ハッセルブラッドは危険


ネオパンアクロス/HC-110/ペンタックスMZ-10/フィルムスキャン

 坂道を歩いていると突然、マグリットの絵画から出てきたような山高帽にステッキの紳士に声をかけられたのである。

 ちょっとそこのキミ、カメラを持っているということは、写真をやっているんだね、ワタシにはわかる、キミには才能がある、そして将来性がある、ワタシなんかがもっているよりも若いキミにコレをつかってもらいたい、と渡されたのはぴかぴかのハッセルブラッドであった。えっ、と聞き返すまもなく男は忽然と消えていた。

 という夢を少し前にみたのであるが。 

 きょうハリー・ニルソンの「子犬の歌(Puppy Song)」を聞いてて、すっかり忘れていたこの夢を思い出したのだ。子犬の歌は、子犬が飼えたらどれだけ楽しいだろうという歌(たぶん)で、冒頭の詞は「夢とはただの願望で、願望とはただのかなってほしい夢だ」というものである。

 たしかに、そんなことがあったら素敵なのであるが、そもそもハッセルブラッドなんて高級品は端から眼中になかったのになぜこんな夢になったのか不思議なのである。いつのまにハッセルブラッドにする憧憬を築き上げていたのだろう。

 「子犬の歌」は、こう続く。

 「ぼくには分かるんだ、ぼくの子犬はぜったいに噛みついたりしないって」

 ハッセルブラッドは噛み付きそうだよなあ。いろいろと。