都市生活者の夜


(トミヤマカズヤスマキ on 登戸ロックフェスティバル)


11月23日
登戸ロックフェス@スタジオクラウド
音楽スタジオを使ったライブ、は初体験でとても新鮮だった。
普段に増して大きい音を出せる環境だったので
普段にも増してサンプラーをガシガシ叩いて、
BPM120くらいでノンストップミックスをやってみる。
ライブハウスではなく、バンド仕様のスタジオなので
ラウドにすればする程声は埋もれがちになる。
普段ライヴをやる時は、時間配分や全体の構成は
ビッチリ用意していくのだけど
前回の登戸ロックフェスを見た上で、あえて力技のパフォーマンスをやった。
特に、この日は、電気醤油わっきーさんが召還した濃いメンツで、
バンドから弾き語りから歌謡曲まで濃厚なアクトが多く
それらに対峙するためには、今日は小細工なしでぶつかった方がいいと思った。


それと、トミヤマカズヤスマキのノンストップロックンロールに
襟を正されたというか、シャキっとした態度を示されて
後の自分のプレイに大分影響を及ぼしたと思う。
見てる方にはどう映ったか。大分遠巻きにされてた感がありましたが(笑)
でも、変に曲げない方が正しい時もある。この日はそういう日だった。



11月24日 twitnonukes@渋谷・原宿



11月26日
特定秘密保護法案が衆議院を通過したこの日、
何の打ち合わせもなく、ツィッターを中心にして
国会前に人々が集まった。
それは、これまでにも起こったこと。
3.11以降、官邸前で、デモで、カウンターで
特定の集団に所属していない人達が集まる。
ここという危機の時、私たちはこうやって集まってきた。
今までも。そしてこれからも。


ただ、この日がいつもと違ったのは
普段官邸前で顔を合わせない知人が結構な数詰め掛けていたこと
そして、ほぼ全員が、自分がスポークンワーズの世界に入ってから
知り合った人達であったということ。
何故自分が今、スポークンワーズをやっているのか
これは必然だったのかもしれないな、と少し思った。



三鷹おんがくのじかん 店内に飾られるPOP GROUPのセカンド)


11月29日
「音楽を視姦vol.4 〜宇宙の部屋、朗読会〜」


三鷹おんがくのじかん、初めて行く場所だけれど、
物凄く波長があった。
店の佇まい、展示されているレコードや本、ビール
そして人。
初対面のマスター菊池さんと、リハの段階で意気投合する。
どのくらい意気投合していたのかというと
本番でPAを務めていた菊池さんが
エイドリアン・シャーウッドばりに、自分の声に
適材適所でディレイをかけて、飛ばしまくっていただくらい!
丁度、3日前に国会前で3時間近くフルボリュームで
声を枯らしていたこともあり、助けられた部分も大きかった。
菊池さんは、自分の音と言葉を「ダブ」と解釈されていた。
自分も、レベルミュージックだと思ってやっているので、
その相性はとても良かった。


丁度この日、出演者の、なの小夕子ちゃんの映像を撮るクルーが入っていて
しかも、自分の出番が小夕子ちゃんの前ということで、
空間を埋め尽くしているのが、殆んど小夕子ちゃんのファンという
超ドアウエイ状態。
しかしこれもまた、今となってはいつものことなので、
慌てず騒がず、今度はしっかり煮詰めたセットを提示する。
おそらく、彼女のファンの人達や彼女の映像を撮る人達なら
しっかりと自分の言いたいこととパフォーマンスを見せれば
受け止められると思っていた。
そして、それはその通りになった。


朗読会と銘打たれていた企画で
りゅう君や、小夕子ちゃんもライヴパフォーマンスの中で
朗読を取り入れていた。
それが凄く良かった。瑞々しく、才気に溢れていた。
最近、ポエトリーリーディングシーンには若い人が全然いないと
思う瞬間が多かったけど、全然そんなことはなかった。
りゅう君は、僕やともちゃん9さいを見て
スポークンワーズをやりたくなった、と言っていた。
やるべきこと、見せるべき物をしっかりと見せることができれば
繋がることはできるな、と実感した。
場所や人との出会いが、次への展開を予感させる時は、本当に楽しい。
また、何かが始まろうとしている。



(ともちゃん9さい@御器所なんや)


12月1日 スーパーオープンマイク@御器所なんや
都内でも、色々なイベントが行われたこの日
名古屋にやって来たのには、理由があった。
5月に「どんと、こい!」のレポートを兼ねて
訪れた時に、なんやという場所が特別な空間であることを
知った。
ここでもう一度、三木悠莉やともちゃん9さいが
ライヴすれば、それは特別な意味になるだろうし
自分もまた、ここでプレイしたかった。
そして、今回もまた色々なミラクルが生まれた。
ともちゃんは、本当にこの場所と相性が良い
まるで、ここでライヴすることが
今までのキャリアと繋がっているかのような


後、今回は三原千尋ちゃんが司会を務めていたのだけど
名古屋のオープンマイクの空気感が伝わってきて、
前回にも増して、親近感が沸いた。
レモンさん、葉月さん、江藤さん、皆さん素敵だった。
今回も、名古屋は素晴らしい街だった。


12月4日〜6日
仕事の合間を縫って、できる限りの時間
国会正門前で秘密保護法案の抗議活動に参加した。





6日の午後11時20分過ぎ、この場所から
正門前に流されたラジオ放送を聴きながら
秘密保護法案の可決する瞬間に立ち会った。


12月7日
国会前を後にして、そのままネットカフェに泊まって
仕事に行った。
終わってから、GOLDEN EGGでオープンマイクをやっていた
バーベキューファミリー女子部や、名古屋勢の打ち上げに合流
喉がまだ何とか持っていたので、そのままtamatogiに向かい、読む。
心も身体もボロボロの状態で、それでも読んだ。
読まなければならなかった。
何度も「分からねえんだよ」と言った
声はガラガラで、全くもってヒドイ出来だったが、
あれをやらないと、先に進めないと思った。


ミスターパンチライナー、蛇口さんには今日もノックアウトされたし
桑原さんの朗読にもグッと掴まれた。
しかし、自分にとって一番重要だったのは、あおばさんだった。
いつも持参される手製のラジオから流れてきたのは
ヒトラーの演説と、前日の国会正門前での
ファシストくたばれ」コールだった。
それに合わせて、あおばさんは赤紙が配られた
戦時中の若者の心情を読み続けた。
間違いなく、あの人はアクティビストだ。


tamatogiを後にし、皆と別れて
ひとりでRUBY ROOMを訪れ、酒を飲んでいた。
素晴らしい音楽が流れ、色んな人達が酒を飲み楽しんでいた。
カウンターの奥に腰掛けて、その光景を眺めながら
ツィッターのタイムラインで、昨日の国会前の様子を
ずっとおいかけていた時に
何故か自然に涙が流れてきた。


涙は、暫くの間止まらなかった。
知る人のいないクラブスペースのカウンターで
泣き続けた。
あの感情を説明することはできない。
あんな風に泣くことは、
これから先おそらくもうない。