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muneo house information

2013-04-05 (Friday)

2002年4月5日公開「季節の外でPro」ムネオハウス特集第9回(ゲスト: 裏むねむね会 & muneo house info) インタビュー全文

11年前のこのインタビュー音源の文字起こしになります。

前書き
  • 編集点、楽曲の挿入箇所に"--"で目印が入っています。
  • 可読性を高めるため、句読点の付加、重複表現の省略、体言止めの修正等の変更が加えてあります。
  • 脚注は2013年3月時点の情報に基いています。
  • インタビューを受けた方のプライバシーに配慮し、音源の直接公開は当ページでは行いません。

裏むね:

今日のイベントが成功しますように。お願いします。

以上です、委員長!

muneo house info (以下、info):

全ては健全なパロディーとアイロニーの精神で行われているものと記憶しております。もうちょっと大目に見て頂きたい。

以上です、委員長!

-MURU-COREをベースにアレンジした音源-

モーリー・ロバートソン (以下、モーリー):

ハハハッ(笑) 取材班は、鬼子母神の裏にしました(笑)

そして今表の方に回って「こんなに大きいんだ」ということを実感しつつ、あっちには鳥居が連続で一杯建ってますね。どこか座れるところで取材を開始したいと思っております。えー・・・ 「危険 手を触れないでください 鬼子母神」。これは・・・ 放水銃格納庫。なるほど。えー・・・ キャッチボール広場とも言うべき、ケヤキの木であるとか大木、巨木が。樹齢200年という感じであるような場所です。東京に残されている数少ないキャッチボールができる広場。神社の境内。鬼子母神にてお話しを伺いましょう。

あれ・・・!? これまたエッシャーの絵に出てきそうな迷路のように鳥居が一杯並んでいますね。描いてありますね「鬼子母神の公孫樹 樹齢600年以上」はっはぁ。幹の周りは8m、樹高は34m・・・ 切ったのかなぁ。30mはあるそうですね。「雄の木にして成長力を持続」なるほど。雄のパワーを600年持続されている。「これに触れれば」っていう感じの大明神・・・様の近くで話を。

どうですか? マスメディアに参加して?

info:

え、もう緊張で胸がドキドキしています(笑)

モーリー:

ムネオがドキドキ?(笑)

info:

ハイ、ムネオがドキドキです(笑)

モーリー:

ハイ(笑) じゃあ座る場所探しましょう。

--

モーリー:

今日は「裏むねむね会」の裏むねさんとmuneo house infoさんにお話しを伺います。

宜しくお願いします。

裏むね:

宜しくお願いします。

info:

宜しくお願いします。

モーリー:

いよいよ今夜の深夜にイベントがスタートするんですけど、どうなると思いますか?

裏むね:

とりあえず「何かあるかもしれないな」とは思ってます。ただ今の本スレの状態がちょっと荒れてるので心配なんですけど。後はumai bowさんとか宮大工さんにお任せして安心して楽しめると思います。

モーリー:

infoさんは今夜どうなると思いますか?

info:

酒池肉林の宴にならないことだけを祈ってはいますけど。うーん・・・ けが人とか死人とかが出ないでくれれば。それで一番良いんじゃないかと思ってます。そこら辺まで想定します、逆に。

モーリー:

あのお二人ともこのムネオハウスムーブメントというものをね、かなり当初からそれぞれの分担で支えてきましたよね。僕は自分のページからinfoさんのページにリンクさせて貰ってます。

あの、一昨日ぐらいまで宮大工さんが作ってるページだと勘違いしてたんですよ。

info:

そうですよね。なんか書き方がそうだなと思ってたんですよ。

モーリー:

あれが一番ちゃんと頻繁に、しっかりしたページなのね。オフィシャルより。

info:

一番暇なんですよ(笑)

モーリー:

あぁ・・・ だけど結果としてリンクしてたおかげでより多くの人が。あれだけ頻繁に更新して・・・ どういうペースでやってきたんですか?

info:

うーん・・・ 寝て起きて、スレッドチェックして「あ、ネタがある。バーって書こう」大体それぐらいの簡単な気合いですね。個人ニュースサイトはどこも沢山大手がありますから、そういうとこがやっている事ってのをたまに管理人さんが言ってたりするんで、そこら辺を参考にしながらやってます。

だからそんなに大変っていうわけでは無いですね。時間があれば誰でもできることですね。

モーリー:

自宅からやって来たんですか?

info:

ハイ、そうです。

モーリー:

で、裏むねむね会・・・ これが発足したのがいつ頃でした?

裏むね:

えっと元々本サイトの方で、MADニュースとかFlashの、要は面白いものだけを集めてやってたんですけど。

モーリー:

MADニュースってなんですか?

裏むね:

NHKのラジオニュースとかを、なんて言うんですか、言葉を面白おかしく遊びの感じで、例えば・・・

info:

継ぎ接ぎで

裏むね:

そうですね継ぎ接ぎニュースみたいな。

モーリー:

音声を?

裏むね:

そうですね。それがネット上で出回ってたんですけど、そういうものを一杯集めてまして。そのサイトをやってたんですね。で、「2ちゃんねるのテクノ板でこういうものがありますよ」っていうのを教えて頂いて。行ってみて聴いたら面白いと思ったんで。私はどっちかって言うとMADニュースっぽい感覚で載せたんですけども。それがきっかけなんですね。教えていただいたのが最初です。

モーリー:

で、あの、どんどんと大きくなって来ましたよね。入ってくる人もデータの転送量も。それに連れて裏むねさんの役割というのも変わってきましたか?

裏むね:

あくまでも個人サイトで細々とやっていたので、3日でちょっと考えられない転送量を記録してしまった時点で「あぁもうこれは凄い事になってしまったんだな」と思いましたけど(笑) でもなんか逆にもう「これは絶対続けなきゃいけないな」っていう、ある意味使命感みたいな感じを持ってしまったので。大きくなれば大きくなるほどこっちも嬉しいっていう気持ちにはなりました。

モーリー:

infoさんもやっぱり思いのほかの転送量だったと思うんですけど。どこらへんで気合いが入って来たんでしょうか。

info:

そうですねぇ。最初裏むねむね会さんがデリートされて、その次にxreaってところで今100GBさんって名前の方と私もミラーを置いてて、そこで同時にデリートされたんですよ。その時に1日の転送が100ギガっていうときで。

モーリー:

1日100ギガっていうのは、テレビのときもね、相手のディレクターが概念が分からなかったんですけど、100ギガってのは1つのサイトですか?それとも総合で?

info:

あのときのアナウンスだと確かアカウントが2つだったんですね。100GBさんの2つのアカウントを合計して日の転送が100ギガっていうことで。「賠償してもらいますよ」っていう脅し文句を貰っちゃったんですね。

モーリー:

この倍賞の仕組っていうのは、これだけマスメディアでも認知され始めたので、初めてムネオハウスを知りたくてストリームを聞いてる人もいると思うんですね。サーバの仕組みはどういう風になってるんですか?

info:

単純にmp3ファイルをアップして、ご自分のコンピュータの方にDLして聴くと。その間のサーバの負荷ですね、落としてる間の。その間サーバが働くもんですから、沢山落とすことになると、またサイズが大きいと、沢山負荷がかかると。

モーリー:

つまり、プロバイダの方で一定の太さの回線があって、みんなガーッとやってるとその周りのサイトがスローダウンするってこと?

info:

そうですね。

モーリー:

それをサイトの負荷と言うんですか?

info:

サーバと言った方がいいですね、それが入ってる。管理者が悲鳴を上げてデリートかけたり、アカウントを凍結したり。

モーリー:

要するにそれを消しちゃうんですか。ページを。

info:

そうですね。大概全部デリートされます。

--

モーリー:

あそこにいる子供たちとムネオハウスはそんなに変わらない(笑)ような気がして取材をしているんですけど。あの、その後裏むねさんは最初の裏むねむねサイト? が消されて飛び回ってると思うんですけど、最初に消されたのはいつですか?

裏むね:

えっとそうですね・・・ すぐだったと思います。裏むねむね会を作って。

モーリー:

裏むねむね会の最初のレイアウトっていうか、どういう情報が載ってたんですか?

裏むね:

最初は一番最初のスレッドに入っているmp3と、あとは私がムネオハウス始まる前から持っていたムネオさんのFlash。要はムネオさんを素材にした色んな作品を集めてたんですね。

モーリー:

もうあったんですかそういう。ムネオハウスのスレッドの前から。

裏むね:

丁度マキコさんとムネオさんの話題がテレビでずっと独占されてたときに、旬の物だからっていうことで色々教えてもらったり自分で探して全部持ってたんですね。で、一時期公開していたんですけども。一番最初に建った「アシッドハウス=ムネオハウス」っていうものに出会ってから、もう「全部ムネオさんを集めよう!」と思って、「裏むねむね会」っていうページを一つ設けたんですよ。

で、そのページを作って3日で「おめでとうございます!」と(笑) サーバ会社に「頑張って欲しいんですが、この転送量どうなんでしょう」みたいな「いかがなものか」と言われたので、しょうがないから引越しましょうかということで。

今のところ無料サーバを使わせて貰ってるんですが。とりあえず後はデリられないようにちょっとずつ情報を流して、あとはもう細々とやるしかない、と。

モーリー:

今まで恨むねさんは何回ぐらい引越しを?

裏むね:

裏むねむね会になってから最低でも4、5回は引っ越してます。

モーリー:

それはやっぱりそういう警告のメールが来て追い立てられるように引っ越すと。

裏むね:

いえ、一切そういう警告のメールは来ないんですよ。いきなりFTPでも繋がらなくなってしまって。

モーリー:

もう自動的に遮断されて。要するに電気と水道を止められた次の日に引っ越すような。

裏むね:

そうですね(笑)

モーリー:

で、こういう転送量が激増するっていうのはここ数日更に激しくなったんですか?

裏むね:

あのYahoo!さんに載っちゃってからが凄くなっちゃったんですよ。テレビで初めて流れたときにちょっと多いかな、と。一桁でしたけどちょっと増えたかなと思ってたんですが、Yahoo!さんに載るようになってから、今までこれでも多かったのが倍に。1日に8000カウントですか。

モーリー:

それはしかも大容量転送してる8000カウントなんですか?

裏むね:

そうですね。で、もうこれ以上mp3とか大っきいファイルはもう置けないと思ったので消しちゃったんですけど。

モーリー:

でもカウント数は落ちない。

裏むね:

落ちないですね。多分「裏ニュース」[1]のおかげだなと思います。

*1 ・・・ 現実のニュースをムネオハウス調のネタニュースに書き換えたもの。裏むねむね会のメインコンテンツだった。

モーリー:

あ、ニュースをやってらっしゃる。

裏むね:

はい。

--

モーリー:

例えばですね、朝日新聞が取材に来ると言ってますよね。日曜の朝刊ですか載るのは。そうするともう大変な事に。その夜からパンクどころか、電話に虫が詰まっててかけられませんっていうぐらい、来てしまうと思うのね。そうするとやはりWinMXを使って下さいと呼びかける事になりますか?

裏むね:

そうですね。勿論WinMXを是非使ってほしいと思っています。それが管理人にとっても助かりますし、みんなで沢山聴けるようにするためには一番の近道だと思ってます。

モーリー:

WinMXを使う事のもう一つの作用として、使ってる人はホームページに比べて特定しにくいんですか?

info:

MXのサーバによるんですけど。モノによってはアクセスポイントが分かるのもあるんですけど、中には分からないのもあるんで。その場合はほとんど匿名です。

モーリー:

匿名性っていうのは作ってる人が匿名だったり、書いてる人の、ムネオハウスに燃料を注いでいる人達というのか、名無しが中心ですよね。この人達の匿名性があってのムネオハウスだと思うんですが、朝刊で認知されてしまうと「誰が作者なんだ?」っていう事も始まると思うんですね。そう意味でもWinMXはそれをカバーしてくれる感じ?

info:

うーん・・・ それよりは単純に転送量、負荷の問題ですね。それが根本的に解決されるんで。ファイル交換ソフトの方に移行して頂ければ。それが一番重要ですね。

モーリー:

WinMXを作った人はこんな現象が起きると思ってたでしょうか?

info:

まぁないでしょうねぇ(笑) 2ちゃんねるでもたまに奇跡的にまともな使われ方・・・ムネオハウスがまともな使われ方だとは思いませんけど(笑)、昔一回Napsterのときにあったみたいな話は聞きましたけど[2]。だから、作った人がどうだかわかりませんけど、普通MXが使われているのは完全に違法なやり取りですよね。だからそこまで考えてないと思いますよ。

*2 ・・・ 2001年1月に2ch洋楽板でとあるページ上で紹介されていた作者不詳のヘッポコな曲が話題になった際に、スレッド住民がNapster利用してKing Uszniewicz And His Uszniewicztonesの曲である事を突き止めた。「ミャッカムミャッカム」というフレーズが一部で流行した。参考: mimizun.com - 挑戦状

モーリー:

今回のファイルは、例えば宇多田ヒカルや浜崎あゆみを、あんなもの誰が聴くか僕はとんと見当が付かないんですが。mp3にしてまでっていうことね。でも業者かなんかするのかもしれない。夜店で売ったりするような人というか。中国っぽいけど。ただそういうものをあからさまに違法にやっているのと、同じWinMXを使ったりすることでムネオハウスを交換してること、あっちは違法性があるとしてこっちはどうですか? 合法ですか?

info:

うーん・・・ ファイルをやり取りしてる分には合法っていうか、特に触れるとかお咎めを喰らうようなことでは無いと思っています。お咎めを喰らうのであれば曲自体の問題なので。それを共有交換してる分に「お前まで悪だ」と言われる事は無いと思います。

モーリー:

聴いたことによる罪という。

info:

(笑) そういうのはありません!!あるわけ無いじゃないですか!

モーリー:

ハッハッハッハッハッハ

--

モーリー:

今夜歌舞伎町はどうなると思いますか?

裏むね:

ムネオのお面で付けた人で一杯になると思います。

モーリー:

怖い人がやってきてゴルァ?

info:

あー言われるかもしれませんねぇ。そういう場所になっても2ちゃんねらーは「逝ってよし!」と言い返せるかどうか・・・ まぁ無理だなぁ(笑)

裏むね:

(笑)

モーリー:

2ちゃんねらーは優しい人ばっかりな気がするんですけど、どう? しばらく関わってた人として。

裏むね:

一番最初の頃は本当にマターリしてたんですよね。今ちょっと荒れてるんですけど、基本的にはみんな本当に良い人達ばっかりだと思うんですよ。みんなムネオが好きなんだなっていうのは共通してると思います。

モーリー:

なんていうのかな、最初はパロディーの対象だったのがそのうち庇ってあげる対象に変化したと思いませんか?

裏むね:

そうですねキャラクター的に愛着が湧きすぎてしまって、仲間意識の中でみんな聴いてるんじゃないかなと思うんですよね。

モーリー:

で、彼がまた再浮上してくるのを心待ちにしてるって感じ?

裏むね:

それはまた話が別になると思うんですよね。できれば、本当にテクノでデビューしてほしいと思っています・・・ ごめんなさいウソです(笑)

--

モーリー:

彼女は水風船で遊んでいますね。あの、ムネオハウス、無邪気ですよね?

裏むね:

そうですね。とってもはしゃいでますよね。楽しいです。

モーリー:

製品になったら無邪気さはなくなる?

裏むね:

私は冷めると思います。そうなったらもう手を引くと思いますね。

モーリー:

ドラえもんはバリバリ製品だったんですけれども、でも多くの人心に明かりを灯してくれたんだけど、そうは成り得ない?

裏むね:

あのー、私多分ムネオさんに対して愛情が強いんですよ。本当にちょっと好きなんじゃないかなと思うくらい(笑)

info:

ハッハッハッハッハッハ(笑)

裏むね:

実際夢に出てきて付き合ってるんですけど(笑) それから好きになってしまったので、私のものであって欲しいんですよ。で、私のものであってみんなのもので。でもムネオさんは典子さんのものじゃないですか。奥さんのもの。で、あとはもう2ちゃんねらーみんなのものだから、そっからまた離れてしまうと私は諦めます。

--

モーリー:

最後に2ちゃんねるのスレッドで今まで参加してきた人達に何か言ってあげて下さい。

裏むね:

とりあえずみなさん寝不足だと思うんですね。昨日の時点で新しいスレッドが2本立ちましたから。皆さん付いて行くのに必死なんですよね。必死なの大変ですし。あと職人さんがやっぱり一番大変で。それぞれ関わってる人達はなるべくちょっと冷静になってムネオハウスを見直してみる良い時期だと思うんですよ。イベントを機に。それでちょっと落ち着きたい人は落ち着いて、もっと燃えたい人は燃えて・・・ ただまぁ程々にって言うしかないですよね(笑)

モーリー:

みんなずっと仲良くやっていけると思いますか?

裏むね:

うーん・・・ ムネオ好きなら仲良くしたいです。

モーリー:

じゃあまたinfoさんに同じ質問をしますけど。スレッドの方々に何か一言。

info:

スレッド内におけるハードミニマルは絶えて下さい。それだけです。気にしないでください。いちいち目くじら立てないであげてね。

備考

記事起稿日: 2013年4月5日

音源を提供して頂いた皆様に深く感謝致します。

2013-04-04 (Thursday)

2002年4月4日公開「季節の外でPro」ムネオハウス特集第8回(ゲスト: Lucky) インタビュー全文

11年前のこのインタビュー音源の文字起こしになります。

前書き
  • 編集点、楽曲の挿入箇所に"--"で目印が入っています。
  • 可読性を高めるため、句読点の付加、重複表現の省略、体言止めの修正等の変更が加えてあります。
  • 脚注は2013年3月時点の情報に基いています。
  • インタビューを受けた方のプライバシーに配慮し、音源の直接公開は当ページでは行いません。

モーリー・ロバートソン (以下、モーリー):

「季節の外で」は、宗眠したい春。続いて2日目の糞暑い日に、神楽坂の出版社近くでLuckyさんにお話しを聞こうと思います。宜しくお願いします。

Lucky:

宜しくお願い致します。

モーリー:

それであの、Luckyさんは最近宗眠できてますか?

Lucky:

そうですねぇ、宗眠・・・ なかなかスレッドの「宗眠しまーす」っていうのは自分も書きたいなと思うぐらい、宗眠してませんね。えぇ。

モーリー:

要するに宗眠っていうのは、かなり上の方の一連の書込みのスレッドの中で・・・ どういう風に起こったかどうか覚えてます?

Lucky:

あまりその辺は覚えてないんですけど。やっぱり2ちゃんといえば独自の造語ですね、2ちゃん語といわれるような。そういうのがやっぱりコンテンツの中で1つ出てくると、やっぱり良い盛り上がりの1つになりますよね。

モーリー:

実はですね、私、言葉を今日スレッドを調べてきたんですよ。で、要するにムネオさんの記事やムネオさん関連のこのムネオハウスの音楽を、ムネオさん関連と言えるかは分からないけど、ムネオハウスを聴き続けてそういうことばっかり追いかけているうちに、その間に睡眠をしていたのが、睡眠よりもムネオの方が大事になって、とうとう宗男→睡眠→宗男→睡眠が宗宗眠眠になって、宗眠になっちゃうっていう。そういう(笑)

Lucky:

(笑)

モーリー:

でもよく分かる。宗眠は体感してますね。で、会社でいる間も?

Lucky:

はいそうですね、会社にいる間も。インターネットが見れる環境なので、毎日スレッドとポータブルサイト、後はイベントのオフィシャルサイトですね、そちらのBBSなんかをしつこいぐらい見てますね。

モーリー:

このイベント、まぁ日テレで出たことなんかをきっかけに、かなりブレイクをしていて。今日は夕刊フジの記事。これ直接関係無いんですけどなんとなく関係性が臭う記事ありますよね。吉本興業が辻本元代議士を雇いたいと言い始めた[1]。エンターテイメントとして扱いたいっていう、そもそもの発想はムネオハウスにある気がします。

あと確認してないですけど、東スポに載ったんでしたっけ?

*1 ・・・ 4月3日付け夕刊フジ記事「吉本が辻元を救う−常務がラブコール ムネオ似の坂田利夫とコンビ結成か!?」を参照のこと。

Lucky:

東スポに載ったらしいですね。東スポの方も「ムネオハウス」という形で取り扱ったというのを、また2ちゃんのスレッドで(笑)確認させて頂きました。

モーリー:

イベントは既に整理券が超過している感じ?

Lucky:

超過していますね。完全にイベントの方は私じゃなくて宮大工さんとumai bowさんが中心になって動いているみたいなんですけれども。再発行という形で。そちらでもやっぱり結構引きがあるというか、お客さんの集まりが良いと。予想以上ですよね。

モーリー:

お客さんの集まりが良いって言うことよりも、大混乱の一歩手前というか。

Lucky:

そうですよね。パニックですよね、ええ(笑) そういうのは起きそうですね。

モーリー:

(笑) この状況にあってね、宮大工さんとumai bowさんはどういう立場にいると思いますか?

Lucky:

そうですね、最初のやる規模っていうのは、逆に人が1人も来ないんじゃないか、来ても30人位じゃないかと。

モーリー:

30人っていう数字出てましたよね。

Lucky:

あの実数はどこから弾き出されたものかっていうのは微妙なんですけど。今までオーガナイズしてきた中で感じ取るのがそれ位だったんでしょうね。

だからその規模で考えていた事がいきなり300人、それ以上1000人来るんじゃないかと、それ位言われてる。じゃそうなったら自分たちは何をしようかと。整理が付かない状況じゃないでしょうかね。

--

モーリー:

ここまで話が広がってくると、かなりチームワークが芽生えていますね。

Lucky:

そうですね。2ちゃんねるじゃなんとなく珍しい光景というか。統制しようとするものを皆さん嫌うんですけど。自由奔放にやりたいというスタイルを出したいのに、1つの目標に対して忠実に混乱を起こさないように、茶々を入れないように仕事を進めているというのはすごい奇妙な感じがします

けど。これが2ちゃんねるのもう1つの良いところっていうのが出たんじゃないかなとは思います。

モーリー:

ドキュメンタリー作家の中野不二男さんっていう方がいるんですけど[2]、彼は第二次世界大戦中の日本人の心理というものをしばらく追跡していた時期がありまして。彼の通訳兼運転手を10年前位にやった事があったんですね。

*2 ・・・ Wikipedia - 中野不二男

Lucky:

(笑)

モーリー:

話を聴いたことがあったんですけど。彼はね、日本の第二次世界大戦における敗因というのは、日本側は精神論で、アメリカはあくまで合理的に、消耗戦の戦争の原理、つまり1日にどれくらいの飛行機や弾薬が消費されているかを考えついて、合理的に進めた。

一方日本の精神論者、所謂大本営がアメリカを真珠湾で攻めてそのまま一気にアメリカを乗っ取ってしまうと思い込んだ理由というのは、アメリカを視察した日本の官僚だとか軍関係者が「アメリカ人はみんなてんでバラバラでだらしがない」で「自分に意見ばっかり言っている」って言ってた。

Lucky:

2ちゃんねるみたいな感じですよね、今の。第二次大戦中の日本の軍部が見たアメリカ。

モーリー:

つまり第二次大戦前のナメてたアメリカ。

Lucky:

そうですね。舐めてるアメリカの姿。それがまさに2ちゃんねるって言っても良いんじゃないかと思えるようなお話しですね。

モーリー:

なんか、バスケットボールって、あんまりやった事ないんですけど、見ているとみんなブラブラして(笑) その都度自分の何をやれば良いかが、隙間を埋めるようにサッと誰かが入って行きますよね。あんまり縦社会じゃないというか。

そういう第二次世界大戦時のスクランブルのかかったアメリカに例えても良いし、バスケットボールチームのような。どんどんどんどんみんなで即興的な統一した流れを作ってますね。

Lucky:

そうですね。それがやはり今回のパーティーですよね。まぁ緊急事態ですよね、いわば。30人しか集まらないと思えていたようなものに300人、もしかしたら1000人とか膨れ上がった人間が来てしまう。じゃあこのパニックをどう回避しようか。

ムネオハウスっていうムーブメントっていうのは、曲が出来ていく、ジャケットが出来ていくそういうムーブメントと、イベント、お祭りとしてのムーブメントとの2本の柱が今走ってると思うんですよ。その1本の柱は、イベントがなければ何事もなく頂点を迎えて緩やかに下っていくようなもの、そういうムーブメントだと思うんですけども。イベントの方は目標が見えているんですね。

その目標に対して皆さんがパニックが起こらない、良いイベントを終了させよう。きちんとした祭りを上げたい。その祭りの過程を見たい。祭りの終末を見たいという盛り上がりの期待感がこういうスクランブル状態になってるんじゃないかなと、私は思うんですけど。

--

モーリー:

ここまで認められると、ムネオハウスは違った意味合いや違ったチャレンジを社会に叩きつけている事になりますか?

