My Life Between Silicon Valley and Japan このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-02-13

[] 新著「ウェブ時代 5つの定理2月27日刊行

2月27日に新著「ウェブ時代 5つの定理―この言葉未来を切り開く!」(文藝春秋刊)が刊行されます。

アマゾン紀伊国屋等で予約が始まりました。

第一読者である妻の読後の第一声が「なんか、いつもと違うことが書いてあったね」だったので、これまでに僕の本を読んでくださった読者の皆さんにも、きっと楽しんでいただけるのではないかと思います。

ウェブ進化論」以来、この二年間はモノを書くことに没頭してきたのですが、これが最後の単著「書き下ろし」作品です。

どう「書き下ろし」たかについては、今週中に文藝春秋サイトに本書の特設コーナーができ、そこで「この本はどうやって作ったか」の舞台裏の話が本書担当編集者山本浩貴さんなどによって書かれる予定なので、その詳細はまた後日ご紹介したいと思います。

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!


 はてな創業者近藤淳也に本書の草稿を読んでもらったとき、

数学の公式集みたいな本ですね。

創造的なイノベーションを生んで成功するための公式集のように思いました。

という感想をもらい、書くときにはまったくそんなふうに意識していなかったのですが、なるほどなと思いました。それで「定理」という言葉を比喩としてタイトルに入れてみよう、というインスピレーションが湧いたのでした。

 読者の皆さんが心の中にゴールとして持つ仕事上の夢やライフワークの達成(自らの「最終定理」の証明)に、でき得ればこの「5つの定理」を応用してもらえたら嬉しい。そんな思いをこめて、「ウェブ時代 5つの定理」というタイトルにしました。

 どんな本なのかはまず「まえがき」を読んでいただくのがいちばん早いので、「まえがき」の全文をここに掲載します。

 まえがき ――― 私の勉強

 未来を見通すことなど誰にもできないが、こうすればクリア想像できるのか。

 世界の成り立ちなど誰にもわからないけれど、こうすれば見晴らしがよくなるのか。

 十六年前、アメリカにやってきたばかりの私は、「ある種の人々」が英語で発する切れ味の良い言葉を読み、その言葉の背景にある思考や発想に寄り添って深く考えることで、それができるのだ、という発見をしました。

「ある種の人々」とは、テクノロジー業界の最先端を走る起業家投資家や、「普通の人」よりも何歩も先をゆく天才的技術者、日々の濃密な経験から世界俯瞰して眺めている企業経営者、複数の専門性を究めた大学教授といった人たちの中で、とりわけ言語表現能力が高い人々のことです。

 特にシリコンバレーでは、そういう人々がビジョナリーと呼ばれ、オピニオンリーダーとしてたいへん尊敬されていることを知りました。彼ら彼女らの切れ味のよい言葉の数々が、多くの人にインスピレーションを与えるからです。

 そういう発見をして以来、私はひたすら、ビジョナリーたちの切れ味のよい言葉を探しては考える、ということをずっと繰り返してきました。日々の仕事での経験にビジョナリーたちの言葉を照射しては、変化の予兆をとらえようとしてきました。これが、今も続けている私の勉強法の核心なのです。

 しかし素晴らしい言葉にはそう簡単には出合えません。たとえばコンファレンスに終日出席してもわずか一つとか、何冊か本を読んでもやっと二つとか、いくつインタビュー記事を読んでも全く見つからないとか、そんな試行錯誤を繰り返しながら、切れ味の良い言葉が、そこかしこに落ちているものではないことも知りました。とにかく数当たることが何より大切で、大量の言葉に接することなしにはこの勉強法は成り立たないので、このことに費やす「時間の優先順位」を高くして、たくさんの時間をなんとか捻出してきました。

「毎朝四時とか五時に起きて三時間も四時間も何をやっているのか」、「一万冊以上の本を買い集めて、どうやって読むのか」とよく尋ねられるのですが、私はここ十数年、莫大な時間投資してこのことをやり続けていたのです。

 私は、ビジョナリーたちの言葉の探索を、砂漠での砂金探しになぞらえています。人々が発する膨大な言葉を、私自身の感性のふるいにかけ、最後まで残ったものが文字通り「金言」で、それが私の思考の核となってきました。

