露外務省 岸田外相発言に反論

岸田外務大臣北方領土交渉などの停滞の原因が日本側にあるとするプーチン大統領の発言について、「日本側が交渉を止めている事実はない」と述べたことに対して、ロシア外務省は両国で合意した岸田外務大臣のロシア訪問も実現していないと指摘し、反論しました。
ロシアのプーチン大統領が16日、北方領土問題と平和条約を巡る交渉が停滞している原因は日本側にあるとする認識を示したことについて、岸田外務大臣は、ことし2月の外務次官級協議でも日本側から積極的に問題提起を行ったと指摘し、「日本側が交渉を止めている事実は全くない」と述べました。
これに対して、ロシア外務省は17日、コメントを発表し、両国は岸田外務大臣のロシア訪問など政治的な接触を行うことで合意しているとしたうえで、「なぜかこの1年以上、日本政府は、岸田氏の訪ロを決めることができない」と指摘しました。そして、2月に行われた外務次官級協議についても、「もともと平和条約について踏み込んだ協議をする予定はなかった」として、岸田外務大臣に対して「より慎重に発言すべきだ」と反論しました。
日ロ交渉はウクライナ情勢を受けて、事実上、停滞していますが、ロシア側としては、その責任は日本側にあるとする立場を改めて強調したものとみられます。

政府は18日、日本がウクライナ情勢を理由に北方領土交渉を事実上止めていると批判したロシアのプーチン大統領の発言は「全くの事実誤認」(外務省幹部)として、対ロ説明を本格化させた。領土交渉停滞への懸念を一段と強めたためで、プーチン氏の年内来日を目指す日本の立場を伝え、理解と協力を求める構えだ。
北方領土交渉をめぐり安倍政権は、ロシアによるウクライナ南部クリミア編入を受けて実施している対ロ制裁措置と切り離して進めるシナリオを描いている。ロシアと対立する米国と制裁継続で足並みをそろえつつ、交渉の鍵を握るプーチン氏から前向き姿勢を引き出せるかが焦点になる。<<