モデルや、Gwebといった感じで、自分がアクセスしたWEBは全て1GB分、アーカイブで勝手に取ってくれるようなサービスを行うことが可能となります。

まだ、この段階では海のものとも、山のものとも分からないレベルですが、方向性として、googleが革新(イノベーション)企業であるというのがよくわかるツールですね。

kaikai 2005/05/06 03:35 やはりはてなっておかしいです。

トラックバックはきかない。コメントもでたらめ。

http://www.open.jp/blog/archives/000159.html

とりあえずこれが書き込めるか確認です。なんか20数年前のプログラムのデバッグの気分^^ KAI

kaikai 2005/05/06 04:01 とりあえず書き込めました。が、なぜTBが拒否されるのでしょうか?原因をお教えください。