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文を敲く

2014-08-29

埋もれた名作 - 「失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選」

デュレンマットというスイス人作家のことはたまたま本書を手に取るまで一切知らなかった。しかし本書に収められた短編はユーモアに溢れていて読後感は大変よい。とはいえ「トンネル」はトンネルを抜けることが無いまま話が終わり、「失脚」は事件が官僚的に片付けられて幕を下ろしてしまう。お涙頂戴を寄せ付けない「喜劇」なので人によっては肌が合わないとは思う。

4本の中短編が収められているがお勧めは「失脚」と「故障」だ。結末への盛り上がり方が心地よい。「巫女の死」は芥川龍之介の「藪の中」を思い出させる渋めの作品である。