Lucky:

いろんな提示っていうのはできると思うんですよ。実際、名も無き音楽の作家さん、職人さんですよね、そちらが勝手にサーバに上げる。それを「こういう曲が出来たから聴いてくれ」と。それをみんなが勝手にDLして聴いて、色々批評する。「面白い」「面白くない」「これはこういうネタの方が良い」そういう声が出ながら曲が集まってアルバムになる。それでアルバムのジャケットはどうしようか。そうしたら「ジャケット俺が描けるから描くよ」と。そういうのが上がってジャケットが出来て、印刷品質のものまでアップされる。

モーリー:

ポイントで。

Lucky:

そのポイント、ポイントでそういうものが出てきて、ひとつの区切りになって。じゃあもう1回スタートに戻ってまた発進しよう。じゃあ10曲目で区切りだから、ここでまた区切って新しく始めてみよう。

そういう時に、話を戻しますけど、楽曲の提供であったりとかジャケットの提供、それをCDに直せる、モノとして残せるような形にして提供するっていうのは、商業レベルでも使えるんじゃないかっていう風に思うんですよね。このムネオハウスが商用で使える使えないっていうのは別だと思うんですけど、ハイ。

モーリー:

吉本興業の辻本代議士に対してマネジメントしたいと手を挙げたということは、なんか暗示的にムネオハウスが商用に耐える資源としてみなされているような含みは感じられます?

Lucky:

吉本興業さん自体が色んな物のエンターテイメントとして楽しめるんじゃないかという提案の1つとして、ムネオハウスというものが耳に入ったときに、代議士さんもキャラクターの立った人ならば、十分世間にエンターテイメントとして使えるんじゃないかと言う風な判断からこういうものが来るんだと思いますね。

モーリー:

ただし、さっきの比較に戻るんですけどね。言ってみれば元々はカオスとかガウスノイズのようにみんながてんでバラバラな、遊軍的な、北部同盟[3]というのもちょっとおかしな言い方だけど、「みんな適当に何でもやっちゃえ」みたいな人達が、急に団結した結果の強みっていうのが今回出てるわけですよね。

これに対してあくまで吉本のスタイルというのはこれマスゲームじゃないんですか?

*3 ・・・ 時期的にこの北部同盟はアフガニスタン紛争時の反タリバン政権勢力を指すと思われる。参考: Wikipedia - 北部同盟 (アフガニスタン)

Lucky:

そうですね。元々パワーを持っている。今ムネオハウスに関わっている人一人一人っていうのは全然普通の人ですし、パワーを持ってるというものでは無いですよね。いきなり吉本興業さんでしたら。テレビというマスメディアを使った展開っていうのもできますし。

モーリー:

マスメディアで一番強いとも言われてますし。

Lucky:

そうですね。

モーリー:

吉本に逆らえる人はテレビの世界にはいないと言われてます。

Lucky:

それでしたら良いところ良い時間枠で、キャラの立ったものを放送できるっていう強みってのはありますよね。こういうインターネットみたいなアンダーグラウンドな世界で動くのとは全然違った。

モーリー:

ただ、マスゲーム型の吉本興業がムネオハウスに手を出して、例えばここの関連で動いている人達に上手く個人的に接触してね、引っこ抜いたり。あるいは「君は覆面のままで良いから」と言って、アレンジャーや作曲家として、デザイナーであるとかを抜いて作ったとしますよね。それはこのインタビューシリーズの初期の頃に出てきた宮大工さんが言ってた事だと思うんだけども、「さぁこのサンプルをどうぞ使って良いですよ」っていう「良い子のムネオハウス」になっちゃうんじゃない?

Lucky:

その「良い子のムネオハウス」をやったときにじゃあ誰が食い付いてくるんだ、と。

モーリー:

その他一般の90%の人口とか。

Lucky:

そうですよね(笑) 一般の人はクリエイティブなところを刺激されるかというと、すごく刺激されないと思うんですよね。

与えられたものをそのまま食べてるだけじゃ物足りないっていうところからこういうムネオハウスみたいな事ってのは出ていると思うんですよ。自分たちで勝手に加工できる、やりたい放題できるっていうメリットがあったのでこういうムーブメントになったんだと思いますし。

モーリー:

そうすると・・・ 質問の仕方が微妙になってくるんですが、ムネオハウスっていうクリエイティビティを支えたり発揮したりする事で利益が生じる事があってはいけないとおもいますか?

Lucky:

私はそれはあってはいけないと思いますね。ムネオハウスっていうの自体はダジャレですから。それをどれだけ自分の中で盛り上がって。対価を求めないってことは自分の盛り上がりですよね。マスターベイションみたいなものですよね。自分が気持ちよければ良い。そこに更に周りが付いてくれば、もっと大きなものになって、今のムーブメントみたいになるわけですよね。

モーリー:

一時、お言葉をLuckyさんに返すようなんですけど、マスターベイションっていうのはムネオハウス以前のガウスノイズであるところの2ちゃんねるなんじゃないでしょうか。

Lucky:

あ、確かに。そこで発散してるものなのかもしれません。

モーリー:

つまり初期衝動はそうだったのかもしれないけど、今はスクランブルが掛かっていて、何らかの変異が起こってるわけですよね。この状態は良いわけでしょ?

Lucky:

そうですね。良いように動くとは思うんですけど。実際これはイベントがあるからこういう風な事が起きるわけで。じゃあいろんなメディアが食い付いてきて、これを商用で使おうとしたら、まず職人さん達の引き抜きであったりとか、ジャケットをやるデザイナーさんの引き抜きが始まったりするわけですよね。

その時に、その人達が抜けていけば抜けていくほど体制が分かれていきますよね。メディアに擦り寄った側がメジャーになって好きになる人もいれば、「俺は昔のアレが好きだったんだ」と。「今のメジャーなのは見てらんない」とか言うような人も出てくるわけですよね(笑)

--

モーリー:

Luckyさんが今まで一番心奪われた作品はどれですか?

Lucky:

やっぱり「dj battle」がすごい良かったんですけど、その後5枚目の「Usodayo」とか、あれはバックグランドの声の加工の仕方であったりとか曲の展開とかすごい完成度が高いなぁと思って。あそこは最高峰だなと思ったときがありました。

モーリー:

ジャケットは?

Lucky:

ジャケットは2ndが大好きですね。ムルアカさんとの顔。イラスト調のタッチのやつですね。あれがすごい好きです。

モーリー:

最近、音もジャケットも洗練の傾向が・・・ ていうか変な話、マスコミでブレイクするのとほぼ時期を一つにして、マスコミの紹介の水準を上回る作品が出てきつつあるのよね。

Lucky:

そうですね。それまでのちょっとバタ臭いっていうか、インディーズっぽい、アングラっぽい流れより、洗練された曲っていうのが。逆に自分としては寂しいところがあるかなぁと。商用にすぐ乗っちゃうかもしれないっていうレベルのものが出来てしまったっていうのが、商用も喰い付きやすいところなんでしょうね。

モーリー:

あの、カリスマティックな関係のボーカリストだった人が、バラエティショーの司会者になる、そんな感じ。

Lucky:

あ、そういう感じですね。牙抜かれちゃったみたいな(笑)

--

モーリー:

ムネオハウスがこれだけ急速に、本当に爆発的に、ファイル転送を通じて、それとスレッドとの絡みですよね。幾つかの要因がありますよね。目に訴える視覚の方面、聴覚、活字っていうかスレッドだよな(笑)

Lucky:

そうですね(笑)

モーリー:

マルティメディアの展開を最初からしたのよね。あの、ADSLとかそういう環境に激しく依存したものだと思います。

Lucky:

そうですね。今一番環境的に、昔の336とか、ちょっと前の56であったりとか・・・

モーリー:

何なんですかサンサンロクとかゴーロクとかって。

Lucky:

転送速度なんですけど。56k(bps)であったりとか33(kbps)ぐらいの。

モーリー:

ISDN以下?

Lucky:

そうですね。今言われるところのナローバンドですよね。それの8倍〜10倍、それ以上の接続環境があると。そうなると2-3MBのファイルだって3分とかで落とせるわけじゃないですか。1曲3分で落とせるのと1曲30分掛かって落とすのでは、やはり広がり具合は全然。

モーリー:

それで先ほど言った、ちょっと腹黒い系のITの「音楽ダウンロードで君もデビュー」会社ね。幾つか代表者に会ったことあるんですよ。であんまりに意識低いんで、エンガチョ(笑)

Lucky:

(笑)

モーリー:

しちゃって(笑) 絶対関わってあげないみたいな。それでね、その時代ってISDNが最速だったの。だから1曲を根性でえっちらおっちらDLして、しかも電話代 + 従量制の通信費 + 課金、三重に収める奴がいるんじゃないかっていう期待のもとに作られたモデルだったからあっという間にポシャったのよ。ザマァ見ろだったんだけどね。

Lucky:

ええ。

モーリー:

でも、今だとあっという間に。速いときは、うちはADSL8Mなんですけど、1MBが1.5秒ぐらいかな。

Lucky:

速いですね。自分ところは下りだと600(kbps)位なんで。それでも昔に比べたら凄い早かったんで気楽にDLできますし。すぐ落とそうと思って、自分の中が盛り上がってる間に落ちてきて、それを聴いて大笑いして、またレスを返すと。そういう早いレスポンスが返せるんですよね。

モーリー:

だからインフラ全体が質が上がっていることが、ムネオハウスを支えるマストの部分ですよね。

Lucky:

そうですね。やはりインフラが整ったっていうのが、ブレイクスルーを早くしたっていうのはあると思います。

モーリー:

それから物理的な部分で。CDを焼いてる人。CDを焼く速度も上がってるということもやっぱり隠れた要因でしょうか。

Lucky:

そうですねぇ。CDを焼くっていうのはやっぱり大量生産になっちゃうんでしょうけど。個人で焼くレベルでも今まではCD-DAだとどうしても等倍で焼かないと音飛びしちゃうとか音の劣化が激しいとか言われているんですけど、4倍、8倍、10倍とかで焼いても普通に聴ける。そうなるとやはり気軽にCDも作れますし。そういうのが大きいと思います。

モーリー:

より細かい要因になるんですけど、例えばiPodのようなmp3プレーヤーの普及も絡んでるとおもいますか?

Lucky:

そうですねぇ。やはりmp3プレーヤーはPCと連動して使えますんで。今楽曲がmp3で配信されてますよね。それを直接自分で編集してマイ・ベストで毎日通勤で聴けると。そうなるとやはり音楽が身近になりますよね。

--

モーリー:

これだけ転送速度が早いと、かつてISDNの時代というのはね、曲をDLする待たせ時間が大変だったから、リアルオーディオのストリーミングで行こうとか。あとQuicktimeもISDNのレベルでなんとかして小さな映像を動画を届けたいと。あんまりナローバンドだとQuicktimeは上手くいかないような・・・ ボロボロですよね。音なんか変なエイリアス起こして、ガリガリになるし。ところがブロードバンド化し始めますと、ファイルのDLもとても早いし。例えば映像作品を15コマ/秒ぐらいで動かしていても、相当の大きさのものを・・・ 今はフラッシュが中心だけども、例えばノンリニア編集でQuicktimeムービーとかを作っても、今だったら見るに耐える速度で。

Lucky:

スピード自体は問題ないと思います。そうなると作る技術者の問題になってきたりするんでしょうけど。実際Premiereとかの動画ソフトですよね。

モーリー:

After Effectsとか。

Lucky:

そういう感じで(笑) 今Flashが一番軽いからナローバンドの人も安心して見せれるっていうとこもあるのであれを使うんでしょうけど。それ以外でもやっぱり映像ですよね、そちらを使ったPVとか、自分で作り出す人が出てきてもおかしくない。

モーリー:

見ていて、今のところは音楽とちょっと軽めのPVのフラッシュという感じがするんですけど。これやろうと思えばね、TVのソースをサンプリングしたりVJしたりして、レンダリングをかけてしまえば、TVの動画そのものをVJ素材にしてしまえるとか。今は静止画コラージュじゃないですか。それを動画コラージュにあっという間に出来るというか。あの日テレの奴見ました?

Lucky:

見ました。あれはすごく笑えましたよね。フラッシュとカット割りは一緒なんですよね。

モーリー:

一緒なんだけど・・・ あれ多分ね、僕取材を受けたときに隣にノンリニアのAvid[4]の編集室があったのね。だからAvidでやったんじゃないかなと思うんだけど。

*4 ・・・ アビッド社のノンリニア映像編集システムの事。参考: Wikipedia - アビッド・テクノロジー

Lucky:

なるほど。そうなるとやはり、なんでしょうねぇ、本格的なものができると。

モーリー:

職人的立場の言い方なんですけど、あれって見てて程度とか甘く無かったですか? 全部なんかクロスフェードとかディゾルブばっかりて。もっとフラッシュってガガガガガッって尖ってるのに、そういう尖った編集が無くて不満に思わなかった?

Lucky:

そうなんですよ。逆にシュールさが出ないっていうか。そのまま動画をキレイなコマで流されると、どうしてもガガガガっていう切るっていう、アレが。

モーリー:

だから興味深いところが2つあったのね。1つはそうやって丸まっていく姿があたかも「良い子のムネオハウス」を暗示しているみたいだった。もう1つは、なんだっけな・・・ 忘れちゃった。ゴメン、1回止める(笑)

--

モーリー:

はい、何となく思い出しました。多分言いたかった事はこうだと思います。要するにFlashのガガガガッていう急激な動きですよね、ノンリニアな激しいカット、そういうモノのほうがムネオハウスのような企画性というか相性が。VJっぽいっていうの?

Lucky:

そうですね。VJっぽいっていうか、やはり音楽とシンクロした動きが。

モーリー:

思い出したゴメン(笑) 清美議員の言葉がシンクロした動画流れてませんでした? つまりオリジナルのソースを日テレが持ってるから、彼等しかできない事だったわけで。

Lucky:

ですよね(笑) ムネオハウスのサンプリングされてるものと元の動画が一緒に流れているという。

モーリー:

著作元が反撃(笑)

Lucky:

反撃ですよね。最後アナウンサーが「こちらで画像を編集して作ったものです」って言ったのも、その辺もあると思います。

モーリー:

「こちらがそもそも著作権を持っていたものです」って言いたかったのかもしれないね。

Lucky:

主張したかったのかもしれませんね。

モーリー:

だけど、逆に言うと、職人さんの中にはもしかして仕事でAvidやAfter Effectsの編集やウェブデザイナーとか手掛けている人もいるわけで。最近のちょっと高度な方のVJソフト、例えばMotion Diveよりも上級ソフトになってくると、レンダリングオプションなんかあったりするんですよ。

だから、例えば動画をまるごと動いたままサンプリングして、それをダダダダダっという風に出すことも可能なんじゃない?

Lucky:

なるほど。じゃあそういう技術まで使えてかつサイズも抑えられれば、今までずっと言ってるブロードバンド配信ですね、それに載せてまた1つのブレイクスルーになると思いますね。

モーリー:

ブロードバンド配信でのみ可能になるオルタナティブなラジオというかテレビという事?

Lucky:

そうですよね。今まででしたら独立のミニFMみたいな世界が。ミニTVですよね。電波を使わないテレビみたいな感じになって。動画を中心とした。じゃあこの動画を見てまた書込みしたらリアルタイムなコミュニケーションが取れると。そういう形になっていくんじゃないかなと。それは凄い広がりが出てくるんじゃないかなっていうのは思うんですよね。

モーリー:

媒体が第一次の爆発、要するに社会に認知される、そしてそれによる目新しさの混乱。これが多分祭りと共に1回収束すると思うんですけど。その後でですね、一種の課題みたいなものが見えてくるような気がするんですよ。今WinMX中心ですよね。っていうのはmp3を載せるとデリートがかかるっていう。

Lucky:

そうですよね。Yahoo!のブリーフケースでも・・・

モーリー:

ヤフ鰤(笑)?

Lucky:

ヤフ鰤ですよね、所謂(笑) それも結構ヤバいみたいですよね。

モーリー:

Yahoo!は自分たちでカテゴリに登録しておきながら、メディアそのものは削ってるわけ?

Lucky:

そうなんですよね。だから担当してる人の差が出てくるんじゃないかなぁ。

モーリー:

あぁ分かった。下の方の人は「やれ!やれ!」で、上の方の孫正義さんに近ければ近いほど「けしからん!」と。

Lucky:

転送量がかかっちゃうっていう。今までのカテゴリ作ってリンク貼るだけだったら転送量はそんなにかかりませんよね。でもファイルを置いてそれをDLする、そのまま聴かれるとなると、転送量がかかっちゃう。そういう問題も出てきているんじゃないかなぁ、なんていう憶測は出てきますよね。

モーリー:

じゃあ、そういう次の物理的なインフラとかシステムのハードルが起こってきたときにね、そこに対して企業で手を挙げてくるところが出てくると思うんです。既に新しいリンクの中で、CD-R社が一個本社ホームページから僕のところにリンクしてるんですよ、ムネオハウス関連で[5]。それはAppleの「Rip. Mix. Burn」[6]ってあったでしょ。あぁいう感じ。「これからは新しい世代が自分たちでmp3を自在に使いこなすんだ。このムーブメントに乗り遅れるな。そこで我が社のCD-Rを買え」(笑)

*5 ・・・ モーリー氏のサイトへのリンクだったため、どこの企業がやっていたか確認取れず。
*6 ・・・ 2001年のAppleが展開したiTunes広告のキャッチコピー。参考: Wikipedia - List of Apple Inc. slogans

Lucky:

なるほど(笑) 販促に繋げようという形ですね。やっぱり商売ですから、お金につながる事を。こういうホームページ使った事で一番悩みの事は、どうやってお金を取るかっていうところで。ホームページは元々助け合いみたいなところから出てるんで、無料が当たり前。i-modeは逆に同じコンテンツなのに月額300円払わなきゃいけない。

そういうスムーズにお金が取れる仕組みができているのに、ホームページというかインターネットじゃ出来ない。そこのところを突きたいんでしょう。

モーリー:

infoseekのバナーを100回ぐらい見てる人いると思うんですよ今回(笑)[7] それって告知効果あると思う?

*7 ・・・ infoseekの無料HPサービス「iswebライト」を使ったミラーサイトが多かったため。同サービスは2010年10月で終了した。

Lucky:

どうでしょうねぇ。そういうのはあるものだと思ってるから、目に入らないから、広告効果としては非常に薄いと思います。

モーリー:

頭の中でモザイクかかっちゃってるんだよね(笑)

Lucky:

そうなんですよね。勝手に切った映像が見えるっていう。

モーリー:

そうするとね、ケーブルテレビの発想に近いのかもしれないけれども、例えば光ファイバーを敷く上でこういったシーンというのはプッシュするコンテンツに足り得るんでしょうか。それともやっぱり無法すぎるでしょうか。例えばNTTが見た時に。

Lucky:

あぁどうでしょうねぇ。ムーブメントとしてはすごいアンダーグラウンドな事かもしれませんけど、やっぱり楽曲を作ってそれを流してそのジャンルが盛り上がるっていうのは何にもオカシイ行為では無いと思いますし。企業が食いついてきて、じゃあ「良い子のムネオハウス」にして(笑)「みんなで儲けよう」という発想になるのもおかしくはないと思います。

モーリー:

ムネオハウス放題で月々1000円とかの光ファイバーサビス。

Lucky:

そんなサービスができるかもできませんよね、極端な話。

モーリー:

WAP[8]かなんか使った屋内ファイバー無線、みたいな?

*8 ・・・ 携帯電話のデータ通信方式、Wireless Application Protocolの事。参考: Wikipedia - Wireless Application Protocol

Lucky:

(笑) そうですね、そういう。あとは屋外に出た時も。

モーリー:

モバイルで車の中でも新幹線の中でもムネオハウスが聴けますとか(笑)

Lucky:

そんな感じで。それをメディアとしてどこかが一つ握って配信する。

モーリー:

吉本が?

Lucky:

そうですよね(笑) そうしたら・・・

モーリー:

吉本Yahoo!みたいに合併したりね。資金繰りの問題で。

Lucky:

それで儲かれば動くんでしょうね。ええ。

モーリー:

そしたらYBBじゃなくてYYBになりそう(笑)

--

モーリー:

ムネオハウスに関わっている当事者っていうのは、「2ちゃんねる meets マスメディア」ということで、非常に緊張感を感じていると思います。これが参加者にとっては大きな事件なんですね。

一方で国際社会、外の世界では、アラファトさんがピストルを持って議長室に立てこもってる状態で、凄いことになってますよね[9]。しかもそこにフランス人のリーダーが入っている平和団体が入って人の盾を作ってアラファトを守っているとか。それをイスラエル軍が威嚇発砲しただの、日本人もちょっと撃たれたとかそういうニュースが流れていて、凄いことになってるんですよ[10]

例えばそういう政党に属さない団体が、ムネオハウスにヒントを得て真似する可能性ってある?

