My Life Between Silicon Valley and Japan このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-04-30

[] 今年のサンフランシスコ・ジャイアンツは面白いぞ。

久しぶりにメジャーリーグのことを書こう。

今年のサンフランシスコ・ジャイアンツは、前評判が最低で、どんな雑誌の予想もナリーグ西地区最下位。しかも(162試合で)100敗以上するのではないかが定説だった。主砲ボンズがいなくなり、シーズンオフに目立った補強もしなかったからだ。そして開幕から1勝6敗の成績で、こりゃあひどいな、という感じだったのだが、そこで「底を打った」のだった。

その後は12勝10敗で、4月全体の戦績は13勝16敗。まだ5割に到達していないから褒められたものではないのだが、数字以上に、明るい材料が出てきたから、今年は楽しい。新しいエース、新しいクローザー、新しいトップバッター、若い三人が現れ、それに続く若手も伸びてきていて、ボンズ依存した鈍重なベテラン中心のチームから、若くて新しいチームに生まれ変わる兆しが見えるからだ。

新しいエースは、Tim Lincecum(Draft: 2006 - 1st round (10th pick) by the San Francisco Giants. 1984年生まれ)。開幕から6試合に投げて4勝1敗。防御率は1.73。三振40と、抜群の安定感で、細い身体から97マイルから98マイルの速球を投げる。イニングの合間は、iPodを聴きながら踊っていて完全にリラックスしているんだ、とラジオで解説者が、新世代のエースの雰囲気に驚いていた。

新しいクローザーは、Brian Wilson(Draft: 2003 - 24th round by the San Francisco Giants. 1982年生まれ)。開幕からすでに9セーブ。Robb Nenが故障した2003年以来、5シーズンにわたってクローザー不在に悩まされたきただけに、これは大きい。2002年にNennの活躍もあってワールドシリーズまで行ったあとは、ずっと終盤での逆転負けに泣かされ続けてきたのだ。

そして新しいトップバッターは、Fred Lewis(Draft: 2002 - 2nd round by the San Francisco Giants. 1980年生まれ)。開幕からレフトでレギュラーに定着し、打率.337、出塁率も4割を超え、盗塁4とスピードもあり守備もいい。Fred Lewisだけでなく、同じく新人内野手のEugenio Velez(盗塁6)も含めて、4月のチーム盗塁数が33というのは、「走らないジャイアンツ」時代から考えると信じられない変化だ。

これだけの好材料がチームに新しく加われば、普通は5割を超える数字を残せるはずなのだが、誤算は、Barry Zitoの大不振。4月は6試合に登板して6連敗。防御率7.53。ついにブルペンでしばらく調整することになった。Zitoは、2006年オフに、「7年間$126mil」という巨額の契約を結んだにもかかわらず、昨年は11勝13敗で今年は0勝6敗で、ファンからの風圧たるや大変な状況にある。何せ7年間フルに登板して大活躍したとして、それでも、一試合あたりのフィーが約50万ドルなのだ。

ラジオでもZitoの話になると、誰もが興奮して論点がぐずぐずになり、「forget about the money」(とにかく金のことは忘れて冷静にこれからのことについて話そう)という言葉を一日に何度聞くだろう、という毎日だ。

「forget about the money」そして「forget about 0-6 in April」で、Barry Zitoが何とか復活して、残り5ヶ月で15勝くらいすれば、久しぶりにジャイアンツも、プレイオフ・レースの一角に食い込めるかもしれない。

2007-10-16

[] コロラド・ロッキーズワールドシリーズに行っちゃった(驚愕)

相変わらずぜんぜん負けずに、NLCS(ナリーグ優勝決定戦)で4連勝して、コロラド・ロッキーズがワールドシリーズまで行ってしまった。これは驚愕の一字だ。

直近の22試合で「21勝1敗」である。

ワイルドカード決定戦とポストシーズンでも8連勝。このままワールドシリーズで4連勝でもしたら、絶対に誰も破ることのできない記録となるだろう。

しかし去年まではナリーグ西地区お荷物、数ヶ月前までは何の変哲もないリビルド中の若いチーム。それがここまで変貌するとは・・・・・

応援している弱いチームに対して「あと全部勝てばここまで行けるぞ」と気持ちを鼓舞するのがファンの常だが、今年のコロラド・ロッキーズは、本当にその通りにやってくれちゃったのである。

2007-10-13

[] 一ヶ月で一敗しかしないコロラド・ロッキーズ

9月16日といえば、もうあと2週間でシーズンも終わりという時期。ロッキーズはここから11連勝する。9月28日に1つ負けただけで、シーズン最後の2試合に勝ってワイルドカードプレイオフに出る(最終15戦を14勝1敗)。

