My Life Between Silicon Valley and Japan このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-04-03

[] 勉強になる反応(トラックバック等の中から)のご紹介

まずは「カウンセリングルーム:Es Discovery」の「キャリアデザインと主観的選好を巡る大企業志向とベンチャー志向の価値認識の差異」から。僕がいつも凄いなあと思いながら読んでいるブログ。じつに面白いので是非ご一読を。

大企業志向の人が『好きを貫くこと』よりも『大企業に入社すること』を選好する理由の一つが、『好きを貫くこと』が主観的選好なのに対して、『大企業に入社すること』が客観的選好としての特徴を強く持つからです。

職業選択に際して仕事の内容に対する好き嫌いも考慮しているでしょうが、『自分だけが好きなもの(他者との競争がないもの)』よりも『大多数の人が評価しているもの(他者との競争があるもの)』を目指すことに価値を見出す傾向があれば、ベンチャーよりも大企業国家・官庁)に魅力を感じるということになりそうです。厳密に言えば、ベンチャーのほうが入社後(立ち上げ後)の他者(他社)との生存競争が過酷なのですが、エリート志向というのは加入儀礼としての難関試験突破して、後は他者よりも優遇される『特別な優遇措置』を得ようとする動機を内包したものだと言えます。

職業選択におけるエリート志向(大企業志向)は、基本的に、アーティスト志向(好きを貫く志向)と拮抗する関係にあります。エリート志向というのは、外向的な行動様式で『数が限定されたポスト(地位・資格合格)』を争い合って勝利を目指すものであり、アーティスト志向というのは、内向的な主観的選好を貫いて『他人とは違う舞台』で自己の独自性(アイデンティティ)を模索しようとするものです。

僕が直感で提起した9つの大組織適応素質を、「カウンセリングルーム:Es Discovery」では、論理的に美しく7つに再構成してくださっている。

1. 他者との協調性や貢献意欲があり集団適応性の高いタイプ(個人的な興味や選考を抑えて、集団の目的に没頭できるタイプ

2. 主観的選好よりも客観的評価を優先するタイプ(みんなが好きなものや評価するものを好きになれるタイプ

3. 会社を自分の家のように思って、毎日の長時間労働を厭わない体力のあるタイプ(時間単位仕事をきちりと区切りたいアルバイト感覚のないタイプ

4. 組織でのリーダーシップを握って目標責任を達成するという権力志向のあるタイプ(集団に献身した結果としての地位やパワーに魅力を感じるタイプ

5. 決められたルールに従ったゲームに強いタイプ(みんなが参加しているゲームに勝利したり協力できることに興奮できるタイプ

6. 長期的な安定した生活を志向するタイプ(将来設計・老後設計が可能な福利厚生の充実などを大切にするタイプ

7. 今を耐えることで未来の見返りに期待するタイプ公務員などある程度終身雇用が確保されており、退職金年金など未来での見返りが「他の選択肢」より期待できるとするタイプ

さてこの7項目だと、あなたはどこに◎をつけるだろう。

さて次は、id:ktdiskの「大企業における20/80の法則」である。ktdiskとは面識があり、彼が勤めている会社は超優良グローバル企業であるが、内部からの報告はじつに勉強になる。

梅田さんは古典的な日本大企業を想定されて書かれているので、私の所属する外資系大企業は少し趣が異なるが、

と前置きがあるが、確かに僕は「古典的な日本大企業」をイメージしながら書いており、外資系巨大グローバル企業と日本大企業風土がかなり違う。でも日本大企業についても彼が書く分析があてはまる点が多い。ぜひ全文をご一読を。

最後に、大企業に勤める人にかかる「税金」について話をしたい。大企業の「上位20%の人」を目指す人は、下記の2つの大企業税を納めることを受け入れなければならないというのが私の大企業観。

 大きな仕事をしようとすればするほど、社内官僚組織に対して多くの時間を使わなければならない

 達成した成果から生み出される利益の大半は、自分の懐ではなく組織にぶら下がる人に吸い取られてしまう

前者について言えば、SOX法施行以降、飛躍的な上昇を見せており、本エントリーでは詳述しないが、後者の要素とからまりスパイラルに上昇している点がなんとも物悲しい。これは私が外資系企業に勤めているということもあろうが、その衝撃は近いうちに日本大企業に押し寄せるだろう。

