山崎拓 旭日大綬章を受章 / 大学不認可問題 3大学が連携して撤回を求めていく方針を確認

「国家、公共に功績があるとの判定をいただき、身に余る光栄だ」。旭日大綬章を受章した山崎拓自民党元副総裁(75)は喜びをかみしめるように語った。
35年間の国会議員在職中、特に印象に残っているのは中曽根内閣の官房副長官として首相外遊に随行し、首脳外交の醍醐味(だいごみ)を目の当たりにしたこと。会談内容を記者団にブリーフする役割を一手に担った際、「首脳会談のどの部分を発信することが国益に資するかに心血を注いだ」という。
薫陶を受けた故渡辺美智雄元副総理から日越友好議連会長を引き継ぐなど、アジア外交に積極的に取り組んできた。それだけに最近の日本外交に対する危機感は強く、「水面下のパイプで解決する議員外交が今は全く機能していない」。政治家が選挙を気にしすぎて「内向き」になっていることが背景にあるとみており、議員外交の活性化を期待する。
小泉政権自民党幹事長として連立与党内の調整に汗をかいた経験から、停滞する現在の政治についても「根回しする人材が質も量も乏しいのだろう」と手厳しい。
政治信条は「可能性を信じる」。次期衆院選に出馬しないと先に表明したが、独自の人脈を生かしながら政治活動は続けるつもり。「あと5年ぐらいは在野の政治活動家として日本の役に立ちたい」と気力は衰えていない。(2012/11/03-09:12)

田中真紀子文部科学相が大学新設の申請があった3件を不認可とした問題で、不認可とされた秋田公立美術大、札幌保健医療大、岡崎女子大(愛知県)は3日、3大学が連携して田中文科相に不認可の撤回を求めていく方針を確認した。
岡崎女子大の開学をめざしていた学校法人「清光学園」(同県岡崎市)では3日の理事会で、「あくまで4年制大学の開設はあきらめない」との方針を確認。当面、募集要項を請求したり、説明会に参加したりした高校生に個別に連絡し、対応にあたる。
また、運営する岡崎女子短大のインターネットのホームページに、今月末に予定していた4年制大学の入試が実施できなくなったことをおわびする「お知らせ」を掲載した。

田中真紀子文部科学相が秋田公立美術大の新設を不認可とした問題で、秋田市の穂積志市長は2日、不認可の撤回を求め来週にも文科省に緊急要望すると明らかにした。穂積市長は緊急の記者会見を開き「審議会が認可する答申を行ったにもかかわらず、田中文科相が覆す決定をしたことは承服できない」と強調。「文科相の考え方ひとつで変えられるのは、行政の継続性を逸脱する」と指摘した。
[2012年11月3日8時31分 紙面から]

田中真紀子文部科学相の突然の方針転換で設立が不認可とされた秋田公立美術大。来年4月の開学を前提に準備を進め、4日にはオープンキャンパスを開催する予定だったが、職員らは構内の垂れ幕を急きょ撤去するなど中止の対応に追われた。穂積志市長は大学設置を引き続き目指す考えだが、開学までの準備が長引けば税金で賄う費用も膨らむ。市や大学、高校など関係者からは「あまりにも突然だ」と怒りと困惑の声が上がった。【仲田力行、坂本太郎
秋田公立美工短大に通う2年の女子学生(19)は「驚いた。開校の準備が整いつつあったのに。理由の詳細が知りたい。編入や入学を希望している生徒への対応はどうなるのか」と話した。同短大付属高等学院2年の女子生徒は「大学になると聞き、学習面で頑張らなければと意欲が高まっていた。残念というよりも、驚きが大きい」と話した。
高校生の進路にも不安を与えている。市大学設置準備室は「設置認可申請中」と注記した大学概要を県内の各高校に配布。県内各校は来年4月の開校は既定路線として進路指導していた。
市大学設置準備室によると、昨年11月に東北、北海道の高校2年生6665人を対象に実施したアンケートでは、同大受験を考えていたのは907人と約14%に上る。
仁賀保高の藤田悟教頭によると、同高コンピューター・グラフィックスデザインコースの生徒2人が進学を考えていたという。藤田教頭は「生徒の意欲がそがれる。進路の選択肢がいきなり減らされるのは大きな損失だ」と驚いた様子だった。
大学設置のための費用は、昨年度と今年度当初予算ベースの費用を合計すると約7億7062万円。開学が遅れれば、さらに膨らむ可能性がある。着任予定だった教職員などの処遇も決めなければならず、穂積市長は「問題はこれから出てくる」と述べた。
市に4年制化を答申した有識者委員会の委員を務め、大学設置委員の経験もある県立近代美術館長の河野(こうの)元昭・尚美学園大大学院教授は田中文科相の不認可表明について「就任したばかりなのに急な路線変更」と憤る。少子化時代に大学が増えすぎ、財政が悪化しているなどの指摘にも「正論だがそれはこれからやるべきこと。前の大臣のままだったら認可されていたのでは」とおさまらない。「一番迷惑を被ったのは進学しようと準備していた高校生と短大から編入しようと思っていた学生では」と話した。

自民党石破茂幹事長は3日、田中真紀子文部科学相が3大学の新設を不認可としたことに関し「なぜ認めないのか見識を述べる必要がある」と述べ、国会で追及する考えを示した。
同時に「いかなる根拠に基づくのか、法的瑕疵があったのかなど、思い付きでないということをきちんと述べない限り誤った政治主導だ」と指摘した。神戸市で記者団の質問に答えた。<<