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2018-08-17

[]電子タバコで肺が感染症を起こしやすくなる可能性が研究で明らかになった

Study finds e-cigarettes may make lungs vulnerable to infection

Tuesday August 14 2018

https://www.nhs.uk/news/heart-and-lungs/study-finds-e-cigarettes-may-make-lungs-vulnerable-infection/

「電子タバコは当初恐れていたよりもさらに有害である、と専門家は警告する」とSunは報じている。

このニュースは、ヒトの肺細胞に対する電子タバコ用リキッドの影響を調べた実験室的研究に基づいている。

研究者は、肺胞マクロファージと呼ばれる肺細胞の一種を対象として研究を行った。

この種の細胞は、埃などの刺激物質や感染症を起こす細菌が気道に入り込むのを防ぐことから、塵埃細胞とも呼ばれる。

これらの細胞は、感染から肺を守る生体防御機構である肺の炎症性反応にも関与している。

これらの細胞における電子タバコ用リキッドの影響を検討するために、研究者は、ヒトが電子タバコを使用する場合に生じる事象を模倣する、煙の一服を生じさせる装置を作製した。

煙を吸うことにより生成する濃縮されたリキッドに暴露された細胞は、電子タバコ装置の中に保持されたままのリキッドに暴露された細胞と比べ、かなり健常性を失っていた。

これはニコチン無しのリキッドではなく、ニコチンを含むリキッドを使用した場合に特に顕著であった。

ニコチンを含む蒸気に暴露されていない細胞では6%が死滅したのに対して、ニコチンを含む蒸気に暴露された細胞では約38%が死滅した。

この研究からは、電子タバコ用リキッドがどれほど肺の細胞に有害影響を与える可能性があるかについて、興味深い見識が得られる。

しかしこの研究は、検討した細胞のサンプル数が非常に少数であり、また、電子タバコを使用している人たちに関する研究データが得られていない状況では、健康に対する電子タバコの影響について、確実な結論を導出することはできない。

電子タバコが燃焼型煙草を吸うよりもずっと健康的であることは疑いのないところである。

しかしパッチやガムのようなニコチンの代替療法の方は、明確にニコチンから徐々に人を引き離していくことを目的としている。

これらの方が、煙草を止めて、根本の問題であるニコチン中毒を治療したい人にとってはより良い選択かもしれない。

禁煙治療に関してはこちらでより詳しく読み取ることができる。

https://www.nhs.uk/live-well/quit-smoking/stop-smoking-coping-with-cravings/#nicotine-replacement-therapy

[]評価等

  • イチゴ、生食用ブドウ、ワイン用ブドウにおけるマンデストロビン輸入トレランスの設定

Setting of import tolerances for mandestrobin in strawberries and table and wine grapes

First published in the EFSA Journal: 16 August 2018

http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5395

輸入トレランスの設定要請において申請者のSumitomo Chemical Agro Europe SAS社が提出した裏付けデータは、対象とする農作物に関して最大残留基準値(MRL)を導出するのに十分なものであった。対象植物の基質中のマンデストロビン残留を管理・規制するための適切な分析方法が利用可能であり、その検証された検出下限(LOQ)は0.01 mg/kgである。EFSAはリスク評価の結果に基づき、マンデストロビンを周知の農業慣行に従って使用する限りにおいては、それで生じる残留物を長期的に摂取しても、消費者の健康にリスクを生じる可能性は低いと結論付けた。

  • 食品および飼料に存在する4,15-ジアセトキシスシルペノールに関連付けられるヒトや動物における健康リスク

Risk to human and animal health related to the presence of 4,15-diacetoxyscirpenol in food and feed