また、後者について言えば、規模が大きくなればなるほど、意識的かつ意欲的に組織にぶら下がろうとする人が増え(ぶら下がることに職業意識を持っている域に達しておられる方もいる始末)、日本のような利益を上げている限りレイオフリストラなんてとんでもないという経営環境においては、そういう人は見ないようにする以外ソリューションはないのが現実

上記の2つの税金は規模に対して必然的に発生するものなので、これは大企業に勤める人は程度のさこそあれ受け入れなければならない。「その程度の税金負担は大企業の潤沢なリソースを利用するためには当然であり、まったく惜しくない」と思える人は大企業に向いており、「「好き」はさておき「嫌い」への対応に相当な時間をとられることに耐え切れない」と思う人は大企業には向いていないだろう。

特にこの最後のパラグラフは、じつに示唆に富む指摘である。

そして、「横浜逍遥亭」の中山さんの「大企業に勤める」。

ご自身の適性の分析やさまざまな組織に所属した経験を踏まえた大企業論。ぜひご一読を。

大企業の人材の厚み、ノウハウの蓄積はすごいものがある。ぜんぜんすごくない奴もたくさんいるが、それと釣り合うぐらい、この人は頭がいい、切れるという人がかなりの数いて、この人たちの多くが梅田さんが書いているとおり、周囲のなかで自分の役回りをきちんと認識して質振る舞うことができる人間的に大人の体質なのだから強い。その空間は思いの外対人間的な面で柔らかい部分もあり、社長なり部門長を頂点とする家父長的大家族制度といった趣がある。僕は若い頃から大企業という言葉ネガティブイメージを重ね合わせてきたから、「けっこういいとこじゃん」と意外に思う。ワンマンなトップに振り回される中小企業よりも居心地がいいというケースはむしろ多いだろう。

そして最後の一文は、親としての中山さんの言葉で、とても共感する。

ともかく向き不向きは大きい。たとえば、うちの大学二年生を筆頭にした子供たちを考えると、長男はそれなりに大企業の勤めにも耐えるだろう。こやつは今体育会所属。二人目は根性があるからやらなければならないとなればきっちりやるが、まったくもって企業向きではない。三人目はまったく向かない、できない。人間向いている仕事がある。今の時代、子供たちには好きなことが見えにくくなっている面なきにしもあらずだと思うが、親としてみると少なくとも向かない方面の仕事に就くことのないよう舵取りをしてあげることが最低限の務めだろうなとは思っている。その先で自分の「好き」を自分の努力で見つけてくれれば言うことない。

続いて「codemaniaxの脱・公務員宣言」から。「もっちー、大企業を語る

彼のブログもいつも楽しみに読んでいるのだが、

正直言うと、僕は梅田氏が言う「大企業に対する適性」について、ほとんどが「No」なのです。多分、僕を知っている人は分かっていると思うのですが。ハッキリ言って大企業には向いてない。それは入社する前もそうだったし、三年経った今も同じです。「好きなこと」にも「仲間」にもこだわりたい。

じゃぁ、なぜ今大企業にいるのかというのは、話せば長くなるのだけれど、まぁ要するに大企業を知らずに仕事をしていくのはもったいないなー、と思ったからなのです。若い人たちは「(自分なりの)バンテージポイント」という観点で最初の職場を選ぶのも悪くはないと思います。はい。

大企業に入って、実際に日常を過ごしてきて、いいところも悪いところも分かってきたつもりですし、じゃぁ次の三年間はどうやって過ごしていくか。僕も、死ぬほど働けるのはあと5年くらいでしょうし、いろいろと考えるところがあるのは事実です。「若い時期は我慢しろ」という時代ではないのは、それはその通り。我慢しているうちに取り返しがつかなくなるかもしれないですしね。

このエントリーだけからではないけれど、彼は「好きで飯を食う」ことにじつに「意識的で戦略的」な人だと思う。

そして、「○○的なSomething」の「豪華客船に乗るべきか、水泳力を鍛えるべきか」。

豪華客船に乗って快適な船旅をしてもいいだろう。きっと大波も台風もなんとか耐えられる。タイタニックは沈んだがきっと大丈夫だ。沈むにしても時間がかかる。

体を鍛えて、泳いで海をわたろうとしてもいいだろう。泳ぎだした直後に大波にさらわれてしまうかもしれないが、乗り越えたら鍛えられるだろう。

一番いけないのは豪華客船で運動せずに肥満になること、自分の体調を考えずに寒中水泳をすることだろうか?