 これまでの著作の中でも、私は蓄積してきた大切な金言のいくつかを隠し味のようにして文章の中に織り込んできました。この勉強法についてはあまり公に話してこなかったのですが、「何かあるぞ」と、私がビジョナリーたちの金言を集めていることに気付いた人が一人だけいた。その人が本書の担当編集者山本浩貴さん(一九七六年生れ)でした。

「これまでに集めた金言を軸に、一冊の本へと構造化するには少なくとも二年はかかるよ」

「わかりました。でも絶対に二年で出しましょう」

 そんな会話が発端となって、この本を生み出す作業が始まりました。

 この本をつくる仕事を進めていくうちに私は、なぜ自分はこんな砂金の探索に大切な人生の莫大な時間を費やしてきたのだろう、と自問することになりました。金言とは、その言葉の切れ味ゆえに、世界の成り立ちがくっきりと浮かび上がってくるものだったり、未来の姿を想像する補助線になったりするわけですが、それ以上に、前を向いて生きる希望エネルギーを私に与えてくれていたのだ、ということに気付きました。この言葉エネルギー源にして、未知を楽しむ心を、知らず知らずのうちに私は養ってきていたのでした。

 言葉の力はおそろしいものです。毎日毎日、心が萎えるような言葉をシャワーのように浴びるのと、オプティミズムにあふれた未来志向のわくわくする言葉勇気付けられるのとでは、同じ人でもまったく違う人生が広がる。そんな思いを改めて強くしました。

 今、私たちは、好むと好まざるとにかかわらず、「時代の大きな変わり目」を生きています。未来をすべて見通して安心することなど誰にもできませんが、変化の本質を見極め、それを行動に結びつけ、走りながら考えて軌道修正をかけていけば、かなりの確率でサバイバルできるものです。

 現代社会で働くすべての人が、仕事に活路を見出していくうえで座右に置き、仕事のさまざまな局面で開き、この金言を何度も繰り返し実際に使えること、生きるヒントを得られること、仕事に活かせること。それを、本書は目指しました。そんな観点から、未来を切り開く言葉を選び、「5つの定理」として分類・整理し、構造化しました。

 第1定理は「アントレプレナーシップ」。不確実な未来を楽しむ精神を、私たちはいかにして養うか。自らの未来を創造するうえでいちばん大切な精神的な構えについての話です。

 第2定理は「チーム力」。どんな優れた人も、一人では何もできません。自分にできないことができる人たち、自分にない能力を持った人たちと、どうチームを組んでいかに仕事をするか。複雑な現代社会を生き抜くエッセンスがここに詰まっています。

 第3定理は「技術者の眼」。二十一世紀ビジネスは、科学と技術を抜きにして考えることはできません。文系理系を問わず、最先端技術の意味づけと、それを牽引する技術者思想や発想をしっかりと理解する必要があります。

 第4 定理は「グーグリネス」。グーグリネスとは、ウェブ時代をリードするグーグルという会社の気質やグーグルらしさを表す言葉です。第1定理から第3定理までのエッセンスが、高いレベルで統合された最新かつ最良の実例として、グーグル経営組織・文化における独自の論理を見ていきます。この会社の在りようには、ウェブ時代をサバイバルする知恵も凝縮されています。

 そして第5定理は「大人の流儀」。「時代の大きな変わり目」においては、異なる価値観を持つ世代の間で軋轢が起こりやすくなります。世代間の不毛な対立ではなく、世代間の融合や相乗効果を追求しなければ、未来の創造はできません。そのときに成熟した「大人の側」こそが、どのように振る舞ったらよいのか。私がシリコンバレーで十数年にわたって学び、そして今、実践しようとしてもがいている「成熟した個としての仕事生き方スタイル」がテーマです。

 そして最後にもうひとつ。

 本書で取り上げる言葉の数々は、皆、英語です。日本語に訳しても、なんとか原文の切れ味が残るよう、翻訳家上杉隼人さんのご協力をいただいてベストを尽くしたつもりです。ぜひ英文も読み飛ばさずに味わっていただきたいと思います。

