『イグジット・スルー・ザ・ギフト・ショップ』
ストリートアーティスト、バンクシーによる初監督作品。ドキュメンタリー作品。(?)
日常をビデオカメラで撮るのが大好きなティエリーという古着屋のおっさんが主役。
このおっさん、バカだけど憎めないキャラでひょんな事からストリートアートの世界に興味を持ち、
ストリートアートの「現場」を撮り続けることになる。
しかし、ある出来事がきっかけとなりティエリー自身もストリートアーティストとして活動する事になるが・・・。
とあらすじはこんなもんじゃないですかね?
とにかく面白かったです。まずドキュメンタリーなのかどうかすら怪しいですが、そんな事は気にならないぐらいの面白さ。
監督のバンクシーは相当有名な方で、僕も名前はわからなかったですが作品は見たことありました。
ティエリーという完全にアートからは門外漢の人物を通す事で、アートや芸術というものの危うさや
何をもってしてアートを「良い」とするかという観てる者の価値観を揺さぶる作品でした。
疲れてて眠たかったので前半ちょっと寝ましたが(笑)、それでも映画としてちゃんとしていたので
いわゆる説明的な部分を多少飛ばしても理解できる内容でした。
ティエリーというおっさんの適当さとバンクシーの人格者っぷりが際立ってて面白かったなぁ。
ちなみにラストは見方によっては、背筋がヒヤりとする恐ろしさがあります。
公式
http://www.uplink.co.jp/exitthrough/top/index2.php
「ウィークエンドシャッフル」での宇多丸師匠の評論を聴くとより理解できたのでリンク張っときます。
「ウィークエンドシャッフル」内の「ザ・シネマハスラー」ポッドキャスト(7月30日)
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2011/07/730_2.html
『七つまでは神のうち』
ストーリーはあえて書かない方が良いですね。
「恐ろしく怖く、恐ろしく良く出来たホラー映画」だと思いましたよ。
終始驚かせる手法しか能がなかったパラノイアみたいなタイトルのホラー映画(もちろん日本版も)や、
量産されるキャラものかモキュメントのどちらかしかないジャパニーズホラーばかりで正直飽き飽きしていました。
乱暴な書き方をしてしまいましたが、それぐらい鮮明にこの映画は良い作品だと感じました。
完全新作な上に様々なホラー要素を入れて、なおかつスマートに「終わらせていない」所も高評価のポイントでした。
回りくどい表現ばかりですが、ネタバレにならない程度に簡単に観ている時の感想を書くと、
OP「あっこういう系のホラー映画ね、はいはい」
↓
序盤「ん?話(系統)変わってね?大丈夫か?」
↓
中盤「なんだこれは、オムニバス作品か?」
↓
終盤「うわあああそういう事か!ああああ」
↓
ED「えっ!?・・・・えっ!!?・・・・うわぁ」
さっぱりわかりませんね(笑)。
誤解を恐れずに書くと、周到に練られた脚本でさえ良いホラー作品になるとは限らず、
ましてや広げるだけ広げた風呂敷を収拾する気のない作品すら存在していて、
その後味の悪さを「ホラーだから」という言葉で収められるのは我慢しがたいものがあるのです。
「怖さ」とは凄く主観的なものであって、だからこそホラー映画は人によって大きく評価が分かれるものだと僕は考えています。(ハードルもありますが)
その点、この作品は観客の「下手な勘ぐり」(これは意味があるんじゃないか?等)を逆手に取り、
序盤に「こういう映画ね」と思わせておいて油断している所を後ろから突くような上手さがありました。
終盤はまさに「何者かに後ろから殴られた」ような衝撃がありましたね。
前述した、スマートに「終わらせていない」という所は、しっかりとした脚本だからこそできる
ラストの「理不尽さ」という意味で書きました。
理屈がわかっただけに、「なるほどこういう理屈でこうなったからか!」と理解していた気でいると
「・・・・えっ!?」という恐ろしさ、これこそ「後味の悪いホラー映画」と言える作品だと思います。
こうかくと脚本ばかり目立ってる感じがしますが、ちゃんとホラー演出も凄かったですよ!