そしてサンディエゴに勝ってワイルドカード枠でプレイオフに出て、NLDSをフィリーズ相手に3連勝。そしてNLCS(ナリーグ優勝決定戦)も敵地アリゾナで2連勝した。つまり目下8連勝。9月16日からの約1ヶ月で19勝1敗で、ワールドシリーズ進出まであと2勝になってしまった。

こんな大切なところで急に「ぜんぜん負けなくなった」チームがかつてあっただろうか。

チームが若い。守備がいい。ブルペンがいい。ここぞというチャンスに強い(ここは2005年のシカゴ・ホワイトソックスを思い出させる)。「チームの勢い」が似ているなと思い出すのは、2003年ワールドシリーズを制覇したフロリダ・マーリンズだが、それ以上に不可解なほどに勝ち続けている。

リーグからワールドシリーズにいくのは、かなりの確率でボストン・レッドソックスだと思う(いまボストンの1勝)。ポストシーズンに進出した全チームの中で、安定した実力でいえばボストンが図抜けて強い。レッドソックスの熱狂的ファンの作家・スティーブン・キングが昨日、観戦中にインタビューを受けて、コロラドの脅威について口にしていた。

今年のアリーグとナリーグの実力差からすると、ALCS(アリーグ優勝決定戦)の勝者が自動的にワールドシリーズの勝者になるという雰囲気が濃厚だったけれど、このコロラドの勢いだとそれもわからないぞという危機感を、ボストンのファンも持ち始めたように思える。

もしこのままレッドソックスとロッキーズがワールドシリーズということになると、2003年のヤンキース対マーリンズのワールドシリーズのときのような興奮が訪れるかもしれない。

2007-10-08

[] ニューヨークのファン気質

この週末はメジャーリーグ観戦三昧だったが、地区シリーズの4カードのうち3つまでが「3-0」で一方的に終わってしまい、ちょっと拍子抜け(フィリーズのワールドシリーズ進出という予想は、はずれ)。「インディアンス対ヤンキース」戦(2-1)でヤンキースがあと二つ勝って、アリーグは「レッドソックス対ヤンキース」の老舗対決。ナリーグは「ダイアモンドバックス対ロッキーズ」のフレッシュ対決になると、最後まで面白そうだ。しかしコロラド・ロッキーズの9月半ばからの「18勝1敗」っていうのは過去にない数字だろう。

横浜逍遥亭の「松井稼頭央の活躍」が面白かった。

ニューヨークはファンもマスコミも成績の悪い選手に容赦がない。松井がどんなによい選手でも、うまくアメリカに適合できるかはやってみなければ分からないし、もしうまくいかなかったら無茶苦茶に叩かれる。何を好きこのんでニューヨークに、と率直に思った。

たった一度だけ生で観たメッツのゲームでは、吉井が先発し、早々と5点を取られて2回だか3回だかに盛大なブーとともにマウンドを降りるのを目撃した。あのブーイングは、体験してみないと分からないと思うが、明るい禍々しさとでも言うべき、異次元の迫力がある。底意地の悪い非難ではない。しかし、万を超える人々の、猛烈に明々白々のメッセージが込められている。

「俺が楽しみにしてきた試合をぶちこわしにするな!」

そんな感じ。あるいは、

「ン百万ドルの給料をもらってんなら仕事をしろ!」

という感じ。

僕はニューヨークで野球を見たことがないのだが、サンフランシスコのファン気質とはずいぶん違うなあ、やっぱりニューヨークは独特なのかなあとこれを読んで思った。

これに比べると、サンフランシスコのファンはずいぶんおっとりしている。ここ数年低迷が続き、失望させられるプレイの多いサンフランシスコ・ジャイアンツだが、ファンはがっくりと肩を落としながらも、試合の中で何とかいいところを探して精一杯応援するという感じだ。マイナーリーグから初めてメジャーに上がった選手が代打とかに起用されたりすると、スタンディング・オベイションでメジャー昇格を祝福したり、球場に来るファンはおそろしくジャイアンツに詳しい、ジャイアンツを愛する人たちばかりである。

JMMのメールマガジン最新号で、冷泉彰彦氏も「松井稼頭央とアメリカ野球」というコラムで、同じことを指摘されていた。

どうしてそのような苦労をしなくてはならなかったのでしょうか。それは、メッツ球団とそのファンの気質にあるように思います。少々厳しい言い方になりますが、それは「他者への信頼」という感覚が欠けているということだと思います。メッツのファンは、球団や個々の選手に対してまるで自分自身の人格を投影するかのように「のめり込んでいく」傾向が強くあります。好調な選手に対しては、自分のことのように喜び、不調になると落ち込むのですが、その程度が一線を越えていると言わざるを得ません。