これは面白い!

つづいて、「What Serendipity comes ?」の感想

私は好きなことをするよりも苦手を克服するほうが喜びが大きい。現状に不満や怒りを抱くよりも、どう現状を改善するか・折り合っていくかの方に関心がある。特定のものへのこだわりより、広くものを知る方を好む。

 もちろんこれはベンチャーでも可能なところなんだろうけど、「What」より「How」に注力したい者にとって、大企業って適当なのだと思う。あと、「大企業会社看板仕事しているようで肩身が狭い」「ベンチャーは自分の実力で仕事しているようでカッコイイ」みたいな思い込みがあったのは確か。

 このエントリーのお陰で、大企業仕事をする意味を客観的に示してもらえたような気がします。

この「What」より「How」というのは、大企業も含むビッグビジネスの世界ではすごく重要な話で、前のエントリーでも書いたどんな企業でも経営できる「CEOタイプ」の人達も皆そういうところがある。

関連して、僕のエントリーとは独立に書かれたものを一つ。「ネット生保」立ち上げに邁進している岩瀬大輔の「新社会人の皆さんへ」。彼はハーバードビジネススクール日本人で久しぶりにベーカー・スカラーを取った俊才だが、この新社会人への激励の言葉に「Whatへのこだわり」は出てこない。たとえばこんなふうに。

これから色々な仕事に挑戦していく上では、「この仕事つまんないなぁ」と思い込むのではなく、「どうやったらもっと楽しくできるだろう」という姿勢でいることが、大切だと思う。ちなみに、僕はいつも自分がやっている仕事が「楽しい」と思える得な性格だった。例えばコンサル時代、周囲からはつまらながられた「作業用手袋メーカー」のプロジェクトでも、自分で作業用手袋の商品ラインを机の上に並べて、両手にはめてにやにやしながらパソコンに向かっていたのを記憶している。

同じ起業家でも、「CEOタイプ」の岩瀬君は「さまざまな領域を調べ尽くして、最もチャレンジングでチャンスも大きい」と踏んで「ネット生保」を勝負の場に選んだけれど(楽天三木谷氏もそうだったと記憶する)、典型的な「アーティストタイプ創業者はてな近藤淳也は、のめりこんでいく対象がまずは「自転車」、そして「写真」、そして「ウェブサービス」と、徹底的に「What」にこだわっていく。二人ともよく知っているが、おそろしく対照的だ。

最後に、

「Good-bye, My Halfway Life. :-) 荒野の直球ストレート」の「自分の好きなことの追求、向き不向きと向かい合うこと、そして大企業で働くということ」から名文を引用する。大企業の魅力と「好きを貫く」ことの両立の難しさについて、実感がこもっている。

大企業へ入社したが、自分には合わないと感じてしまった人へ。

大企業は一度入社してしまうと、否が応でも会社の波に巻き込まれる。合わないと感じても、とりあえず数年は頑張らないと転職するにも認めてもらえなさそうと思い、居続けることを選択する人もいるだろう。でも、数年頑張ってもおそらく充実感はない。(仮に社内での評価が良かろうとも)それよりも、好きを追求し続けている同世代と広がり続けるギャップにへこむ事の方が多い。

会社で好きなことができなかったら、帰ってから頑張ろうと考えても、大企業はそんなに暇ではない。頑張っても一日中好きに没頭している人にはなかなか追いつけない。

結局、合わないと早期に気づいた人はとてもラッキーで、思ったら即実行で辞めることだ。居続ける事を選択し、数年経ってしまった人は今からでも遅くない。

こうはいうけど、自分がまさに後者だったりする。大企業最大の魅力は人がたくさんいることで、素晴らしい関係を築ける同期もたくさんいることだ。その出会いは間違いなく人生でかけがいのないもであり、失うのは恐い。

