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muneo house information

2015-12-18 (Friday)

ボカロビギナーズ!ボカロでDTM入門

過去に同人誌として頒布されていた『ボカロビギナーズ!』シリーズが一冊にまとめられ、インプレスから商業流通向けにリリースされました。Vol.2に掲載されていた動画サイト以前時代の説明がここにも使われたため、ムネオハウスの記述が残っています。

■動画サイト登場以前のDTM、ネット音楽

(前略)

さらにパソコンの性能やインターネット回線の速度が向上すると、音楽だけではなく動画を一般の方が公開し、視聴するという環境が整ってきました。当時、動画はMacromedia社(現在はAdobe社が買収)の「Flash」というソフトウェアで制作し、個人サイトやアップローダーなどで公開するというのが一般的でした。

Flashは、当時の「2ちゃんねる」(http://www.2ch.net/、以下2ch)文化と強く結びつき、数々の名作を生み出しました。2chの設立は1999年であり、当時はまだSNSもなかった時代に、今で言うところの「○○クラスタ」が集まる貴重な場でした。その中で育った文化の成果物などを動画として公開する手段として、Flashが重宝されました。

そのFlash動画で使用される音楽にも、注目が集まることが多くありました。洋楽の空耳などのネタも多くありましたが、中にはmuzieで公開されている同人音楽がBGMとして起用されることもありました。

例えば403氏の「Southern Cross」という曲は、2004年末のイベントで公開された「Nightmare City」というFlash動画の「主題歌」として使用され、muzieでのダウンロード数が6桁を記録するという、当時のネット音楽としては前人未到のヒットを打ち立てました。こうして、同人音楽という存在が徐々に知れ渡っていくことになります。

また、同じく2chから始まったものですが、当時のネット音楽で話題となった現象に、2002年の「ムネオハウス」ムーブメントがあげられます。これは、当時衆議院議員だった鈴木宗男氏の国会での証人喚問がテレビのワイドショーで大々的に報道された際、その声を録音して音素材として活用(サンプリング)し、音楽ジャンルの「ハウス」と引っ掛けて曲を作った人が現れたことをきっかけに、続々と有志によって曲がアップされ、アルバムが20枚以上も制作されるほどのムーブメントとなったという出来事です。

そして2005年2月の「YouTube」誕生、2006年12月「ニコニコ動画(仮)」誕生に伴い、動画の発表の場は個人サイトから徐々に動画投稿サイトに軸足を移していくことになります。

アンメルツP『1-6 DTMとVOCALOIDの歴史』「ボカロビギナーズ!ボカロでDTM入門」(2015)

備考

記事公開日: 2016年2月28日

初版の段階ではGoogle Booksで表示される範囲のみしか確認出来ていません。追々書籍版を確認する予定です。

2015-10-25 (Sunday)

非実在性芸音科学ぷち研究その1 「同人音楽は政治に一発カマせるか? ~MUNEO HOUSE・初音ミク・SEALDs~」

本日開催されたM3 2015秋でサークル「非実在性芸音科学」さんが頒布した無料誌。

f:id:underdefinition:20151028194747j:image:w160:right同人音楽が政治に直結する可能性なんて、皆様考えたことがないかと思います。そして繋げる意義も考えない、むしろ「同人に政治を持ち込むなよ…」と思うことでしょう(僕も若干そう思う)。

ところがかつて、同人音楽が政治にモロ直結しかけたことがあります。アラサーの方はご存知かもしれませんが、かつて鈴木宗男元衆議院議員が汚職事件で注目された時に、ネット上で「ムネオハウス(以下 MH)」というテクノ音楽が話題になりました。これは2ちゃんねらーにより作られた、鈴木宗男の発言をサンプリングしたハウスミュージックのことです。TV ニュースでも取り上げられたようで、ボカロ現象には及ばないものの、結構な影響力を持ちました。今回はこれを軸に「同人音楽が政治や社会を変えうるか」「それに意義があるのか」「同人は非政治的であるべきではないのか」などの問題について簡単に述べていきたいと思います。

aoiiiin 『<ぷち論考>同人音楽は政治に一発カマせるか?~MUNEO HOUSE・初音ミク・SEALDs~』「非実在性芸音科学ぷち研究その1」 (2015) p.1 *画像は表紙

f:id:underdefinition:20151028194746j:image:w160:rightという冒頭の一節から始まる4ページほどのお話。ムネオハウスについては定番の遠藤薫先生の過去の論文をベースに話を進めていらっしゃいました。またカタログのサークルカットにも「ムネオハウス」の記述が残っていました(右図参照)。

