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「すべて真夜中の恋人たち」川上未映子 講談社文庫

いろんなエッセイや短編小説はなんとか時々読んでいたけど、長編小説を読み切れたのは、いったい何年ぶりだろう。考えるのも恐ろしい。
サイン会にまで行っていたのに、実は未読だった。文庫になったのを機に、読むことにした。
主人公の恋愛が主に描かれているのかと思いきや、そうではなかった。恋愛部分はあくまでスパイス。
器用とはいえない主人公。そしてそれを取り囲む人々も決して上手く世を渡れているわけではない。
まず最初の1ページ目から引き込まれる。とても美しい。
文章の詩的な美しさ、心象描写の繊細さに引き込まれ、物語が終わってしまうのが惜しいとすら感じた。
まぁタイトルからして素晴らしいですよね。そのタイトルがきれいに活きるラストにも感動。
とてもいい小説でした。