貧困問題は経済問題ではない

途上国が貧しいのは先進国が搾取しているからではないし、貧乏人が貧しいのも金持ちが搾取しているわけではない : 金融日記
を読んで。
世界規模の搾取構造は確かに新興国の発展を促した側面もあると思う。まあ、搾取側が言っちゃダメだろ、それは「太平洋戦争は東アジア開放の戦争だった」と同じだろ、と脊髄反射的に思ったがそれは措く。


最貧国が貧しいのは世界の貿易経済に組み込まれていないから、というのであれば、日本の貧困層が貧しいのも経済に組み込まれていないから、としなければいけない。しかし、現実はそうではない。「ネットカフェ難民」については一概に言えないが、「派遣村」については、定義からして確実に経済に組み込まれた貧困である。

ネットカフェ難民派遣村の住人が明日日本から消滅したとしてみましょう。
そうです。
実は金持ちも大企業もまったく何も困らないのです。
困らないどころか社会福祉の税負担が減って助かるぐらいなのです。

吐き気がするほどの嘘。本当にそうならば、この危機が過ぎ去っても切られた派遣労働者は採用されない。いなくても困らないし、いるとかえって困る存在だからだ。彼らは暴れるか、死ぬか。
しかし、きっと彼らはまた採用される。企業の社会的責任とか気持ちのいい御託を並べて。実際には、金持ちが金持ちであり続けるためにはそうする必要があるから、それが彼らの利益構造だからそうするだけなのだ。


派遣村の貧困は「経済に組み込まれた貧困」であることが確認できたが、現実はさらに深刻である。

経済に組み込まれていない貧困

同じように思考実験をしてみましょう。
障害者が明日日本から消滅したとしてみましょう。
そうです。
実は金持ちも大企業もまったく何も困らないのです。

困らないどころか社会福祉の税負担が減って助かるぐらいなのです。


経済に組み込まれていない人や国を経済に組み込むことによって貧困を脱する、という発想が危ないのは、経済に組み込みようもない人を排除する発想に繋がることだ。ルワンダなどの貧困と引き合いに出すならむしろこちらだ。
このように経済に組み込まれない人が得てして貧困状態に置かれているのは、一にも二にも政治が彼らを無視しているからである。世界経済の枠組みの中にいる人たちがその中だけで富を独占し、自分たちとは関係ない人は無視。そんな彼らの状態を改善する政策はあくまで「救済」である。だから最初に切られる。必要もないのに善意で施してやってるものだから、余裕がなくなってきたら最初に切られる。困ってるときはお互い様。痛みを分かち合おう。


自国のトップが一番の害悪なのだとすれば、独裁でも圧政でもない民主主義国である日本においては、有権者が一番の害悪なのだ。
日本国のトップが害悪であり続けるかどうか、それは、何人の有権者が本当に憂えるかにかかっていると思う。