マルドゥック・ヴェロシティ②

SF④燃える④バトル③
冲方丁マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA)早川書房,2006


マルドゥック・スクランブル』の過去を描くシリーズ二巻目――謎の核心に迫り始めています。
今回のメインは深まっていく謎と戦闘シーンでしょう。敵の武力部隊=カトル・カールと09との衝突がすごい。カトル・カールは捜査を進める09の面々に、倉庫/立体駐車場と場所や時を選ばず何度も襲撃――激しい戦いが繰り広げています。火を噴く/重力を操る/ゴキブリ/不死身/不可視/変身/鞭――モンスターどもの狂宴。
生き残るため――自らの有用性を認めさせるに働く09のメンバーですが、徐々に深み――策謀/裏切り/暗部に入り込んでいきます。拷問の凄惨さ――死んだほうがましだと思われるような傷を見せられたりするシーンは辛い。精神的ダメージ/ウフコックが死や憎しみの臭いを知ってしまうことが、なによりやるせない。


直接的に敵対しているのはカトル・カール=異形の化物どもでも、その黒幕のしっぽがなかなか解明されません/悲しい死者が増える/暗躍する人物/忙しくなる09/不安定な社会。
信用――最後の最後で裏切られ逃げられる。切り札――苦労のすえにつかんだのはババ。推測――証拠をにぎることができないジレンマ。
ナタリア――保護対象だった女の動きが目立ったな〜。肝っ玉の強い女だ――力とともに鋼の心を持つ/感情をどこかにおいてきたボイルドに、自ら近づいてくるんだから。ボイルドもこの辺りはいい男なんだけどね――『スクランブル』では敵対者である点。
黒幕――オクトーバー家/ネイルズ・ファミリー/連邦検事/労組連合が誰なのかなかなか明かされません。どこもほこりが出てきそう/証拠は出てこないのでスリルがありますな――完結/三巻への一読者=私の期待。謎も残ってるし敵も残ってるしで、次がどうなるのやら=感想終了。
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