2006年の5月、後から考えれば移籍直前の松井稼頭央選手の姿をシェイ・スタジアムで見たときに、私はハッキリ理解しました。これはファンの問題なのだと。松井選手が打席に入るとメッツファンは「サクリファイス、サクリファイス」というヤジの大合唱になっていました。「サクリファイス」とは犠打という意味で、要するに「お前は送りバンドでもやっていろ」という意味なのです。局面としては送りは考えられない状況で、そういうヤジを送るというのは、選手としての松井、彼を打席に送った監督に対して、いや野球というスポーツそのものを「なめている」としか言いようがありません。観客という「傍観者」として、しかし自分の楽しみとしてチームを応援し、そこでプレーする選手を一個の人格として認め、その可能性に対して信頼を置く、そうした姿勢はそこには全くありません。とにかく、自分の思いと、実際にそこでプレーしている選手の間に境界がなくなり、ひたすらに自分の思いをぶつけるだけなのです。「他者への信頼」が欠けているというのはそういう意味です。

確かにこういう感じは、サンフランシスコには全くないな。

その意味で、ロッキーズとそのファンの気質は全く別です。例えば、10月1日の「ワンゲーム・プレーオフ」が良い例です。13回の表、継投を続けてきたベンチはホルヘ・フリオというベネズエラ出身の20代の投手をマウンドに送りました。ところが、このフリオは大舞台に緊張したのかストライクが全く入らないのです。(中略)

メッツの本拠地だったらブーイングで球場が揺れるところですが、デンバーは静かだったのです。うなだれたフリオ投手は、ベンチに引き上げると静かに座ったのです。

誰も泣かず、騒がず、多少のブーイングはありましたが、それもすぐに静まりました。フリオも何かを蹴飛ばすのでもなく、静かにその後の展開を見守っていたのです。この静けさは何なのでしょう。

そう、大切な試合で味方チームがつらい場面になると、普通は球場全体がしーんと静まりかえる。そして僕はこのしーんとした「静けさ」を球場で感じるのが何よりも好きだ。やっぱりニューヨークが特別なんだろう、きっと。

横浜逍遥亭は、

それにそもそもニューヨークでチャレンジすることに何か意味があるのか?

2年半をケガとブーイングとともに過ごした松井稼頭央がロッキーズで本来の力を発揮し、周囲に認められる存在として頭角を現してきたのを見るのは気持ちがいい。

こう締めくくる。ロッキーズは松井の活躍もあって「18勝1敗」の快進撃でナリーグの優勝決定戦(七回戦)に進んだ。相手はアリゾナ。別にボストンのように圧倒的に強いチームではない。五分の戦いだろう。ロッキーズの奇跡は、ワールドシリーズまで続くだろうか。

2007-10-06

[] 虫の大群の中での試合、一夜明けての記事から

ヤンキースが敗れたわけだが、

Helped by a freakish invasion of bombarding bugs that rattled rookie reliever Joba Chamberlain in the eighth inning, the Cleveland Indians rallied to beat the Yankees 2-1 in 11 innings Friday night to take a 2-0 lead in their AL playoff series.

With bugs sticking to his muscular, sweaty neck, Chamberlain threw a wild pitch in the eighth that gave Cleveland the tying run.

確かに八回に「虫の大群」の来襲がなければ、新人Joba Chamberlainもワイルドピッチで一点を失うことはなかった。虫が来なければ、ヤンキースはかなりの確率で勝っていた試合だった。

Lunacy. Surreal. Hitchcockian. Call it whatever you'd like. October baseball has rarely witnessed something like this.

"I'd never seen anything like it," Yankees shortstop Derek Jeter said. "It's like somebody let them loose ... just when you think you've seen it all."

狂気だ、超(非)現実だ、ヒッチコック風だ、好きなように呼べばいい、とこの記事は書くが、せいぜい30-40分くらいが「虫の大群のピーク」だったから、試合を中断する手もあったんじゃなかったかなあ。

Umpire crew chief Bruce Froemming said he never considered stopping the game.

"It was just a little irritation," he said.

これが審判の談話。中断なんてぜんぜん考えなかったよと。しかし「just a little irritation」じゃあなかったな。

アメリカに住んでいると、ときどきこういうことがある。普通で考えるとやっていられないような状況でも、ぜんぜん気にならない平気な人たちがルールを決めると、それに従わなくちゃいけない。

Swarm of insects disrupt late innings」では、

This will forever be known as the Bug Game.

「虫の試合」として永久に記憶されるだろうと。この記事にはピッチャーに虫除けスプレーをかけている写真が出ているが、皆スプレーかけながら試合をしていて、スプレーをかけた首のあたりで虫がずいぶん死んだまま張り付いていたように見えた。そしてヤンキースのDoug Mientkiewiczの談話。

"Every time you tried to focus on something, they're flying in your nose and your hair and your face," said Yankees first baseman Doug Mientkiewicz, who was batting in the top of the eighth when the swarm invaded.

こっちの記事でもやっぱりヒッチコックが出てくる。

They were on the verge of tying the series when the insects arrived in a scenario only Alfred Hitchcock could imagine.