当方が記憶している限りムネオハウスが「同人」音楽として語られたケースは今まで無く、また遠藤先生の一連の著作の中でもムネオハウスは日本のウェブにおけるインターネットファッド、あるいは英語圏ではもっぱらInternet Meme(インターネットミーム、単にmeme/ミームとも)と称されるもの、の初期事例として紹介されており、所謂同人文化の文脈で取り上げられたものではありませんでした。

果たしてこのテーマへの導入部にムネオハウスを採用するのは有効だったのでしょうか。当方としては少々疑問が残りました。

追記 (2015年12月25日)

ブログにて全文公開されました。

備考

記事公開日: 2015年10月29日

2015-04-26 (Sunday)

SHARPNELSOUND CHRONICLE

本日開催されたM3 2015春にて頒布されたSharpnel10周年記念の同人誌『SHARPNELSOUND CHRONICLE』内、JEAさんインタビューでちょっとだけ触れられていました。JEAさんといえばdevilfish名義でちんこ音頭に「Penis Folk」とムネオハウスに「i wanna be a muneo 2002」を、DJ Attackerz名義で「movement - dance 4 dance -」を投下された他、雑誌『2ちゃんねるプラス Vol.9』での2ch絡みの曲のコンピ企画"RELOAD'04"に再びdevilfish名義でさとうれおネタの「SatoReo Megamix」を提供するも流石にこれは覚えている人が全然いない、そんな感じで2000年代中頃までネットのネタによく乗っかっていらっしゃいました。

MODからCubaseへ 現場に教えられた音圧

(前略)

SHARPNELSOUND CHRONICLE編集部: 曲を作るときのきっかけや、いわゆるアイデアの着想の源はどこから来ますか? また、曲を作る順序や手順があれば教えて下さい。

JEA: やはり普段見ているアニメへのストーリー的な思い入れから曲に結びつくことが多いですね。あとはネットや身の回りで盛り上がっているネタ、過去で言えばムネオハウスとかロイツマ、Hatten ar dinなど、ネットネタに乗っかっったものも結構好きです。あとはやはりセリフ一発のインパクトがあるものでは、このセリフを生かしたい!と作り始めることもあります。

(後略)

シャープネルサウンドクロニクル編集部『DJ SHARPNEL INTERVIEW』 「SHARPNELSOUND CHRONICLE」 (2015) p.18

たったこれだけ。なおHattenネタは2001年冬コミ頒布の『p2p - ピアツーピアッ! -』(SRPC-0009)に収録された「Hatten カーニバル」、ロイツマネタは2006年夏コミ頒布の『感脳侵食 - Brain Violation -』(SRPC-0020) 収録の「Pretty Green Onions」のことを指すと思われます。後者はYouTubeやニコニコでは「Loituma Speedcore」とも呼ばれているようです。また「Hatten カーニバル」は本誌付録の特典CD「完全網羅は無理でしたMix」の14曲目でも使われていました。

この他ムネオハウス関連では「movement - dance 4 dance -」投稿時に使っていた変名"DJ Attackerz"がAVメーカーのアタッカーズに由来する事にも触れています(p.19)が、流石に正規リリースには一切関係がないのでディスクレビュー等の本誌の他コーナーではムネオハウス関連は当然全く触れられていません。

備考

記事公開日: 2016年2月28日

2013-08-12 (Monday)

ボカロビギナーズ! Vol.2

アンメルツP主催のサークルG.C.Mが夏コミで頒布した同人誌。ネット音楽の歴史についての記述にムネオハウスも載っていました。上掲の公式サイトでWeb版が無料公開されています。

ニコニコ動画登場以前のDTM、ネット音楽

(前略)

さらにパソコンの性能やインターネット回線の速度が向上すると、音楽だけではなく動画を一般の方が公開し、視聴するという環境が整ってきました。当時、動画は Macromedia 社(現在は Adobe 社が買収)の「Flash」で制作し、個人サイトやアップローダーなどで公開するというのが一般的でした。

この Flash は、当時の「2 ちゃんねる」(http://www.2ch.net/、以下 2ch)文化と強く結びつき、数々の名作を生み出しました。2ch の設立は 1999 年であり、当時はまだ SNS もなかった時代に、今で言うところの「○○クラスタ」が集まる貴重な場でした。その中で育った文化の成果物などを動画として公開する手段として、Flash が重宝されました。