*9 ・・・ 2001年よりイスラエル軍に議長府が包囲され、軟禁状態にあった。
*10 ・・・ 2002年3月31日よりISM/国際連帯運動のメンバー50名が議長府に入り人間の盾を形成。参加していた日本人女性がイスラエル軍の銃撃で負傷した。

Lucky:

どうなんでしょうねぇ。元々言ってるように政治的な意図の全くないパロディーのものなので。じゃあそれを利用してメッセージを載せようとなったときに、今まで聴いてた人はどんな反応を示すかっていうのが全然分かりません。

モーリー:

私の嗅覚みたいなもんなんですけど、ヨーロッパの人ってこういうのを使って与党を批判したり、イスラエルの問題を面白おかしく流すようなコラージュ、ムネオハウスの形式を真似た、でも意図は政治的な指摘あるいは糾弾みたいな媒体が流れたときに、面白がってワーって沸騰するような気がする。

Lucky:

その辺は国民性であったりとかお国柄の違いが出ちゃうんでしょうね。国情に不安がある、政治に対して民意で何か言いたいというときにそういう音楽を・・・

モーリー:

言わせてもらえない。アラブ圏だったら新聞の編集長が虐待されるわけですよ。ちょっとでも時の為政者というか支配者側に批判的な事を書くとすぐ焼き討ちにあったり銃撃されたり凄いわけね。熱いわけ。

Lucky:

ですからそういうときにムネオハウスのみたいな形で、アンダーグラウンドで批判するものであったりとかを世界に向けて流して、外から国を懐柔してもらうみたいな感じになるっていうのもあるかもしれませんよね。

モーリー:

ポルポトテレビ?[11]

*11 ・・・ ポル・ポト派がカンボジア国内で行なっていた地下ラジオ放送になぞらえていると思われる。政権批判、UNTAC批判等のメッセージが流されていた。

Lucky:

ポルポトテレビで(笑) でもまぁ極端な話、ここまで考えている人ってのはモーリーさんぐらいしかいないんじゃないかって思うくらい、ムネオハウスに関わっている人は自分たちの祭りをしてただ消化してるだけのような気がするんですよね(笑)

--

モーリー:

えー、日本社会は放送・報道はNHKを頂点として、電波はヒエラルキー構造があります。そして出版社、新聞側にも大手がいて、そしてマイナーがいて。あんまり違わない事を、ちょっと違うんだけども本質的に相容れないぐらいの葛藤というのは放送や活字媒体の中には無いんですね。だからある意味で日本スタイルなんですけど、みんなで示し合わせる。

例えば、与党に三党が寄り合い所帯で、お互いだいたいの事においては口裏を合わせる。この口裏を合わせる、つるむっていう方式が採用されているのね。で、何が言いたいかっていうと、そうすることによってメジャーを作り上げる。そしてそれぞれの媒体、報道であれ政治的な意思決定であれについて独占するわけですよね。そういう形態っていうのは日本社会のあっちこっちで定着してるわけだな。戦後五十年以上。

それに対してムネオハウスのスタイルっていうのは水平方式で、何がどう起こっても不思議じゃないし。加えてですよ、報道の独占、それは確かにチャンネルはいくつもあるしNHKと民放とで別れますよ。だけども事実上そっちで仕切っているものに対して、それをくすねてきて別の形に出し、それを延べ20万人の人が見たりするっていう事は、自分たちの意図を超えたところで独占に対する挑戦なんですよ。

その反動というか影響を考えた事ありますか?

Lucky:

私自身はそういう影響を考えた事は全然無いですね。ですけれどもこのムーブメントが広がっていくにつれて色んな事を考える人が当然出てくると思いますし。

私自体考えると、ムネオハウスというものはじゃあ何なんだと? と。最初はムネオさんの発言を中心に作ったものがムネオハウスと呼ばれたものなんですけど、だんだんムネオさんもメディアに出てこなくなって素材が無くなってくる。じゃあ素材の使い回しで、音楽的なクオリティの高いものができているんだけど、じゃあムネオハウスとしてはどうなんだっていうのが、私の悩みというか。だから音楽シーンとしてのムネオハウスなのか、何かの大きな運動、ムーブメントとしてのムネオハウスなのか、どっちなのか悩んでるんですね。

モーリー:

似たような立場に10年前ですけどパブリック・エネミーが立っていたのかもしれません。

Lucky:

ええ。パブリック・エネミーなんかも普通にラップをやってるだけのミュージシャンっていうのか、それとも反体制というか。今の政府であったりに対してずっとメッセージをずっと投げかけてる感じっていうのもありますしね。

モーリー:

スパイク・リーはまさにそういう意味で"職人"に匹敵する立場なのかもしれない。スパイク・リーが「Do the Right Thing」[12]でベッドフォード・スタイベサントというニューヨークの地区、郊外のちょっと貧しい部分で、黒人vs白人の暴動が起きるんですよね、ピザ屋さんで。そのときのサントラが「Fight the Power」だったんですよ。それから2年後ぐらいだったかな、「マルコムX」[13]を録るんですね。今度は大きなお金を集めてきて。「Do the Right Thing」がヒットしたので。その後で社会的にアフリカ系アメリカ人の意識がグワっと高まって、ロドニー・キング事件があったときに、それをテレビが煽った事もあって、ロス暴動へと発展した経緯は覚えてますよね[14]

*12 ・・・ 89年公開。参考: Wikipedia - ドゥ・ザ・ライト・シング (映画)
*13 ・・・ 92年公開。参考: Wikipedia - マルコムX (映画)
*14 ・・・ 参考: Wikipedia - ロス暴動

Lucky:

ええ。

モーリー:

変な話、何年か前の映画のサントラだったのにも関わらず、ロス暴動の間中、黒人系のFM曲は「Fight the Power」を流してたらしんです。

Lucky:

それと、本当同じようなケースになってもおかしくないだけのコンテンツの洗練された魅力っていうのはありますよね。この曲自体が盛り上がって政治意識が上がる人もいるかもしれませんし。また今の政治家、国会に変な動きがあったときに、聴いてる若い世代・・・ 多分10代後半から20代の方が聴いてると思うんですけど、そこが政治に対してモノ申すっていう。

モーリー:

30代も一杯聴いてるような気がする。書込み見てるとそんな気がする。

Lucky:

(笑)

モーリー:

だって家族サービスしてるんだもん。車を洗いながら聴いてるとか。

Lucky:

そうですね。私ももう30代に近いんですけど(笑) 政治意識というのにまで繋がる可能性もありますよね。逆に全然繋がらないかもしれない。

モーリー:

あのね、ここで僕が気付かされている事なんですけど、まさにさっきLuckyさんが仰ったお国柄の違い、ヨーロッパだったらこういったものはもっと激しい政治性を帯びて、それもジョークとして流通する。それに対して、日本の場合は、あくまで政治性が無いんだと主張するけど、すればする程マスコミが政治的な、社会的な事件へと持っていく図式もちょっと見えてますよね。ところが思うにね、日本のお国柄とやらが一番異端的なんじゃない? 珍しいんじゃない?

Lucky:

ですね。「世界の常識は日本の非常識」って言われるくらいの。日本の、良いように言えば独自性ですね。

モーリー:

つまりこういった政治パロディーネタが「政治性がないんだ」「社会性が無いんだ」って主張する根拠そのものが日本の特殊性なんじゃない?

Lucky:

ですよねぇ。こういうもので茶化して政治家が悪いから辞職しなさいっていうムーブメントに持って行きたい、と思わない方がカッコイイと思って作ってるっていうのもあるんですよね。

モーリー:

スカしたい、と。

Lucky:

ううん・・・

モーリー:

それがある意味でパブリック・エネミーのスタンスと、環境も違うんだけど、発想の原点が違う気がします。

Lucky:

そうですね。やはりもうパブリック・エネミーと一緒に考えるっていうのは絶対無理でしょうね。根本的な、黒人として今まで生活してきた中で受けた・・・

モーリー:

陵辱っていうか。絶対良くならないもん。黒人の生活って。殆どの人にとって。

Lucky:

それを我々日本人で、

モーリー:

ぬるま湯(笑)

Lucky:

不況だって言ってもご飯食うお金には困らないし、快楽を求めるものはそこら中に転がってるし。

モーリー:

ですよね。

Lucky:

それだけの差はあると思います。ですから私は見えない階級で縛られてる人間だったらこれを政治運動の一つに使って何かやってやろうっていう発想になるかもしれませんよね。

モーリー:

レゲエにしても、ジミー・クリフにしてもボブ・マーリーにしても。

Lucky:

ええ。その辺も自分の今までの階級社会みたなところから解き放たれるために音楽を使って行ったわけですよね。

モーリー:

ヒップホップにしろ何にしろ、ハウス・・・ デリック・メイでしたっけ? 誰だっけハウス始めた人? ゴメン、あんまよく分からない(笑)

Lucky:

私もちょっと・・・(笑)

モーリー:

あぁん、みなさんゴメン(笑)

要するにビートものの、テクノ全般を扱ったドキュメンタリー映画を去年観たんですけれども、その中で出てきたのが、デトロイトの生みの親側の人が、80年代のデトロイトは荒涼たる風景でアフリカ系アメリカ人にとっては全くノーフューチャーな世界。未来が良くならない。だから別のビートの、ちょっとサイエンス・フィクションな世界へと逃避したい。その衝動が初期の機械的なビートには凄く共鳴しあってたんだってことを言ってましたよ[15]

*15 ・・・ 98年公開のドキュメンタリー映画『Modulations』の中でホアン・アトキンスやデリック・メイがこの旨の発言をしている。

Lucky:

なるほど。そういう押さえつけられたものとビートがクロスオーバーしたときに、凄い物が出来上がる、ブレイクするっていう。ムネオハウスに対してはそれだけの一緒に共鳴できるような物ってのはなかなか無いと思うんですよね。

モーリー:

共通の「やられた!」っていう感じとか。悔しさみたいなのが。

Lucky:

停滞感、濁った何かが。「これを解き放ったら我々は素晴らしい世界に行けるのに」っていうような感覚も無いんですね。やはりダジャレのお遊びですから。ハイ。

--

モーリー:

Luckyさん最後に、ムネオハウス、お祭りが2日後にあるんですけど。そこをクライマックスとして、その後どうなったら良いとおもいますか? 個人的に。

Lucky:

個人的には今回イベントに関わった人以外がシーンを盛り上げていく。イベントをやるにせよ。あとは音楽に還元する、ですよね。今までハウスミュージックって言われるものであったりとか、テクノと言われるものを耳にした事がなかった人が、こういう形で耳に入って来てるわけですから。テクノの人口を増やすっていう意味でも良いムーブメントになったんじゃないかと思うし、これからもなる可能性が非常にあると思います。

モーリー:

テクノにしろヒップホップにしろ、「マルコムX」を含めた白人黒人の葛藤なんかが背景になって育ったっていうそもそも発祥がありますよね。レゲエなんかも、一説によるとね、AM放送でルイジアナやテキサス周のカントリーが、ジャマイカは、キューバの横にある島なんですけど、そこで入ると。それを真似しているうちにレゲエが出来ちゃったらしんですよ。裏打ちで。そこに思想性を持ち込んだ時点で爆発して独自の音楽になったんですね。

で、僕が拘っているのは、そもそもヒップホップ、テクノ、ハウスの動きっていうのは、そういう社会性、階級の問題、矛盾に対して解放を求める精神的な運動の面があるのね。なのにヒップホップやハウス、テクノの、形の、耳障りの部分をスコーンとそこだけ衣のように入れて、そこに政治家をコラージュして「政治性はありません」って言ってるわけ?

Lucky:

うーん(笑) やっぱりネタですよね。今まで代議士さんでキャラクターの立った、ハマコーさんであるとか沢山いたんですけど。やっぱり「ムネオハウス」というものが出た、そこがもう全てなんですよね。ですから今は一人歩きしてるところがあるんで、じゃあこれを色んな形の音楽とごった煮に並べて色んな物から昇華されて「ムネオハウス」というジャンルが出来てもおかしくないですし。そういう伸び方ってのもあると思います。

備考

記事起稿日: 2013年4月4日

音源を提供して頂いた皆様に深く感謝致します。

2013-04-03 (Wednesday)

2002年4月3日公開「季節の外でPro」ムネオハウス特集第7回(ゲスト: 1774) インタビュー全文

11年前のこのインタビュー音源の文字起こしになります。

この音源の一部が2002年4月15日に放送されたJ-WAVENOMAD CITY ザ・モーリー・ロバートソン計画』で使われ、その編集のされ方・使われ方に対するスレッド住民の反応、及びインタビューされた1774さんの感想がスレッドに残っています。合わせてご参照下さい。

前書き
  • 編集点、楽曲の挿入箇所に"--"で目印が入っています。
  • 可読性を高めるため、句読点の付加、重複表現の省略、体言止めの修正等の変更が加えてあります。
  • 脚注は2013年3月時点の情報に基いています。
  • インタビューを受けた方のプライバシーに配慮し、音源の直接公開は当ページでは行いません。

モーリー・ロバートソン (以下、モーリー):

とーっても暑いイベント3日前の東京都内。またもやブクロでムネオハウス関連者にお話しを訊こうと思います。今日お話しを訊く相手は1774と書いて「イチナナシ」さんです。どうもこんばんは。

1774:

こんばんは。

モーリー:

1774さんはこういう取材を受けるのは久しぶりですか?

1774:

すごく久しぶりなんですよ。

モーリー:

最後に受けたときはどういった内容だったんですか?

1774:

あの、放送部だったんで。

モーリー:

放送部? ほほー。 じゃ放送部でマイクに向かって喋って。校内放送?

1774:

そうですね。

モーリー:

キンカンコン♪カンコンキコン♪ そのときを思い出してやれる?

1774:

「5時45分になりました。まもなく下校の時刻です。」

モーリー:

上手いじゃないですか。この調子で(笑) あの1774さんが最初にムネオハウスに触れたのはどういうきっかけでした?

1774:

一番最初のスレッドが建った朝に実は会社からこっそりとROMをしておりまして。

モーリー:

2ちゃんねるを。

1774:

はい(笑) で当時テクノ板に私は常駐していたんですけど「アホなスレがあるな」と、発見しまして。で、覗いてみたら丁度>>1が叩かれているところだったんですね。

モーリー:

>>1っていうのは最初の発言者の鈴木元祖1みたいな人?

1774:

そうです。鈴木元祖>>1さん。一番最初の発言者の。

モーリー:

あの人なんか最近アホの坂田みたいなのに徹してますね。

1774:

凄くカワイイので好きです。私ファンです(笑)

モーリー:

そうなんですか。それを見て実際に曲が上がってくるまでの時間差はどういう風に関わってたんですか?

1774:

曲が上がる前に数日あったんですけど、その間に・・・ 駄スレだったんですね正直。そしてそれをネタとして盛り上げていく人達が出て来まして・・・

モーリー:

それでなんて言うか・・・ あ、まだアガってる(笑) 大丈夫ですよ。アガっていいの。だって、アレじゃん。個人放送だし。あ、でも個人放送でも放送部に比べるとサンショーシュー・・・ゴメン(笑) 参照数が。こっちもアガってきた(笑) 参照数が多いんだよね。

よし、じゃあ一息入れて2人でリラックスしてもう1回。

--

モーリー:

さぁお互いアガっています。再度チャレンジをして個人発信をしましょう(笑) 1774さんこんばんは。

1774:

こんばんは(笑)

モーリー:

1774さんはかつて学内放送放送班でやっていらっしゃいました。そのときの夕方の時報を言ってみて下さい。

1774:

「4時45分になりました。マク・・・まも・・・」あああ(笑)

モーリー:

マクロメディア?(笑) もう一回いこう!

1774:

「4時45分になりました。まもなく下校の時刻です。」

モーリー:

良いですね。「荷物をまとめて帰りましょう」という感じで。えっと、2ちゃんねるのスレッドには当初から関わってらっしゃったんですよね? テクノ板の方で。それで、ざっと見渡して今は17〜18だっけ?

1774:

今・・・、17ですね。

モーリー:

すごい数。もうすぐ2万発言に達するところじゃないですか。こんだけ大きくなって、しかもマスメディアの方で露出が始まって。どうですかこれを見渡して?

1774:

なんかもうガラスの向こうから世界を見てるようか感じになってきちゃってるんですよ。

モーリー:

当事者っていうよりも、何か動きがあってそれを傍観してる感じ?

1774:

余りにも周りのスピードが速すぎて付いて行けなくなって来つつあったりとか。自分達がやっている事と周りの時差みたいなものが感じられてきて。

モーリー:

その「自分達」っていう意識も、ドライアイスが昇華して気化しちゃうみたいに、どこまでが「自分達」か分かりづらくなる部分ないですか?

1774:

時々一つにグッとまとまる事があるんですけど。

モーリー:

特に外からの圧力、外圧があったときに、急に内部で?

1774:

そう。何かがあったときには急に「俺達は!」っていう気概が出てきちゃうんですよね。

モーリー:

例えばTBSで「ムネオ"ラップ"」として紹介されたときに、自分が侮辱されたように怒った人が一杯いた。

1774:

私も怒りました(笑)

モーリー:

やっぱり本当に悔しかったですか?

1774:

あれは圧力みたいなものを感じましたね。「マスコミ弱いよ!」みたいな。

モーリー:

マスコミがどうしてムネオハウスをムネオ"ラップ"と言い換えなくてはいけなかったのか。勘でも良いんですけど、どうしてだったと思いますか?

1774:

2つあると思うんですよ。1つはムネオハウスっていうもの自体が、本物のムネオハウスのですね。本物と言って良かどうかも分からないですけど。

モーリー:

施設兼宿泊所の方ですね?

1774:

ええ。そちらの方のムネオハウスと混同しないようにするというのが一つ。もう一つはやはりあの・・・ ハウスミュージックっていうのがマイナーなんでしょうね。

モーリー:

まりマスコミの方で"ハウス"と言ってもそれをウケてくれる人が一般にいないから、それに配慮して"ラップ"という言葉だったら認知されてる、という風に思った。

1774:

そうですね。ラップだったらパラッパラッパーみたいなゲームもありますし。

モーリー:

他の力で取り上げられたようなそんな感じだったんですか? 何が犯された気がしたんだろう?

1774:

ムネオハウスとハウスミュージックを掛けて、洒落でムネオハウスっていう音楽が生まれたんですよ。なのでもう、スレッドを一から否定されたような感じがするんですよ(笑)

モーリー:

スレッドにアイデンティティがとっても強いわけですよね。

1774:

もう既に生き物のような気がします。

モーリー:

あぁ、家族のような。

1774:

そうですね。時々波が来たり静まったりとか。

--

モーリー:

マスメディアの、特にテレビやラジオ、新聞の大メディアね。権威を持ってて政治家と対等な立場、あるいは提灯持ちの立場にあるメディアの方が全くインターネットを捉える事ができない。

だから取材するときも、取材しているディレクターや記者さんがチンプンカンプンになってるんじゃないかなと思うのね。

1774:

だから無法地帯になっていて、こちらも遊びやすいというのも今まであったんですけど。急に注目されるようになって、気を使わないといけなくなって来たのかなという流れがやっぱりあります。

モーリー:

TBSに続いて日テレという風に、テレビではかなり大きめの朝のワイド番組なんかで全国に露出してしまいました。

その結果、2ちゃんねるで読んだり書いたりしている今までの対話というのは何か変わりました?

1774:

そうですね・・・ 今度のイベントの主催者側の方々とかは発言に気をつけているんじゃないかと思います。無難な事を・・・

モーリー:

無難な発言が目立つようになった?

1774:

そうですね。私もあまり荒れると「みんなちょっとマッタリしようよ」と水を刺したり。

モーリー:

マスコミがいなかったら面白がって荒らす方?

1774:

いえ、そうでもないんですけどね。新曲も聴きたいですし、やっぱり板が荒れていると作者さんの方も出しにくいんじゃないかっていう。

モーリー:

なんかマスコミに対してスレッドが読まれてるっていう意識があると、全員がマスコミ人的になってく? なんか歪みが生じるような気がする。

1774:

うーん、そうですね。もう既にコテハンの皆さんっていうのは・・・ 何て言うのかな、アイドルみたいになって来ちゃってますし。私はそれは別に良い事でも悪い事でもないと思いますけど。

ただ、それで注目されてる事ってのを忘れないでほしいんですね。

モーリー:

誰に?

1774:

勿論名無しの人達にも、あとマスコミの人達にも。名前が出てるってだけで注目されますから。だから・・・ あんまり不用意な発言とかしてると、名無しの人達に叩かれます。実際そういうことがあります。

--

モーリー:

ムネオハウスが、悪用されるっていうのかな、本来の健全なアイロニーとパロディーの範疇を超えた使い方をされるかもしれないと思いますか?

1774:

そうですね・・・ 私が最近心配しているのが、ムネオハウスっていうジャンルが注目されてきて、ムネオハウスっていうのが一つの素材になってきてしまっている。

で、そのムネオハウスの曲っていうのを、きりぶみ(?)って言うんでしょうかね、政治団体とか街宣車を走らせている人達ですね。あの方達とかが・・・

モーリー:

オフレコ? (笑)

1774:

(笑)

モーリー:

オフレコー

--

モーリー:

あのマイクが向けられても緊張しなくて良いと思うんだけど。どうですか不自然かな? 自分の声が収録されてコンピュータに乗ってブロードキャストされると思うと緊張とか。

何が緊張するんですか?

1774:

・・・ 分かんないです(笑)

モーリー:

(笑) ただアガるの?

1774:

そう・・・うーん・・・

モーリー:

だってさマイクが止まってるときってすっごく一杯喋るのに、スイッチ入れると。もしかしたら今(録音が)まわってないかもしれないじゃないですか。

1774:

まわってないかもしれないんですけどね。この空気が・・・

モーリー:

あ、僕がじっと訊いて「取材!」っていう雰囲気?

1774:

うーん そうかも・・・ 気ぃ使いかもしれないですね。

モーリー:

あの・・・ 誰に気を使ってらっしゃるんですか?(笑)

1774:

うーん・・・ 分かんないですけど(笑)

モーリー:

良いねぇ。すごい正直な性格が出てて。なんか「ヨロシイ!」って感じ(笑) すごく真面目な方ですね。

1774:

あ、真面目らしいです。

モーリー:

でもさ、「真面目なのにどうして2ちゃんねるにいるの?」っていうよりも「真面目だからこそ2ちゃんねるに行った」感じ?

1774:

面白い人多いんですよ。私がネタを作ったりとか、前の人からネタを継いで膨らまして返すと、もっと大きくなって返ってくるんですね(笑) 1スレとかそんな感じだったんですけど。

モーリー:

そういう距離・・・ 結構、至近距離って感じ?

1774:

やりとりが面白くて。みんなでネタを作り上げていく感じが好きです。

モーリー:

(沈黙) 失礼な言い方はしたくないんですけど、それはどっちかって言うとクローズドな世界でこそ「そこの住人」っていう感じなんでしょうか? ある一定の数の、意識の凄く近くにいる人達同士のやり取りが好きっていう事ですか?

