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映画は時代を映す鏡

2018-05-19

「モリのいる場所」

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1977年に97歳で他界した画家、熊谷守一

今年3月に、東京国立近代美術館で、
「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」展
を観て、花や虫など身近な生きものを描いた独特の作風に共感した。

だからこそ熊谷守一とその妻秀子の一日を描いたこの映画を楽しみに待っていて、今日公開初日に観てきた。

画家を描いているのに、絵を描く場面がない(書を書く場面はあるが)。
それでいて、画家の姿、画家の眼、何をどのように絵を描くかが観客に伝わってくるから不思議。
絵を描く場面がない見事な画家の映画。
近所の人が寄り集まる日本家屋、鳥や虫・昆虫のいる庭、失われつつある世界もよみがえってくる。

山崎努樹木希林のふたりが出ずっぱりで夫婦の機微を演じてみせる。
オリジナル脚本を手がけた沖田修一監督(「南極料理人」「横道世之介」)の手腕が光る、想像力をかきたてられる味わい深い映画。

2018-04-09

「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

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映画は時代を映す鏡。実にタイムリーな映画だ。
原題は、「THE POST」(ワシントン・ポスト紙)。
日本題名「ペンタゴン・ペーパーズ」は、ベトナム戦争時に国防総省(ペンダゴン)がベトナム戦争について客観的な調査・分析をした大量の最高機密文書のこと。
政府が隠したその機密文書を公表すべく動くワシントン・ポスト紙記者らの姿を描く。

ワシントン・ポスト社主にメリル・ストリープ・記者にトム・ハンクス、という2大オスカー俳優を揃え、その時代の女性の苦悩を描き、誰にでも解りやすくみせる展開、グイグイ観客を引っぱっていく演出
さすが!スティーブン・スピルバーグ監督。
ひとりでも多くの観客に見てもらいたいという監督の気持ちがあふれていた。
トランプ大統領マスコミ圧力危機感を得ての映画化だろう。

ラストは、民主党本部盗聴事件であるウォーターゲート事件発生が描かれて、記者の活躍が連続している歴史も示す。
名作「大統領の陰謀」が製作されたのは、1974年8月ニクソン大統領が辞任してから、わずか2年後だった。ハリウッドも頑張っている。

多くの日本人にも今観てほしい映画。

2018-03-31

アニメーション映画ベスト10本

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ピクサー製作の新作アニメリメンバー・ミー」を観た。
死者の国を扱いながら明るく快活に、予想を超える展開が実に面白い。
勇気と冒険、家族愛というアニメ映画の王道をいくなか、物語も実に感動的。
主題歌はアカデミー賞受賞にふさわしく、実にピタリはまって泣ける。
アニメ映画の”傑作”として残る作品。


ということで、私が選ぶ
映画館で観たアニメーション映画ベスト10本>。
とても順位はつけられないので、製作年度順です。

白雪姫」(1937年ディズニー
ファンタジア」(1940年ディズニー
風の谷のナウシカ」(1984年宮崎駿
となりのトトロ」(1988年・宮崎駿
おもひでぽろぽろ」(1991年高畑勲
トイ・ストーリー」(1995年・ジョン・ラセター
老人と海」(1999年・アレクサンドル・ペトロフ
「サマーウオーズ」(2009年・細田守
君の名は。」(2016年新海誠
リメンバー・ミー」(2017年・リー・アンクリッチ)


白雪姫」は大学生時代に名画座で観た。
すでに「バンビ」や「わんわん物語」などディズニー作品は多く観ていたが、これには脱帽。
これが1937年製作というのも驚き。七人の小人たちはアニメ映画史上最高のキャラ。

2018-03-12

「グレイテスト・ショーマン」

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実在した興行師P・T・バーナムの半生を描くミュージカル。
1952年に製作された大作「地上最大のショウ」のモデルとなった人物だ。

傑作「レ・ミゼラブル」のヒュー・ジャックマン主演だけあって、冒頭から素晴らしい歌唱力で観客を釘づけ。
子供時代の場面で、パンを盗み逃げるという、おまけも。

ラ・ラ・ランド」でアカデミー賞を受賞したジャスティン・ポールとベンジ・パセックが音楽を担当ということで、主題歌をはじめオリジナル楽曲も魅せる。

深いドラマではないが、とにかく華麗なミュージカルとして、誰もが楽しめる作品となっているのが、いかにも往年のハリウッド・ミュージカルを再現していて嬉しい。

2018-02-15

「スリー・ビルボード」

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題名の「スリー・ビルボード」というのは、閑散とした田舎の道路わきに設置された3枚の看板。
解決レイプ殺人の地元警察の怠慢を批判する広告看板だ。
このメッセージを出したのは娘を殺された母親。
さて、この田舎町の人々は・・・
映画的な巧みなプロットに、初めから引きずり込まれる。

主役は3人。
娘を殺されて怒るミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)。
苦境に立たされた警察署長のウェルビーウディ・ハレルソン)。
署長の部下で差別的言動巡査ディクソン(サム・ロックウェル)。

この3人のキャラと名演技がドラマを深いものにしている。
なるほど、3人とも今年のアカデミー賞にノミネートされているのが納得。

暴力、差別、憎しみ、怒り・・は、この田舎町だけの問題に留まらない。

悪に立ち向かうミルドレッドとディクソン二人の道行に暗示される答えは?
観客ひとりひとりの胸にずしんと響く。

アカデミー賞作品賞ほか有力候補作の傑作であり、是非とも観てほしい。