その Flash 動画で使用される音楽にも、注目が集まることが多くありました。洋楽の空耳などのネタも多くありましたが、中には muzie で公開されている同人音楽が BGM 的に起用されることもありました。例えば 2004年末のイベントで公開された「Nightmare City」(http://www.geocities.jp/clairvoyance_02/nightmare.html)という Flash 動画の「主題歌」として使用された 403 氏(http://www.muzie.ne.jp/artist/a003884/)の「SouthernCross」という曲は、muzie でダウンロード数が 6 桁を記録するという、当時のネット音楽としては前人未到のヒットを打ち立てました。こうして、同人音楽という存在が徐々に知れ渡っていくことになります。

また、こちらも 2ch 発ですが、当時のネット音楽で話題となった現象に、2002 年の「ムネオハウス」ムーブメントがあげられます。当時からは既に 10 年以上の時が経っているので、本来の意味での「ムネオハウス」自体を知らない人もいそうなので、Wikipedia で「鈴木宗男事件」「日本人とロシア人の友好の家」で検索してください。

この事件の際、鈴木宗男氏の国会での証人喚問がテレビのワイドショーで大々的に報道されるなどして話題になったのですが、あろうことかその声を録音して音素材として活用(サンプリング)し、音楽ジャンルの「ハウス」とかけて曲を作った人が現れたことをきっかけに、続々と有志によって曲がアップされ、アルバムが 20 枚以上も制作されるほどのムーブメントになったという出来事がありました。なお、当時のムネオハウス楽曲の PV を数多くFlashで発表していた人物として、現在の「わかむら P」(mylist/1399500)がいらっしゃいます。

そして 2005 年 2 月の「YouTube」誕生、2006 年 12 月「ニコニコ動画(仮)」誕生に伴い、動画の発表の場は個人サイトから徐々に動画投稿サイトに軸足を移していくことになります。

アンメルツP『03 ボカロ界隈歴史概論 〜作り手との関係を中心に〜』 「ボカロビギナーズ! Vol.2] (2013) p.10

わかむらPの人はFlashでは作ってなかったんですが、2002年当時にPVやMADといったmpgやavi形式の動画をあの手この手で大々的に配布してたムネオハウスは珍しい方ですし、後の世の方はswf形式で公開されていたものもキャプチャしてflvやmp4に変換されたのをYouTubeやニコニコでご覧になってますから、両者が同じ様に見えても不思議ではありません。

備考

記事公開日: 2016年2月28日

2013-06-21 (Friday)

廃墟で歌う天使―ベンヤミン『複製技術時代の芸術作品』を読み直す

遠藤薫先生の書籍。その内容のため読者からは"初音ミク本"とも認識されている本書ですが、第五章第一節「<初音ミクの自己増殖>--機会的複製技術を超えて」の中で名前だけ登場していました。後半部の説明の方が重要なので長めに引用します。

インターネット・ファッドとミーム

そして「ミーム」のような現れは、ネット上では数多くみることができる。先にも述べたように、ネット上で頻繁に観察されるインターネット・ファッド(インターネット上の爆発的・連鎖的流行現象)などがこれにあたる。

最近の世界レベルでのインターネット・ファッドの例としては、「Call Me Maybe」や「PSY - GANGNAM STYLE」というミュージックビデオの大流行がある。前者はカーリー・レイ・ジェプソンというカナダの新人歌手のもので、2012年3月1日にYouTubeにアップされたが、約1年後の2013年3月3日現在、416,921,669回という驚異的アクセス数を記録している。韓国の歌手であるサイ(PSY)のミュージック・ビデオである後者に至っては、2012年7月15日にYouTubeにアップされ、約8ヶ月後の2013年3月3日時点で、1,375,365,713回というまさに天文学的アクセス数を記録している。ここまでの数字を記録した要因のひとつとして、この2つのビデオをもとにした再生産作品がユーザーの間で大流行したことが挙げられる。一例としては、「Call Me Maybe」と「GANGNAM STYLE」から作られた「Carly Rae Jepsen vs. PSY - Call Me Gangnam」というコンテンツがある。これは、もともと実写映像であるサイの「GANGNAM STYLE」の1シーンをイラスト化し、そこにカーリー・レイ・ジェプソンのキャラクターをイラスト化した画像をはめ込み、「Call Me Maybe」と「PSY - GANGNAM STYLE」という2つの曲を重ねてミックスを施した楽曲を流すものである。このマッシュアップ作品は、xaerosevenというユーザーによって作られ、2012年9月8日にYouTubeに公開され、2013年3月4日時点で1,293,929回というかなりのアクセス数を記録している。この2つのビデオのマッシュアップ作品はこれ以外にも無数にある。