1774:

うーん・・・ やっぱり2ちゃんの人って結構そういう傾向あると思うんですよ。新入りさんとか厨房って言われてれるちょっと常識の無い人達とか凄く叩くじゃないですか。

閉鎖性っていうのは否めないですよね。

モーリー:

「何故閉鎖的になるのか」に興味があるんですよね。しかも同じスレッドにいる人達がお互いを排他主義と罵り合って、結局二人とも凄く傷ついて出てったり、発言しない側に回るとか。そういう現象がこの1万以上あるスレッドをずっと眺めてくるとあって、可哀想な気にもなっちゃう。

俺なんかは、違う立場から言わしてもらうと、本当に匿名というか本当にイッちゃってる人に随分今までやられてるんですよ。

1774:

叩かれたんですか?

モーリー:

叩かれたどころか付きまとわれたり、家に直接来たりとか。

1774:

あ、怖い。

モーリー:

凄いよ。それこそ法的な処置をしないと止まらない人もいるし。本当にイッちゃってる人。「これはクレージーだわ。他の名前を付けようが無いわ」っていう位。

色々家族の事情かなんががあったのか知らないけど、自分の影の部分を「ハイ、どうぞ」って手土産に持ってくる人もいるし。名前の出てる人みんな多かれ少なかれあるんですよ。それを良く有名税と冗談で言われたりしますけど。中には凶暴なのもあるし、かなり体張るんだよね。

だからそうなってきちゃうと、匿名性に対する考え方が随分変わるの。

1774:

まぁぬるま湯って言われたらぬるま湯なんですけど、コテハンになる、固定のハンドルを持つっていうのはリスクと責任を持たなくなるといけないと思うんですよね。

私はそういうのがダルくなってしまったので、ほとんど名無しでいるんですけど。

モーリー:

じゃあ、ダルくならない範囲であればやり取りをずーっと続けてる。軽いのかな? コテハンじゃない状態で良いやり取りが続くっていうのは。楽しい感じ?

1774:

もうやめられないですね。

モーリー:

やめられない?

1774:

エクスタシー(笑)

モーリー:

エクスタシー! はぁ(笑)

--

1774:

今回の祭りにしても、あと2ちゃんの掲示板によく言われる閉鎖性にしても、みんな多分ずっと同じ夢を見ていたいんですね。

モーリー:

どんな夢?

1774:

うーん・・・ 自分の楽しい世界をずっと続けて行きたいみたいな。

モーリー:

なんかさ、マイホームっぽいな(笑)

1774:

(笑) 結構マイホーム主義の。

モーリー:

まとめるとこういう事ですか? 片方ではかなり激しく攻撃したり、言いたい放題っぽくやっていて、普通の対話で言うと破壊的な発言をするのに、全体は・・・

1774:

叩くっていう事自体も、多分自分の世界を壊されるから、それに対しての拒否反応だと思うんですよ。

モーリー:

あのね、素人が見ると叩く行為が破壊的に見られるんですけどそうじゃないんですか?

1774:

守る行為なんだと思います。

モーリー:

守る行為なの?

1774:

多分。

モーリー:

自分の何か世界を? 要するに後から来て話についていけないとか話の腰を折っちゃう人? が・・・

1774:

空気が読めない人

モーリー:

空気が読めない人が自分たちのせっかく作った場を汚すから、それに対するアレルギーとして叩いてるんですか?

1774:

「もうお前ウルサイよ。出てけよ!」ってなっちゃうんだと思いますけど。

モーリー:

え、じゃあそれは一日中勤め人の方がゴザで朝から待ってる、あんな感じ?

1774:

かもしれないです。そこに酔っ払いが入ってきて「おっさんもう帰っていいよお前」っていう。

モーリー:

それが「逝ってよし!」って事なんですか?

1774:

そうだと思いますよ(笑)

モーリー:

ええええ!悲しすぎるぐらい、みんな真面目じゃーん! 友達が欲しくてやってるのみんな!?

1774:

「友達要らない」とか言いながら(笑)

モーリー:

あ、「友達要らない」っていうのは、子供が構ってもらいたくて悪い事するみたいに、「そんな事は無いよ。僕が友達になってあげるよ」って言ってもらうのを待ってるって感じ?

1774:

そうですねぇ。「友達になるよ」って言われても「うるさいヽ(`Д´)ノウワァァァン!!」って。AAですか。

モーリー:

「ヽ(`Д´)ノウワァァァン!!」ですよね?

1774:

そう「ヽ(`Д´)ノウワァァァン!!」の顔文字を貼って(笑)

モーリー:

(笑)

1774:

もうこねーよ、と。

モーリー:

で、ずっとそのままROMってるんでしょ。「もう来ない」って言って。うわっ!

1774:

で、また別の名無しのふりをして。

モーリー:

いやぁー 自作自演!?

1774:

自作自演ですね。

モーリー:

そうか。正体見たり・・・ 友達欲しがり!

1774:

(笑) 私そんな事しないですよ(笑)

モーリー:

ハッハッハッハッハ! そうか。そういう面が。それだとね、今までのちょっと矛盾した幾つものスレッドの中にある傾向が読める気がする。そういうアングルから見ると。

1774:

喧嘩をしながらも、他のスレッドでは仲良しこよしだったりすることってあると思うんですね。

モーリー:

なんか「トムとジェリー仲良くケンカしな」みたいなやつ?

1774:

相手が誰かっていうのが分からないから、他のスレッドで目茶目茶喧嘩してても多分、そうだよなぁ・・・と。

モーリー:

じゃどうぞこっちに座りましょう。えっと、っていうことは片方で・・・ ゴメンちょっとこんがらがって来ちゃったの。面白いんだけど。

つまり人を叩くときは本気でグワーっとまくし立ててるじゃない? でもやり返されたりすると、その都度傷ついてる事にならない?

1774:

うーん・・・ 多分お互いに傷つけあってるんだと思いますけど。ROMってる方も気分悪いですしね。

モーリー:

それで、わざわざ切ってそれが治癒していく様を味わって「あぁ生きてるんだ」って感じ?

1774:

あっ・・・ そうかもしれない。

モーリー:

あとね、こっちのスレッドでは匿名同士だから、もしかしたらあの時喧嘩したかもしれない人と名無し同士でまた仲直りするっていうか・・・ 癒すの?

1774:

「分かるよ。禿同」とか言っちゃうんですね。

モーリー:

あのさ、良くない夫婦のパターンでDVって最近良く出てるじゃない?[1] で、時々家庭内暴力の、ドメスティックバイオレンスでね、出てくるキーワードで「共依存」って言葉、御存知ですか?

*1 ・・・ DV/ドメスティックバイオレンスが日本社会で広く認識されるようになったのは2001年頃から。流行語大賞にもノミネートされた。

1774:

「共依存」、良く知ってます。

モーリー:

「共依存」って簡単に知らない人のために説明すると、要するに殴りあう事で愛を・・・確かめ合うの?

1774:

あと、憎み合ってるのに一緒にいないと生きていけない状況・・・ 精神依存ですね。

モーリー:

で、精神依存してて相手無しで自分が何も決定できなくなってるから増々憎い。その憎しみが変な愛みたいに増々大事になる。

1774:

なんかこう歪みながら。

モーリー:

それ2ちゃんじゃん!

1774:

歪んでるんだ(笑) ・・・愛?

モーリー:

(笑) 顔文字で「愛」って作って良い?

1774:

どうぞ(笑)

--

モーリー:

真の追跡ドキュメンタリーになってきました。一服して頂きながらお話しを引き続き。まぁね、時間を掛けてリラックスを勝ち取るっていうのもね、マスメディア的ですけどドキュメンタリーの手法としてあるんですよ。

で、こういう生の、面と向かった具体的なやり取りとね、2ちゃんねるの中で1774さんが良くやってらっしゃる気の利いたネタの提供、随分違いますか?

1774:

うーん、そうですね・・・ 普段気の利いた事って現実世界であんまり言わないじゃないですか。特に日本人は。「キザな奴」とか「考えすぎな奴」とかって言われちゃう。

でも結構練ったネタとか、脊髄反射的なボケとかツッコミとかっていう、そういう普段出来ない事ができるのがすごく楽しいですね。

モーリー:

あの・・・ しばし絶句して考えたんだけど、例えばそういう2ちゃんねるで1771さんと同じような事を感じてる人結構一杯いるような気がするんですよ。その人達が集まって共同体というか、社会を作るっていうか仕事が一緒になるとか、それで代用出来ないの?

1774:

あ、でも私の隣の席の人2ちゃんねらーなんですよね。この間こっそり会社でROMってるの見てしまいました。勿論本人には言ってません。

モーリー:

となりのトトロ、となりの2ちゃん。それで隣の人と、例えば2ちゃんねるでやるのと同じように「禿同!」とか言って。会社で。

1774:

2ちゃんねるの言葉は現実の言葉じゃないですから、使えないです。

モーリー:

それは言ってみれば記号・呪文を通じて、本当じゃない世界に入るっていう事?

1774:

うーん、そうですね。そうかもしれない・・・ それ上手い表現ですね(笑)

モーリー:

上手い?・・・ 作家だもん(笑)

1774:

(笑)

モーリー:

俺は頭の中でいつもイッちゃった事考えてるから、2ちゃんねる入らなくても自分の中で天国への扉が開けられるかもしれないよ(笑)

1774:

でもそれを人に伝えるというよりも、自分で再確認するためかもしれない。自分のイッちゃった考えを掲示板に書いて。

モーリー:

ほぉ。作家とかマスコミとか部隊に立つ人っていうのは、それを自分から外に出して循環あるいは還流させる、感動という形で。

それに対して2ちゃんねるに行く人というのは、相手に「そこまで届けズブッ!」ってやらずに、寸止めで終わらせる礼儀みたいな感じ? 暗黙の取引というか。

1774:

うーん・・・ 私実は2ちゃんあんまり深く関わって無いんですよ。テクノ板と575板にちょこっといるぐらいで。

モーリー:

575板は何するとこですか? 名前で分かりそうだけど。

1774:

あの、短歌と俳句の・・・

モーリー:

ハッハッハッハ(笑) じゃあそれを、さっきの言い方の延長線上で言うと、本当の世界じゃないから許される短歌としてやってるんですか? それとも「これで自分を磨いて出版したる!」 と。

1774:

いやもう、あくまでも趣味というかネタですね本当に。前衛俳句とかってあるんですよ。

モーリー:

でもさ、それを世の中にぶち撒けるっていう喜びって思いつかないの?

1774:

それはちょっとはありますよ。じゃなかったら表に出す事は絶対無いと思いますし。

モーリー:

つまり2ちゃんねるは「ルート2」みたいな感じなのかな。「ルート2」ってのはどういう事かというと、二つ垂直に、お互いに相容れない部分があって、その間を取ると、対角線が「ルート2」になるじゃないですか。直角二等辺三角形か(笑) それでなんて言うか、半分表に出てるけど、まだ半分の足はプライバシーの内っていう擬似空間なの?

1774:

あぁ・・・ プライバシーを隠しているからできる事

モーリー:

そうだよね。アーティストっていうのはプライバシーもへったくれも無くって、プライバシーそのものが私小説的に現実に人に晒される事になりますよね。

1774:

そうですね・・・ 匿名性で守られてるからできるアートとかあります。やっぱり。

モーリー:

ただその、話がグルグル回っちゃってるんですけど、匿名性であるが故に気が大きくなってお互いを傷つけ合いまくる、と。知っててやる人もいるわけじゃない。なのに、自分がやられると今度は傷つくわけだ。

匿名であるが故にもっと傷ついてるわけじゃない。違う?

1774:

うーん・・・ でも相手が匿名だから相手を憎むこともできなくて・・・

モーリー:

半憎み? 半熟憎み・・・ ルート2(笑) っていうかiとかっていう数字ありますよね。ルート-1みたいな。存在しない虚数っていう。実数・虚数(笑)

1774:

虚数の世界なんですかね。

モーリー:

虚なの?

1774:

いや・・・ 実に見える虚?

モーリー:

あの、下らないメタファーを重ねていくと、ルート-1を二乗と-1になって実数になるんですよ。じゃあ人と人とのコミュニケーションで掛け算で-1が出るの?(笑)

1774:

マイナスが・・・ でも、うーん・・・ おやつみたいなもんなんでしょうね。

モーリー:

あぁ・・・ あのね・・・ やっぱり分からんわ。

--

モーリー:

とっても暑かった4月2日。池袋のたまたま誰もいない時間帯の公園で1774さんにお話しを伺っています。じゃ、最後に質問しますね。ムネオハウス、どうなったら一番気持ち良いですか?

1774:

今もう90曲ぐらい曲が上がってる状態なんですけれども、やっぱり新曲どんどん聴きたいですし。やっぱり鈴木宗男さんにテレビに露出して頂かないとネタが続かないので、面白い政治家の方々の面白発言を待っております(笑)

モーリー:

ムネオさん以外の人でもこれは続きますか?

1774:

うーん・・・ キャラクターが強烈な政治家さんっていうのがあんまり多くないような気がしますんで。やっぱり強烈な政治家さんに出て頂かないと。我々もつまらないんで(笑)

モーリー:

政治家じゃなくても強烈であれば良いですか?

1774:

うーんどうなるんでしょうねぇ。それはムネオハウスのスレッドの流れ次第ですね。私もどうなるか全然予想がつきません。

モーリー:

それじゃあ一番最後に、放送部にいた頃のあの夕方のチャイムをもう一回お願いします。

1774:

「まもなく下校の時刻です教室やむ・・・」あー(笑)

モーリー:

もう一回行こう。

1774:

噛んじゃった(笑)

モーリー:

大丈夫。俺も番組の収録で噛むから。ハイ。じゃせーの・・・

1774:

「逝ってよし!です。」

備考

記事起稿日: 2013年4月3日

音源を提供して頂いた皆様に深く感謝致します。

2013-04-01 (Monday)

2002年4月1日公開「季節の外でPro」ムネオハウス特集第6回(ゲスト: m39) インタビュー全文

11年前のこのインタビュー音源の文字起こしになります。

前書き
  • 編集点、楽曲の挿入箇所に"--"で目印が入っています。
  • 可読性を高めるため、句読点の付加、重複表現の省略、体言止めの修正等の変更が加えてあります。
  • 脚注は2013年3月時点の情報に基いています。
  • インタビューを受けた方のプライバシーに配慮し、音源の直接公開は当ページでは行いません。

モーリー・ロバートソン (以下、モーリー):

今時癒される喫茶店なんて、少ないよな。東京に数少ない、しかも品川駅のすぐ近くにあるという癒され憩いの場所にて、m39さんを取材いたします。

ムネオハウス、急激に進んでいますね。今どうなってますか?

m39:

どうなってるというか・・・ まぁここ数日新曲がガンガン増えて、ジャケットもガンガンできて、いわゆる職人さん達がもう大々的に盛り上げている。

あとまぁ、インターネットでニュースサイトが取り上げたり、最近だとラジオやテレビなどのマスメディアも取り上げつつある。

もう単なる職人のお遊びから始まったムーブメントが世間を巻き込んだ物凄い事になってる、そういう状況ですね。

モーリー:

あの、例えば代議士の方で、このストリームも含めてインターネットを初めて体験しておられる方がいると思うんですよ。どういう風な印象を受けてると思いますか?

m39:

どうなんでしょうねぇ? まぁムネオさん本人はまぁ見ててそんな良い感じしてるかどうかってのは分かんないですけど。

ただ今回ネタにされてない代議士の方が逆に「自分もなんかやったらこうされるのかな」っていう変な危機感は持ってるんじゃないんですかね。

モーリー:

(笑) その、彼らのね・・・ まぁ例えば代議士さんが「自分の名前でハウス作られたくないなぁ」と恐々としている、そんなイメージがあったとしてね、彼らのそういう恐れ方というのはこのムーブメントの趣旨とはズレるんじゃないんですか?

m39:

そうですね・・・ まぁ趣旨は我々はただ単にそのムネオハウスっていう言葉とアシッドハウスっていうのをもじったもので遊んでるだけ。それで政治家が、彼らがどう思ったとかで、我々は関係ない話で。我々は我々で楽しくやってるだけのことですからね。

モーリー:

その「我々」という人たちが、お互いに最初から合意がね、ある程度広く有る部分でやっていた部分が、こう外に向かって窓というのか、向こうから入ってくるものでもありこっちから出て行く窓でもあるんですけど、そういったものが開かれてしまった感があるんですけど。

m39:

そうですね・・・ そこまでこっちの、要は職人やその曲を聴いて楽しんでる側は、そこまで深く考えてやってるかどうかってのはまた別問題ですよね。

だから今回特にマスメディアにどう取り上げられるかってのも興味あるところなんですけど、楽しんでる側と、いわゆるネタにされてる側、それを取り上げて報道する側の思惑がみんな三者三様でバラバラというのが今回のムーブメントの中で面白い部分かなと思ってますけど。

モーリー:

大手のテレビで取り上げらているのを見て、例えば今回当事者の議員やその近くにいる人、例えば政策秘書なんかがね、「なんかすごい事なってる」って驚いて報告するという、こういうパターンが考えられるんですけども。なんていうのかな・・・ 彼らも一種の驚きだと思うんですよ。「なんでこんなものが」「済んだ事なのに」(笑)

m39:

ずっと続いてる(笑)

モーリー:

それで逆に、2ちゃんねるのスレッドの中でこれに関わっている人もマスの露出をすることによって、例えばTBSなんかが取り上げたときにね、「それは不本意だ!」っていう風に、かなり自分達の思惑と違う方向にこれが動いてる気がするんです。

どうですかその辺?

m39:

どうなんでしょうね・・・ TBSがどういう思惑で今回のものを取り上げたかっていうのもちょっと私は理解できない部分があるんですけど。

まぁ、そのいわゆるリスナーというか、2ちゃんねる側からしてみれば、もうその「ムネオ"ラップ"」という紹介のされ方はいかがなものか、という感じはありましたけど(笑)

モーリー:

コーヒーが来たのでここで休憩します。

--

モーリー:

ムネオハウスはマスコミに接することで動揺したり変質したりしていますか?

m39:

えっとですね・・・ 一部の人は変質してるようなところも見受けられますけど、基本線はもうそのままサイトにも書いてある「パロディーとアイロニー」。もうこれだけは、これは崩れてないですね。あともちろんこれは崩れちゃいけない事であると思ってますけど。

モーリー:

「パロディーとアイロニー」、ある種これを確信犯的に、ギリギリまで作者やスレッド、関係者達は・・・ ハッハッハッハ(笑) 持って行ってるような気がするんですね(笑) で、こう今の押している限界というのは、マス社会、マスメディアね、著作権をとやかく言う人、肖像権、名誉の問題を言う代議士の方、その方達の許容量を既に超えているでしょうか?

m39:

そうですねぇ・・・ もともとアンダーグラウンド的に発生したものが、もうマスメディアに出た時点である意味もう許容量は超えてるとは思うんですね。

2ちゃんねる関係で言いますと年末にあった「田代まさしをニューズウィークの表紙にしよう」[1]。あれも結局マスメディアに紹介されて「組織票があった」みたいな形でニューズウィークから潰された形になってますけど。最終的にアンダーグランド的に発生したものは、マスメディアに潰されるようなのが今までの伝統と言ったらちょっと言い方オカシイですけど、そういう流れありますよね。

ただ今回は面白いのが、その、今週末ですか、イベントありますけど。それがもうムーブメントのピークになると思うんですけど、そこのピークでどデカい打ち上げ花火ってのを作って、その後は真っ白になって消えてしまうものなのか、細々と生きていくものなのか、そこは私はちょっとまだ先の事は分かりかねますけど。

まぁなんにせよこのムーブメントでマスメディアに紹介されて盛り上がった中でイベントがある、っていうのはスゴイ面白い流れじゃないかなとは思っています。

*1 ・・・ 参考: Wikipedia - 田代祭

モーリー:

更に、作品がですね、アップロードされたりファイルが転送して共有されたりしてますね。そうすると、元々曲を作った人なり、今まではどっちかって言うとイベントの主催者側にいた人が「さぁこれで祭りは終わったんだ」と言っても、その人達から今度は友達へとどんどんと拡散していく限り、ファイルは劣化しないですよね

m39:

そうですね。

モーリー:

ムーブメントは勝手に続くという可能性は考えられますか?

m39:

そうですね。それも考えられますけど、個人的にはイベントでどデカい打ち上げ花火で終わって、で何事も無かったように終わってしまうのが面白いんじゃないかなっていう気はしてます。

--

モーリー:

初期のスレッドの参加者へのインタビューでも繰り返し訊いた内容をここでm39にもお訊きたいんですけど、ムネオハウスムーブメントの危機管理は大丈夫なレベルですか?

m39:

正直言って「分からない」っていうのが私の今の気持ちですね。

先日イベントのいわゆるスタッフといわれる方と打ち合わせ、飲み会あったんですけど。結構スタッフやるような人は元々が、ちょっと目立ちたいと言ったら言い方おかしいかもしれませんけど(笑)、そんなところがあって。「もしテレビなり何なり来るんだったらどんと来い!顔出してインタビュー受けてやるよ」みたいな、けっこうメジャー感ある人が沢山いる感じを受けたんですね。

で、そういう流れがある。まぁその人達は危機管理と言ったところで「自分たちが楽しんでいるんだ。それで文句あるか!」っていうところも若干あるとは思うんですよ。

モーリー:

「文句あるか!」と開き直る危機管理。

m39:

ですね。ただまぁ現実問題「文句あるか!」と開き直ってオッケーなのかどうなのか。もちろん法律上いろんな問題あるのは、引っかかりそうなのはもう目に見えてるわけですし。

ただ元々がアンダーグランドなんで「そんな事で正直オドオドしてやってられるか」っていうところもあるんじゃないかな、っていう気はするんですよね。

モーリー:

あの、「祭りが終わればきっとまたアンダーグラウンドに戻れるよ」そういった意見もなんか見え隠れしている気がします。スレッドの中には特に。

一方でマスメディアにここまで露出をされ、これからももっと露出されると思うんですが、そうなってくるとアンダーグラウンドに戻るも戻らないもなく、変質してしまうんじゃないんですか?

m39:

そうですね・・・ 変質というか、先程も言いましたけど私の理想はイベントの後になくなる。なくなるっていうのはオカシイですけど、まぁ祭りの後の静けさ、その知る人ぞ知るみたいな形で細々続くのが理想といえば理想かなっていう気がしますね。

--

モーリー:

m39さんが今まで出てきたムネオハウスの動画及び音楽の中で一番好きだったのはどれですか?

m39:

一番好き? やっぱり初めにハマったというか気に入った曲という意味では「dj battle」。あれがまぁネタ的にタイムリーだった事もあって、あれがハマリましたね。でまぁ後はもう、有名所で言えば・・・ ム・・・

モーリー:

「MURU-CORE」(笑)

m39:

ですね(笑) 初期の曲は曲のクオリティが云々っていう、短いとか色々話が出たりしてますけど、やっぱり初期衝動的な部分が一番詰まってるのは、やっぱり1stアルバムの曲なんじゃないかっていう気がしますね。

モーリー:

なんか物凄い速さで5年間で解散する寿命を持ったカリスマティックなバンドの初期からブレークする瞬間を見ているような、妙な4コマ漫画を見てる感じしますね。

m39:

そうですね(笑) もともとは「アルバム3枚で終了」ってという話だったのが、いつのまにかもう既に8枚目ですからね。もしかしたらイベントまでにアルバムがまだ2枚、3枚できるのかなっていう気もする勢いですよね。