First published in the EFSA Journal: 16 August 2018

http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5367

4,15-ジアセトキシスシルペノール(DAS)はマイコトキシンの1種で、主にフザリウム属のカビによって、多くの場合穀物で生成される。実験動物や家畜における毒性やトキシコキネティクスに関する情報はほとんど得られていない。ヒトにおいてもデータセットが限られていたため、急性および慢性影響に関し、健康影響に基づく指標値(HBGV)が、DASを抗ガン剤(アングイジン)としてがん患者に静脈投与した臨床試験で得られたデータに基づいて設定されている。CONTAMパネルは、これらのデータを、DASに経口暴露された場合のハザードの特徴付けにおいて有用だとみなした。急性あるいは反復暴露による主な有害影響は、嘔吐および血液毒性で、無毒性量(NOAEL)はDASとしてそれぞれ32 µg/kg体重および65 µg/kg体重であった。急性参照用量(ARfD)として3.2 µg/kg体重が、耐容一日摂取量(TDI)として0.65 µg/kg体重が確立された。15,000件を超える汚染実態データに基づき、急性および慢性の最大食事暴露量は、それぞれ0.8 µg/kg体重および0.49 µg/kg体重と推算され、これらはヒトにおいて健康上の懸念を生じない値である。データは少ないが、肥育鶏を除き、家禽、ブタ、イヌでも、現行の飼養方法ではDASへの推定暴露量は少ないことが示されている。他の家畜やコンパニオン動物についても、毒性データは得られていないが、DASへの感受性が家禽と同等か低いと考えられるため、全般的にリスクは低いとみなされる。トリコテセン類のいくつかとの類似性と食品や飼料を介した共暴露の可能性を考慮すると、この群の化学物質に関し、累積リスク評価を行った方が良いと言える。

[]論文

  • YouTubeは整形外科手術についての間違った情報源である、Rutgersの研究が発見

YouTube is source of misinformation on plastic surgery, Rutgers study finds

16-Aug-2018

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-08/ru-yis081518.php

JAMA Facial Plastic Surgeryに発表。YouTubeには質を保障されていない医者が宣伝で投稿した誤解を招く動画がほとんどである。

  • 食事からの炭水化物摂取と死亡率:前向きコホート研究とメタ解析

Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis

Sara B Seidelmann, et al.,

Published:August 16, 2018•DOI:https://doi.org/10.1016/S2468-2667(18)30135-X•

https://www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-2667(18)30135-X/fulltext

オープンアクセス

米国ARIC研究参加者の食事データを使ったもの。フォローアップ期間は中央値で25年。

炭水化物の摂取割合と死亡率の関係はU型のカーブになり、最も死亡率が少ないのはエネルギーの50-55%が炭水化物の場合(グラフを見た方が早い)

低炭水化物を心がけると野菜や果物、食物繊維の摂取量が減るので死亡率が上がるのでは、といった考察あり

(なにごともほどほどに、といういつもの)

  • 自閉症とDDT:百万人の妊娠が明らかにできることとできないこと

Natureニュース

Autism and DDT: What one million pregnancies can — and can’t — reveal

16 August 2018  Sara Reardon

https://www.nature.com/articles/d41586-018-05994-1

解析でこの農薬の周産期暴露と知能障害を伴う重症自閉症リスクの高さが関連することがわかった

フィンランドの100万人以上の妊婦の血液検体の研究によると、妊娠中の血中DDT濃度の高い母親は自閉症の子どもを産む可能性が高い。WHOによると世界では160人中1人の子どもが自閉症である。どんな場合でも自閉症には遺伝や環境暴露などの多数の要因による可能性が高い。

著者らはこの知見がDDTが自閉症の原因であることの証明ではないと強調しているものの、直接の暴露を測定してそのような関連を示した初めてのものである。DDTはもう何十年も多くの国で野生生物への懸念から使用が禁止されている。環境と疾患の関連を研究している研究者らは、もしDDTに自閉症の引き金を引く可能性があるのならメカニズムについてのさらなる研究が必要だと言う。

この研究は8月16日にAmerican Journal of Psychiatryに発表された。同時にPCBとして知られる一連の化合物も測定しているが、これらは自閉症と関連しなかった。このことがDDTと自閉症の関連についての疑問を深める。

DDTは今でもアフリカでは蚊のコントロールに使われていて、土壌や水に何十年も残り植物とそれを食べる動物に蓄積する。PCBは建築材や電子機器に使われたがある種の魚に高濃度に蓄積する傾向がある。

これまでのPCBやDDTの研究はがんとの関連を示唆し、子どもの早期の脳の発達や認知に影響するかもしれないと示唆してきた。しかしながらそれらの研究のほとんどは汚染地域への近さなどに基づいて暴露を推定していて直接妊娠中の母親の血中濃度を測ったものではなかった。

直接暴露をより良く知るため、ニューヨーク市のコロンビア大学の精神科医で疫学者のAlan Brownはフィンランドの生物学的データベースを探った。それは1983年から妊娠女性の血清を集めている。Brownとフィンランドの共同研究者らは1987年から2005年の間に出産した100万人以上の女性の血清検体を集めたコホートと子どもの健康記録を比較した。彼らは自閉症と診断されたのが約1300人の子どもであることを発見し、そのうち778人とその母親、それから自閉症ではない778人の子どもと母親のペアを、出産日や性や住居など注意深くマッチさせた。母親の血清検体はDDTあるいはPCBの代謝物濃度を測定した。彼らはPCB副産物と自閉症には関連がないことを発見した。しかしDDT代謝物については、上位1/4は低い集団より32%自閉症の子どもを産む可能性が高かった。知能障害を伴う自閉症の子どもを産む可能性は2倍だった

