露トカチョフ農相択捉島を訪問 / 北方四島墓参第二陣 ロシア認めず中止 / 拿捕漁船の11人帰還

【モスクワ時事】ロシア農業省によると、トカチョフ農相が1日、北方領土択捉島を訪問した。政府要人としては、8月22日にメドベージェフ首相が択捉島を訪れたばかり。農相は水産工場を視察した。
首相は先に閣僚に対し、北方領土を四半期に1度、定期訪問するよう指示したとされるが、それが実行に移された形。ロシアが今後も政府要人を北方領土に頻繁に訪れさせて事実上の支配を誇示し、領土問題で日本をけん制する場面が増えそうだ。
ロシアは7月に「クリール諸島(北方領土と千島列島)社会・経済発展計画」(2016〜25年)を閣議決定した。北方領土を含む極東への移住を希望する国民に土地を無償分与する制度も近く始める。農相の視察はこれらの実現に向けたものとみられる。
プーチン大統領3期目では12年9月、当時のフョードロフ農相が択捉島を訪問した。トカチョフ農相は大統領の信頼が厚く、今年4月に南部クラスノダール地方知事から登用された。 (2015/09/02-00:48)

外務省の林肇欧州局長は1日、同省でアファナシエフ駐日ロシア大使と会い、同国のトカチョフ農相が北方領土択捉島を訪問したことに抗議した。
林局長は、農相の択捉訪問について「領土問題に関するわが国の立場と相いれず、受け入れられるものではない」と強調。これに対し、アファナシエフ大使は、北方領土はロシアの領土とする同国の従来の立場を主張したという。 (2015/09/01-20:24)

北方四島の元島民らによる北方領土墓参事業で、8月31日から9月2日まで予定されていた2015年度第2陣が中止されたことが分かった。ロシア政府が認めなかったためだという。菅義偉官房長官が1日の記者会見で明らかにした。
事業主体である北海道によると、元島民ら約50人が歯舞群島多楽島を訪れ、墓参する予定だった。しかし、元島民らは31日に国後島古釜布(ユジノクリリスク)で必要な手続きができず、引き返した。これを受け、外務省の林肇欧州局長は1日、アファナシエフ駐日ロシア大使に抗議した。
菅長官は「手続きに際し、ロシア側が一方的に、日本として受け入れることが困難な内容の修正を求めてきた」とし、外交ルートでの調整が調わず、道が墓参の中止を決めたと説明した。その上で「従来通りの墓参ができるよう、ロシア側に強く働き掛けていきたい」と語った。 
元島民らの訪問は、今年5月にもロシア側の都合で一時中止されている。ロシアはメドベージェフ首相が8月22日に日本政府の中止要請を無視して択捉島に上陸するなど、北方領土の実効支配の動きを強めているが、菅長官は「ロシア側の意図は測りかねる」と述べるにとどめた。(2015/09/01-19:46)

北海道広尾町のサケ・マス流し網漁船「第10邦晃丸」(29トン)が漁獲量超過を理由に7月中旬にロシア国境警備局に拿捕された問題で、伊東正人船長(60)ら乗組員11人が1日早朝、とどめ置かれていた北方領土国後島沖から北海道根室市の花咲港に戻った。拿捕から約45日ぶりの帰還で、乗組員は「安心した」と表情を緩ませた。
漁船は7月上旬からロシアの排他的経済水域(EEZ)で操業。同17日、根室市納沙布岬の南東約50キロで国境警備局の検査を受け、ベニザケの漁獲枠を472キロ超過したとして拿捕された。
漁船は、夜明け前の午前4時すぎに花咲港に到着した。<<