モーリー:

m39さん個人としては、曲が初期衝動の、まぁ言ってみれば素人っぽさ? 無形の状態へと逆戻りしてほしいですか? もっとプロで洗練されたものが出てきても良いですか?

m39:

アリアリですよね。そのバランスがとれているところに行っちゃっても良いし、曲と凄く融合してるものが出てきちゃってもいいし、曲とコラージュっていうか声ネタがバラバラなんだけどとりあえず面白い、笑える。それは楽しみ方で色々あって良い気がしますね。

モーリー:

マスメディアの側の人は・・・ 自分たちが放送した報道した元の素材となった声ですよね、議員の声。それからムネオハウスムーブメントを断片的に取り上げたテレビやラジオ。こういったものが再利用、サンプリングして、次の曲に組まれる、組み込まれれる。そして場合によってはアナウンサーやコメンテイターの声も次の曲として入ってる。こういう状態にかなり驚愕すると思うんです。

m39:

あぁ、はい。

モーリー:

これから先、そういう方向にもムネオハウスは突然変異し得るんでしょうか。

m39:

実際にもうそういう曲もありますからね。「声の周波数がどうのこうの」っていう歌ってる曲もありますし[2]。でもそれはさっきも言いましたけどアリアリで。ネタとしては面白ければオッケーと、いう感じでは無いでしょうか。

*2 ・・・ 「180Hz to 330Hz(4th-01)」の事。

モーリー:

マスコミ側のフィードバックを想定せずにやっている雰囲気なんですよ。あのm39さんのこれまでの言い方から僕が察するんですけど。マスコミ側がどう来るのかは出てきた後で無いとわからない、ってことなんですけど。彼らとのやり取りというかあるいはプレッシャーがよりこの先具体的で生々しくなってくるような気がするのね。

そういった時にムネオハウスはそれによって変わりますか?

m39:

そこまで続くのかな? っていうのが正直なところですね。まぁ権力に潰されてしまうっていうのはちょっと終わり方としてはスゴイ寂しい終わり方なんですけど・・・

モーリー:

カッコイイんじゃなくって?(笑)

m39:

(笑) そうですねぇ。まぁでも伝統的には潰されてますよね。ただ潰されるんであったら、イベントが潰されちゃうような感じの流れですよね。もうここまで来たんだったらイベントだけは何としてもやりたい。イベントした後はもう潰されても仕方ないかな、っていう気はしてるんですけど。

モーリー:

イベントだけは守りたい。

m39:

守りたいって、そんなカッコイイもんじゃないんですけど。やっぱ祭りは最後に神輿かついでワショーイってやってナンボだっていう。それだけですね(笑)

備考

記事起稿日: 2013年4月1日

音源を提供して頂いた皆様に深く感謝致します。

2013-03-25 (Monday)

2002年3月25日公開「季節の外でPro」ムネオハウス特集第5回(ゲスト: Shibu) インタビュー全文

11年前のこのインタビュー音源の文字起こしになります。

前書き
  • 編集点、楽曲の挿入箇所に"--"で目印が入っています。
  • 可読性を高めるため、句読点の付加、重複表現の省略、体言止めの修正等の変更が加えてあります。
  • 脚注は2013年3月時点の情報に基いています。
  • インタビューを受けた方のプライバシーに配慮し、音源の直接公開は当ページでは行いません。

モーリー・ロバートソン (以下、モーリー):

どうせならガラの悪い新宿で人に話を聞きたいな。「季節の外でPro」、今日はムネオハウスの傍観的な立場にいる、ご自身も表現者でいらっしゃるShibuさん、そしてお友達の先輩、そしてShibuさんの妻を交えてお話しをしたいと思います。

Shibu:

宜しくお願いします。

モーリー:

あの、ムネオハウスに接したのはいつが最初でしたか?

Shibu:

あのスレッドが建ってすぐ位ですかね。たまたま別のニュース系のサイトで知って。

モーリー:

1週間くらい前?

Shibu:

1、2週間前ですかね。

モーリー:

それでその後曲は何十曲ぐらいになってます?

Shibu:

今・・・ 僕が知ってる限りだともう60曲近いんじゃないですかね。

モーリー:

かなりの速さで増殖中ですよね。

Shibu:

ええ。やっぱり見ている人間が多い分、そうだと思うんですよね。

モーリー:

今色んな曲聴いてるんですけど、今まで結構繰り返し聴いたのっていうのはどれですか?

Shibu:

繰り返し聴いたのは・・・ やっぱり1番笑ったもので「MURU-CORE」っていう奴で(笑)

--

モーリー:

完成度みたいなものと時事性が絶えずバランスになる、って言うことをShikarabaっていう作曲の人が言ってたんですけど。今のところShibuさんが期待しているのは完成度、音の良さの部分ね、それと時事性、今起こってる事をそのままフォローしてくれるってことの二つがあったときにどっちが大事ですかね?

Shibu:

僕としてはやっぱりネタ重視なんで、逆に曲の完成度の方が僕としては興味ありますね。

モーリー:

それで、曲の完成度に興味がある人として聴いたときにムネオハウスはやっぱり魅力を持ちますか?

Shibu:

そうですね、あのままイベントでかけてもそのままみんな踊り続けてくれるんじゃないかと。それを知らない人達の普通のイベントでかけても、全然違和感無くいけるんじゃないかと。

モーリー:

良い曲が多いってことですね。で、曲の完成度についてもう少し聞きたいんですけど。お互いに誰が作曲家っていうのを把握している人っていうのは何人かしかいないですよね?

Shibu:

極一部じゃないですかね、今回。

モーリー:

するとね。完成度の高い、比較的偏差値が高いとでも言う曲、結構あるよね。そうすると、プロが作ったとしか思えないようなの結構あるんですよ。

Shibu:

あぁ。

モーリー:

それで一部の人は、多分あんまりそこは知らない人だと思うんだけど、「良くてもセミプロ、アマチュア中心なんだから問題は無い」と。問題が無い・・・ 時事性のネタですよね、パクリの部分と、著作権上、名誉の問題が無いとい事の根拠として「どうせアマチュアが大学生レベル作ってんだからいいじゃん。こんなのどうして真剣にするの」なんて言ってるんですよね。

実はどう聴いてもプロが作ってるんですよね。

Shibu:

(笑) それは凄く思います。書き込みなんかを見てても、本当に学生やらそういうのが多いような・・・

モーリー:

子供さんやら

Shibu:

(笑) もうその通りなんですけど。実際作って頂いたものを聴くと「いやそうじゃないだろう(笑)」という気がしてならないです。

--

モーリー:

オートバイが通っています。今朝、3月24日の朝のテレ朝のワイドショーで、僕は見てないんですけど、辻本議員が出て実際に不透明なお金の流れがあったと認めちゃったみたいなんですよ。それに連れて、明日国会、月曜日っていうことで、多分大騒ぎになると思うんですね。これはある意味で鈴木宗男議員へのフォーカスをそっちに寄せていって、議員辞職勧告の問題を棚上げするという作戦も当然与党としては入ってくると思うんですけども。

それに先駆けてですね、今夜日曜日の夜に、J-WAVEで一部かかるんです(笑)

Shibu:

見ました(笑)

モーリー:

そういう今の状況はどう思いますか? 今色んな要素が出ているんですけど、これってどこへ流れていくと思います?

Shibu:

多分、今ムネオハウスで盛り上がってる人達は、明日記者会見をするとなったらパソコンやらテレビの前でいつ放送が始まってもOKなように、多分ネタとして備えている以外にはそんなには政治力は強くないと思うんです。

モーリー:

あの、何人かリーダーシップを採ってる人がいますよね。私見てて、卓球さんに依頼するっていう話が出た段階で[1]、「ほらね、僕が危機管理って言ったでしょ」って部分が出てきたんですけどね。

これ自分の意見を言いますけど、主催者が自分の連絡先付きで、そういう有名なメディア側の人に「これを何とかお願いします」と出した段階で責任者がはっきりするんですね。ということは標的がはっきりするから、これを快く思わない法人あるいは党がですね、その人を狙えばそれで済むって事になるじゃないですか(笑)

つまり顔を出すことで自分をとっても弱くしちゃうのね。顔が出ていない名無しさんであるからこそ強みを持っているムーブメントが、「有名な人に作ってもらおう」「どこかでちゃんと出版しよう」「誰かに出してもらおう」みたいにそっちへ依存心が出てきた途端に、自らのパワーを貶めることになるのよね。凄い矛盾を感じて。

*1 ・・・ 発端はumai bow氏の書き込み。本人は半分本気半分ネタつもりだったようだが、ベタに受け止められたためスレッドは荒れた。参考: 石野卓球に曲を作ってもらおう

Shibu:

それも思いますよね。僕も実際、そこで仲間内で楽しんでれば良いのに何故そこで・・・

モーリー:

どうして形を求めるんですか?

Shibu:

なんででしょうね? だからどうしてああいう風にメールが行ったのかよく分かんないんですけど。まぁこれは見守っとこうかな、と。

モーリー:

多分、「自分たちは匿名である」と。それが、なんていうのかな、すごい微妙だと思うのね。匿名の人達が匿名のパワーで盛り上がって、それが現実のイベントへと流れ込んで、しかもマスコミから既に取材が入ってるという状態で、やっぱり凄いことだとは思うんだけども。

あと半歩間違えたら舞い上がっちゃうんだよね。で、芸能人化しちゃうんだよね。

Shibu:

そうだと思います。

モーリー:

ワイドショーなんかが追いかけるときでも、容疑者であれ疑惑の方であれ、ポジティブであってもネガティブであってもその人がタレント化してくっていう面、無いですか?

Shibu:

タレント?

モーリー:

タレントとなっていく面。

Shibu:

あぁ、あると思います。

モーリー:

メディアとの関係性の中で。

Shibu:

うんうん。結局メディアの煽りみたいなのがあって、それに伴って普通の芸能人もいつの間にかお笑いやバラエティに出ているような。そういう風な。

モーリー:

そういったメディアの手法というかメディアの権力のあり方はね。青いペンキがあって黄色いペンキがあって白いペンキがあって、それをシンナーに入れて混ぜると全部グレーになるじゃないですか。メディアってそういうところを持ってるんだよね。

Shibu:

あぁ。

モーリー:

タレントなのか議員なのかこの際関係無くって、とりあえず瞬間視聴率へと還元されていくって言うんでしょうかね。

Shibu:

そうですねぇ、うーん・・・ 瞬間視聴率が爆発的に高かったからここまで広がったんだと思いますね、このムネオハウスは。

--

モーリー:

Shibuさんがムネオハウスを聴いて、一番満たされる部分って一体何でしょう?

Shibu:

えっと・・・ 本当に笑いなんですよね。出だしから「ハッハッハ」と笑わしてくれる部分が一番で。でもそのまま普通に流してると曲としても聴けて両方とも満足できるんですよ。普通のアーティストのCD買っても曲としては良いと思うんですけど、笑いはそこまではこみ上げてきませんからね。

その両方を兼ね備えている部分がすごく僕は好きです。

モーリー:

そのインパクトが直接的であるという部分以外にですね、これ非常に現在進行形の「媒体」ですよね、ムネオハウス。

Shibu:

(笑)

モーリー:

「媒体」だと思うけど。

Shibu:

そう捉えるのもありかと思います(笑)

モーリー:

曲がどんどん増えていく事に対する期待も強いですか?

Shibu:

そうですね。でも流石に最近はもう新曲のアップの率もだいぶ下がってきて、職人さんと言われている人達も少しは落ち着いて見守ってる立場になってるのかなと思って。

モーリー:

そういう落ち着いた頃に誰か勘違いして「石野卓球に持ってこう」とか言い出したんだ。

Shibu:

そうなんですよ! そこちょっと間違ってる。

モーリー:

だからひるんじゃダメ。職人は手を緩めずにもっと危ないものをもっとパンクに出せ、と。そういう事になってくるのかな。

Shibu:

そうすればもう少しピークも長続きして、なんとかイベントぐらいまで持つんじゃないかと思うんですよね。

モーリー:

(笑) ちょっとはしたない言い方をすると、ティーンエージャーが成熟した女性を喜ばせてやるんだと言ってのしかかった。1回終わっちゃった。で自信が無くなった。そんな感じしません?(笑)

Shibu:

(笑) うーん、どうでしょうね・・・ でも1回終わった感はありますね。軽く今タバコに火を付けようかなっていう部分ですかね。「さて、どうしようか」と。

モーリー:

中年の強みはね、その時に上手く引っ張り方を・・・ 商売で言う落とし所ですよね。

Shibu:

それはテクニカルな部分ですよね。

モーリー:

まぁテクニックかもしれない。

あとはね、精神構造だと思うのね。マスコミに向かい合うときの危機管理。僕としては独特の言い回しのつもりで言ってるんですけど。要するに、マスコミに関わるとみんなが当事者になってってフワーッと舞い上がっちゃう。で、自分が匿名の仮面であれ、ハンドルネームがテレビで紹介されたりした場合ね、そうすると自分にステータスが身について芸能のオーラを身に纏っちゃうんですよ。そのときに蝕まれちゃうの。何やってたか分かんなくなるんですよ。「自分が有名なんだ」って事が先になっちゃう(笑)

それで今度は有名さにしがみつこうとしてウケそうなネタを狙い始めて、それでアウトなのね。失速して終わっちゃう。いかにして我慢比べができるかなのね。

Shibu:

それは僕もそう思います、非常に。

モーリー:

今、1回その、ラクダのコブがシュルンと、小休止している状態。もしかしたらこれは職人達がより完成度の高い気合いの入った曲を作っているのかもしれないけれども。これから4月5日のイベントまでに、あと10日くらいですかね、その間ジワジワと本格的に盛り上げていくとしたらですね、どういうやり方というか要素が必要になってくるでしょう。

Shibu:

僕は、ずっとこう見守ってきてる立場としては、ムネオさんが最近テレビにも出てこなくなってネタも枯渇気味なんで、次の辻本さんと他のネタを合わせて、曲を作っていくだけじゃなくて別の新しいもので表現くれればなんとか10日くらいは持つんじゃないかなと思いますね。

--

モーリー:

言ってみればムネオハウスのスレッド、掲示板の書き込みの連続なんですけど・・・ 何ていうのかな、書けば必ず参加できるわけですよね。

例えば、テレビの番組のように予めオーディエンスなんだけどバイトだったりした人達が笑ったり拍手したりするっていうのと全然違いますよね。障子一枚の向こうに本人が、作曲者であれ僕であれ、いるわけなんですよね。で、ストリーミング番組を聞いて反応したら、次の日は自分も出ている。

非常に近いんですよ。

Shibu:

近いですねぇ。だからある意味これは初めての書き込みみたいな感じなんでしょうかね、モーリーさんに対する。

モーリー:

書き込みとして関わって。声で書き込んでる感じ?

Shibu:

そうですね。そうしたらレスポンスが返ってきて。「あ、こんな風に返事が返ってくるんだ」と。これから、実を言うと本当はもっと書き込みまくるかもしれません。

モーリー:

Shibuさんの声を聞いて、なんていうかな、比較的今までスレッドでは匿名に近い感じだったんですか? あんまり書き込んでらっしゃらなかったんですか?

Shibu:

ほとんど書き込んでに無いですね。ゼロに近いです。

モーリー:

じゃあROMをしていたShibuさんが、例えばこのストリームでみんな聴いてるわけだな。時間差で、オンデマンドでね。24時間聞ける状態になっているから。

そうすると今度はShibuさんがサブジェクトになってる。それをまた別のROMの人が「あの人は手を挙げてああやってもう出てる」と。どうなるんでしょう?

Shibu:

どうなんでしょうねぇ。でも他にこの後に手を挙げてくる人がいるかと思ったら・・・ たまたま今までインタビュー受けていた方はオーガナイザーさん達やクリエイターさん達なんで、だからそろそろ・・・

ちょっとイヤらしい話ですけど「見てる人達の話も入れたら面白いんじゃないかな」って自分的に勝手に演出してるんですよ(笑) こういうのを入れた方が次に繋ぎやすいんじゃないかなぁと。

モーリー:

じゃ、インタビューを受けることで、却って能動的な、何か見えない布石を置いてるのね。

Shibu:

そうですね。イベントでも盛り上げ過ぎても、ずっとアゲ過ぎてもみんな疲れちゃうんで。手を上げ続けても疲れちゃうんで。

モーリー:

そうですね。

Shibu:

手をこう降ろさしてあげる、休ませてあげる部分も必要だと思うんですね。僕がその部分になれたら。あっ、カッコイイ俺(笑)

--

備考

記事起稿日: 2013年3月31日

音源を提供して頂いた皆様に深く感謝致します。

2013-03-23 (Saturday)

2002年3月22日公開「季節の外でPro」ムネオハウス特集第4回(ゲスト: 宮大工) インタビュー全文

11年前のこのインタビュー音源の文字起こしになります。

前書き
  • 編集点、楽曲の挿入箇所に"--"で目印が入っています。
  • 可読性を高めるため、句読点の付加、重複表現の省略、体言止めの修正等の変更が加えてあります。
  • 脚注は2013年3月時点の情報に基いています。
  • インタビューを受けた方のプライバシーに配慮し、音源の直接公開は当ページでは行いません。

モーリー・ロバートソン (以下、モーリー):

雨の中桜満開になってしまった東京(笑) 恵比寿ガーデンプレイス、洒落たところ。上から見るとモバイルがぶら下がっていていつ落ちるのか、そして目の前には紫陽花っぽい鉢植えが、S字結腸のような形で並んでいて、あっちには多分人口の泉が、噴水がフワーっとこの一日中ガウスノイズの中で皆さん憩っておられます。目の前に見えるのは巨大な恵比寿ガーデンプレイス。この中には世界のお金を動かしている屈指の、かつてのワールドトレードセンターにも本社を置いていたような証券会社がズラリと並んでいる。

そんな非常にリッチな、周り中が緑と高層ビルに囲まれた恵比寿ガーデンプレイスで、宮大工さんのお昼時間にお邪魔いたしました。宜しくお願いします。

宮大工

宜しくお願いします。

モーリー:

あの、ムネオハウス、今朝方にかけて辻本さんのサンプルなんかが入ったものが3つぐらい追加されていましたね。

宮大工

ハイ、そうですね。

モーリー:

結構早く。

宮大工

そうですね。結構早く出てたみたいなんで。みんなそういう時事ネタは取り入れて、更なる広がりというか。聴いてるユーザーとしては凄い楽しみな感じで広がってると思うんですけど。

モーリー:

あの、ミュージシャンや・・・ なんて言うんでしょう作ってる人や聴いてる人というのは、これによって、日々の最前線のニュース速報をかなり見るようになってると思います?

宮大工

ま、そうだとは思うんですけど。でも多分クリエイティングしている人間ってのは、多分昔からそういうめざといニュースを見つけてくるタイプの人間なんじゃないかなと僕は思ってるんですけど。ただ、それを聴いた人間は多分それで興味を持って番組を見てると思うんですよね。

モーリー:

私実はね、今回のその鈴木宗男議員に関する国会での騒ぎ、だんだんバラエティ化していった辻本さんとのやり取りっていうのは、全く見も聞きもしていなかったんですよ。ずっとなんか他のところにばっかり目が行ってて。それでムネオハウスが出てきて、サンプルとして確認したときに「あぁ、これがムネオさんって人なのか」っていうか。逆に僕は作品で教えられたんですよ。

宮大工

僕の場合は政治に興味があったわけじゃないですけど、わりとテレビをつけっぱなしにするのが好きで。ちょっと2年くらい前から、例の2ちゃんねるの中では、割りと鈴木宗男っていう人は強い個性で人気があったというか、変な意味で注目されてたんですよ。

モーリー:

もう2年も前から?

宮大工

2年位前から。

モーリー:

もうその時は例えばどっかの週刊誌によるスッパ抜きかなんか、既に始まっていたんですか?

宮大工

いや、それは全然無かったんですよ。でも今出てきている情報はほとんど2年前の時点で匿名の方が全部、例えば「鈴木宗男が官僚を殴った」だとかっていう話は全部出てたんですよ。

モーリー:

逆にそしたら今回雑誌が鈴木宗男さんに一番最初に飛びついたときっていうのはね、いわゆるガセネタ覚悟で2ちゃんねるなんかをザーっと探していた記者もいるんでしょうかね?

