ミステリクロノ 3

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久住四季ミステリクロノ〈3〉 (電撃文庫)アスキー・メディアワークス,2008
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真里亜が消えてしまうと言う描写から入るシリーズ三巻目。ミステリだと身構えていたのでどんなドンデンが来るか楽しみにしつつ、不安もありつつな出だし。
真里亜は好きか嫌いかという単純な感情だけではなく、憂鬱なんて気持ちを持ち始めるようになってました。昔の天真爛漫さがないのはちょっと切なかったけど、成長だと思えば仕方なくもあり。
寂しいのは私だけではなく、慧に構ってもらえなくなった真里亜も同じ思いを持っていたわけで。好きなのに憎い、そんな感情ばかりが沸いてくる自分に、気が狂ってしまったのではないだろうかと考える真里亜……そっと支えてあげたくなりますね。
気持ちが抑えきれなくなった真里亜は家出をします。それだけでも問題なのに、さらに誘拐事件まで絡んできてしまい。


誘拐犯を追う過程で、慧の正論とはいえばかばかしい考えを打ち砕いてくれた小布院の発言にはすかっとしましたね。
また、辰馬の関係や慧たちを正面から手助けするなどの、るちやに不可解な行動も明るみに出てきます。大きな物語が仕組まれているみたいだ。それこそ魔術みたく。


犯人のエゴが丸出しにされるのは相変わらず。ひどすぎるけど共感しちゃう部分もあるので批判だけはできないのですよ。人間は悩みが多すぎるのでいけませんね。
誘拐犯に対する慧たちの逆転の作戦によるひっくり返しの展開もよかったけれども、そういう謎解き方面より真里亜や慧の成長物語の側面が大きなポイントだったと思います。
そんなわけで最後の挑発的な真里亜のイラストはよかったな〜。あれだけでご飯五杯くらいはニヤニヤできます。やっぱ完璧だけれども綺麗な存在である天使相手には萌えることができませんからね。萌えることができる人間万歳。