(以下略)

  • 広く使われている「同一の」細胞株でも実際には株間に大きな差異があることが明らかになり、これが生物学研究の再現性問題の一因になっている可能性がある。

Nature 16 August 2018 (Vol. 510 No. 7718)

Reading between the lines

An in-depth analysis reveals the scale of differences among strains of common cell lines.

doi: 10.1038/d41586-018-05935-y

http://www.nature.com/articles/d41586-018-05935-y

Genetic and transcriptional evolution alters cancer cell line drug response

Uri Ben-David et al.,

http://www.nature.com/articles/s41586-018-0409-3

27系統のMCF細胞の321の抗がん化合物への応答を調べた。少なくとも75%の化合物がある系統は完全に抑制するのに他の細胞では全く活性がなかった。遺伝子も発現も相当違っていた

Science 17 August 2018 Vol 361, Issue 6403

  • ニュース一覧

・判事が除草剤ががんの原因という(グリホサートの件)

・裁判所が殺虫剤につういてEPAを拒否

先週連邦控訴裁判所がEPAに、トランプ大統領の決定を覆して殺虫剤を使用禁止にするよう命令した。2015年のオバマ政権下でEPAは、食品中に残留するクロルピリホスと子どもの神経発達障害と関連があるという研究からクロルピリホスを禁止することを決定した。2017年3月にScott Pruitt EPA長官が禁止申請を却下していた。

・日本の医科大学が男性を優遇

・YouTubeが科学の動画を明確に

地球温暖化懐疑論やワクチン拒否、アポロは月に行っていないなどの陰謀論対策キャンペーンを強化

Detailed genome maps paths to better wheat

Science 17 Aug 2018:

Vol. 361, Issue 6403, pp. 635

世界で最も広く栽培されている穀物は同時に最も改良が難しいことがわかっている。1960年代の緑の革命で、植物交配者たちは収量を大幅に増やしたが、それ以降、伝統的交配でも遺伝子工学でも改良はおそろしく遅い。そのゲノムが悪魔のように複雑だからである。10年にもわたる努力のおかげで、ついに小麦ゲノムが明らかになり、収量を増やしたりアレルギーになりにくくしたりできる遺伝子の研究が進むだろう

(今週号の表紙が小麦。小麦のゲノムの構造は昔の人がどれだけ品種改良を重ねてきたのかの足跡でもあるけれど、これだけむちゃくちゃにしても大丈夫なんだな、という例でもある。今ならもっとスマートにやれるんだろうけれど、今度は社会が阻止する)

  • 特集

嘘の波

Tide of lies

Kai Kupferschmidt

Science 17 Aug 2018: Vol. 361, Issue 6403, pp. 636-641

科学的偽装の中心にいる研究者は、それを暴いた科学者にとって謎のまま

(イラストは北斎インスパイアだけど不思議の国ニッポンに外国の研究者は困惑しているという感じ)

日本の南の病院の骨の研究者であるYoshihiro Satoが国際雑誌に発表した数十の臨床試験のデータを偽造していたことを発見した英国Aberdeen大学のAlison Avenellは、Yoshihiro Satoが死んだと聞いて嘘だと思った。それから自殺?と思った。3年前に理研のYoshiki Sasaiがスキャンダルで自殺していたから。

Satoの詐欺は科学史に残る最大級のもので影響も大きい。しかしどうしてこんなにも多くの研究を偽装したのかが理解できない。共著者の役割についても困惑する。日本の学会はどうやったら200以上もの論文を、その多くが何人もの研究者が何年もかかるようなものを、出せるのか疑問を抱かなかったのか?