宮大工

多分そういう方もいらっしゃるとは思うんですけど、多分そこで出てくる情報、今出てきてる情報っていうのは昔から御存知だったと思うんですよ。それが何かのきっかけで次々表に出できたっていうだけだとは思うんですけど。

モーリー:

えっと・・・(むせる) 失礼しました。昨日の時点でインタビューをした作曲者のシカラバさんの言によれば、とにかく今は速報性というか即時性、瞬発力で作曲していて、状態が時局が動いていけば曲もそれに連れて同期して動いていくんじゃないかというような事を言っていましたけど。

宮大工

多分そうだと思うんですよね。時局に連れて曲というのもドンドンドンドン動いていく。それを後から聴いたときに「あぁこういう事もあったんだな」っていう事は分かる、ちょっとアルバム的なもの、写真のアルバム的なものができると面白いなとは思うんですよ。

モーリー:

なんかムネオハウス年鑑みたいな

宮大工

そうですね(笑) ムネオハウスヒストリーみたいなものがそこに出来上がると思うんですよね。

-「K Collage」-

モーリー:

今回のムネオハウスという現象というか既にムーブメントとなりつつあるんですけれども。これは2ちゃんねるという巨大掲示板の中でのやり取りが絶えず曲に対する反応をかなりリアルタイムで返していて、作曲者も2ちゃんねるに造詣のある作曲者ばかりなので、その掛け合いの中で成り立っていますよね。

宮大工

はい。

モーリー:

それでオーディエンス・フィードバックが次の曲をある程度決定するとすら言えると思うんです。非常に即興性が高い。その中で幾つかのスレッドの一つを今朝方チェックしておりましたところ、誰かが妹の小学3年生にムネオハウスの曲を聴かせたら笑っていて、反応が良かった。つまり子供が反応してるって事なんですよ。これどう思います? 子供が反応するっていうのは。

宮大工

子供が反応するっていうことは、間口がものすごく広くて分かりやすいっていう事だと思うんですよ。ちょっとでも鈴木宗男の顔と声を聴いたことのある人間は、もうそれだけでネタを瞬時に理解できるっていうか、「あぁこれは面白い」と。それは音楽がテクノだろうとなんだろうと、多分それは面白いものとして感じ取ってもらえると思うんですよ。僕は作ってるわけじゃないんですけど(笑)

モーリー:

逆にね、僕は最近何度も何度も投機と失敗の波を繰り返してきたITですよね。今やソフトバンクすら危ないと言われていますが。これITの分野に商売として繋ごうとする人が早速出てくるような気がするんです。つまり子供にウケるってことは、需要がそこに見込めるっていう事じゃないですか。何が何でも面白いっていうことで。もしこれを誰か例えば代理店筋の人がIT商売として成り立たせようとすれば、一体どういう風にして品物になるんでしょう。

宮大工

多分品物になるとすれば、作った人に全部許可を取ってCDとして出すとかそういうところだと思うんですよ。例えば石立鉄男さんの声をリミックスしたアルバム[1]っていうのをたまたま昨日何かの雑誌で読んだんですけど、多分そういうのもあるんで、版権が取れればもちろん出来るんでしょうけど。

でも作ってる人間自体はそこになった時点で興味を失っちゃうと思うんですよね。それが商売だとか商売じゃないとかそういうレベルでやってるからこそ、みんなモチベーションを維持できると思うんですよ。

*1 ・・・ 石立鉄男の声をフィーチャーした音楽で考えられるのは、93年に発売された猛毒の2ndアルバム『湘南〜おまえはどこのワカメじゃ!?』か、2002年1月発売カエルカフェのサンプリングボイス集『ISHIDATE TETSUO VOICE』のどちらかだが、時期的におそらく後者。

モーリー:

あの・・・ 良く分かります。と同時にね、これを毒抜きしてね、まぁフグの毒抜きをしたような形で、パッケージにした形でとりあえず有名人の声を全部ラップで、藤原紀香から何から全部やろうぜ、今度はアニメキャラとか。アニメ声優の人ってちょっと飽和してるじゃない?そういう専門学校出てきて。アニメーション学院みたいな(笑) コミケもなんとなく終わってるし(笑)

そうするとその名残りの人達が、例えばときめき(メモリアル)の声でラップをするとかそういう企画物が非常に乱立しやすい状況だなっていう気はしました。

宮大工

まぁでも、今回のムネオハウス・ムーブメントと呼ばれる、僕らが読んでいるものは、彼のキャラクターと声とかそういうものが一致して土台となって出来てると思うんですよ。そこに藤原紀香とかアニメの声優だとかでやっても、そこに何もエスプリの効いたブラックなジョークは何も無いと思うんですよ。

別にムネオを支持するわけでも同情するわけでも批判するわけでも何でもなくて、鈴木宗男というもので遊んでしまおう、と。でもそれが物凄い反面、ダークなヤバイものだとわかっているからこそ、面白いと思うんですよ。ギリギリの線で遊んでるからこそ、みんながどんどん乗っていくっていうところはあると思うんですね。

それが、じゃあ「この声を使って良いですよ」って言う風に初めからやったら、多分きっと「ふ〜ん」っていうだけで終わっちゃうと思うんですよね。あの中では。

モーリー:

良い子のムネオハウス(笑)

宮大工

ええ。

-「muneo again」-

モーリー:

現在、鈴木宗男議員と辻本議員がフォーカスの中心付近にいらっしゃいますよね。これ、いつまでも続くという期待はそんなに出来ないと思いますけど、このムネオハウスというのは例えば、ムネオ議員に対する注目がマスコミや世間で薄れると同時に一緒に衰退するとおもいますか?

宮大工

多分衰退していくっていうよりは、あのお祭りというものに参加している人間は、じゃあイベントが終わったところでドンと花火が上がって「じゃあ終わりです」っていう区切りがあると思うんですよ。

モーリー:

それを期待してやってるわけ?

宮大工

多分そうだと思うんですよ。で、みんな何を期待して参加しているかっていえば、少なくとも僕自身は、それをやって「無名だけども俺はこれをやったんだぜ」っていう自己満足的な、「名を残してやろうぜ」的なものだと思うんですよ。結局ダラダラ続けたって、「あぁ〜なんか終わってるのにまだやってる」っていう風に見られるのはすごくイヤーンな感じがするんですよね。

モーリー:

これはね、言ってみれば、昔で言うとフランスのその絵とか文学の人達が・・・ アバンギャルドですよね、前衛というのは。前衛ってそれこそマルクス主義から出てきた言葉なんですけど、そういういろんな思想性をある種の純粋さ、そしてまさに仰ったエスプリや、少しダークなウィットですよね。そういうものでこしらえているものをかなり遅れて世の中がそれにキャッチアップしたり、さっき出てきた、想定した藤原紀香のような商品化する動きが後から遅れて来るんですよね。

ですけど今、かなり激しく曲もどんどん作られている。そしてレスポンスの状態も、1000個で一杯になる掲示板のスレッドがすぐにどんどんチェンジしていく。沸騰してる状態ですね。

これを例えば同じ電波であっても、アナログ空中波に依存している、あるいは空からのBS波に依存しているテレビやラジオの媒体がね、追っかけたとしてもやっぱり一拍ずれるんじゃないかな、あるいは一小節ずれるんじゃないかなと思うんですよ。

宮大工

それはもう絶対あると思うんですよ。インターネットが出てきた時からリアルタイム性だとか、ユーザーと直でコミュニケーションできるとか、そういう事を言われ続けてきた最大のメリットっていうものはそこにあるんで。例えば、それを既存のメディアの方々が拾ったとしても、やっぱりそれをメディアに対するユーザーに投げる→レスポンスがある→そのレスポンスに対して何かを返す、っていうスパンが圧倒的に長いと思うんですよ。

で、その頃になってしまうと、最初に突っ走ってた人間は「もうつまらん!」となっちゃうと思うんですよ。「次のネタを探そうぜ」っていう感じだと思うんですよね。

モーリー:

電波メディアの特性として、一回くっついてトリモチとなるまで凄い時間が掛かりますよね。例えば瞬間的に何人かが面白いからって言うんで、感覚を、エスプリを理解した人がグワッっと集まるっていう事はテレビはあり得ませんから。数字が最低でも2-3%いかないとニュースは成り立たないし。ていうことは、一応理解して位置付けをして論説委員を言う事を決めた後でないとゲーム開始にならない。

ところが、電波の特性として一回お祭りを開始すると、結構執着してなかなか・・・

宮大工

離れないですね。

モーリー:

離してくれませんよね。そこら辺が瞬間湯沸し器とはかなり違うわけですよ。

で逆に、今のニュース速報を今日の日付で見ていますとね、野党が一致して自民党を攻撃していたのが鈴木議員だったんですけど、辻本議員の疑惑が出てそれを刑事告発を自民党が反撃する、となった途端に野党側が一丸とならなくって。

例えば共産党は社民党を批判し始めてますよね。

宮大工

ええ。

モーリー:

で、言ってみればこれ政治的な駆け引きの点で言うと、この隙に野党は「第一党の良い子ちゃんになろう」としている。とにかく流動的なんですよ。

何を言いたいかというと、こういう風に、ムネオハウスがね、製作した方の、本人達の意図とは離れて、そういった野党同士、あるいは野党対与党の素材として一回電波に乗ったときに利用できる、キャッチフレーズ化できるような素材として結構潜伏してるんじゃないかなと思うんですけど。

宮大工

多分それはあるでしょうね。ムネオハウスっていう大変面白い素材があって、それを何かしらに使おうとする国会議員の中でもかなり尖った人達が使ったら、それはそれで面白いとは思うんですよ。

モーリー:

例えばね、次の選挙のときにね、みんな非常にウルサイじゃないですか、けたたましく。同じdB量でやるんだったらウーファー付けてDJが廻してるわけ。廻しながらそれに合わせて若手議員が「おー私はー!」とかいってやっちゃって、そこにダンサーが付いてるとか。そういう今考えたらバカとしか思えないけど、でもムネオハウス流行ると政治の駒として切れるわけですよね?

宮大工

それは多分あると思うんですよ。これは大まかにしか言えないんですけど、僕は昔ちょっと携わった議員さんがいて、その中の企画として「選挙カーに乗ってラップで議員の名前をひたすら連呼する選挙運動をしよう」とかっていうのもあったんですよ。ただ多分それは受け入れられない土壌があるとは思うので、それは無理だと思うんですよ。

例えばDJの人が乗ってガーガーじゃあリミックスしたものを流しても、理解してもらえないと思うんですよね。選挙に行く人って僕らみたいな若い人からおじいちゃんおばあちゃんまでいるわけじゃないですか。で、おじいちゃんおばあちゃんが理解するにはある程度厳しいものがあると思うんですよ。DJがリミックスっていうのは。

モーリー:

ただ投票率っていうのは電車の中吊りを見てると、50代から70代が結構高いですよね、投票率は。

宮大工

ええ。

モーリー:

ですからこの人達は放っておいても政治参加してくれる部分があるじゃないですか。それはとりあえず各党における固定票って考えて良いと思うのね。

で、問題で政局を流動化させる、つまり誰かどっかの政党なりどっかのメディアを利する現象として、これを利用しようと思ったときに、若い人たちの政治への興味、バラエティ的なきっかけで良いんですけど「とにかくこれは投票率を上げるポテンシャルがある」と誰かが見た場合、なんか変わってくるような気がするんですよ。

宮大工

そしたら多分やるでしょうね。そうしたらもっと大掛かりな力になると思うんです

モーリー:

代理店も入ってくるし。

宮大工

代理店も入ってきて、テレビの中で載せて、DJ呼んで、今こういう・・・

モーリー:

ムネオパレード?(笑)

宮大工

(笑) 浦安の埋立地みたいなところで、電飾の山車に乗ってみんな街を練り歩くみたいなそういう物凄いバカバカしい。

モーリー:

上半身ハダカになっちゃって気持ち良いみたいな。

宮大工

そういうのやったら、僕はそれはある種の物凄いブレイクスルーだとは思うんですけど。

モーリー:

でそんなブレイクスルーをね、与野党がテレビで流行ったからという理由で、与野党が若者の得票を浮動票を関心を買おうとしてそういう賭けに出た場合、例えばそこでゲイの政党が興って、そこを勝っちゃうっていうのあるわけ。

つまり若い人だったらゲイの人の視点に結構なびくじゃないですか、政治としては。

宮大工

でもそれってものすごく一発的なものだと思うんですよ。例えば振り返ってみれば、青島幸男が都知事に当選してその後支持率があったかっていうとNOですよね、結果的に見て。

で、その後に反動として、僕は好きですけど、実務的な石原さんが受かって、それをガシガシやるから都民が支持してるっていうのがあると思うんですよ。

じゃあ物凄いパレードが起こったとして、それは一発的なものだと思うんですよ。

モーリー:

ハッハッハ(笑)

宮大工

で、僕は若いですけど、自分と同じ世代とかもうちょっと若い世代、更に上の世代っていうのは、そんなにアホでは無いと思うんですよね実際。更に団塊の世代とかそのちょい下ぐらいは、実際世間の厳しさ、不況の厳しさを肌身で感じてると思うんですけど、若い人は若い人なりに勿論自分が就職できないとか給料上がらないとかってところで感じてると思うので。

それがダイレクトに跳ね返って来ない限り、当然一回目の当選の手段としてとかはあると思うんですけど、その次は続かないんじゃないかなと思うんですよ。

--

モーリー:

まさにその利益や不利益を肌身で感じる・感じないっていうのは、政治参加のモチベーションとして大きく左右しますよね。それで、なんていうのかな、もう一つの見えない浮動票の要因としてね、20代-30代の人というのは、特にITに携わってる人なんかはね、結構こき使われてると思うのね。例えばウェブデザインのソフトウェアや、Illustrator、PhotooShop、Flash、Dreamweaver、全部使えるのに「この程度の金かっ!」ていうの、あるじゃない?

ところがそれが直接政治や政党と結びつかないということで、それが例えばネットの遊びや追いかけに始まった部分で、自分の利益不利益や鬱憤や希望と、ラップかなんか知らないけどハウスを通じてどこか直結した実体感があった場合、彼らの投票するしないに関わらず、政治的な意識というか何か覚醒するものはあるでしょうか。

宮大工

いやそれは、興味を持つとは思うんですよ。例えば小泉さんが内閣になって、今までよりも違うメディアっていうかテレビの中でも違う時間帯、若者向けとか主婦の方向けだとかっていうものに関して、広まった、オンエアされて窓口が広がったように、テレビを見ないインターネットだけでも良いよっていう人の中にも広がってくるとは思うんですよ。だから間口が広がるっていう意味では、僕はそれは凄い素敵な事だと思うんですね。

モーリー:

例えば、民主党のようなところからね、「これはチャンスだ」と。民主党の場合損になっても良いからちょっと投機してみるっていうこと時々やりますから。

例えばシミュレーションでこういうのが好きな人達を特定のターゲットとして、世論を瞬発的な投票で、バーチャル投票にしよう、そして世論を自分たちのモノとして計るというような事を始めた場合、今仰ってたテレビも見ないでインターネットだけは見るっていう人達に対する訴求力を増すでしょうか? そういう政党の方針が出たとしたら。

モーリー:

訴求力を増すかどうか、やってみないと分からないと思うんですけど、そういう大っきなパイの中で、テレビも見ないで政治にも関心を持たないでインターネットだけしてる人間に対して何かしらの博打を打つってのは、物凄い費用対効果の面では悪いんじゃないかなと思うんですよ。僕個人の意見としてですよ。

モーリー:

うんうん。

宮大工

だから、やるかどうかは別として。でもやったら面白いとは思うんですよ。それは昔から言われている政治のインターネット利用だとか、そういう面ではとても面白いと思うんですね。

モーリー:

政治そのものは面白くないけど、痛烈なパロディーは大好き、と。お笑いなら小学生でも付いてくるわけですよね。ここらへんを政治的な資源として、政治側は、あるいはメディア側は考えるのでしょうか。それとも今ある投票の割り当てをなぁなぁで、一番二番っていう風に、とりあえずそれを維持していきたい。連立与党の考え方ね。「寄り合い所帯で良いからこのままみんな寝てくれていれば良い」という風なの。

どっちなんでしょうね意識としては。

宮大工

意識としてはみんな、政権を持ってる人は「寝てくれてた方が良い」と思ってると思うんですよ。じゃあ例えば、ハウスが好きでそのエスプリを理解できる人間が同じように利益団体の人と集票力があるかって言われたら、それは後ろの、利益団体の方が圧倒的に集票力はあるわけじゃないですか。そういう意味では振り向かないっていうか、腰を入れてやろうとは思わないと思うんですよ。でもそこに何かしら新しいメッセージ性を打ち出せて、自分の、党の広報をできるのであれば、それはもちろんやると思うんですよ。

モーリー:

あの、ちょっとまた政治とレイブ・ハウスシーンの結託というようなシナリオで、ちょっとくどいお訊ね方をするんですけど。ドイツのLove Paradeが観光収入としても大きいとして、ついに政府が観光としてEndorse(支援)してしまいましたよね[2]。で、それにつれてドイツのどっちかって言うと右寄り、新ナチ党にも少しシンパシーのある人達が「これは新たなドイツの民族音楽だ」っていうような発言をして、ハウスの中でもジャーマントランスは多少右傾化していったっていうか、政治と密接に結びついたという話を聞いたことがあるんですけど[3]

要するに、人が沢山集まって、それを動員していくという事は、ある意味での大衆扇動の力になると。だからイコール政治だっていうような。そういう理屈がヨーロッパでは結構あるみたいなのね。勿論それはトルコ人が一杯入ってきて、それに対する不安だとか、全然状況は違うんですけど。

全く状況が違うこの今の日本で、そういう風に、例えばムネオハウスのようなものが引き金になってね、これがそういう・・・ 分かんない・・・ みんなの今やってる意識とは全然関係と思うんだけど、右傾化をもたらすとか、玉突きのように予測出来ないビリヤードで雪崩を打つっていう事考えられますか?

*2 ・・・ 元々政治的デモ行進と申請されるため行政が開催を断ることが出来なかった側面がある。その上で1996年から2000年頃まではベルリン市側も支援していた。
*3 ・・・ 過去のAtari Teenage Riotのアレック・エンパイアのインタビューに同じ趣旨の発言が確認できるらしい。情報求む。

宮大工

いや、それは考えられないと思うんですよ。例えばムネオハウスが流行ったから、それがすぐハウスだとかテクノだとかに政治に結びついて右の方に寄っていくとはあんまり考えられないんですよ。じゃあどうなれば、例えばムネオハウスが発展して自民党ハウスっていうジャンルができれば、それはあるかも・・・

モーリー:

G-HOUSE(笑)

宮大工

G-HOUSEみたいなのが(笑) できればそれはあると思うんですけど。でも実際作ってる人間達は、いや僕が代弁しても分かんないですけど、そんな事は何も考えずにただボールをボーンと投げて「そのあとは知らん!」と。反応は、例えば「この曲は良かったです」とか「ここはあーした方が良いんじゃない」とか「こーした方が良いんじゃない」っていうものに対しては物凄い興味を示すっていうか、やってて面白いと思うんですけど。

じゃあ自分が投げた玉がどう大きくなって転がっていっても多分「それはもう自分とは関係ないよ」って思うと思うんですよ。

モーリー:

あの発信している、作ってる側の人にはね、ある意味で2つの多少矛盾した要求が突き付けれていると思うんです。一つはあくまで果てしなく限りなく無責任に笑いを最大限に取る方向で行くこと。しかし、その笑いが深くキリで刺すように深く行くためには、やはり時事性を相当に把握して今の状態にマッチした辛辣さが必要だから、逆に政治意識も作家は無意識にせよ皮膚感覚で、エスプリですよね、

宮大工

ええ。

モーリー:

エスプリはとっても強烈に求められるから、ただ無責任に作ってるだけだったら学芸会っぽいっていうか低いと思うのね。それがこれだけ盛り上がるのは、やっぱり政治意識が作曲側の中に、普通の投票者の政治意識とは違うところ? マスコミとは違うところで、自分を軸とした反骨が感じられるからこそ盛り上がってるんじゃないでしょうか。

宮大工

そこはそう思うんですよ。で、僕が一番足りないなって思うのは、笑いっていうものが凄い足りないと思うんですよ。

モーリー:

それは世間一般に。

宮大工

世間一般に対して。僕わりと結構バカバカしい事が好きなんですよ。本当に「お前そんな事やってどうすんだよ」みたいな「それやらないだろ」っていう事やっちゃうようなアホな事が好きなんですよ。

例えば、今ちょっとテレビをそんなに時間が無いんで見て無いからもしかしたらずれてるかもしれないですけど、昔、例えば10年前とか6年前とか、割りとバカバカしい番組ってあったと思うんですよ。例えばテリー(伊藤)さんが作ってたASA-YANになる前の「浅草橋ヤング洋品店」[4]だとか、最初の頃の「元気が出るテレビ」[5]とかっていうのは物凄くバカバカしい事を一杯やっていて。

そういうのが段々と切り捨てられてっていうか、世間の中で興味を失っていって、どんどん予定調和的な、楽屋落ちネタ的な笑いになっていったっていう事が。別に僕はお笑いが専門なわけでもなんでもないですけど(笑)、笑いっていうものが上品じゃなくなってる感じがするんですよ。

*4 ・・・ 名物企画は「中華料理戦争」、「江頭グランブルー」、城南電機宮地社長と大塚美容外科石井院長による「所有のロールスロイスのエンブレムに綱をくくって綱引き対決」等。参考: Wikipedia - 浅草橋ヤング洋品店
*5 ・・・ 「最初の頃の」と注釈が付くのは「ダンス甲子園」「ボクシング予備校」等の企画がヒットした以降は感動路線へシフトしたため。

モーリー:

仰ってる事は良く分かります。テレビ・電波メディア全体が、マスメディア全体なんですけど、そういう訴える生々しさ。確かに失速してますよね、ここ数年間特に。

それであるTVのプロデューサーに先週ムネオハウスが始まった後で聞いた話なんですが、今やテレビの番組というのは広告主の都合だけで動いていて、広告と広告の間の時間をいかに無難に事無く埋めるかだけが主要課題になって、要するに視聴者じゃなくて広告主のために作ってる番組をやっている。

もしそれが前提として正しければ、まぁ裏話なんですけど、お笑いは痛烈であればあるほど「ヤバさ」を帯びてきますよね。広告主を怒らせる事が最高の笑いじゃないですか。「この後に流れる広告は狂牛病に関連してます」なんて言って流したら、見てる人はギャハハだけど、(広告主は)すぐに降りちゃいますよね。全員降りますよね。でもそれが際どいわけじゃない? それを削がれるから面白くない。つまりそこに一種のスパイラルを感じるんですよ。

宮大工

そうなんですよね。そのスパイラルを多分みんな感じてると思うんですよ。「最近のテレビはつまんない」って。

モーリー:

インターネットのせいじゃないよね? インターネットのせいでテレビがつまらなくなったのでもないし、インターネットのファイル交換のせいでエイベックスのCDが売れなくなったって言ってるけどそうじゃないと思うんだよね。

宮大工

あれは絶対オカシイと思うんですよ。作リ手の側が責任を最初から放棄して、後付の理由を出してやっても、全くユーザーにとっては説得力も何もないわけで。そのCDを聴いて本当に聴きたい人だとか、車の中で聴きたい奴はわざわざパソコンで変換するよりも3000円出して買いますよ多分。よっぽど貧乏なら別ですけど。

パソコン持ってファイル交換できる奴が3000円持ってないと僕は思わないですから。

モーリー:

(笑)

宮大工

ええ。

モーリー:

じゃテレビの失速についてはどう思われますか。例えばお笑いに始まる。どうしてこんなになってるんだろう。

宮大工

やっぱりそれはテレビ業界というものが違う意味で洗礼されてきたと思うんですよ。

モーリー:

洗練されてきた。

宮大工

洗礼されてきた。

モーリー:

せん・れい

宮大工

洗礼されてきたと思うんですよ。昔はある程度手探りの状態で「ここまでは行けるだろう」「ここまでは行けるだろう」ってところから、どんどん「いやそこはダメ」「アレはダメ」「コレはダメ」っていうものがどんどん狭まっていって。結局僕の個人的な主観としてはつまらない方向にどんどん行ってると思うんですよ。

で、その反動として、ムネオハウスみたいな、もうめちゃくちゃヤバそうな、肖像権とか著作権はどうなっとるねん、っていうもので遊ぶ事に対してもの凄いムーブメントが起こる感じがするんですね。

モーリー:

非常に興味深い視点だと思うんですけど、言ってみればこれは本来テレビが深夜帯にやるべき事なんでしょうか。

宮大工

そうだと思うんですよ。昔の深夜番組って・・・

モーリー:

もっと怖かったですよね。

宮大工

もっと怖かったですよね。

モーリー:

俺も怖いのやってたよ(笑)[6]

*6 ・・・ モーリー・ロバートソン氏は1994年10月-1995年3月放映のフジテレビ土曜深夜の番組『Revolution No.8』の司会をしていた。

宮大工

(笑) たまに年に一回ぐらい凄い事やったりするところもあるんですけど。例えばその鳥肌実みたいなヤバイ人がいきなりテレビに出てきて、あんなネタをやっちゃうとか、大川興業が出てきて物凄い時事ネタをやっちゃうとか、そういう事をたまにやったりするんですけど。

でもそういうのが多分恒常化できるところがインターネットだと思うんですよ。

モーリー:

あとインターネットというのは、速度もそうなんですけど、皮膚感覚と言い切れるのかどうか分からないけど、距離近いですよね。対話の中で成り立っているから。テレビっていうのは100万人が見ていた番組であれば、100万人の視線がその瞬間空中波に一点に釘付けになって、横の対話は仕組みとして無いわけじゃないですか。

