My Life Between Silicon Valley and Japan このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006-02-23

[] 「ウェブ進化論」とグーグル

本欄の熱心な読者の方にはもう言わずもがななのだが、「ウェブ進化論」では相当じっくりとグーグルについて書いた。第二章「グーグル」の草稿は400字詰め原稿用紙で100枚を遥かに超え、絞りに絞って、本に収録した最終的な原稿になった。

むろんグーグルを巡って世の中はどんどん進化する。原稿を修正できるギリギリまで引っ張って、2006年1月の「Google Video」までは、その意味を考えて本書のしかるべき場所に入れ込んだが、その後の推移は、この本を補助線にしつつ、本欄でリアルタイムに考えていきたいと思う。

言うまでもなく、僕は「グーグルのここまでの達成」をものすごく高く評価している。

意見が異なる人がいるのは知っているし、グーグルがこれからもこれまで通り順風満帆で成長できるのかどうか、責任が重くなっていくと共に日々生まれる「社会との軋轢」をきちんと乗り越えつつあの強烈な個性を維持していくことができるのかどうか、すべてはこれからのことだと思う。

ただ「グーグルのここまでの達成」の意味は、現代の常識としてできるだけ多くの人がきちんと理解しておく必要があると思ったのだ。本書の感想の中に「グーグルを礼賛しすぎている」というのが散見されるが、少なくとも「グーグルのここまでの達成」については、いくら言葉を尽くして称賛しても足りないと僕は考えている。そのくらい大きなことをネット世界にもたらした会社だと思う。

むろんこれからのことはわからない。でも「これからのことはわからない」からという理由で、両論併記で「グーグルの良さと問題点」を併記して書き手としてリスクをヘッジするという態度をとるには、その達成の程度が凄すぎる、というのが僕の判断だった。

グーグルについて「検索エンジン広告会社」くらいの認識しか持たない人に、グーグルの本質をどう伝えよう。この本を書く苦しみは、そこから始まった。第二章の構造がこんなふうに頭の中にまとまってきたときに、何とかこの本を最後まで書き上げることができるかなと思った。

序章でも述べたように、グーグルの何が凄いのかということをほとんどの人がよくわからない。グーグルは、目に見える製品、手で触れる製品を作っていない。ネット世界を深く経験したことのない人には、その実体を想像することすら難しい会社なのである。

本章では、何とかその難しさに挑戦する。

次のような順序で、グーグルについて考えていくことにする。

(1) 「世界中情報を整理し尽くす」というグーグルの構想の大きさと、グーグルという会社の個性の質について。

(2) この大きな構想を実現するために、情報発電所とも言うべき巨大コンピュータシステムインターネットの「あちら側」に構築してしまったことについて。

(3) その巨大コンピュータシステムを、チープ革命意味を徹底追及した全く新しい作り方で自製し、圧倒的な低コスト構造を実現したことについて。

(4) 検索連動広告アドワーズ」事業に加え、低コスト構造のインフラ存在して初めて可能となる秀逸な「アドセンス」事業を構想・実装し、大変な収益を上げていることについて。「知の世界の秩序の再編成」に「富の再配分」のメカニズムまで埋め込んだ凄さについて。

(5) 二〇世紀までのどんな会社もやったことのないようなやり方で、社内の組織マネジメントに新しい思想を導入し実践していることについて。

(6) 既に存在する多くのネット企業のどの会社とも全く似ていないことについて。

(「ウェブ進化論」P49-50より引用)

通りすがり通りすがり 2006/02/23 09:05 梅田さんのおっしゃる通りだと思います。本当に楽しく著書を拝読させていただきました。ちょうどこんなことをお書きになっていらっしゃる方もいらっしゃいました。
http://www.doblog.com/weblog/myblog/31550/2336902#2336902

handohando 2006/02/23 18:22 「ウェブ進化論」拝読させていただきました。
Google の恐るべき躍進の原動力は、彼らがウェブに宿る神の存在を強く信じていることだと思います。
http://handa.ifdef.jp/2006/02/blog-post_20.html

「マコちゃん」「マコちゃん」 2006/02/24 06:07 WEB進化論を読ませていただきましたが、
私が一番面白かったというか参考になった内容はGoogleの話ではなく、
将棋の羽生名人の「高速道路」と「渋滞」の話でした。
読む前に期待したのは、「進化論」という言葉に自分は関心があり、現実の世界の進化、その変化にWEBの進化がどのように
作用し、それがどういう風に現実の世界を変えて、どうなるのか?といったことに興味があり、
そういう観点で見たとき、正直に言って本の内容には、いまいち不満が残りましたが、
問題提起として羽生名人の言葉は、含蓄がありここを掘り下げれば解答を得られるのではという気がしました。
最近の日本の家電メーカーに見られる基幹技術の内製化、ブラックボックス化などは、
羽生名人の言葉と同期して理解できます。
高速道路によってあっという間に2段にはなれるが、そこから先は?という現実は、確かにそうなってきているように
感じられます。
この高速道路の話だけでも、読んだ甲斐がありました。

かずかず 2006/02/26 00:44 googleと他の企業の違いを*本当*に知っているのか少し疑問に思うことがあります。たとえばチープ革命っていいますけど、他の会社がなにか無駄に金を使ってるって証拠を持ってますか?同じことをするのに、たとえばマイクロソフトやヤフーやアマゾンやeBayではどのぐらいの金額がかかるか、ラフなデータでもいいので比較できますか?たとえばストレージにかかる金額が1TBあたりいくらとか。googleだけがチープ革命の恩恵をこうむっているのでしょうか?

同じ業界で働くものとして、googleが素晴らしい会社だというのは心の底から認めますが、業界の内部の人にもその素晴らしさの根拠をきちんと提示してほしいと常々感じております。ぼくには少なくともチープ革命が google だけのものには思えないので、ほかの議論の信憑性にも?がつきまといます。

事情により、梅田さんの新書はまだ読んでおりませんが、ブログのほうはけっこう読んでるつもりです。もし書籍のほうに上のような内容があったら申し訳ありません。

zerodeliczerodelic 2006/03/05 07:03 「ウェブ進化論」、大変興味深く、楽しく拝読させていただきました。
なんとなく感じていた、Googleという会社の、他のIT企業とは異なる感じがわかったようにおもいます。ただ、「情報発電所」という表現がどうもいまひとつピンときませんでした。分かりやすい説明のためのたとえとして使われたのだとおもいますが、発電所というアナロジーはどうなんでしょう??

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