uporeke's diary

苔を見ています http://www.uporeke.com/book/

紙一重

なぜかわたしは上層部に気に入られたらしくそれなりの立場につくことになった。それ自体はとてもうれしい。でも同時に不安も残る。一番の不安はやはり自分の技術についてで、これはもう他人よりも決して突出しているわけではなく、むしろ劣っている。そんな自分が他人に指示を出していいのか。これは未だに引きずっているが、逆にこの不安感をまったくなくしたらダメだろうな、とも思う。理由はよく分からないが、世間でいうところの「初心忘れるべからず」あたりが該当するのではないか。

それよりもわたしが気になっているのは、ほぼ同時期に入社した某氏のことだ。履歴書ではわたしなんかよりもずっときちんと働いていて、知識も豊富。だけども彼は出だしでつまづいてしまい、ちょっと仕事ができないという目で見られている。

まず、自分の知識をひけらかしてことあるごとに他人の問題に手を出して解決しようとした。知識を与えて自分の存在意義を植え付けようとする気持ちが遠い席のわたしにも伝わってくるほどに。だけども、そういうふるまいって実はとても嫌われるということを2つ前の職場(2ヶ月でクビ)で体験してきたので、「(ノ∀`)アチャー 」であった。

それよりも、彼は自分の知識によりかかっていたことが問題だったのだと思う。自分が一人でいろいろな仕事を解決してきた過去に頼って、同じように自分一人で解決したいという気持ちが強すぎて、他人から指示を受けたり、他人の規則に合わせることの重要性が理解できなかったのではないか。規則を理解できない、体得できないためにずるずるとできない人のレッテルを貼られるようになってしまい、本人もその見方を受け入れてしまっているように見える。

落ちこぼれのクラスと優等生のクラスを作り、優等生に教えるように落ちこぼれに教えるとどんどん成績が上がり、逆に優等生に対して落ちこぼれとみなして教えると成績がぐんぐん下がるという。自分がダメだと受け入れてしまったら、そこから成績でも仕事の技術でも上昇させることは難しいのではないか。本人がダメスパイラルに落ち込まないようにすることはもちろん重要だが、それと同じくらい大事なのが、周囲の人間もダメな人間に接する態度を改めて、仕事ができる人として扱うことが必要なんではなかろうか。しかし、当然それまでに蓄積されたダメさを見ない、もしくはダメさを解決する努力をお互いに受け入れる必要があり、それはできる人から見たら無駄な工程にしか思えないのだろう。

そこを埋めるにはどうしたらいいんだろう。一般論に薄めて言うのは簡単だけど、実行するには自分の気持ちのハードルを乗り越えた上で、さらに相手がハードルを跳べるように補助しなければいけないのだとしたら、本来やらなければいけないことの時間がつぶれたりする。そこまでしてやるべきことなのか? 一人で乗り越えるにはどうしたらいいのか? とりあえずワインバーグ先生に聞いてきます。


コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学

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ワインバーグの文章読本

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