『ヤング≒アダルト』『おとなのけんか』『ヒューゴの不思議な発明』

観てすぐ書く、という意気込みの元で始めたこのブログですが、
二ヶ月前の映画の感想を書くことになるとは思いもしませんでした。


本当にずぼらな性格で・・・。
そういった理由からではありませんが、今回はササッと二本の映画の感想を書きたいと思います。

『ヒューゴの不思議な発明』

いやいや・・・もう三ヶ月も前の感想です。(本日2012年5月24日)

というわけで実はヒューゴも観てたんですが(しかも3Dで)、後述するとある理由で書くのが億劫になってました。


まぁ、単純に寝ちゃったんですよねー・・・。
しかもそんなに印象に残らなかったという理由もあって、いとも簡単に内容を忘れちゃってます。


なので、ほんとにあっさりと感想を書きます。ほんとにあっさり。
サッポロ一番の塩ラーメンを20倍希釈したぐらいあっさり感想書きますが何卒ご理解下さい。


まず良かった所ですが、やはりメリエスの話を内容に盛り込んだという時点で結構グッときましたよ。
というのも正直こういう形でないと映画史みたいなものを知る機会なんてないわけですよ。
僕もジョルジュ・メリエスなんて大学の映画の授業で学ぶまで知りませんでしたよ。

大学ですよ!大 学! ねぇ。カレッジですよ!(あれ?キャンパスだっけ)
そういう場で学ぶか、相当な映画好きが高じて、じゃないと現代においてそういう映画の歴史みたいなものを知ることが無いわけです。
(学歴を自慢してるみたいになってるんで一応言っときますが僕も「ジョルジュ・・・メリエスんん、ああ、あの月のね!映画作ったとかの人ね。あの月の映像ポンキッキーズで使われてたね!!あと髭!!」ぐらいの知識しか無かったです。)


なので上手く劇映画の中に史実を盛り込んだのは凄いし、それだけでこの作品が存在する意義があると思いました。
どこまで本当かわからない、ということもありますが、それ含め調べるきっかけになるので良いことじゃないでしょうか。
しかも結構本当のことが多いらしいですね。

さて、ではそれ以外で良かった所ですが、ぶっちゃけドストライク!って所はなかったですかね。
一般的には世界観とか美術的(出てくる建物や小物のディテールなど)なことがよく出来ていると思うんですが、
僕は「キレイダナー」ぐらいにしか思いませんでした。
そういうことより、僕は頑固ジジイが少年によって変わるという所が結構グッときました。

一番ハラハラする所を見逃したからかもしれませんが、そんな残る映画では無かったです。


なぜかイマイチ登場人物に感情移入出来なかったのが大きいかも知れないですが。

真面目なサシャ・バロン・コーエンも堅実な演技で良かったのですが、思ってたサシャ・バロン・コーエンじゃなかったです。
これは映画全編に言えることですが、過剰なギャグとかをあえて入れてなかったと思うのですが、それはおそらく
人間の愛せない部分や愚かしい部分を排除せず、笑いに昇華もさせず、そのまま描きたかったからだと思います。

それが、子供からすればトラウマになりそうな頑固ジジイの存在、行動やサシャ・バロン・コーエンが演じる鉄道警備員の
極端に悪い人間ではないが心にしこりがあってどこか世を拗ねてる感じに出ていると思います。

なので「エンターテイメント」作品ではあるのですが、
「毒っ気のないキラキラしたハッピーファンタジー!」という作品では無かったですね。

こういったあたり子供も観れる、大人向けの映画なのかなーなんて思ったりしましたね。


僕はあの頑固ジジイの怖さは『ホームアローン2』の鳥おばさんを思い出しました。実は良い人鳥おばさん。(ネタバレ)

あとC3POみたいなロボね。あれは動き出したら怖い。屋根裏にあったらすぐ捨てるレベル。


良い作品だと思うし、完成度の高い作品ではあると思うのですが、勝手にイメージしてた映画と違ったので少し肩透かしを食らった感じはありました。


こんなもんで良いですかね!もう思い出せません!!!(悲痛)
2D3Dかどちらが良いかは僕にはわかりませんでした!!各自おのおので決めればいいさ!!もう公開も終わってるしね!!!


