「窓の外は向日葵の畑」樋口有介。

窓の外は向日葵の畑

窓の外は向日葵の畑

青葉樹(シゲル)、高校2年生の夏休み中。所属している江戸文化研究会の部長高原明日奈が失踪、続いて副部長の佐々木も連絡が取れない。元刑事で小説家志望の父親完一は研究会顧問の若宮先生にひとめぼれしてしまい、無理矢理部長を探す手伝いを始めるが…。


息子と父親、二人の視点で描かれたミステリー。
迷い癖のあるシゲルと思い込みの激しいハードボイルド親父の会話が面白い。ミステリー部分も、高校生の失踪から溺死事件、ひき逃げ事件、暴かれる過去、と急展開が目白押しで面白い。
しかしながら、トータルでは微妙な…。まず幼馴染みで幽霊の真夏ちゃんの役割が謎。可愛くっていい味してて好きだったけど、ストーリーには全く絡んでこなかったし、いなくてもよかったんじゃないかと。
そして事件の真相が重過ぎてる。しかも主役二人が事件に翻弄されたまま終わった感じで、一層読後感がスッキリしなかった。「美しい女はその宿命に、みんな罪を背負っている」って親父の小説そのものってオチなのかもしれないねえ。