いい時間を過ごすことができましたラブxヒール


橋本紡ひかりをすくう』光文社,2006


仕事を辞めようとする智子と彼氏の哲ちゃんの話。特に大きな出来事もなく、わりと淡々とした日常風景がこの中にはあります。出来事で話を進ませるんじゃなくて、生活の一コマを切り取りながら描く作業って難しいと思う。手間がかかっているからこそ、序盤のすてきな雰囲気は他の追随を許さないんじゃないかな。
引越しでの二人のやりとりなどもほほえましいよー。「料理が好きな人は皿洗いが苦手で、皿洗いが好きな人は料理が苦手なんだって」という言葉にはなんとなく納得。ちなみに、私はどちらかいうと皿洗いが好きなタイプです。他に、智子の故郷にいるお姉ちゃんや父親を始めとする家族とのエピソードや、デザイナーだったり家庭教師だったりと働くことについての話もあります。もちろん、猫も登場してきますよ。
涙を利用すればいいと思うよ」なんて言ってのけることができる智子に好感が持てます。やっぱりタイトルの「すくう」も、「救う」なんて大それたことじゃなくて、手のひらで「すくう」なんだろうな〜、って読み終わるとそんな風に思う。何があるわけじゃないけど、とても面白かった。二人がいつまでも一緒に素敵な時間を過ごせれたらいいな。
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