そこら辺も、テレビから、どちらかっていうとムネオハウスっていうのをね、本来のテレビが回復してるっていう見方では全然なくって、むしろ大道芸に戻ってるような気がするのね。

宮大工

そうですね。そんな感じはしてるんですよ。だから僕が思うのは、テレビ自体もつまらないし、政治をやってる人にもうちょっと笑いが欲しいなって思うんですよ。

例えば、それは国民性の違いだとか、国民の笑いの理解度とかもあると思いますけど、ブッシュさんがプレッツェルを詰まらせたっていう、あれが本当か嘘かどうかはともかくとして、詰まらせて倒れたっていう次の日に、「よく噛んで食べなさい」っていうメッセージと一緒にプレッツェルを配ったっていうのは、それはベタですけど、日本の政治家には出来ないエスプリの効いたジョークだと思うんですよね[7]。あえてそれを笑いにして、誤魔化すじゃないですけど、しちゃうっていうのが。そういうのがもっとあった方が良いと思うんですよ。

*7 ・・・ 2001年1月14日、フットボール観戦中にプレッツェルを喉に詰まらせ気絶、顔を怪我し話題となった。後日、ブッシュ大統領本人がエアフォースワンの中で「よく噛んで食べるように」とのメッセージを付けてプレッツェルをスタッフに配った。


モーリー:

あのリミックスの中の一つにですね、たしか桃井かおりが出ている「ええじゃないか」を使った奴かな?[8] 「ええじゃないか ええじゃないか ええじゃないか」っていうのがあれ多分「ええじゃないか」の映画[9]から採ったんじゃないかと思うんです。

*8 ・・・ ubartamarの曲「ええじゃないか」の事。一時期1stアルバム収録作品という扱いで流通した。
*9 ・・・ 1981年の映画。桃井かおり主演。参考: Wikipedia - ええじゃないか (映画)


宮大工

多分そうですよね。あれ誰もムネオハウスの人が作ってないんですけど、あれがいつの間にか紛れ込んだんですよね。


モーリー:

でも僕凄いねタイムリーだと思って。「ええじゃないか」っていうのは、大道芸のようなみんなで道端の中で大混乱の中で騒ぎながら、なんとなく痛烈な幕府の批判を、黒船に対して無策だった事に対してやった、みたいな事を良く言われていますよね。

宮大工

ええ。

モーリー:

で同時に、それこそムルアカさんの出身地である旧ザイール、今のコンゴなんですけど、ああいった西アフリカ、東アフリカの国では、今でも吟遊詩人、大道芸人の楽器を手にした吟遊詩人が、時の時事評を文字が読めなかったりする人のために歌って歩くそうなんですね[10]。で、本当に悪い政府になってくるとそういう人達を弾圧するっていう話を聞いたんですよ。だから現地ではそれが、大道芸が歌で政治批評を展開してる事実があるみたいなんです。そういうのと妙に共鳴するなムネオハウスは、って思いました。

*10 ・・・ エチオピアの吟遊詩人・Azmari/アズマリがそれに当たる。参考: コトバンク - アズマリ とは

宮大工

それは多分作ったときは誰もそんな事思ってなかったと思うんですけど、今結果的に、まだ終わってないですけど、振り返ってみるとそういったものも多分に有るんじゃないかなって僕は思うんですよ。例えばユーザーの反応を見て曲を作っていく、でまたそれを見て曲を作っていくっていうのは、例えば路上でミュージシャンが即興で何か曲をやってて、リクエストしたからそれに応えるっていうのものにもの凄い近いと思うんですよね。その感覚に近いと思ってるんですけど僕は。

モーリー:

路上のミュージシャンっていうのは大抵弟か友達か小さい子供なんかがいてですね、靴箱を持ってグルグル回ってみんなからお賽銭を徴収してもらったりするんですけど、ムネオハウスを作ってる人達に、非常に違法性もあると自分たちで認めているんですけども、その創作性に対してですね、利益を還元する仕組みなんて考えられませんか?

宮大工

いやぁどうでしょうねぇ。利益を還元する仕組みっていうのは。多分みんなこれでガメつく儲けようとは思ってないと思うんですよね。

モーリー:

ムネオハウスで一発。ムネオハウス長者(笑)

宮大工

多分無いと思うんですよ(笑) 変な意味で「ムネオハウスで一発当ててやるぜ」っていうやつは多分あそこに出さないと思うんですよ、曲を。で、何かしらそれで収益を還元できるのであれば、僕は作品が生まれた2ちゃんねるっていう場所に還元すべきだと思うし。僕らは回線使用料っていう形でプロバイダーには払ってますけど、2ちゃんねるというものに対して何もお金を払ってないわけで。例えば去年の8月にあの2ちゃんねるが潰れるかもしれないっていう騒ぎがあったんです[11]

*11 ・・・ 2001年8月25日の2ちゃんねる閉鎖騒動。参考: jp.blogs.com - 2ちゃんねる閉鎖危機...その時、可能性を信じて人々は立ち上がった!(2001年)

モーリー:

売りに出したときですか?

宮大工

そうです。売りに出したのは多分ネタだと思うんですけど、主催者のひろゆきさんの。ただその中でお金が無いのは事実で、なんとかしてお金に変えたいと。で、あそこにいるみんなっていうか、2ちゃんねるに、本当に住み着いてるっていう言い方は変ですけど、いる人間は、何か機会があればお金を出しても良いと。それが何か形があれば、対価として払っても良いよっていう風に思っている人間は多分一杯いると思うんですよ。あの時の反応を僕は傍から見てて「あ、みんなわりと良い奴なんだ」と。

モーリー:

あのね、取材をして回ったところ、みんな良い奴すぎて困っちゃった(笑)

宮大工

(笑)

モーリー:

なんか暗いこと、暗い笑いはあるんだけど、あくまで上品なエスプリなんですよ。インテリなんですよ。本当に腹黒いこと考えてそうな人がいなかったねぇ。

宮大工

なんで、例えばもし還元できるのであれば、じゃああのCDを曲でmp3で聞けるけども、じゃあ聴けない人のためにCDでまとめて、2ちゃんねるの運営会社に・・・

モーリー:

Amazon?

宮大工

(笑) 売ってもらうとか。で、利益として、収支を明確にしてくれるんであれば、2ちゃんねるのサーバ運営費に充ててくれ、っていうのは僕は個人的にはそれは有りじゃないかなと思うんですよ。ただ僕は実際曲を作ってるわけじゃないので(笑) 僕はただサイトを自分のできる範囲で作ってみんなをサポートしてるだけなので、それは皆さんの意見があると思うんですけど。僕はもし収益を還元するんであれば、そういう方法はみんなが納得して誰かの利益になるわけでもなく、それは後々自分達に戻って来るっていう意味では良いと思うんですよね。

モーリー:

なるほど。それすごく魅力的な収益モデルだと思うんですね。チューニングを加えていくと、多分決済サーバなんかを導入した凄い事にも成り得ると思うんです。そうなった場合、2ちゃんねるがメディアとして肯定されるわけですよね。偶発的なものではなく。そうするとフランスやドイツにある反体制のアングラ新聞ってあるじゃないですか。毎日のようにパロディを流したりする。で、日本のスポーツ新聞っていうのはどっちかっていうと最終的にはどっかに迎合している雰囲気があったり、芸能界の御用聞きだったりするんだけど。俄然そうじゃなくて、遊軍的な新聞っていうのかな、そういう存在に2ちゃんねるは利益を得る事でなったりしますか?

宮大工

いや、それは多分無いと思うんですよ。

モーリー:

あくまでもああいう無法地帯のような。

宮大工

無法地帯だと思うんですよ。多分それが魅力だろうし、それがなくなった瞬間にみんな離れていっちゃうと思うんですよ。例えばここは左的な発言をしてはいけません、右的な発言をしてはいけませんっていうのは、

モーリー:

所謂エディトリアルですよね。社説みたいな。

宮大工

それって、ものすごく本末転倒だと思うんですよ。あそこを作ったっていうのは「あらゆるものに縛られずに自分の言いたいこと言っていこうぜ」っていうところが原点だと思うんですね。いやそこが原点かどうか全然分かんないですけど(笑)

モーリー:

(笑)

宮大工

だからそういうことで発展してきたんで、そこが何かしらの権威を持つっていうのは、みんな考えてないと思うですよ。結果としてそれは付いてくるかもしれないけど。中にいる人間は、例えばあそこは2000万アクセスとかあるわけじゃないですか、その結果としてそれが生まれるわけであって、じゃあ2000万人が同じ意見を持ってるかっていうとみんな2000万の意見を持ってると思うんですよ。だからそれはあり得ないと思うんですよ。

-「Sougou shosha」-

36:20

モーリー:

それでは最後に宮大工さんにお聞きしたいのですが、今そのムネオハウスの流れ、爆発しつつあります。どこに行ったら面白いとおもいますか? どこに行って欲しいですか、個人的に?

宮大工

個人的に最後の締めとしては、ロフトプラスワンに物凄い列が出来て、列がテレビに取材されて「なんなんだあれは?」と。でももうその時には全部終わっている、っていう(笑) 僕の中ではムネオハウスらしいっていう。誰かが鈴木宗男のお面を被って、涙の会見をして終わりみたいな(笑) 最後までジョークで終わりっていうのが面白いと思います。

モーリー:

一拍置いて次のジョークがあったら良いですか?

宮大工

まぁあれば良いと思うんですけど。多分あそこに来てる人間だとか作ってる人間だとか参加してる人間ってのは、何がしらみんなお祭りが好きなんですよ。多分、鈴木宗男の前は田代まさしのお祭りに参加してたりだとか、次に違う祭りが行われてたらそこに行って、また新しい、テクノでも何でもないもしかしたら全然違う形が生まれるかもしれないし、そういうのをみんな見たいと思うんですよ。そこに向かって「俺も何かしたい、参加したい」っていうところだと思うんですね。

モーリー:

ワッショーイってやつですか

宮大工

(笑) ワショーイってやつです。彼等・・・、僕もそうなんですけど(笑)、2ちゃんねるの人が言うところの「祭だワッショイ」っていう奴ですね(笑)

--

モーリー:

引き続きガーデンプレイスの回廊を歩きながら話を聞いています。日本には予定された笑いしか結局今のところ無いですよね?

宮大工

そういうことだと思うんですよね。じゃあ「この人イジってくれ」「ここでドンと笑って下さい」とか。ただイジったりとかイジメたりとかそういうの。

モーリー:

力関係が予め決まった笑いしか欲しくないですよね。日本のマスメディアとか。

宮大工

それって凄いつまらないなぁと思うんですよ。「この人イジっちゃダメですよ」っていうのをイジるからそれが面白いと思うんですよ。

モーリー:

もともと政治の面でもディベートや議論、反対意見を封殺することにはみんな長けているけど、反対意見を取り入れるのはすごくアレルギーあるんじゃないかな。

宮大工

そういうのがまだ下手くそなんですね多分、日本人って。それが海外から、全く別個のところから来たら、良い物として受け入れるんですけど、それが身近なとこから出ちゃうと受け入れられないんでしょうね。

モーリー:

あのMr.ビーンをやってるローワン・アトキンソンはね、大変な反社会活動家らしいんですよ。凄い与党が嫌いで、とにかく与党をこき下ろすためなら何でもやるっていうことで有名な人で[12]。イギリスではそれで支持されているんだけども、日本だとスラップスティックとしてのみ彼を認識してますよね。

*12 ・・・ 欧米におけるコメディは時の政権や公権力を当然のようにSatire/風刺の対象にする。Mr.ビーン以外のローワン・アトキンソンの諸作品でも行われているが、これを持って「大変な」「反社会活動家」と言うのは難しいと感じる。

宮大工

多分そうですよね。日本で言うところの志村けん的な位置付けだと思うんですよ。日本人には「あぁMr.ビーンの人はイギリスの志村けんみたいな感じなんでしょ」っていう。僕は志村けんは好きですけど、ちょっとそういう位置付けはちょっと違うのかなっていう。

モーリー:

所ジョージ、志村けんという大御所さん達は、どっちかって言うと予定調和の上で大御所になったっていう、そういう取引きがどっかであった感じですよね。

宮大工

そうですよね。

モーリー:

話によると所ジョージさんは最初社会派の暗いフォークを歌っていて[13]

*13 ・・・ 真面目なフォークの体裁でふざけた内容を歌っていただけで暗い社会派と言われるようなものでは無かったはず。情報求む。

宮大工

凄い暗いフォークを歌ってて、でもその中にちょっとウィットに富んだ笑いがあったんですよ。僕凄い好きで最初の頃聴いてたんですけど。

モーリー:

それってもしかして「光る風」[14]から「がきデカ」[15]に移ったときのあれかな?

*14 ・・・ 1970年に「週刊少年マガジン」上で連載された漫画。山上たつひこ作。非常に重苦しいテーマの社会派SF作品。
*15 ・・・ 1972-1980年に「週刊少年チャンピオン」上で連載されたギャグ漫画。同じく山上たつひこ作。スラップスティック・コメディの草分け的作品。参考: Wikipedia - がきデカ

宮大工

(笑) そういう革命的な流れかもしれませんね(笑)

モーリー:

がきデカ凄いっすよね。

宮大工

そういうある種エポックメイキングなものかもしれないですね。

モーリー:

今日山の手に乗って恵比寿に来るときに「練馬変態クラブ」[16]っていうのを思い出して。あの荒涼とした何も無い団地っていうか、当時の中にね、「練馬変態クラブ」を見出した山上は凄いなとか思ったんです。

*16 ・・・ 『がきデカ』に登場するブリーフ一枚の男性三人組。文字通りの変態。

宮大工

(笑)

モーリー:

本当のユーモアってそういう事じゃないの、って?

宮大工

そうだと思うんですよね。「イジっちゃいけないものをイジる」っていうのはやっぱり醍醐味だと思うんですよね。

モーリー:

もしかして、僕はあんまり造詣無いんだけど、西洋で、西ヨーロッパでも、SMとかもそういうエスプリに関わってくるんでしょうか?

宮大工

まぁでもSMも洗練されていくとそうなるんでしょうね。でもそこまでのものは誰も求めてないと思うんですけど。

モーリー:

ただ気持ちいい(笑)

宮大工

多分そうだと思うんですよ(笑)

-「dj battle」-

備考

記事起稿日: 2013年3月31日

音源を提供して頂いた皆様に深く感謝致します。

2013-03-22 (Friday)

2002年3月22日公開「季節の外でPro」ムネオハウス特集第3回(ゲスト: Shikaraba) インタビュー全文

11年前のこのインタビュー音源の文字起こしになります。

前書き
  • 編集点、楽曲の挿入箇所に"--"で目印が入っています。
  • 可読性を高めるため、句読点の付加、重複表現の省略、体言止めの修正等の変更が加えてあります。
  • 脚注は2013年3月時点の情報に基いています。
  • インタビューを受けた方のプライバシーに配慮し、音源の直接公開は当ページでは行いません。

-「Sougou Shousha」-

モーリー (以下、モーリー):

「季節の外でPro 特集ムネオハウス号」を続けてお届けしております。今日はカリスマティックな一曲である「Shikaraba」、今までアップされた初期の曲の中でかなり上位の方で素人の人が聴いたときに印象が強く残る一曲ですけれども、それを始めとしたムネオハウスの曲をどんどん製作していらっしゃるShikarabaさんにお話しを聞いてみようと思います。

どうもこんばんは。

Shikaraba:

こんばんは。どうも、宜しくお願いします。

モーリー:

急なお願いのインタビュー、ありがとうございました。

Shikaraba:

いえいえ・・・ あ、緊張しております・・・

モーリー:

あ、そうですか(笑) 大丈夫です。緊張して下さい(笑) 飲み物もありますので。お代わりして良いですから。えっとShikarabaさんはムネオハウス、最初に作曲しようと思い立ったきっかけは何でしたか?

Shikaraba:

実はこういうネタものが結構大好きで。ここでちょっと激白暴露しちゃいますけども、ちんこ音頭[1]とかその辺でもちょっと参加しておりました(笑)

*1 ・・・ 2002年1月、2ちゃんねる「お祭り板」発祥の祭。 参考: ちんこ音頭ポータル

モーリー:

(笑) なんか良く喋りますよね結構(笑) ちんこ音頭っていうのは・・・ あのこれ結構一般の方、例えば電波のラジオを聴くような意識のレベルの人も聴いてるので、そこの御解説からお願いします。

Shikaraba:

そうですね・・・ いやちんこ音頭についてはちょっと避けようかと思ってたんですけれども、これ聴く人達ってみなさん2ちゃんねらーが多いかと思うので一応ネタとして持ってきた部分なんですけども。

ちんこ音頭っていうのはそれの元の曲があるんですけども、ボイスだけ別にしたものがアップされてまして、それをネタにちょっと作曲をくっつけてリミックスしたりとかできるようになってるんですけれども・・・ 私がやったのはその2stepバージョンなんですよ。

モーリー:

(笑)

Shikaraba:

まぁそういうことなんですけど。

モーリー:

そのお作りになった2stepバージョンの曲はネットで落として聞くことができるんですか?

Shikaraba:

ええ上がってると思います。どちらかでミラーされて。

モーリー:

(笑)

Shikaraba:

私自身は上げてすぐデリートされました(笑) 上げると大体アクセスがすごくなっちゃうので、直ぐに・・・ あ、思い出しました。ちんこ音頭だけはアップローダがあったので、そこにアップしたら確か補完されてまして。それはもう大丈夫だったんですけど。

モーリー:

これは例えばYahoo!のようなサーバとかBIGLOBEのような大手サーバが自動的に転送量を監視していて、急激なダウンロード件数があると自動的にデリートするっていうそういう仕組があるんですか?

Shikaraba:

いや多分管理者さんが・・・

モーリー:

人間が?

Shikaraba:

多分ですけれども。アクセスが集中してるところに多分数字か何か出てて、そこが一杯になるとそこが怪しいと見に行くと思うんですね。そこに違法性のあるファイルがあると多分消しに行くんじゃないかと思うんですけど。はい。

モーリー:

わかりました。であの、今日はムネオハウスが同様の雪崩を打ち始めているので、ムネオハウスのコンテンツについて集中的にお話しを聞いていくと思うんですけども。お作りになったShikarabaさん本人としてね、鈴木宗男議員や辻本(清美)さんのあの声、あるいはソースはNHKだったりとか色々あるんですけど、普通の建前だとしますと大人社会的に言うと、何十にも・・・ あの、なんていうの・・・、違反がありますよね、これ。

Shikaraba:

あ、そうですね。それ分かっててやってるので・・・

モーリー:

(笑)

Shikaraba:

あの、何と言いますか、サーバに上げるときもなるべく匿名にできるように偽名でサーバを借りたりとか。そういう事の連続ですね。

モーリー:

要するにIdentityをEncrypt(暗号化)されてるような。

Shikaraba:

そうです。そういうことですね。

モーリー:

(笑) 分かっていてやってる、ということでですね、あの、まぁこういう物に対しては、自主性が今回・・・ 例えばそのちんこ音頭は聴いてないのでこれから僕も勉強してちんこ聴こうとおもうんですけど(笑) ムネオは聴いたところですね、僕のラジオの世界の同業者の人達もそれを聴いてやっぱりすぐに飛びつくようなネタだったんですね。

それでなんというかラジオ的な直感で、特にFMで働いている人の直感としては、これはすごく面白くて、東スポか何かに出たらきっと一面に載って、2日以内に表から消されるだろうなっていうような、そういう直感がなんとなく働くんですよ。

Shikaraba:

そうですね。私もそう思います。

モーリー:

それで、ある意味でこれそういうデリート覚悟で、短い期間に瞬発的に出すという、そういう意識で最初から作る感じですか?

Shikaraba:

そうですねぇ・・・ いやあ、でもそうかもしれないですね。なんか話題性に乗って参照数を稼ぐっていうのが目的なんですよ。私とか多分他の方もそうだと思うんですけども。それで多く聞かれて悦に入るみたいな、そういう部分ですよね。

-「sondu miriu」-

モーリー:

例えば、じゃあ10年以上前の海賊電波みたいなものと比較して見たいんですけども、かなり構造とか背景、環境が違ってますよね。海賊電波っていうのは、例えば郵政省認可を持っていないのに、放送を例えば山手の中にいる人に流したりとか。あの原宿から山手線の中に向けて流した海賊ラジオの話とか昔聞いたんですけど。

で、そういうのって結局当局が取り締まったらそれで終わりじゃないですか。それに対して今回は、デリートがかかってもそれをmp3等の形で配給し続ける方法っていうのはあるんですよね?

Shikaraba:

そうですね・・・ とにかく一度でもアップすればそれを聞いてくれた人が大体ミラーしてくれたりとかMXで共有してくれたりとかっていう。それにもうほとんど自分なんかは頼ってまして。サーバーの知識とか私は逆に低いので、そういう方達に本当におなが・・・ お願いっていう感じですね。

モーリー:

見えない人とコラボレーションをしてる感じ?

Shikaraba:

あぁそれは・・・ そういう意識は強いですね。ハイ。

モーリー:

ちょっと結社的な匂いが(笑) フリーメーソンな雰囲気というか(笑)

Shikaraba:

いや全然そんなことないですね、ハイ。

モーリー:

あのね、Shoutcastにもムネオハウスのチャンネルが今追加されていまして。

Shikaraba:

あぁ、ハイ。

モーリー:

さっき確認したらあったんですけど。Shoutcastっていうのはmp3ファイルをどうするんでしたっけ? ご存知でしたか?

Shikaraba:

えーっと多分あのmp3のストリーミングの方式で、m3uだったかな、そういう拡張子を持ったものがそういう扱いを可能にしてるんだったと思いますけども。

モーリー:

Shoucastのサーバーの大きいものはアメリカやヨーロッパにいくつもありますよね。そうすると今からそういう人達がそういう国々に拡散した場合、さしあたって当該議員の政党あるいはNHK、JASRACなどが追いかけてきたところで、サイバースペースにもう既に拡散してしまっている状態だと言えますか?

Shikaraba:

そうですね・・・ そうですけれども、2ちゃんねるの今情報がまだ外側にほとんど出ていないので、それをどういう風に共有していくかっていう事だと思うんですけども。まだその一般性からしてまだ、あの・・・ まぁお遊び程度だと思うんですよね。

ただ、もっと広めて遊びたいっていう反面、サーバーで共有してくださってる方の事を考えると。参照数が思いっきり増えてしまうと圧迫がかかっちゃうんですよね。そのことが心配で、まだちょっと情報をあんまり広めていいものか、それとも今の現状で楽しんでいった方がいいか、っていうところのちょっと今瀬戸際のところにあると思います。

モーリー:

そうすると、これを例えば従来のサーバで参照するという。公式というかな、表だった方法以外の、例えばピアツーピアみたいなテクノロジーを使って。なんて言うんでしょうね、Encryptするような。そういう方法論を考えたり名乗り出たりする人はいますか?

