My Life Between Silicon Valley and Japan このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-04-02

[] 「好きを貫く」ことと大企業への就職

今日は軽く雑談風に。

「好き」というのは本当に人それぞれである。僕の本業は経営コンサルタントでそれを18年もやっているから、仕事の付き合いでいえば圧倒的に日本大企業人達が多い。仲の良い友人、尊敬している経営者とか、たくさんいる。それで僕が、彼ら彼女らにいつも言うのは「大企業(ここに企業の固有名詞が入る場合も多い)が好きなんだね」ということだ。会話の一例を出そう。

梅田: 僕は「朝起きてから寝るまで、自分のしたいことをする、それが365日続く、自分の時間を完全に自分でコントロールしたい」、そういう願望というのかな、それが昔からあって、そんな生活をいつか実現したいゴールとしてイメージしているわけだけど・・・・

大手企業・某君: そんなこと生まれてから一度も考えたことないよ。だって毎朝会社に行くだろ。何が自分に起きるかわからないんだよ。それが面白いんじゃない。大きい会社であればあるほど色々なことが起こる。それに対処するのが面白いんだよ。転勤が急に決まるのが嫌だとかだってぜんぜん思ったことないよ。だって自分からじゃあ絶対に暮らしたいと思わないようなところで生活する機会が急にわが身に降りかかってくるわけでしょ。面白いじゃない。

梅田: へえ、大企業が好きなんだね。

という具合だ。こんな会話のバリエーションエンジニアの人でも同様にある。「自分が作りたい作品が作れない」なんてことに悩んだことなんかない、という超優秀エンジニアとか、日本大企業にたくさんいる。

僕は「好きを貫く」ということを言うとき、自分の価値観押し付けたいなんて微塵も思っていない。自分は何が好きか、ということを徹底的に突き詰めて考えないと、専門性を持ったプロフェッショナルになるがいいのか、ベンチャーがいいのか、大企業就職して幸せになれるのか、そうでないのか、ぜんぜんわからないよ、ということをよく若い人に言っているだけである。

この間も大学生就職活動の悩みを聞いていて考えたのだが、次のようなタイプの人は概して日本大企業に向いていると僕は思うし、概してこういうタイプの人が大企業で成功しているように思う。向いている=「大企業が好き」ということなんだと思う。

  • 与えられた問題(課題)を解く(解決する)のが好き。その問題(課題)を解く(解決する)ことにどういう意味があるかとかよりも、その問題が難しければ難しいほど面白いと思う。
  • Whatへの「好き嫌い」やこだわりがあまり細かくなくおおらか。一緒に働く人への「好き嫌い」があまりない。そして苦手(つまり「嫌い」)を克服するのが好き。
  • 尋常でない体力(特に何十年も長時間労働ができる持久力)を持ち、そこが競争優位になる世界が好き。
  • 匿名性を好む。「これは自分がやったことだ」というような意志表明(自分の名前で仕事をすること)にあまり興味を持たない。むしろ一人ではできない大きなことを仕事ではしたいと考える(たとえば世界中に普及する自動車の開発に関与したというようなことを好む)。
  • パワーが好き。政治的行動が好き。責任感が強い。いずれは組織の長になってそのパワーを行使することで何かを成し遂げたいと思う(社会貢献みたいな達成、共同体家族も含めた幸福コミットするとかも含めて)。
  • 組織の一員であることの「気楽さ」、「安心感を持ちつつ生活できる」ことが好き。
  • 短期決戦型勝負よりも長期戦のほうが好き。
  • 「巨大なものが粛々と動いていく仕組み」みたいなものが好き。工場が好き。プラントが好き。巨大建造物が好き。社会ルール作りみたいなこと(立法っぽいこと)が好き。
  • 「これが今から始まる新しいゲームだ」と「ルール」を与えられたとき、そのルール意味をすぐに習得してその世界で勝つことに邁進する、みたいなことが好き。
  • ・・・・(また思いついたら追記する)

こうした一つ一つの「好き」のいくつかの組み合わせがかなり極まっていて、大組織の中で本当に心から楽しそうに仕事をしている人が日本企業にはかなりいて、見ていてその生き方に感動することもあるし、個として「好き」を貫いていて素晴らしいと思うことも多い。ただこういう要素のすべてに直感的に「ノー」と違和感を覚える人がいるとしたら、絶対に大企業には向いていないと思うよ。大企業の中で長く「好きを貫く」ことは難しいのではないだろうか。「なぜ若者は三年で・・・」みたいな話になっちゃうんじゃないかな。

たとえば、僕の知る大手メーカー経営陣には、一流大学体育会系出身の人達が多い。それは人事がそう偏っているというよりも、やっぱり大組織で真剣に長い時間を過ごし続けることができた(これが日本大企業ではとても大事)、つまり「大企業が好き」を貫く才能をこの人たちは持っているのだな、といつもつくづく思うのだ。

大企業とベンチャー大企業とベンチャー 2007/04/02 05:17 は、日本の場合互いに互いをけなしあっている不幸な構造があります。大企業の人はベンチャーを、どこか「社会の本流から外れた人達」とか「利益しか考えてない」と見下しているところがありますし、ベンチャーの人はベンチャーの人で、大企業に勤務する人を「奴隷根性」とか「寄らば大樹」などと皮肉ったりします。

