今年初めて松本・牛伏川階段工に行く...

 新緑を迎え、今年はじめての牛伏川は階段工へ。国の重要文化財になって5年、ツアーバスも来るようになったか、大型バスの駐車場も出来ていた。

 松本市東部を流れる牛伏川、「牛伏川フランス式階段工(うしぶせがわ フランスしきかいだんこう)」は、この上流部に設けられた、フランス式の砂防施設である。延長141メートルの石張りの水路に、19段の段差が構築されている。2012年に国の重要文化財に指定された。
 この川の上流は、脆弱な地質と急峻な地形、また乱伐や山火事などにより荒廃が進み、崩落などによる土砂の流出で河床が上がり、江戸時代以来、下流域では度々大きな水害に見舞われて来た。このため、1885年(明治18年)から1918年(大正7年)までの30年間にわたって牛伏川砂防工事が行われた。

 このうち河川勾配が特に急な最終部分を克服するため、フランスのプロヴァンス地方、アルプス山脈の南を流れるデュランス川・サニエール渓谷の階段工法をそのまま設計したものが牛伏川フランス式階段工である。明治政府の技官がヨーロッパに留学し、その工法を学んで来たものである。

 100年近く前完成した工作物が、現在も埋没も変形もせずその機能を果たしているのを見るのは、驚異であり感動も覚える。そしてまわりの自然に溶け込んで美しい景観をなしている。 


 上下。延長141メートルの石張りの水路、19段の段差牛伏川フランス式階段工(うしぶせがわ フランスしきかいだんこう)


 上下、フランス式階段工上部の階段流路。


 フランス式階段工下流のゆるやかな流路。