ふかしいも郷愁


 ふかしいも、戦後の長い時代、 一般家庭で親しまれたものだが、いつのまにかに食べられなくなった。昭和30年代末、40年始めまではまだあったろう。それだけ食事やおやつの材料も実にバラエティーにとみ、量も質も豊かになったということだろう。

 ふかしたいも、母親にとってもてっとり早かったのだろう。わが家でもよく食事や間食に登場した。また、野良仕事のおこひるにも出てきたものだ。母が、釜でさつまいもを茹でている光景も思い出す。

 このさつまいものふかしいもも、イモの種類やふかし方の違いで千差万別というくらいいろいろだった。ほくほくしていてまるで栗のようなものがあるかと思えば、べちゃべちゃで水っぽくどうしようもないものもあった。

 長めのいもなど二つに割るとうまいかまずいか、おおかた判別出来たものだ。いもにも当たり外れがある。そんなおやつのいものあれもこれも今では思い出、郷愁の中にある。