しかし、それと自分の好きを追求することは別なんだ。自分は1977年生まれで今年で30になるわけだが、歳を重ねれば重ねるほど、自分の好きを追求できない環境で好きを追求するのは難しくなる。本当は難しくないけれど、歳を重ねると色々なものを抱え込んでしまうから、自分で難しくしてしまう。

結局、一番大事なことは自分の好きを真剣に追求すること、真剣に向かい合うこと、そこなんだと思う。その結果、大企業を選択すること、転職を選択すること、居続けることを選択すること、ベンチャーを選択すること、起業を選択すること、家業を継ぐこと、ニートになることなどなど、何を選択してもそれはきっとベストだ。一番残念なのは、全てをなんとなく過ごすことだ。

ここでリンクしたエントリーは、本当にすべて全文読む価値があると思う。

shinya_hanaokashinya_hanaoka 2007/04/04 02:49 大学での研究を仕事としており,社会人になって以来「好き」を貫いて生きているので,1000以上のブックマークが付いた最初のエントリーはピンと来ませんでした.大企業にしろベンチャーにしろ,「企業への就職」についても経験はおろか考えたこともないので,それも原因かもしれません.今回の最後のエントリーとリンク先の記事の全文を読んで,ようやく最初のエントリーの重要さがわかってきました.梅田流のオプティミズムが日本社会を動かすと信じています.今後もエントリーを楽しみにしております.

AntoineAntoine 2007/04/05 02:27 かなり内容とずれているけどお楽しみにはなるかも。

「ベンチャーに適する=好きを貫く」か「大企業に適する=事後対応型」か、「好きを貫け」を主題にしたエントリーになぜか「ほめる」に同意するコメントが多数つく。

後者には日本人の「ソーシャルスタイル」の傾向が見えておもしろい。「好きを貫ける人」を増やすのに「ほめる」発想は悪くない。おそらく「他人の好きを認める」ことで「自分の好きを貫く」ために土台を作りたい、という発想があると思う。

日本人は「協調派」とされる人が高い割合になる。端的に言うと「いつもにこにこ」で「自分の考えは押さない」。自分の意見を言いにくい環境というのも「協調派」コミュニティならでは。ゆるく仲間が集まる仲良しグループになる。

ところが梅田さんのいう「ベンチャー…」か「大企業…」のいずれにしても「典型的日本人=協調派」を想定しているとは思えないので、「行動派」か「感覚派」に属すると思われる。「行動派」は「命令的・独断的」で「どっしり構える・フレンドリーさなし」というタイプ。「感覚派」は「自信家・周りを巻き込む・感覚的」、「明るい・にぎやか・のりがいい」というタイプ。

「CEOタイプ」か「アーティスト・タイプの創業者」というのも同様。「CEOタイプ=行動派」、「アーティスト・タイプの創業者=感覚派」にある程度該当すると思われる。ただし、「ソーシャルスタイル」は思考・感情表出の分類で、発想の分類ではないので厳密には考えないでほしい。それに本当は最低100問程度のテストをする必要がある。

まず、読者層の多くと梅田さんが発信したい層とのずれがある。「協調派」に「行動派」や「感覚派」の発想は乏しい。従って「協調派」は誤読しやすい。つまり、コメントが多いときは「協調派」が反応している場合が多い、ということ。

この日本でリーダーシップをとりつつ人材育成するとしたら「協調派」の自立は重要。他者と同じでありたいと願う「協調派」が自立するためには、認められる、ほめられるを通じて「発言できる場」を用意する必要がある。その上で、出した結果を認める。そうした経過措置を通じて「行動派」や「感覚派」として自信を持ち、自立した人材にしていくことが必要。周りに合わせるという「協調派」の評価軸を、リーダーがコントロールすることで「低空飛行の協調」を断ち切って自立を促す。

まどろっこしいけど、日本人の多数派なんだから仕方ない。これが俺が日々やっていること(笑)

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