あれ?全然あっさりしてない。むしろくどい。なんで。

『ヤング≒アダルト』



サイモン・ペグや、セス・ローゲンがよく出てくる大人になれない「ダメ人間」ものはよく観るのですが、
この作品は同じ「ダメ人間」ものでもこちらは相当笑えない、正確に言うと「笑わせてくれない」作品でした。


そういう風に書いてしまうと、つまらなかったということではなくて
意図的にダメな所を安易に笑いに着地させていないというか、笑いにすることによって観客を安心させない風にしていたということです。


上にサイモン・ペグ、セス・ローゲンなんていう恐らく「俺の友達になりたい俳優ランキング」に入る名前を挙げましたが、
これは女性をターケット層としている作品でもよくあるジャンルの映画だと思っていて、
「周りは凄く素敵なのに、何をやってもダメダメ」みたいなテンションの映画とかは「ダメ」さをあるあるネタみたいにして
笑いによって観客の共感を得るという手法を取っているのだと思います。(「BOL映画」なんて名前も聞きますが)
こういう映画はタイトル、そしてそのタイトルの色やフォント、主演女優といった情報だけでどういう映画かわかりますね!
食べて、抱きたいアンド・ザ・シティ&KILLみたいなね。
予告編観たら5秒であらすじわかりそうな、よくわかんねぇけどキラ☆キラした人が観そうだな!

・・・話がだいぶ逸れましたが、とにかく男性と女性で作品の雰囲気の違いはあれど、
どちらも「ダメ」さを売りにしたタイプの映画は存在していると思います。


しかし、今回の『ヤング≒アダルト』は自分のダメな所は知っているが、その存在を認めないし目を逸らし続けているので
「ダメ」さが笑いに昇華されない、昇華してくれないのです。
なのでその姿からは痛々しさしか感じさせず、観ている者に「あなたはこの人を笑う事が出来ますか」という問いかけを突き付けてきます。

正直僕もこの作品のメイビスまではいかなくても勘違いや過剰な自意識で痛々しい行動をしてしまったことは過去に何度もあるので、
(というかこの作品を観ることによって封印しようとしていた、そういう過去の自分の痛々しい行動を思い出しました。)
非常に身につまされる思いで観ていました。

この主人公のメイビスさんですが、高校生の頃が人生の絶頂期でその過去にすがって生きているタイプの人ですね。
また、そういうタイプの人でも年齢を重ねていくにつれて、外面が崩れていくものなのですが外面も綺麗なままでいてしまっているので、
余計に業が深いというか、笑えないものになってしまっていると。知らない人はあからさまに「あのババアなにーwウケるーw」的な反応にならないことが勘違いに拍車をかけてしまっているんですよね。
その結果、好きな人の前では毎回レッドカーペットを歩くような格好で来たり、振る舞いや行動も10代の頃のままなんだけど
そういうことをするのも「栄光の10代」の頃に戻れる好きな人の前でだけで、その他の人に対してや、一人の時は皮が剥がれたように別人になってしまう。

ここまで行くと病的な危うさすら感じてしまいますねー。でも彼女の中に少し自分を見たりもするので
「もう・・・もうやめてっ・・・!アンタそれ以上やると心が壊れるよっ・・・!」と胸を痛めながら観ていました。
いやいやあんな痛々しいことしないだろーと思うかもしれませんが、僕は恋愛においてはああいうことは起こりうることだと思います。

普段は冷静で理路整然としている人でも恋愛に関しては
あの人だけ、あいつだけは特別な存在で自分と気持ちを共有しているから理解してくれているはずだ!みたいな風に陥ることだってありますしね。

ただ、ここはきちんと書いておきたいですが歳や恋愛経験を重ねるにつれて「あぁ、勘違いか」とか「こういうのって痛いな」とかもっと言えば
「恋愛ってそういうもんじゃないな」って徐々に気付いていくもんだと思うんです。
だけど人生の絶頂が早めに来ちゃったメイビスさんはその後恋愛自体をやめちゃった、もしくは恋愛をしてもそれを越えるものがなかったので
考えを改めることもなかったんですね。この人にとってはその高校の時の彼氏との恋愛はずっと続いてたんだと良いと思います。


・・・でもなぁー!だからと言って結婚して子供も生まれたての時に「あなた辛いんでしょう?可哀想・・・私と一緒になりましょう」って・・・どんな神経しとんじゃい!!って思いますけどねー。
あと「子供生まれました!命名パーティに来てください!」ってメールだけで「彼・・・まだ私に気があるわね!」って思えるその思考回路が凄いですよ!大したもんだ!!

あと決定的に思いが通じていないとわかった後のシーンのまさに地獄絵図みたいな感じも凄かったし、
個人的に一番うわーと思ったのは前半に出てくる「プリンターのインクに唾を垂らす」っていう・・・男でも引くわ!!

