My Life Between Silicon Valley and Japan このページをアンテナに追加 RSSフィード

2005-05-15

[] 本とネット

ここのところ続けて書いている「次の10年はどういう時代か?」シリーズとも関係するが、とりあえず別タイトルで稿を立てる。ニューヨークタイムズ誌「College Libraries Set Aside Books in a Digital Age」

http://www.nytimes.com/2005/05/14/education/14library.html

を読んだ。「アメリカ大学図書館から本が消えた」という記事だ(ニューヨークタイムズ誌はしばらくすると有料になるから、「後で読もう」とブックマークしておくだけでは後で読めなくなるから注意)。

By mid-July, the university says, almost all of the library's 90,000 volumes will be dispersed to other university collections to clear space for a 24-hour electronic information commons, a fast-spreading phenomenon that is transforming research and study on campuses around the country.

蔵書を全部別の場所に移して、図書館は「a 24-hour electronic information commons」となったという話である。モノを書く側からすると実に複雑な話である。

僕は大の本好きなのであるが、最近つくづく思うのは「本は永遠である」なんて全くの嘘だな、ということ(自分で本を出してみる前はそんな幻想も抱いていた)。出版社の事情もあるだろうが、今の日本では、よほど売れる本以外、ほとんどの本が出版から3-5年で入手不可能になる。だから逆に最近は「いつ手に入らなくなるかわからない」から逆に本をたくさん買うという変なことになってしまっている。それで図書館も・・・ということになると、本という「永遠とは言わないけれど長く保存できる」素晴らしいフォーマットコンテンツがまとまって流通することに、いったいどういう意味があるんだろう、などと最近、真剣に考えてしまうのだ。本という一見保存性の高いもののほうこそが「コンテンツ消費のための刹那的利便性」ゆえに存在し、一瞬で消えていってしまう感じがするネットのほうこそが、保存・検索のためのメディアということなのかなぁ。

実は僕の場合、ネット上にアーカイブを作る試みを5年くらい前からしているため、ついに本とネットの完全な逆転現象が起きてしまった。単独では唯一の著書「シリコンバレーは私をどう変えたか」が絶版になったからだ。2001年8月の出版で、二刷で合計9,000部出たが、実売8,000部くらいで全く在庫が動かなくなったらしく、ちょうど3年が経過した2004年8月で「絶版にします」という知らせが新潮社から来た。

結果として、本になったコンテンツ(つまり出版界の常識でいえば本にするだけの価値があると一応は判断されたコンテンツ)だけが入手不能で、雑誌ネットに書いたそれ以外のコンテンツはだいたい全部「ネット上でavailable」

http://www.mochioumeda.com/archive/all/

http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/2004_12.html (月別アーカイブから)

http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/archive

http://www.shinchosha.co.jp/foresight/index.html

という逆転状態が生まれてしまったのである。

こういうところに、僕のような「おっちょこちょい」はもの凄く本質的な新しい「力の芽」みたいなものを感じて人体実験を始めてしまうわけだが、「不特定多数無限大を対象としたオープンな場に公開しておらず検索エンジンなり何なりに見つけてもらえないコンテンツは、存在していないのと同じ」という時代が来るかもしれない可能性を感じて、せっせと毎日Blogを書いたりして、人体実験を続けているというわけである。

昨日ご紹介した「国内有名6大学の教材を無償で公開--受験に合格しなくても学べる?」というCNET Japan記事

http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20083516,00.htm

へのネット上での反応をずいぶん読んだが、大学先生というのはフリーライターフリージャーナリストと違って、基本的に大学から給料が出てそれで生計を立てているのだから、その知を「小遣い銭」程度の原稿料印税と引き換えに閉じてしまわず、どんどんネット上に公開してもらいたいと思うなぁ。「不特定多数無限大を対象としたオープンな場に公開しておらず検索エンジンなり何なりに見つけてもらえないコンテンツは、存在していないのと同じ」という時代がもし来たら、「そのほうが正しい営みだった」ということになるし・・・

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