偽装を検出する科学的手段はあるが、個人的文化的要因はわからない。そこで最終的にSatoが最後の13年を過ごした九州の小さな町TagawaのMitate病院に至る探求の旅をした。

I 疑い

II 根拠

III 非難

IV 波紋

V 謎

VI エピローグ

(日本に来て、最も重要な共著者である日本骨粗鬆症学会理事だった慶応大学Jun Iwamotoに会おうとして会えなかったが弁護士に会っている

日本ではギフトオーサーシップやゴーストオーサーが普通だとか

Retraction Watchの取り下げ論文数トップ10のうちの半分が日本人(トップはYoshitaka Fujii, 183論文取り下げ)だとか情けない話が。教授が絶対権力者で誰も反論できないとかほとんど医学部だけだと思うけれど。

病院は取材拒否。死因は自殺らしい)

  • 新しいいじめ事例がMax Planck学会を動揺させる

New case of alleged bullying rocks the Max Planck Society

Science 17 Aug 2018: Vol. 361, Issue 6403, pp. 630-631

天体物理学部長のGuinevere Kauffmannが学生をいじめて人種差別的発言をしていたというニュースに続いて認知と脳科学研究所長で有名な神経科学者Tania Singerが同僚をいじめ威嚇していたことが報道された。彼女は世界で最も有名な「共感」の専門家の一人である。特に妊娠女性をいじめていた

その他

  • Sikkimでのインドのオーガニックオンリー農業実験はどうなっている?過去のプロパガンダに比べてそれほど持続可能ではない

How is India’s organic-only farming experiment in Sikkim going? Peering past the propaganda, not so sustainably.

Marc Brazeau | Genetic Literacy Project | August 15, 2018

https://geneticliteracyproject.org/2018/08/15/how-is-indias-organic-only-farming-experiment-in-sikkim-going-peering-past-the-propaganda-not-so-sustainably/

インドの農業部門は現在極めて流動的でストライキがありデモがありソーシャルメディアでのGM作物へのアクセス要求があったりする。

インドの北東部のSikkim州では2003年に全ての農業をオーガニックにする計画を始めた。合成化合物の完全禁止が発効したのは2014年である。そして2016年にインド初の100%オーガニック州になった。担当者はこの計画によりメリットがあったと言う。しかし個々の農家の報告はそれほどバラ色ではなく、3月末の慣行栽培製品の輸入禁止はスムーズにはいっていない。キャベツが3倍の値段になり抗議のデモがおこった。地元紙は思ったより値段が高くないうえに病害虫対策に苦労する農家のフラストレーションを報道し、販売業者は政府の指示には従わず慣行栽培製品を売り続けるという。需要を満たせないからだ。

政府のデータからは生産性は向上していない。私の調査によると収量が落ち儲けの減った農家が農業を止め、資本の小さいほうから撤退しているために平均値があがっている。アーリーアダプターの成績は悪くはないが良くもない。2016年には収量は30%も減ったと報告されている。いろいろなことが混乱している

(長い記事、いろいろ略。)

Breakfast With a Dose of Roundup?

WEDNESDAY, AUGUST 15, 2018

https://www.ewg.org/childrenshealth/glyphosateincereal/#.W3ZwBdMnZaS

EWGが健康指標として(勝手に決めた)160ppb以上のグリホサートが普通のシリアルやグラノーラバーから検出された。

(裁判にあわせて発表、メディアが報道

CNN

安全でない良の除草剤がオート麦製品に、と報告書が言う

https://edition.cnn.com/2018/08/15/health/glyphosate-oat-products-ewg-study/index.html

  • 妊娠中の農薬暴露と自閉症への専門家の反応

SMC UK

expert reaction to pesticide exposure during pregnancy and autism

August 16, 2018

http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-pesticide-exposure-during-pregnancy-and-autism/

American Journal of Psychiatryに発表された研究が妊娠中のDDEとPCB濃度と子どもの自閉症リスクについて調べた。

自閉症学会研究部長Ian Dale

我々は人々にこの研究の暗示する結論に飛びつかないように強く薦める。これは良いデータと解析であるが、いろいろな理由によりDDEと自閉症が関係すると結論するのは間違っている。せいぜい自閉症に寄与する可能性のある一連の要因に加わったということで、原因がわかった、というものではない。

UCL認知発達名誉教授Uta Frith教授

自閉症は遺伝子に原因があるという根拠は圧倒的である。しかし明確な成功はないにもかかわらず環境要因を探る努力は絶えない。我々の環境には有害物質は無限にある。人工のハザードにまだわからない危険性があるかもしれない、殺虫剤は溶くに心配だというのはあり得る。残念ながらこの研究から現実的な意味を引き出ことは不可能である。母親の農薬の濃度が高いと自閉症のリスクが高いということは必ずしも農薬が原因だということを意味しない。著者自身が注記しているように、相関関係は因果関係ではない。

(genetic causesを遺伝的原因、と訳すと遺伝する(hereditary)と受け取る人がいそうで。gene遺伝子と遺伝を分離したい。「遺伝毒性」と同じくリスクコミュニケーションの阻害要因のひとつ)