太田忠司『幻竜苑事件』徳間文庫

ネタバレ注意。
狩野俊介シリーズの第二長編。由緒ある旅館とその庭園が舞台。
ジュブナイル風味ってのを言い訳に、あらゆる部分がおざなりになってると思う。本格としては、何のヒネリもない隠し通路による人間消失、シークレットブーツとカツラによる一人二役など、メイントリックがあまりにも粗雑。
だけどそれ以上に、ジュブナイルとしての結構を左右する、キャラクタ造形の部分で違和感があった。俊介の取って付けたような健気さも厭だし、野上も初見の美樹に対する冷淡さや、養子問題におけるアキに対するヒステリックな振舞いなど、ところどころリアクションがおかしくて、キャラをポジティブに見ることができない。美樹のキャラももっと効果的に使わないと、ジュブナイル的にもったいないと思うのだけど。
脇も含めて、薄っぺらいハリボテみたいなのが右往左往してるだけで、かなり白けた。
評価はC−。

幻竜苑事件 (徳間文庫)

幻竜苑事件 (徳間文庫)