「天体の回転について」小林泰三。

天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

元々はコペルニクスの著作と同じタイトル名であることで興味を持ったのだった。やっと読みました。
ハードSF短編が8つ、論理的でありながら軽い読みごこち。なんといっても、それぞれの作品について親切丁寧に説明しているあとがきが面白かったです。


表題作「天体の回転について」は、人類が宇宙に旅立った後の世界の話。地上に残った人たちは進歩した科学技術を忘れており(それどころか忌み嫌っている)、旅立った人たちがいたことすら覚えていないほどの時間がたっている。そんな世界に建ち続ける軌道エレベーター。表紙の彼女はリーナで、軌道エレベーターの案内係。
なんともわびしく切ないストーリーなのに、文面に散っているハートマークで台無し(汗)。でもこれは笑い話だから。軌道エレベーターって本当にできるのでしょうか?乗ってみたいものです。


一番面白かったのは「三〇〇万」。
侵略宇宙人が地球にやってくる話。宇宙人と地球人のやりとりが、ちっともかみ合わないのが笑えました。本当にとことんかみ合ってない!なかなか理解しあえず戦争のたえない人類への皮肉かと思ったら、作者の意図は全く別なところにあって、これもまた面白かったです。