玻璃の天

玻璃の天  Amazon
ミステリ?シリアス?癒し?
北村薫玻璃の天文芸春秋,2007


学校に通う花村のお嬢さんが謎に遭遇し、運転手のベッキーさんが謎を解決する昭和が舞台のシリーズ二冊目。直木賞候補作。
過去の偽死亡記事や絵の盗難事件を巡る謎「幻の橋」友人との秘密のやりとりから暗号に挑戦することになる「想夫恋」才能ある建築家が建てた家で起こった転落事件の謎「玻璃の天」以上、三話収録。


「幻の橋」が一番お気に入りかな。日常の謎なのもいいし、謎に迫る過程で見えてくる今とは違う時代背景が面白いのです。昭和時代のいやらしさとかも描かれているんだけどね。少尉との対話とか読んでると背筋をぴしっとしたくなりました。
そうそう、「そのことを考えてあげて」が妙に印象に残りました。言葉の使い方にきゅんときたのですよ。
「玻璃の天」での与謝野晶子の詩についての見解とかにもしびれました。つっこんで考えたことなんてなかったな。


一話一話で完結していますし、三話に共通する事件も起きていきます。花村さんの成長とかベッキーさんの掘り下げも行われていて、シリーズ物としても魅力的。一文一文に味わいがあっていいな〜。
決して綺麗なものだけではなくやるせない部分もあるんだけど、でもそこが魅力的なんだからまいっちゃう。


北村薫さんの作品感想