また長くなってしまいましたが、過去の自分の痛い行動を思い出すだけでなく、
地に足を着けて生きて行こうという戒めにもなるので、中途半端にネタにして昇華するのではなく
真摯に自分の痛い所を見つめ直すという意味で、
食べて、抱きたいアンド・ザ・シティ&KILL
を観ているような方々にこそ観ていただきたい作品でしたね!


<補足>
・やっぱあのワイン?は血の表現なのかなー。
・正直あまり正確には覚えてはいない!(偉そう)

『おとなのけんか』


ヤング≒アダルト』の後に観ました。


ロマン・ポランスキー監督の最新作ということですが、僕はこの監督の作品を初めて観ました。

ですが、純粋に楽しめました。面白かったです。

ウィル公ことウィル・フェレルとの共演が多い=信頼できるボサッとしたおっさん、ジョン・C・ライリー!
イングロリアス・バスターズ』で、ヤな最高な役だったクリストフ・ヴァルツ
最近は神経質なイメージしか無い・・・というかタイタニック』の頃のイメージなどもはやないケイト・ウィンスレット
ええー老けた!ホントに本人??倍賞千恵子さんじゃない!?しわが・・・ジョディ・フォスター


この4人が出てるだけでもう面白そうですよ。というかおっかないですよ。
唯一ジョディ・フォスターだけは作品をあまり観たことなくて、よく出ていたと思われる時期も知らなかったのですが、(観たのは『羊たちの沈黙』ぐらいかな・・・)
他の三人は割と印象が強くて「ああこの人が出るのか」というぐらいにはわかりました。
クリストフ・ヴァルツケイト・ウィンスレットも『イングロリアス・バスターズ』、『レボリューショナリーロード』ぐらいしか観てないですが、その時の印象が物凄かったので)

まぁジョン・C・ライリーはジョン・C・ライリーのままでしたが、極端にコメディ臭プンプンって感じでもなかったので安心しました。


この作品も、『ヤング≒アダルト』と同じく普通のコメディ映画と少し違って、
「・・・?え?あ、これは・・・笑って良いのか?」みたいなコメディとしてはギリギリ成り立つか成り立たないかという感じの映画でした。

それは意図した作りだと思っていて、何故かというと笑いにすることでやっぱ安易に安心すると思うんですよ。
安心させるための笑いは簡単で、おどけた演技をさせておけば笑いが起きる、
仮に笑いは起きなくとも「こういう映画ですよ安心して観て下さいネ」というアピールにはなるわけです。

でもこの作品はそんな安牌を切るようなことをしてなくて、「大丈夫?この映画大丈夫?凄い不穏な空気漂ってるよ?」っていう
どこに向かってるかわからない感じを出しつつ不意におかしなことを放り込んでくる上手さというか恐ろしさというか。
「映画とかよく観てるし大体どんな映画かわかっちゃうもんね」みたいな部分が少しでも僕の中にあったと思うんですが、
完全にやられましたねー。コメディじゃない映画でシリアスな場面なんだけど意味を取り間違って笑っちゃう人とかたまにいるんですが、
それが怖くて「ホントにここ笑って良いの・・・?」とか恐る恐る笑っていたのですが、そこ含め計算づくだということが徐々にわかってきました。
そしてその感覚が今までにないものだったので凄く新鮮で楽しいというか気持ち良いというか。
シリアスコメディという位置づけで正しいのかもわかりませんが、こういう笑いのアプローチの仕方って一歩間違えば目も当てられないことになるし、凄い上手いなーと思いました。

映画館で観た時に、割と大人の方が多かったんですが、歳を重ねられている方ほど遠慮なく笑っていらっしゃって
ビクビクしていた自分はまだまだなんだなーと思いました(笑)。



家族みんなで頭を空っぽにして観るみたいな映画では無いですが、(ブラックジョークとか頭使う冗談もありますしね)
確実にレベルの高い良く出来た作品だと僕は思いました。


<補足>
ケイト・ウィンスレットの顔ってどっかで見たことあるような顔してるよね。
・そして最近ケイト・ウィンスレットは特にエロい!(個人の感想です)
ナイスゲロ!
・この映画のジョディ・フォスターみたいな人ほんとにいそうだけど、出来るだけ関わりたくないなー・・・怖い。
・ジョン・C・ライリーってどんな俳優?って思った人は『タラテガ・ナイト オーバルの狼』か『俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-』をご覧ください。
・最近ロマン・ポランスキー監督の『ゴーストライター』も観たけど個人的には『おとなのけんか』の方が好き。
クリストフ・ヴァルツの豚っ鼻。



実はこの後『ヒューゴ』も観たんですが、感想はまた今度にします。(しんどいので)