というか僕ホラーめちゃくちゃ苦手なんで(笑)、怖い雰囲気の所は完全に薄目で観てましたが、
それでも耳栓したくなる程怖かったです。正直こんな怖いと思ってなかった(笑)。
これだけキチンとしたホラー映画を観た経験は少なくて、劇場で観たホラー映画ではぶっちぎりでしたね。
(そもそもあまりホラー映画を劇場で観ませんが(笑))
ラストを踏まえた上でもう一度観たい作品でした。
あ、一応公式サイトのリンク張っときますが、サイト内のゲームが「精神的ブラクラ」らしいんで気をつけて下さい。
ちなみに僕はやってません。(もちろん怖いから!!)
逆再生はホントやめて欲しい。いや・・・やっぱやめて欲しい。(怖いから)
あと、言われている「焼けるシーン」は確かにもうちょっとどうにかならなかったのかなー(笑)。
まともな事ばっかり書いたので下衆い事を最後に書くと、
薫(メガネの女の子)役の子が良い感じで「何かさせてくれそうな近所のお姉ちゃん」ぽくて良かった!!(言ってる事最低)
あと、飛鳥凛ちゃんはホントに「嫌な演技」をさせると最高ですな!ちょい高飛車な役にドはまりしてました。
『メタルヘッド』
そろそろ疲れてきましたが、最後なので頑張って書きます。
この作品は『七つまでは神のうち』の後に立て続けで観ました。
よくわからんメタルっぽい奴(ヘッシャー)がいきなりでてきてめちゃくちゃにしていく、みたいなある種の動物?ペット系?映画かと思ってました。
しかし観続けていくにつれ、あまり派手にめちゃくちゃな事をしない。(人んちにもぐりこんで荒らしてプール入るぐらい?)
もっとコメディタッチで、ハチャメチャな感じだと思ってたんですがちょっと違う感じの作品だと感じ「つまんないなー」と思っていました。
しかし、終盤の主人公の子供(TJ)があるものに執着し続けている理由がわかってそこから評価がガラッと変わりました。
500日のサマー、インセプションのジョセフ・ゴードン=レヴィット(『G.Iジョー』にも出てましたね)や
ブラックスワンのナタリー・ポートマンが出てる事で派手な映画かと思わせて、
実は凄く素朴な少年成長映画でした。
僕、結構こういう映画に弱いかもしれないです。
糞甘やかされて、糞チキンだけど、それでも自分なりに見栄張って強がってる姿に感情移入したのかもしれません。
このTJ役の子もなかなか良い子役でしたね。幼い顔でマザコンっぽくて垢ぬけない上にわからず屋、でも根は優しい子って感じで。
映画によって全然違うジョセフ(以下略)や、エレンペイジ並の地味カワだったナタポーも良かったんですが、
この子役のデヴィン・プロシューっていう子が光ってました。
あと、ずっと思ってたんですが、やっぱり父親役の髭面デブは『スーパー!』にも出てるレイン・ウィルソンだそうで。
早く『スーパー!』観たいなぁ。
あとこの映画もちょっと寝ました(笑)。京都みなみ会館のいす、気持ち良過ぎ。
総評すると、派手じゃないし癖のある映画だけど個人的には結構好きでした。
ちょいネタ
クロエが洋楽MVに出てるそうです。
http://white-screen.jp/?p=9514
観ましたが、かなり完成度高いんじゃないでしょうか。何よりリーゼントのクロエが良い!
監督はドリュー・バリモアだそうで。
前の『ローラーガールズ・ダイアリー』といいやっぱあの人なんか持ってんな!
曲自体も良かったので興味があればぜひ。