また、日本のインターネット・ファッドの事例も、「ムネオハウス」や「マイアヒフラッシュ」など、枚挙にいとまがない。*6

これらについては、いくつかの共通した構造が観察される。

第一に、それらは作品自体としては、芸術的あるいは技術的に優れたものであるとは必ずしもいえず、むしろ「ノリ」で作られ、それがオーディエンスの「ツボ」にはまった、といったほうが的確であると思われるような特性を持っていること。

第二に、それらの作品が単体として人気を獲得し享受されるだけでなく、むしろ、それらを「ネタ」としてオーディエンスが新たに創りだした作品(UGC = User Generated Contents)が次々と生まれ、ネット上にアップされ、それをまた多くのオーディエンスが享受し、・・・・・・という二(N)次創作のフィードバック・ループを構成することにより、通常の意味の「**の流行」というより、「**を核としたUGCの爆発的生成現象」とでもいうべきものを発現するということである。

ちなみに、前述の"Call Me Maybe"をYouTubeで検索すると、2013年3月3日時点で、「約879,000件の検索結果」、"Style"で検索すると「約3,380,000件の検索結果」がカウントされる。このすべてではないにせよ、これに近い数のUGCが創られている可能性があるということである。

その意味で、完成度の高さよりも、「スキ」があるほうがネタになりやすい。マクルーハンがメディア論で展開した「ホット」(完成度が高く、オーディエンスは享受するのみ)、「クール」(完成度が低く、オーディエンスのコミットメントを誘う)の理論がここで当てはまる。

こうした二(N)次創作的UGCの作り方には、いくつかの基本操作があり、それを単独もしくは組み合わせて適用することによって、簡単に生み出すことができる。

代表的な基本操作には、

  1. 「DIY」やってみた系 (元ネタを自分がパフォーマンスする、あるいは別のキャラクターにパフォーマンスさせる)。
  2. 「リミックス (Remix)」 複数の楽曲を編集して新しい楽曲をつくる。
  3. 「マッシュアップ (Mashup)」 他のコンテンツと混交させる。
  4. 「パロディ (Parody)」 もとのコンテンツの意味を変えてしまう。

などがあり、これらを複数組み合わせて適用することが多い。

f:id:underdefinition:20161002181825j:image:right:w240 このような二(N)次創作UGCの作られ方を一般化すると、図5-2のようになる。すなわち、何らかのコンテンツの二(N)次創作を試みる場合、元のコンテンツのいくつかの要素を、他の要素と結びつけ、先に挙げたような基本操作のいくつかを適用すると新たな二(N)次コンテンツができるのである。

しかも、こうしたコンテンツに、さらに同様の操作を適用することで、プラス1次のコンテンツが次々と生み出されていく。このダイナミズムは形式的には図5-1のノイマンの自己再製メカニズムと同じである。つまり、あるコンテンツを生命体の個体であると見立て、その遺伝子が各要素の構成体であると考えれば、二(N)次創作されていくコンテンツ群は、相互に交配することによって次世代、次次世代を再生産(Self-reproduction)していく生命体の集合と相似的である。つまり、コンテンツの二(N)次創作のダイナミズムは、実は、生命体の自己再製(Self-reproduction)と同じメカニズムに則っているといえる。

遠藤薫 「生殖する<初音ミク>」 『廃墟で歌う天使―ベンヤミン『複製技術時代の芸術作品』を読み直す 』 (現代書館 2013) pp.127-130

脚注6については

*6. 詳細は「メタ複製技術時代におけるアウラの所在: <情報>としての芸術、その価値とは何か?」(2004) (『メタ複製技術時代の文化と政治 (社会変動をどうとらえるか 2) 』所収)など参照。

とだけ。

備考

記事公開日: 2016年10月2日

2009-12-10 (Thursday)

メタ複製技術時代の文化と政治 (社会変動をどうとらえるか 2)

メタ複製技術時代の文化と政治 (社会変動をどうとらえるか 2)

メタ複製技術時代の文化と政治 (社会変動をどうとらえるか 2)

遠藤薫先生の論文集。

ムネオハウスを題材にした2002年の論文「テクノ・エクリチュール──音楽における身体性と共同性の非在/所在」が収録されています。