しかし、本当に自分の生き方に自信があるのなら、他人の行き方をこき下ろす必要はないはずで、自分と異なる生き方を貫こうとする人達の価値観も認めることができると思います。

別に有名大学から有名企業に就職する道が間違っているわけでもないし、起業して頑張るのが間違ってるわけでもない。ベンチャーに関わりながらも、大企業を罵倒しないでバランスよく評価できるところはさすがは梅田さんだと思いました。

通りすがり通りすがり 2007/04/02 05:39 なにか、もう同意できる部分がなくなってきました。
> つまり「大企業が好き」を貫く才能を〜といつもつくづく思うのだ。
ぜんぜん思えないです。
という人もいるということで。
もちろん、同意を強要などされていませんが。

おっおっ 2007/04/02 05:56 これが狂気の表れですね。これからもはてな社員と全力で議論してください。応援しています。

通りすがり通りすがり 2007/04/02 07:14 >nak2k さん
いや、誤読ではなくて、
> たとえば、僕の知る大手メーカーの経営陣には〜、といつもつくづく思うのだ。
ということについて、まったくそう思えないということです。
だからどうということではなくて、賛同できない人もいるというだけです。

higekuma3higekuma3 2007/04/02 07:35 えっと、企業遺伝子みたいな議論が欠けていると思います。

その人のキャリアの方向性は、
最初に入った会社で、ほぼ、決定されます。

その大前提の元で、
話してください。

最初に入った会社が、大企業だと、
好き嫌いに関係なく、
オペレーションが、システマティックに
既存です。

ですから、
何をするにも、悩まなくていい。

立ち上げの時の、くだらないことは一切
しなくていい。

たとえば、
オフィスの電源が、何アンペアか調べ上げて、
自分たちの持ち込む、機材のそれぞれを調べ上げて、
ブレーカーが、ぶっとばないか、とかいう心配は、
SE部長といえども、やる必要はなく、
そんなものは、「ファシリティ管理」という
総務部だか、設営部だかが、全部やってくれるわけで。


そんなめんどうなことをやらなくていい代わりに、
自分のところだけ、やっていればいいような、
箱庭に、最初、育っちまったら、
そこを、出て、すべて、自分でやるって面倒なことを
選ぶこと自体しないわけで。

最初に入った会社が、どうかによって、違うけど。

途中から、大企業に入ったわしとしては、
ずっと大企業の奴らって、小さいな。って思うね。

外で通用すると思ったら、一回出て、
もう一度、中途入社してみ。って思う。

poohpooh 2007/04/02 09:27 ちょっと違う視点から。

大手企業・某君の発言で、Mark.Granovetterの『strength of weak ties』を何となく思い出してしまいました。

自らの手で作り出す社会的ネットワークにおいて”weak ties”が発生しずらい人(仲間内でこもってしまうタイプ?)は、企業のような強制力によって、”weak ties”が発生して新しい体験を得られる方が気持ちが良いと感じるのかもしれないという感想です。

それは、定食屋で”本日のランチ”を好き嫌いに関わらず頼み続けて、自らの意思でなくランダムな出会い(食わず嫌いの克服も?!)を求める、街角のオジさんの志向と言い換えられるかもしれません。

AYAY 2007/04/02 21:19 人間、自分の好きなこと・やりたいことに没頭する時に最高の力が発揮される。性格的な適性を含め、やれる環境が大企業なのかベンチャーなのか独立・起業なのか、をよく考えて判断するべきだと思う。やりたいことが見つからない人も多いと思う。人生は長いから長期的に考えてもいいテーマだと思う。

先日来、梅田さんが発するメッセージは、様々なシニカルな反応があることをわかっていながら、それでもなお、「若い人たちに伝えなければ」という責任感のようなものが感じられる。米国に拠点を置かれながらも日本のことを本当に考えていらっしゃることが伝わってくる。

どうやらどうやら 2007/04/02 22:14 梅田さんの頭の中には中小零細企業で働くとか大阪でたこ焼屋をやるとか親の跡を継いで板金屋になるとか
いう選択肢は無いようですね。
起業か大企業かの二者択一。
流石エリート一直線の人は違う。

芭空芭空 2007/04/02 22:44 「好き」というのは、真剣に生きるために必要なことだと思います。
趣味でも、仕事でも、好きだからこそできる。好きだからこそ命を賭けられる。
だから、私にとっては、「好き」というのは、生きることだと思います。

通りすがり通りすがり 2007/04/03 07:49 > lee さん
>梅田さんは〜ある特定のメーカーの経営陣に対して感想を言っています。
私は、そのようには受け取れませんでした。例として「僕の知る〜経営陣」の傾向をあげ、そこから、いわゆる大企業全般について話しているというふうに受け取りました。
ですので、同じ経営陣を知る知らないに関わらず、この意見についてはまったく賛同できないということになりました。
通りすがりのはずが・・・。このへんで。

higekuma3higekuma3 2007/04/04 13:39 大企業と、ベンチャーの内定をもらった時に、
どっちに就職するかでしょう。

25年前に、
PC-ATなんか、出てない時に、
IBMとインテルの内定を、もらいました。

さて、どっちに行きますか?

ということです。

99%は、IBMに行ったと思いますよ。

そこで、インテルに行くというのは、
相当の、覚悟です。

普通、インテル、行かないですから。