ふかしいも郷愁

 晩秋、落ち葉の季節、その落ち葉を集めてたき火、その中にさつまいもを2、3ほうりこむ。いい風景、秋の風物誌である。

 ところで、戦後の長い時代、親しまれたふかしいも。いつのまにか普通には食べられなくなった。知らない人も多かろう。それだけ食事やおやつの材料も実にバラエティーにとみ、量も質も豊かになったということだろう。

 焼きいもは実にうまいものだが、ふかしたいももまたおいしい。母親たちには、実にてっとり早かったのだろう。わが家でもよく食事や間食に登場した。また、野良仕事のおこひるにも出てきた。

 このさつまいものふかしいもも、種類やふかしかたの違いで千差万別というくらいいろいろだった。ほくほくしていてまるで栗のようなものがあるかと思えば、べちゃべちゃでどうしようもないものもあった。長めのいもなど二つに割るとうまいかまずいか判別出来たものだ。いもにも当たり外れがある。そんなあれもこれも今では思い出。