No one’s gonna dive

2016-09-05

[]『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』

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懐古趣味により大人たちを洗脳しようとする組織との戦いを描く、劇場版第九作。高校生時分に高い世評を聞いていながら、いまさらちゃんと通して観ました。

最初に欠点から書くと、カーチェイス・シーンの冗長さ、クライマックスの鉄塔でのアクション・シーンのご都合主義なんかは気に入らなかったけど、そうした部分を圧して質の高い、優れた脚本と演出です。ストーリィのベタな演出としては、ひろし復活の回想シーンは不覚にも泣くぐらいだった…その分みさえにも何かしらのキィ・アイテム用意したれよと思ったけど。敵キャラの造形も抜群で、特にチャコは小林愛のヴォイス・アクトが相乗して非常に魅力的。

そしてイエスタデイ・ワンスモアの作り出した世界と、バックに流れるフォークの名曲はやはり、いつまでも浸っていたいと思わせる感傷と抒情性に満ちていて。それは俺が個人的に60〜70年代に深い興味を抱いてるって以前に、どこかしら日本人に通底した心性なのだと思うし、そこにおいてこの作品が批評的であろうとした対象は的確に射抜かれていたと思う。

これだけクオリティとポピュラリティを兼備した作品に、これだけ狙いの確かな批評をさせておきながら、『ALWAYS 三丁目の夕日』なんてやってんだから、なにをかいわんや、って話ですよ。