高村薫「新リア王」

新リア王 上 新リア王 下
「晴子情歌」(上・下)に続く大河小説。さらに第三部へと続くらしい。日経連載時に「新聞小説には不向きな作品だなぁ」と思ったが、長い長い小説として本の形で一気に読むと、さすがに読み応えがあった。いつもながら、高村薫の人物描写の容赦のなさ、執拗さには脱帽。今年のベストスリーは、「国家の罠」「半島を出よ」「新リア王」かな。この三作は、いずれも日本という国の姿を描ききっているという意味で、ものすごく共通点がある。