鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

氷室の朔日


石川県では七月一日に饅頭を食べると夏ばてせずに過ごせると言われている。麦の強い生命力にあやかって、麦で作った饅頭を食べ、暑い夏を乗り切ろうということらしい。確かに新麦の季節だ。
学校給食にも出るし、買ったりもらったりして家庭や職場でもいくつも食べる。七月一日を挟んだ何日かは食べるものの、ごく一般的な酒饅頭(店によっては皮に色がついていたり、「氷室」の焼き印があったりする)で、六月三十日に氷室を開き、冬のうちに集めておいた氷(雪)を江戸の将軍家に献上した故事にちなみ、氷室饅頭と呼ばれる。
以前、石川県の人に、どこの氷室饅頭が美味しいかと聞いたら、どこもそう変わらないけどと前置きし、「嫁のさとが送ってくれる、**郡**町のちっさい饅頭屋のが美味しいと思ってる」と言われた。氷室万頭は、娘が嫁いだ先に生家から贈答されることが多く、昔の話だが、そこが家族や使用人の多い家だったりすると何百個も贈ったそうだ。