◆ 裏切りから身を守るため防御しなきゃ

寒くなるだろうと思い長袖を着ていったら見事に裏切られました。暑すぎです。しかも、昨日一生懸命用意したレポートが意味なかったことも判明し、ゼミにも裏切られました。裏切られ続けている毎日ですよorz
そんな風に裏切られながらも地道に小説だけは進めています。どれだけ進めても成長したかどうか自分には分からないところが、厄介な部分ですけどね。評価は人それぞれではっきりした点数が出るわけでもありませんし……。その点からすると(そもそも私は到達していませんが)文学って本当に奇妙なジャンルですよね。難しくもあり、懐が広いという意味もありますが。まあ、文学に限らず芸術一般はその傾向にあるようでして。

ホラーじゃないです^^シリアスxヒール


岩田洋季月の盾 (電撃文庫)メディアワークス,2006   類似検索


アイリス・護くんとまったく違った物語をかかれる芸術を題材にした岩田さんのノンシリーズ。いや、私すっかり勘違いしていました。帯の文「……日没は、嫌い…… 夕焼けは世界を押し潰す悪魔――。」を読んで、てっきりホラー系の話なのかと。実際は主人公・暁の家にやってくる一人の少女・桜花ちゃんの物語です。四部構成。
第一部「黒と白の日没」最初に予防線を張りまくっており、また心温まる第一部の物語の流れ、そして日没が嫌いで夕方に眠り始めてしまうというミステリアスな桜花ちゃんの設定から、桜花ちゃんというひとりの天才画家がその技術を使って人を癒していく小説かと思っていましたが、これも早とちりでした。桜花ちゃん(さらには周り)の成長物語なわけでして。
第二部「月の盾」桜花ちゃんとの約束を破るなんて暁のばかやろー。優先順位は優美子よりも桜花ちゃんのはずだろ! と叫びたくなります。守ってやらなきゃとか言ってるくせに〜。……そんな私の愚痴はともかく、キャンパスを通じ二人が同じ月を見ることができてよかったなと思います。
第三部「ダウンフォール」桜花ちゃんにけっこう勇気があるなあと思いつつ、第二部から思っていましたが、暁鈍すぎじゃ! と叫びたくなります。パパさんたちよりにぶいとは。……そんな私の愚痴はともかく、「クローゼットの悪魔」を描くときの桜花ちゃんの心情を考えると心が重くなります。ましてや「私の絵なんて、本当は大したことない!」と桜花ちゃんが言わなきゃいけない状況なんて信じられませんでしたよ。スケスケ桜花ちゃん萌えとか言ってられないよ
第四部「絵画芸術」で物語に幕。この物語はひとりの画家が障害を乗り越え、周りに「描きたい」と伝えるまでの物語だったんでしょう。物語全体を通しての、また各部ごとの起承転結が丁寧に練りこまれていたと思います。
それにしても、電撃で人気シリーズを描かれている作家さんが、ある種息抜きとして書いた読み切り作品が私はすごく好きです。一般のエンターテイメント小説ではないし、ライトノベルのメインからもちょっとはずれてる、そんな話が私のお好みなのですよ〜。


③ 半分の月がのぼる空 二巻② カスタム・チャイルド① 護くんに女神の祝福を!
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