 本書に出てくる英文の多くは、現代ビジネス社会最前線で生きて使われている「かっこいい英語」です。読者の皆さんが、仕事上の勝負を賭けて英語で何かを言おうとするとき、本書の金言から適切な文章を選び、自分の仕事に合わせて動詞固有名詞を置き換えると、素晴らしい文章が自動的にできあがります。それを覚えてしまえば、あなたもスティーブ・ジョブズになれる。これは私のサバイバル英語術の一つでもあるのです。

 さて、前置きはこれくらいにしましょう。では、未来を切り開く、ビジョナリーたちの切れ味のよい言葉の数々を、どうぞお楽しみください。

 この本をつくる仕事は「ウェブ進化論」を出版してまもなく始まりましたので、足掛け三年の仕事でした。その間に「ウェブ時代をゆく」を同時併行で書き下ろしていたのですが、まったく違うテーマとはいえ、二つの本を同時に、というのは、とても難しかった。そこで、二つの本の文体を変えることにしたのでした。

 ですから、そう意識して作ったものではないのですが、「文体の選び方が重要」という齋藤孝さんの指摘にもあったように、話し言葉の文体で出来あがったこの本のほうが、若い世代の多くの人たちにとって、取っ掛かりのよいものに仕上がったと言えるかもしれません。

 目次抜粋(目次の一部)は次の通りです。2月27日の発売をどうぞお楽しみに。


まえがき――私の勉強


第1定理 アントレナーシップ

私を起業へと駆り立てた言葉起業して成功するための条件とは?/"第三のリンゴ"が私のアントレナーシップに火をつけた/変化の予兆を感得せよ/ビジョナリーとの出会い/失敗といっても「スポーツで負ける」くらいのこと/最高の倫理観をもった者が社会を牽引する


第2定理 チーム力

人についての黄金則/ベンチャー経営に必要な三要素/リーダーシップ料理レシピ本のようにはいかない/好きな人と働くことが原動力/全員イエスでなければ採用しない/Aクラスの人はAクラスの人を連れてくる/自分で動く、贅肉のないチームづくり/データで判断し、行動する


第3定理 技術者の眼

技術者たちの反骨精神――テクノロジーで権威と対抗する/技術者はものを介して考える/変化の節目で何に賭け金を置くか/テクノロジーで「百倍よくなる」未来を愛する/PCアイコンアップルの復活劇/プロダクトを何で差別化するか/アントレプレナーはみなマイクロマネジャーだ/変化を見抜く者が生き残る


第4定理 グーグリネス

グーグルの第一倫理――「邪悪であってはいけない」/グーグル採用術――「グーグリネス」はあるか?/一つのアルゴリズム完璧な答えを返す/世界中からグーグルに人材が集まる訳/タイムマネージメントについて/みんなの合意が基本――マネジメントの3つの黄金則/混沌さの中に組織のパワーは宿る


第5定理 大人の流儀

日本語圏独特の匿名文化/自分は何者なのか――フェイスブックの台頭/「パブリック意識」がネット空間を進化させる/人々の善性を信じよ/世の中をよくしたい? ウォールストリートを興奮させろ/苦しいときこそ、大人が社会を鼓舞する/若い人の流儀を尊重する/愛するものを全うする


あとがき――私の最終定理

hhoshibahhoshiba 2008/02/13 18:15 アメリカに5年もいながら、英語コンプレックスの抜けないボクは、またこの本を買ってしまうでしょうね。

「本は書くか書かないかだよ」ってボクの友人の言。つまり、“その努力が出来る人が本を出せる”という意味です。
この文章を読んだだけの範囲ですが、黄金に輝く言葉を探して集めて吟味をして、推敲した2年間…尊敬します。

gunfiregunfiregunfiregunfire 2008/02/14 17:35 早速、予約をしました!とても楽しみで、、、
目次のところを何度も読んで、想像してます。

sitbsitb 2008/02/15 06:51 こうやって自分の行動とその成果をさらけ出すのは凄く勇気がいることだと思います。
3年がかりの本、はやく読んでみたいです!

山無駄山無駄 2008/02/27 15:19 最近感じたこと。
そうか、梅田さんはWeb世界のドラッカーだったのですね。

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