戸梶圭太『自殺自由法』中公文庫

ネタバレ一応注意。
タイトル通り、自殺…「自逝」を希望する人たちへの、行政による処理がシステム化された社会の群像を描く長編。
「自逝」をめぐる人々の挿話が断章形式で連続する構成。久々に読んだけど、相変わらず「激安人間」大行進の戸梶ワールドで、ここまで徹底してパルプ・フィクションしてくれるといっそ清々しささえ感じられ…はしないか。
劈頭の酒屋の主婦の、一番閉塞的でクソみたいな挿話の舞台環境を我が故郷山形市に設定するのやめて欲しかったけど…w でも10年前の作ながら、今も変わらず閉塞した格差社会と、それを助長して恥じ入ることのない政治権力の厚顔に対し、作者の意図以上にクリティカルな「社会派」になって…はいないか。
評価はC+。

自殺自由法 (中公文庫)

自殺自由法 (中公文庫)