やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「メリダとおそろしの森」を観てきた感想(ネタバレ)


 あらすじ:幼いメリダは王の娘。父と母の深い愛情を受けてきた。しかし、成長したメリダは、母から常に王女としての躾を言い聞かされる。さらには、伝統として同盟を結んでいる3領主のそれぞれの息子から最も優秀な者を選んで結婚するように母から強く言い聞かされた。嫌気がさしたメリダは城を抜け出して深い森に入る。そこで鬼火に出くわした。導かれていくと、魔女と出会った。メリダは魔女に、母の考えを変えてもらえるように頼んだ。魔法が母を変えたが、それは考えではなく姿を熊に変えてしまうのだった。
 メリダと熊になった母は、魔法を解くために城の中、森の中を奔走する。

 おもんないよ、これ。
 同じ日におおかみこどもの雨と雪も観てきたのですが、アニメ映画日米対決では日本の大勝利です。(私の中で)
 ピクサーだからといっていつも面白いものを見せてくれると思ったら大間違いですよ。それとも、ピクサーも落ち目ですかね。ピクサー初の女性主人公であり、しかも初のフェアリーテールでもあるんですね。
 これまでのピクサーはかなり特殊な状況を描いてきました。「おもちゃとして生きていくこと」「スーパーヒーロー一家」「車の世界」「モンスター世界のエネルギー問題」など。
 今回は、昔話ではありますが、娘と母の確執とその解消です。それほど特殊な状況でもないというか、ピクサー以外だったらよくある昔話なのではないでしょうか。
 単なるおとぎ話で、それがつまんない理由なんだと思います。感情移入できませんでしたし。
 それでも、ピクサーピクサーでした。絵があまりにも美しすぎます。すばらしい!
 メリダの癖がある赤毛が本物のようであり、滝の水しぶきや人物の動き、何もかもが完璧です。ピクサーの絵はもはや神の領域ではないでしょうか。
 そんなピクサーは、絵と脚本のツートップで来たはずです。その脚本のほうが、母と娘の関係を、なんか、テキトーに魔法で味付けしただけのような。
 そういえば、この映画は、日本に限れば大島優子メリダの声に起用したことで話題になりましたね。吹替で観ましたけど、そんなに悪くないです。ただ、大きな声を出す場面が苦手のようですね。迫力にかけます。メリダは活発な女の子ですが、大声がいまいちで拍子抜けです。
 ピクサー映画恒例の短編アニメですが、「偽物バズがやってきた」「月と少年」の2本です。偽物バズは笑えますし、月と少年は美しいです。
 ネタバレですが、母は娘に対して伝承を話していました。その伝承に出てくる大昔の王子が、実はメリダとかかわった魔女によってモルデュと呼ばれる巨大な熊に変えられていたのです。メリダの父の片足を奪ったモルデュと王国との戦いも、母にかかった魔法を解く話と並行します。
 そのモルデュと熊となった母の戦いもあります。けっこう激しい格闘となりますが、母が傷つきません。ひどくやられているように見えますが。違和感がありました。
 とにかく、そのあと、メリダメリダとしてやるべきことを理解します。母も、メリダに躾と伝統を強制してしまったことを理解します。メリダと母は絆を取り戻します。それが魔法を解く鍵になりました。
 そのあたりがピクサーらしくないことだと思いますよ。明らかに予想された展開であり、王道なのかもしれませんがピクサーの提示してきた答えらしくない結末だと思います。結末そのものは娘と母の和解と魔法が解けることですが、そこまで至る流れが予想された展開なんですよ。単なる、破った布を縫い合わせるだけですし。メリダと母が自分たちそれぞれの間違っていた考えを直していく流れに意外性とか何もありませんし。
 いつものピクサーを期待していくと肩すかしをくらう映画だと思います。