Shikaraba:

あー、ちょっとあんまりわからないですね。私の知識だと。

モーリー:

そうすると今のところ、Shikarabaさんの意識としてはとにかく曲をドンドンと作っていく。そしてその曲をアップして、後は世の中に任せるという、そんな感じですか。

Shikaraba:

そうですね。違法性を楽しんでいるところが多分にあるので

モーリー:

(笑)

Shikaraba:

それだけですね。もう違法じゃ無くなったり合法化された時点で私は興味失うと思いますので、その辺は結構重要なんじゃないかと思います。

-「Shikaraba」-

モーリー:

あの、先週までは、鈴木宗男議員が非常にその時の人で、ムネオハウスというのがシャレから出てきたんですけども、一転週刊新潮がムネオさんを糾弾していた側の辻元清美議員をなんか疑惑を取り上げるような、完売を狙っているような雑誌の出し方をしてますよね、今(笑)

そうすると、今度はそれから飛び火して、キヨミさん等を素材になったMixも出てくる可能性はあるんですか?

Shikaraba:

私が作った2曲目の「Sougou Shousya」という曲ですね。それは一応それを扱ってて・・・ あ、キヨミさんのMixっていう意味では扱ってないですけど。まだその今・・・

モーリー:

今の疑惑や社民党の土井たか子さんが釈明というか、疑惑を強く否定している部分あるじゃないですか。そういったサンプルもこれから取り入れて新たな作品というのは考えられますか?

Shikaraba:

そうですね・・・ その答弁次第ですね。それがいかに面白くコラージュできるかできないか、っていうところが扱うかどうかの線なので。ネタとして面白く無かったら、例えばですけども加藤(紘一)さんが離党した時にも一応ネタはあったわけですけども、ネタとしての面白さっていうのは無いわけなんですよね。

でも、ムネオさんがなぜこんなにネタとして扱えるかっていうと、彼が面白いっていう、そこの一点なんですよね。だから彼が憎いとか憎くないっていうのは全然関係なくて、その一点に集中されてるというだけですね。

モーリー:

あの、これは例えばビジュアル面もあるんでしょうか。声以外に。

Shikaraba:

多分にあると思います、ハイ(笑)。

モーリー:

(笑) あの、彼をその例えばVJの観点で、鈴木議員をあのなんというかトリーメントっていうか加工処理するときに、ビジュアルアーティストというのはどういうところに刺激をそそられるんでしょうか?

Shikaraba:

そうですね・・・ これ多分私とかそれ以外のクリエイター以外の、雑誌社とか新聞社とかも、ほとんど面白おかしく扱おうとする人、皆さんと同じ意識じゃないかと。だから、それが真実かどうかっていうのも一切こちらでは分からない、判断できないところなので。そのネタがいかに面白いかどうかっていうことで。変な顔かどうかっていう部分とか、いかに真剣に怒ってるるかどうかっていう部分は一番おもしろく映る部分だと思うんですよ。

あと例えば、いかに辻本さんみたいに追求しまくってあんな事言ってたのにこうなったみたいな。多分ヤラセだと思うんですよ。

モーリー:

どの点がヤラセだと思われます?

Shikaraba:

私がヤラセだと思ったのは「次あなたがこうなったらどうするの?」っていうの多分ぶつけてきただけだと思うんですよ。だから彼女自身が本当に疑惑を持ってるかどうかこちらは分からないですけれども、多分やらせの匂いがプンプンするなっていう、それだけだと思います。

-「muneo-go」-

モーリー:

続いてShikarabaさんの音楽制作の作業環境について伺ってみたいと思います。SOHOのような環境で作曲されているんですか?

Shikaraba:

そうですね。仕事ではSOHOみたいな感じにもしてるんですけど、コンピュータの中だけで作ってます。Cubase[2]というソフト使ってまして。マッキントッシュなんですけど。それでネタを取り込んで、それでとりあえず曲を作って、それにネタを切り貼りという感じで作っております。

*2 ・・・ 独Steinberg社製の音楽制作ソフト。このインタビュー時点での最新版はCubaseVST/32 5.1。参考: Wikipedia - Cubase

モーリー:

素材は例えばテレビの中継から一回DATかMDに録られるんですか? それともコンピュータにそのまま生を録音してるとか。

Shikaraba:

ネットの放送局、ネットラジオでは無いんですけど、RealVideoのビデオを置いてあるところに、衆議院とかのサイトにもあるんですけど、そういうところのネタをちょっと拝借して、それをそのままAIFFに変換して。

モーリー:

あ、そういうことは、リアルストリームをMDかなんかに録音するんですか。それともリアルメディアを直接上手いこと落とすんですか。

Shikaraba:

上手く落とす裏ワザがあるんですけれども。

モーリー:

ハッハッハ 知らなかった(笑) なんか僕のリアルメディアもあっちこっちに既にアレしてるんですよ。だから分かってる人がやってくれてるんで。僕は嬉しんですけど。でも例えばリアルメディアを落としたときに一度圧縮かかってますよね。これを一回膨らますんですか? AIFFに。

Shikaraba:

一曲目の「Shikaraba」のときにはそれを膨らまさずにやったらちょっとなんか誰の声か分かんなくって失敗だったなって思う部分が一箇所あるんですけれども。一番最新の曲の「Stranger」のときにちょっと膨らましてみたんですよ。ノーマライズかけたら丁度ビットは低くても、膨らました事によってちゃんとビットが膨らむので。同じ音量にしたときに丁度良い感じになったので、皆さんもこれからもし作るときは一度ノーマライズをかけたネタで並べて切り貼りした方が良いと思います。

モーリー:

あの、ノーマライズっていうのスゴイ細かいことを、僕も音楽やってるんで聞きたいんですけど。mp3なんかに書き出されるときにね、えっと、100%ノーマライズで書きだしてますか? それとも少し絞った方がいいでしょうかね。

Shikaraba:

そうですね… すごく尊重したいネタっていいますか、そういうときにはもう絶対ノーマライズはかけないことにしてるんですね、私自身は。ただまぁこういう「流れで作っちゃえ」なもの、どうでも良いものとは言いませんけど、作品として即効性を感じているものについては、ノーマライズが非常に可能かなと思うんですけど。もしあの厳密にやりたいとしたら、私の場合はゲインを上げるようにしてるんですね。

モーリー:

ふーん。

Shikaraba:

それで音処理を完璧に追い込むという感じですね。

モーリー:

Cubaseだと中にダイナミクスのコンプとかリミッターその他入ってますよね。あとなんか変なEQみたいなの。あれなんかも多用されてるんですか?

Shikaraba:

多用してます。

モーリー:

一回コンプかけると元に戻らないでしょ?

Shikaraba:

そうですね。元ネタを取っておく感じですねその場合は。試したいっていうとき。

モーリー:

じゃあ要するに非破壊編集の鬼なんだ(笑) Non-Distructive・・・風味?(笑)

Shikaraba:

そうですね・・・ なんといいますか、ネタが元に戻る/戻らないっていうのはエフェクタのスイッチをON/OFFでできるので、ええ。よっぽど変えちゃった後に戸惑わないために元ネタを取っておくっていうだけの話なんですけれども。

モーリー:

で、元のその取り込みなんですけど。そういう中継のリアルメディアなんかをゲットしたときにね、何を基準にどの部分を摘んで引っ張りだしていますか?

Shikaraba:

それはどういう意味で?

モーリー:

例えば答弁がガーっと流れてるのをまずファイルで落とされますよね。で、そのShikarabaさんはそこからワンショットのサンプルなんかを抜いておられると思うんですけども。ずーっと聞いて決めるんですか? 「これかな?」っていう風に。

Shikaraba:

そうですね、何度も何度も聞いて・・・

モーリー:

うわぁ大変だ(笑) ドキュメンタリーみたい(笑)

Shikaraba:

面白いと思ったところを摘むんですけど。で、直感性とか結構重要なので、サラっと聴いたときに覚えてるネタっていうのは頭のなかにメモっておいて、それを何度も聞いて。やっぱり笑えるかなっていうのを全部摘んで、それで編集かけてますね

モーリー:

それでその、元ネタをまずちょっと多い目に抽出されると思うんですけど、今度はそれを組み合わせる段階? いわゆる作曲段階ですよね、どういう手順でやってらしゃいますか? それに非常に僕興味があるんですけど。

Shikaraba:

本当はシカラバなりの企業秘密なんですけど、曲をまず完璧に作っちゃいます。

モーリー:

バックトラックを。

Shikaraba:

バックトラックですね。声を、声ネタを載せるっていうことを考えて100%までは持ってかなくても80%ぐらいの雰囲気で作って。後で声ネタを入れたときに100・・まぁ120%ぐらいにいけるように、そういうテンションで作っています。

モーリー:

ふーん。

Shikaraba:

それでネタの話・・・ そうですね ネタはどういう風にするかって言いますと、まず完璧に曲を作った後に、ネタをリズムに合わせて切ったり貼ったりして、まぁ昔のラップミュージックみたいな作り方なんですけど。

モーリー:

たとえばReCycle[3]なんかも使うんですか?

*3 ・・・ スウェーデンPropellerhead Software製のループ作成ソフト。参考: Wikipedia - ReCycle!

Shikaraba:

ReCycleは面倒くさいので。

モーリー:

面倒くさいですよね(笑)

Shikaraba:

ええ。使わないです。

モーリー:

(笑) 自分の目と手でって感じ?

Shikaraba:

そうですね。Cubaseの場合ですとオーディオトラックも全部普通のMIDIのトラックと同じように切り貼りできるので、なるべく細かくいじれるように1/16ぐらいまでに細かく出来るようにしておいて、それで切ったり貼ったりして。で、タイミングがどうしてもちょっと後ろにズレたり前にズレたりしてるものがあるんで、それは一回オーディオファイルを開けて、前にチョチョチョっとずらたりとかっていうのを細かくやってます。

モーリー:

結構手わざと自分の耳を頼りに。職人芸っていうか。あの、Cubaseのマニュアルを開けるとね、なんだっけねM-PointとかQ-Pointとかっていうの、あんなの使ってますか?

Shikaraba:

そういうのあったの覚えてるんですが、使ってないです。

モーリー:

(笑) やっぱり。あれすごい良い機能だと思うんだけど、本読んでるとすげぇなぁって、デモとかスゴイと思うんだけども、あれ本当に使えてる人何人いるんだ? ってよく思っちゃう(笑)

Shikaraba:

多分8割以上使ってないと思います、機能の。

モーリー:

それでまず曲のレイアウトを全体にされている雰囲気を今伺ったんでんすけど、それに対してやっぱ仕上げっていうかポストプロダクションの部分で、いろんなプラグインを使ったりされるんですか?

Shikaraba:

そうですね。マッキントッシュ、私使ってるのG3なので、G4になるとまだ結構いろんなことできるんだと思うんですけれども、ある程度やると結構・・・

モーリー:

死にますよね?

Shikaraba:

そうなんですよ。赤ランプがついちゃって音切れが結構発生が厳しくなるので、そういうときには最初にエフェクタかけて聴くんですけど、切りながら重ねていったりとか。結構そういう騙し騙し作ったりしてます。

モーリー:

素晴らしい職人芸でいらしゃいますね(笑) あのG3にこだわっている理由は? だいたい今Cubase使ってる人ってもうG4以外いけないとまで言われてるんじゃないかぁ。

Shikaraba:

そうですね・・・ まぁ「買えない」っていうの一つと、あとは最近ノートパソコンでPowerbookの方もG3にしたんですけども、これ買った時点でちょっとG4諦めざるを得なかったっていうのも。ハイ。

モーリー:

あぁ。

Shikaraba:

で、両方で作って共有したりとかして。それで作ってますんで。

モーリー:

なるほど。それでとにかくそれを最終的に色々と自分のワザをかけてですね、Anonymous(匿名)でアップしちゃう。で、反響が返ってくるというかな、その時点で一回自分の中で完結しますか? それともその後反響が返ってくるとまた次やろうっていう風になっていきますか?

Shikaraba:

そうですね、「Shikaraba」アップした時点で一回終わったんですけれども、その後また続々と他のアーティストの方が上げてくれたので、それがもう楽しくて、また次作を作っていって。自分でもこう「Shikaraba」っていう風に書込みのネームを書くんですけど、それだけで書き込んでると絶対ウザくなる人が出てくると思うんですよ。だから匿名さんで書いたり、煽ったりとかいうこともちょっとだけしてます。

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モーリー:

あの、ネットは意識がお互いに共鳴しあっている、もしかしたら非合法趣味の人達が共鳴しやすい、コラボレートしやすい空間ですよね。あの、Shikarabaさんご自分が作った曲をね、他人といろんな形でコラボレーションに持って行きたいなんて考えてらっしゃいますか?

Shikaraba:

そうですね・・・ 実際共有して作れたら面白いかな、とは思ってるんですけど。

モーリー:

例えばそれはオーディオとビジュアルでも良いんですけど。

Shikaraba:

あ、そういうのはアリですね。十分に。それをネタになんか作ってくれる人がいたら嬉しいです。

モーリー:

今のところ実現性が高いのは、多分Quicktimeのビデオ描き出すのよりもFlashかな。Flash一番お手頃ですよね。僕あんまり良く知らないんんですけど、VJのソフトっていうのは例えば「Shikaraba」っていう曲を読み込んで、ダダダダーッとリアルタイムで描き出したりできるんですか?

Shikaraba:

VJソフトでもできますよね。VJソフトだとQuicktime・・・ 私マッキントッシュ専門なんで、Quicktimeをいっぱい取り込んで、それをスイッチングしたりとかっていう方法で描き出したりとかはできるんですけど。でも厳密にやるんだとしたらPremiere[4]とかそういう・・・

*4 ・・・ 米Adobe Systems製の映像編集ソフト。参考: Wikipedia - Adobe Premiere

モーリー:

Final Cut Pro[5]とか。

*5 ・・・ Apple社製のMacOS用映像編集ソフト。参考: Wikipedia - Final Cut Pro

Shikaraba:

そうですね。その辺のソフトちゃんと使ってやった方が良いんじゃないかなって思うんですよ。

モーリー:

うちもFinal Cut Pro使ってますよ。ただレンダリングが問題なんだけどね。NT機があるんですよ。NT機を仕事で使うんですけど、それがきっかけでWindowsに手を触れるようになったんですよ。なかなか良いもんですよWindowsは(笑)

Shikaraba:

Windowsも私持ってるんですけども、どうもやっぱりインターフェースが慣れないんで、2:8ぐらいの割合でしか使ってないですね。

も;あと、さっきちょっと出かかった質問なんですけど、例えばCubaseのセッションありますよね、いわゆるマルチトラックのファイルとCubaseのセッションを一つのフォルダにして100Mぐらいで誰かと共有しあって、Rocket Network[6]みたいな、あんな雰囲気でこれ展開したいと思ったことあります?

*6 ・・・ 音楽制作ソフトから直接音源ファイルをオンラインで共有できるサービス。日本では「ASTRO SESSION」の名称でImpressの子会社であるリットー・ミュージックが2001年12月サービス開始、2003年3月サービス終了。参考: 藤本健のDigital Audio Laboratory - 第59回:オンラインセッションを実現するネットワークサービス〜Rocket Network〜

Shikaraba:

RocketのデモみたいなDMが入ってたんで、ちょっと試したいなとは思ってたんですけど、それがもし自分の中で反応が良ければ、今後ちょっと取り入れる感じで考えてみますね。

モーリー:

お聞きの皆様にご説明しますと、CubaseというShikarabaさんも僕も共に使っている音楽作成ソフトがあるんですけど、これは様するに色んな音をハードディスクに録音していって多重録音をかけるソフトですね。

で、特殊なファイルの形式、方式で様々な多重録音のトラックを管理していくんですけれども、これを丸ごと人と共有する仕組みが関連会社から出ていて、それがRocket Networkと言われております。日本では確かImpressだったかな・・・ Impressでしたよね、がバックアップしてやってるけど。

ただあれRocketの仕組みはビジネスモデルにちょっと一個問題があって。大容量転送すると比例でお金がかかるんですよ。

だから100GBなんていった日には月に30万払うことになるとか恐ろしい課金が来るんで、ちょっと今のRocketには手を出さない方がいいよね。こういう熱いネタは。

Shikaraba:

そうですね・・・いまのでちょっと興味を失いました・・・

モーリー:

ハッハッハ やめろって言ってるんじゃなくって(笑) P2Pとか使ってね、Rocketと同じような事を例えばCubaseの人達同士か、ADSLだったらできるんじゃないかなとか。

Shikaraba:

そうですね。そういうアイディアだけ拝借するってのはアリですね。

モーリー:

ACID[7]のファイルだったらもっと楽ですよね。ACIDっていうのは圧縮かけまくって結構ザラザラで汚いファイルと綺麗なファイルを並行して管理してくれるので、さっき冒頭に出た再圧縮とかそういう問題を一切、「汚くてイイ」って割り切っているのがACIDなんで、もしACIDを使われた場合は今のようなアレはかなり楽になりますよ。

*7 ・・・ 米Sonic Foundry製ループシーケンサー。参考: Wikipedia - ACID (DTMソフト)

Shikaraba:

あぁ、そうだと思いますよ、私も。

モーリー:

はい。続いて、今作ってる曲は主にスレッドを立てた人達の間で沸騰してるんですけど、どういうタイミングで、外の世界の一般の人達に聞いてもらえたら良いと思っていますか?

Shikaraba:

そうですね・・・こちらから働きかけてそれでなんか流行るよりも、向こうから気づいてもらってそれで自然に流行っていくのが良いかなと思います。それはもうあのサーバ心配してるっていうのは、知らせた人が「サーバ圧迫をどうするつもりだ」と叩かれるという現象があったんですけれども、それだけが心配なので。

で、気付かれちゃった場合はもうそれはもうしょうがないんじゃいかっていう、そういう割り切りもできますので。

モーリー:

あの、私素人っぽい質問で恐縮なんですが、MacのOS X Serverっていうのを立てると、自宅にもし8MのADSLがあった場合ね、自分の家がサーバになることができるんじゃなかったでしたっけ? そういうシステムを使う人とか出てこないんでしょうか。つまり自分の家からやっちゃう。100GBだろうがなんだろうが。

Shikaraba:

そうですね・・・自宅サーバが作れれば良いのかもしれないですね。私もちょっとその辺あんまり疎くて分からないです。

モーリー:

ねぇ、聞いてみたいところですよね。これだけP2PでGnutellaだMorpheusだって大騒ぎしてるのに、それぐらい出てきても良いような気はするんですけども。

Shikaraba:

ただ、アクセスが100GBとか

モーリー:

一日にね、

Shikaraba:

はい。聴いたことも無いようなそういう転送量を聴くと。

モーリー:

まるで・・・ あのAkamaiって知ってます[8]? あの、CNNとかのリアルメディアのコンテンツを全部Akamaiのサーバに一回飛ばされて、そこから送られてくるらしいんですよ。Appleも。AppleのページもQuicktimeのショーケースとかあるでしょ。あそこで押すとショーケースでPerfectな何か流れてくるじゃないですか。あれ全部Akamaiのサーバに呼びに行ってるらしいんですね。

で、そういう大100GBとかテラバイトを扱えるのはAkamaiってアメリカの会社にあるから、これって個人がAkamaiをやらなきゃいけないって事ですよ。

*8 ・・・ 米Akamai Technologies。世界最大のCDN事業者。参考: Wikipedia - アカマイ・テクノロジーズ

Shikaraba:

そうですね。ええ。そういうのあると良いですね。

モーリー:

あのね、OS X Serverはお安くて手頃ですよ(笑)

Shikaraba:

あ、そうですね(笑)

モーリー:

古いG4でもできますし、OS XのServerはすごく安くて、ストリーム数は結構、うん、タダ。

Shikaraba:

あ、そうですね。それは取り入れたいですね是非。

モーリー:

皆さん、OS Xオススメです。それで、これ最後の方の質問になるんですけど・・・ 今お店に人入って来ちゃったからど忘れしちゃったハッハッハ ごめん(笑) 何聞きたかったんだっけ・・・

そうだイベントがありますよね4/7に。そこにもお出になりますか?

Shikaraba:

ええ、一応出させて頂く方向に有るみたいです。ハイ。

モーリー:

その時までに、今から2週間ぐらいですかね、今から2週間の間にね、今既にこうなっているじゃないですか。どうなっていると思いますか?

Shikaraba:

そうですね。個人的にはもっと盛り上がっていて欲しいというのが正直なところです。

モーリー:

その盛り上がりは今のスレッドの同心円上の盛り上がりですか? それとも例えばマスコミ、FMラジオがそれを流しちゃうとか、そうすると一気に広がると思うんですけど、そういう事件があっても良いですか?

Shikaraba:

どうなんでしょうねぇ。ちょっと微妙ですね。このままだと多分・・・ どうなんでしょう平行線を辿るか、それとも、もっと参入者がどこかで聞きつけて来るんだったらもっと盛り上がれると思うんですけど。

当日までにもう少し何か爆発度が必要なのかもしれないですね。

モーリー:

今のところムネオハウスのシーンといえるのは、まぁシーンのような状態になっているんですが、ムネオハウスシーンというのは僕の印象だと、コンテンツが牽引している。つまりShikarabaさんのような方の曲次第で、クオリティが上がってるんですよ。本当にDJ頼みなんですね。オーガナイザーやその他のサポートの人達や会社が勿論参入できるもんじゃないですから。仕掛けや仕組みっていうもの? パブリシティについてのそういうものが全然感じられないのね。みんなすごくナイーブで。で、曲だけはどんどん鋭くなっていってる(笑)

Shikaraba:

そうですね。私もそう思います。ネタ自体が多分かなり重要なポイントだったりするので。ムネオネタだけだと多分もうそろそろ、ムネオさん自身もちょっとしぼみかけているので、もっといろんなところから持ってこないといけないので。一つの提唱として私が書き込んだ事は、政治ネタ一般を扱うことがもうムネオハウスっていう事にしたらどうだっていうことを書いたんですけど。

んー・・・ みなさんどうでしょうか、って感じなんですけれども。

モーリー:

あの・・・ 多分それについての明確な答えを視覚化っていうかビジュアライズできるのはもしかしたらクリエーターだけかもしれないなって僕思ってるんです。

つまり、ムネオハウスっていうのは「あったらどう?」っていうのはスレッドでみんな「そんなの面白くないよ」って誰かが言ったら、文字だけだったらそうじゃないですか。ところが曲があって「すごい!」ってことになった事で雪崩を打ったわけでしょ?

だからこれってちょっと、プレッシャーをかける言い方になるかもしれないけど、例えばShikarabaさんのようなちょっと分かってるクリエーターの方がどんどんと先を行って、清美さんなら清美さん、(田中)真紀子さんなら真紀子さん、久米宏さんなら久米宏さんという風に、ガンガンネタを出して行くしかないんじゃない、これって。

話し合いで次の方向性出てこないと思うよこのグループは。

Shikaraba:

あぁ。そうなのかもしれないですね。私もやっぱり先にやった人がどれだけ面白いと思えるものが出せるかどうかだと思います。ええ。

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備考

記事起稿日: 2013年3月31日

音源を提供して頂いた皆様に深く感謝致します。